東方忘却記   作:マツタケ

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……毎度思うんですけど、文字数の割にこの展開の遅さはどうなんでしょうねっ!?
ちゃんとプロット立てないからこうなるんだよっ!思いつきで書いてるからこうなるんだよっ!!
……これも愛嬌って事で気長に読んで頂けたら嬉しいです。


その31

 

 

 

 

「えぇぇ~~~と……紅美鈴さんですよね…?紅魔館の門番で体術は得意だけど弾幕ごっこはあんまり上手くなくて割としょっちゅう居眠りしてはその度に咲夜さんにナイフで刺されてるあの美鈴さんですよね…??」

 

何度見直しても見慣れない紅美鈴要素ゼロの自称紅美鈴。

漫画において衣装や髪型はキャラを見分ける大切な要素のひとつだ。

その要素を全部取っ払ったかのような姿の今の彼女を果たして紅美鈴と呼んで良いものだろうか。

 

「はい、美鈴です………」

 

自覚はある。

彼女自身にも今の自分の姿があまりに変わり果てたものになっているという自覚はあった。

だからこそ古河音の反応にも納得はしているし、逆にそれが切なかった。

当然のことながら彼女も好きでこんな姿をしている訳ではない。

 

 

 

「それよりも、今紅魔館は見ての通り危ないから早く帰っ…」

 

「あいや待たれよ」

 

人差し指を一本縦に突き立て、それを美鈴の口元に向ける。

身長差のため指は彼女の口元に届く事はないが、それが『私が喋るからちょっと待って』の意である事は美鈴にも通じていた。

 

「ふふふ…。事情ならそこの妖精メイドちゃんから聞いてますよ。大変な事になってますねぇ……。ですがご安心を!   私が来たっ!!」

 

美鈴へと向けていた指を今度は自分へと向けて、ニカっと笑って惜しげもなく歯を見せる。

もしも彼女に相応の実力があったなら、どれだけ頼もしいセリフだろう。

裏を返せば、彼女の実力を知っているからこそ不安しか沸いてこないセリフでもあった。

 

「あの~…古河音?本当に話聞いて来た……?」

 

こんな事を考えるのも失礼かもしれないが、事情を上手く説明できなかったのかもしれない。

そんな考えが彼女の頭を過ぎった。

お世辞にも妖精メイド達の頭の平均点は決して高くはない。

もともと妖精メイドとは紅魔館が幻想入りした際に当主であるレミリアが『質より量』で適当にかき集められたその辺の妖精の事だ。

もちろん頭脳の高い個体も中には存在するが、そもそも妖精という種族そのものがあまり頭がよろしくない。

 

「もちろん聞いてますよ♪もの凄く強いお坊さんに紅魔館を占拠されたんですよね?レミリアさんでも敵わないくらいの」

 

「……………………………」

 

多少の事は端折られてはいるものの、おおよそ要点は合っている。

どうやら妖精メイドの中でも彼女は比較的成績の良い『アタリ』を引き当てたようだ。

惜しむらくはその『アタリ』を引き当てた彼女自身が『ハズレ』だった事か…。

そこでようやく美鈴は理解した。

目の前の未熟な少女は事情を知らずに死地へとやって来たのではなく、事情を知った上で死地へと向かって来たのだと。

無知は罪とはよく聞く言葉だが、知った上で無謀な行動にでるのはどう表現したものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだって!危ないんだから……今すぐ帰りなさい!」

 

「嫌ですよ。私今回この異変解決してそれを新聞のネタにして人気独占するんですからっ!」

 

「あーーー……そっか。コレって異変になるのか……」

 

異変の定義とはとても曖昧なものだ。

何が異変で何が異変でないのか、正直その辺を判断するのは周りの人間だ。

その事件が異変だと騒がれればそれは異変になりうるし、逆に誰にも知られる事なく静かに落ち着けばそれは異変にならない。

仮にも幻想郷で名の知れる紅魔館が占拠されたとなれば、それは異変として扱われる可能性は高い。

 

「でも今回は流石に相手が……」

 

「あー…そっか。コレまだ美鈴さんに報告してなかったでしたっけ」

 

もともと被っていた帽子を更に深く被り、表情を隠す。

辛うじて見える口元がこれまで以上に釣り上がっている。

 

 

 

 

「私この間、魔理沙さんに勝ったんですっ!!」

 

「おっ……おぉぉ………おめ………………おぉぉぉ~~~………」

 

「???」

 

満面の笑みを浮かべる古河音に対して美鈴はどういう言葉を選べば良いのかわからなかった。

 

彼女の表情を見る限り、虚勢や強がりの類ではないのだろう。

恐らくは本当に勝ったのだ。普段美鈴自身も負け込んでいる彼女を相手に。

何千…何万の敗北の上に初めて一勝を築き上げたのだろう。

勝負は水物だ。ましてや弾幕ごっこにおいては更にその要素が高くなる。

もともとあえてそういう要素を取り入れた勝負方法だ。

弱い者でもやり方次第で強い者に勝てる。

実際にあの博麗霊夢が異変において負け知らずなのは、弾幕ごっこを通じているからというのも大きな要因のひとつだ。

でなければ、妖怪退治の専門家が妖怪に勝つならまだしも神を相手に当たり前のように勝利するなどありえない。

 

 

普段の彼女ならば第一声に迷う事なく『おめでとう』の一声をかけているだろう。

だが、今その言葉をかけようものなら間違いなく彼女は調子に乗る。

ただでさえ乗っているものが更に輪をかけて調子にのってしまう。

 

 

 

 

「そういう事です。無理ゲーなんてない。コレ私の持論です

どんな絶望的な状況でもティウンティウンせずに切り抜ける…そんな命知らずな勇者達を、私は何度もこの眼で見てきたんですっ!(動画で)」

 

それは二次元の話であって現実の話ではない。

この言動をポジティブととるか二次元と現実の境が見えていないととるか、悲しいかなおそらくは後者である。

 

だが……。

 

「………………そうだよね。

 

 

 

 

 

 

 

一度負けたくらいで諦めちゃダメだよね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉぉ~~し、紅魔館を取り戻すぞ~~~っ!おーーっ!!」

 

「いいねっ!さすが美鈴さん話分っかるぅ~~♪」

 

彼女が話しているのはゲームや動画の話……などと通じる訳もない。

結果として彼女の妄言に美鈴は心打たれて戦意を取り戻してしまった。

基本的には前向きな事は良い事だが、この場合『しまった』である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~~……それにしても見事につるっつるだね」

 

「ちょっと……止めてくれない?私もこの事実をまだ受け止めきれていないんだけど……」

 

長く伸ばした自慢の赤髪。それを失ったという事実は未だ彼女の中では受け入れ難い事実だった。そこは彼女も歴とした乙女だ。

箒に腰掛けふわりと浮かんで美鈴との身長差をなくし、ぺたぺたと彼女の頭頂部に触れる。

髪を刈った後に残る特有のザラザラ感を感じさせない見事な職人技である。

 

「やっぱりこれ三蔵…お坊さんにやられたんですか?」

 

「いや…それがよく分からないんだよね」

 

当事者であるはずの彼女の証言は妙に歯切れが悪かった。

曰く、何をされたか気づかないままいつの間にか今の頭にされたのだという。

美鈴に限らず他の者も同様の証言だ。

 

 

 

「………いやっ!ちょっと待って!!」

 

その証言の中に古河音の中でひとつのワードが引っかかった。

 

「『他のみんな』って……美鈴さん以外にもその面白頭になってる人が!!?」

 

「面白頭って……ていうか今の紅魔館はほとんどこの頭だよ。生き残ってる(?)のは数が多い妖精メイドくらいかな……」

 

その言葉が……その事実が、古河音の表情を凍りつかせた。

浮遊を止めて地に足を着き、箒を握る手が小刻みに震えている。

 

 

「………許さない」

 

 

怒り。

普段何かに対して怒るという事をしない彼女の胸に、それはたしかに灯っていた。

今までならば成功しようと失敗しようとどんな状況も笑っていた彼女が今、初めて怒りというものを覚えていた。

どんな理不尽も、どんな逆境も、見方を変えれば古河音は楽しみに変えられる。

それでも今回ばかりはどうしても許せなかった。

 

人には…物事には決して足を踏み入れてはいけない領域というものが存在する。

人と人とのコミュニケーションはその領域をお互いに見極め触れないようにして、お互いの交流を深めていく事で成り立っている。

それが故意でないにしろ、その領域を見誤り触れて踏み入れてしまった時……人と人との交流は崩壊してしまう。

友人との雑談の中触れてはいけない何かに触れて怒らせてしまう。そんな経験をした者も少なくないはずだ。

 

「絶対に…………許さない…………っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜さんの……メイドさんの頭ば剃るっちゃ何考えとっと!?

メイドさんは日本が古来より誇る国宝ばいっ!触れたらあかんサンクチュアリっちゃ!!ましてや銀髪メイドさんなんてもう希少種中の希少種ねっ!

メイドさんのメイドさんたるメイドさんがなんたるかをなん……っも分かっちょらんっ!!

………何が異変っちゃ!……何が三蔵法師ばい……!!

 

 

 

……決めました!私は三蔵法師をこの手で倒す!メイドさんという聖域を汚した三蔵法師に鉄槌を下しますっ!!」

 

拳を強く握り締め、天に向かって突き上げる。

未だかつてない使命感の宿った瞳がそこにはあった。

 

「わー……燃えてるところ悪いけどもうちょっと静かにね?そして随分と私の時とリアクション違わない?」

 

使命感に燃えるのは構わないが、今この場は敵地のど真ん中だ。

そして何より同じ境遇でありながらまだ見ぬ咲夜と自分に対しての対応の違いに疑問を持たざるを得ない。ここは怒って良い所だ。

 

 

 

 

 

 

「…………ひひひっ!そうと決まれば真正面からの正面突破だぜ……!!

不本意だけど今館の人達は人前にでる事を出来るだけしたくないはず……。

最短距離で一気にラスボスにGo!!」

 

館の正面玄関を堂々と開き箒に腰掛け一気に加速。

ラスボスは部屋の一番奥…RPGのお約束だ。

 

 

 

 

「馬鹿………っ!!     忘れたの!?

 

 

 

 

 

 

咲夜さんの能力っ!!!」

 

 

速さなど関係なかった。 加速しても意味はなかった。

時は止まり、姿はなく、古河音の周囲にあるのはただ孤を描くように配置されたナイフだけだった。




実は今回初めてMikuMikuDanceというものに手をだしてしまいまして。
うちのヒロインに踊ってもらいましたw(http://www.nicovideo.jp/watch/sm26624341
ごめんなさいっ!更新遅れたのコレのせいです!!
大変だったけど楽しかったです…。いつかよその子にも手をだしてみたいかも(ボソッ
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