東方忘却記   作:マツタケ

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どうも、皆様お久しぶりです(^v^ノシ
Q:今まで何やってた?
A:ずっと動画作ってた。
馬鹿じゃないの! たしか前回もそんな事言ってなかったっけ!?
小説の合間に作り始めた動画が完全に小説そっちのけになってるじゃないかまったくもうめっ!
っていうか私はいつまですごろく編だらだら続けるつもりなんだ!?


その11

 

 

 

 

 

宙に浮かんだ2人の人物が距離をとって見つめ合う。

お互いに、言葉を発する訳でもなく唯々無言。

相手の目を見て、更にその奥の心や力を見据えて互いに観察し合っている。

 

そんな2人の様子を下から見ているギャラリーは良也を含めて、咲夜・美鈴・小悪魔・パチュリーの5名である。

古河音とフランは次のステージに進んでいるため今の様子は分からない。

 

 

 

 

「聞いているわよ?」

 

鈴芽の瞳が僅かに動く。

無言の中、先に言葉を発したのはレミリアの方だった。

臨戦態勢の中、その表情は優雅に微笑んでいる。

相手がだれであろうとも吸血鬼として、紅魔館の主として、そして何よりレミリア・スカーレットとしての誇りが、いつ何時も彼女をそうさせる。

 

「貴女、あの八雲紫に負けたんですってね」

 

「あれはただの練習。本気出したら私の圧勝ですわ」

 

相も変わらず言動は子供そのものだが、その雰囲気が普段とは別のものだ。

或いは本当にそう思っているのかもしれない。

 

 

「月がないのが残念ではあるけれど……始めましょうか」

 

レミリアが手を翳し、彼女の周囲に紅い大小の弾幕が現れる。

ニヤリと歪んだ口元から、吸血鬼特有の牙を覗かせる。

 

 

 

「ただの一方的な殺戮ショーを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つの影が激しく動き、紅い弾幕と黄色い弾幕が辺りを埋め尽くす。

外から見たそのやりとりは、最早2人の動きが速すぎて弾幕しか目に映らない。

 

互いにスペルカードは未だ未使用。

通常の弾幕戦だけで、既に状況は最終局面真っただ中である。

 

「あらあら、コレは弾幕ごっこでしてよ?力任せの単調な弾幕だけでは芸がありませんわ」

 

その言葉に思わずレミリアの表情が歪み舌打ちをしてしまう。

 

吸血鬼特有のスピードを活かして、その魔力の高さを活かして放たれる弾幕はそれだけで力を持たない者はひとたまりもないだろう。

もちろん今放たれている弾幕はただの様子見だ。

序盤の、何の工夫もないただの弾幕に落されるような相手であればスペルを使うまでもない。

 

が、レミリアを腹立たせたのはそこではない。

彼女が、鈴芽がレミリアと全く同じ戦法で弾幕を放っている事に対してだ。

ただの力任せ。魔力で底上げしているであろうレミリアにも劣らない速さ。

『貴女の弾幕はこんなにも幼稚でしてよ?』とでも言っているかの様な彼女の戦い方と言動がレミリアの心境をを苛立たせていた。

 

 

 

 

「…………ふぅ」

 

そこでひとたび、レミリアの弾幕が中断する。

するとそれに合わせる様に鈴芽もまた弾幕の手を止めた。

それがまたレミリアの神経を逆なでするが、すぐにその感情を掃いて捨てる。

彼女のやる事なす事に腹を立てていてはキリがない。

 

彼女の言う事も理解はできる。これは弾幕ごっこだ。

より美しく、より自分らしく、相手にも周りにも魅せるような弾幕を。

力任せでは芸がない。鈴芽は言った。

 

 

 

 

―――――だからこその力任せだ。

 

「………神槍、『スピア・ザ・グンニグル』」

 

彼女の繰り出す紅い弾幕が一ヶ所に集い、それは槍の様な形を模っていく。

数多くの弾幕の集合体であるそれは、もちろんただの槍などではない。

ただ力だけを、ただ速さだけを追求した槍の形を模した弾幕だ。

単純、それゆえに避ける事が困難な、相手の意見に顔を背け自分の意思を貫き通す。

 

まさに彼女自身を表現した弾幕だ。

 

 

 

「うんうん。芸がないと言われた力任せに更に磨きをかけて相手を屈服させる…。

『あたしそういうの嫌いじゃないから!』元ネタはニコニコ大百科を参考してくださると幸いで……っ」

 

彼女の言葉が終わる前に、槍は放たれた。

それは魔理沙の放つマスタースパークの思想に似ているのかもしれない。

小細工無用、ただ力をもって相手を圧倒する。避ける暇もなく相手に当ててしまえば良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、私の記憶を………!!」

 

放たれた神の槍は鈴芽に当る事なく彼女の横を通過していった。

避けた訳ではない。そもそも避けれるような代物ではない。

ただ単純にレミリアが彼女のいない位置に向かって槍を放った。それだけの事だ。

 

「……ご理解がお早い事で。さすがは永遠に幼き紅い月…でしたかしら?」

 

放たれた彼女のスペルを横目に、余裕の表情を浮かべつつ内心冷や汗をかいていた。

もしレミリアが狙いを外さなければ鈴芽でも今のは躱しきれない。

 

弾幕ごっこにおいて単発の技ほど避けやすいものはない。ルール上どんな弱い弾幕も当ててしまえば良いのだから。

だが彼女のスペルはそんなセオリーを根底から覆す。

速い。ただそれだけだ。

避ける。という事が重要な弾幕ごっこの中で避ける暇もない程に速さに特化したスペル。

まさに吸血鬼という種族を弾幕ごっこにおいても戦闘においても実に合理的な攻撃だ。

 

「お察しの通り。貴女が槍を投げる直前に『私のいた位置』の記憶を書き代えさせて頂きました。もちろん、スペルなしで能力を使おうだなんて無粋な真似は致しません。

だからこれは私の対・スペル用スペル。幻符『メモリーミラージュ』……あの子風に言えば『すり替えておいたのさ!』でも構いませんわね」

 

聞いてもいない事をペラペラと、鈴芽の口からは自らの手品の種が懇切丁寧に語られる。

それによって自らを追い込もうなどという考えはもちろん彼女にはない。

追い込まれる事などないと考えている。

それは相手をナメているという事だし、自身の力を過信しているという事。

 

月詠鈴芽という女の性質の悪いところは、その過ぎた自信揺るがす事のない圧倒的な才能があるという点だった。

 

 

 

「さぁ、これで互いにスペルは1枚ずつ。良いゲームにしましょう♪私の勝利が前提の」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

大き目のサイコロを手元でくるくると弄りながら、ため息をひとつ。

現在1位、古河音。現在位置:ステージ2。

 

「どうしよ……飽きてきた」

 

このゲームの主催者にして諸悪の根源。とんでもない暴露発言である。

というのも、現在ステージ2に上がっているのはフランと古河音の2人のみ。

別ステージからはまだ他のメンバーの残っているステージの様子を見る事ができない。

つまり今の状況は2人ババ抜きを延々と続けているようなもの。

 

「ちょっとぉ~~っ!次、古河音の番だよっ!!」

 

「あ、ごめんね~」

 

などと考えている間にフランドールからのクレーム。

フランも良い目は出すのだが、今運は完全に古河音の味方をしている。

ワンサイドゲームはつまらない。それは負けている側にも勝っている側にも言える事だ。

唯一の救いがあるとすれば、絶対に挽回すると意気込んでいるフランの姿がとっても愛らしく目の保養になるという点か。

 

何がでるかな♪ そんな鼻歌混じりにサイコロを2回振る。

出た目の合計は11。相も変わらず幸運の女神爆笑中だ。彼女の笑いの沸点はそんなにも低いのか。ツボにはまっているらしい。

 

「………あ」

 

今まで青や黄マスにばかり止まっていた古河音が珍しく止まった先は赤マスだった。

しまったと思ったのは一瞬だけ。

たまにはこういうのもなければ、安定したゲームなどつまらないだけ。

 

 

 

 

 

赤マス:同じステージ内にいる者と弾幕ごっこ

 

 

 

 

などと考えていた時期が、古河音にもあった。

 

現在このステージにいるのか古河音とフランのみ。ならば当然これから誰と弾幕ごっこをしなければならないのかは自明の理。

 

 

「えっ、なになに?これから弾幕ごっこやるの!?

そういえば古河音と弾幕ごっこってやった事なかったよね!楽しみぃ~♪」

 

嬉々として腕をぶんぶんと振りまわす彼女に『あ、これ死んだ…』6割。『フランちゃんかわええ~♪』4割。

割とこの場面であっても余裕あるらしい。

 

「…………」

 

背負っていた彼女の愛機・しるばーどに跨り手首についたブレスレッド・ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を杖サイズに巨大化する。

今彼女ができる万全の戦闘態勢だ。

 

ある意味彼女との戦いは遅かれ早かれ避けられないものだったのかもしれない。

そう、東方という作品においてそのオリ主ものの作品はみな彼女と戦ってきた。

そして救ってきた。

彼女を蝕む狂気から。それによって彼女を追い詰める孤独から。

 

そしてそれが自分の番に回ってきた。ただそれだけの事だ。

 

格上相手にも勝てる。それが弾幕ごっこ。

霧雨魔理沙は彼女に勝った事があるという。こちとらその魔理沙相手に何度も何十回も弾幕ごっこをやっているのだ。

今更恐れるものなど何もない。ただこの弾幕ごっこを通じて彼女の心を救えれば良いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ……貴女がこの遊びにコインを賭けるとしたら、いくら出す?」

 

「あるだけ全部っ!」

 

「へぇ、でもそれじゃ負けた時どうするの?」

 

「むふふ、何をおっしゃるウサギさん♪

 

 

 

 

 

勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅く大きな弾幕、小さな弾幕がところ狭しと辺り一面を覆い尽くしていた。

無数の小さな弾幕が雨の様に散りばめられ、大きな弾幕は突然軌道を変えてバウンドするように変化する。

 

レミリアのスペルのひとつ『レッドマジック』だ。

 

当れば終わりの弾幕ごっこ。小さな弾幕一つ当たれば即減点。

小さな弾幕にばかり気を取られていると大きな弾幕に行く手を阻まれる。

 

そんな弾幕の隙間を潜り抜けすいすいと宙を舞うその姿は、まるで弾幕という海の中を泳いでいる様にも見えた。

 

 

「聞いてますわよ?」

 

弾幕の波をすいすいと潜り抜けながら、呑気におしゃべり。

それに対して『何を?』と言わんばかりに弾幕の濃さが倍近く増す。肉体言語ならぬ弾幕言語だ。

 

「貴女、霊夢さんに負けたそうですわね」

 

「ちっ……」

 

鈴芽の問いかけと共にレミリアのスペルが切れた。

これで互いにスペルは4枚ずつ。お互いに弾幕を全て避け合い残りスペルは一枚のみだ。

 

「ねえ、その時どんなお気持ちでしたの?」

 

残り一枚のスペルカードが取り出され、鈴芽の口元がいやらしく釣り上がる。

 

 

 

「ねえ、今どんなお気持ちですの?」

 

 

 

―――鏡符・「ソルト・ザ・ウォウンド」

 

赤・青・黄・緑、様々な光を放つ弾幕が一斉にまるで吸い込まれるようにレミリアに向かって襲いかかる。

その弾幕がレミリアの身体を硬直させた。

 

「…………これは、夢想封印っ!?」

 

「人間…いえ、人妖神鬼、誰しも苦手なものはおありでしょう?貴女の記憶から再現した貴女が負けた弾幕、存分にお楽しみくださいまし♪」

 

もちろんコレは本物の夢想封印などではない。言ってしまえば夢想封印風の普通の弾幕だ。

勝負事をする上でその敗北は『嫌な記憶』として残りがちだ。

このスペルはそれを読みとり、まるで本物の様に再現する。

まさに圧倒的な技術と歪みきった性格があって成せる業である。

 

 

 

 

「舐めるなァァァっ!!」

 

―――終符・「不夜城レッド」

 

縦と横、十字に広がる紅い光が夢想封印もどきをかき消してゆく。

尚も放たれる弾幕もそびえたつ十字の光に飲み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

「あらあら、5枚目使い切ってしまいましたわね」

 

まるで先程までの激しい戦いがなかったかの様に、いつの間にか鈴芽は元いたマス目に戻っていた。

その表情は不完全燃焼といった様子だ。

 

「………逃げるのかしら?」

 

未だ宙に留まったレミリアが鈴芽を見下ろす形でギロリと睨みつける。

 

「貴女も定位置にお戻りなさいな。弾幕ごっこはお終いですわ」

 

「なら、ここからは殺し合いを始めれば良いでしょう?」

 

姿形は人間のそれ。

だがその瞳は、全身に纏うその雰囲気は人に非ず。まさに悪魔と称するにふさわしい。

今の弾幕ごっこで完全に悪魔としての本能がむき出しになったらしい。

 

 

 

「牙をお仕舞いなさいなレミリア・スカーレット。従者達が見ておりますわよ?」

 

無言のまま、まるで弾幕ごっこが始まる前の時の様に互いの視線が交差する。

しばらくすると、静かにレミリアも元いたマス目へと降りたって行った。

 

 

 

 

「覚悟しておきなさい。貴女はいつか殺すわ」

 

「あらあら…月のない夜は出歩けませんわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~あ……私も赤マスだよ……」

 

フランドール・スカーレット。一方で彼女もまたすごろくの最中だった。

赤マスに止まり出たお題は『漢字の書き取り』。

なぜかこのすごろく、当人にとって一番苦手だったり相性の良くないものがよく出る。

 

フランが苦虫をつぶした様な表情で渋々罰ゲームを受ける中、他の面々もステージ2に到着し始めていた。

 

「あ、良也!ねえねえ、私の代わりにコレやってよぉー!」

 

「ムリ言うなって。お題中は結界が張ってあってそこから出れないんだから」

 

「ぶぅー……」

 

すがる藁はあっけなく千切れてしまい、仕方なくフランは慣れない漢字を黙々と書き始めた。

実に微笑ましい光景である。

 

 

 

 

 

その一方で、赤マスにまるで『ヤムチャしやがって…』とでも言わんばかりのポーズで全身ボロボロの姿で倒れている少女の姿があった。

 

フランを狂気から救う? 残念ながらそんなもの魔理沙がやっている。

フランを孤独から救う? 残念ながらそんなもの良也がやっている。

 

 

「い……生きてるって……すばらしい」




M-1とか動画作りとかずっとやってたら小説の書き方すっかり忘れた。
継続は力なり。逆もまた然り。
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