東方忘却記   作:マツタケ

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ふひひひひ………うっひひひひひ………!!
見てくださいよ!見てくださいよ!見てくださいよっ!!
東方歪界譚・東方禁初幻譚を書かれている鈴華さんが鈴芽描いてくれました!
http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im5222144
もう、これが公式でいいですよっ!(←ヲイ、サクシャ)こっちの方が断然古河音の前世っぽいもん!
ホントにもう、ありがとうございました! テンション上がりまくりです!!


その38

 

 

 

 

 

 

 

「…………………え?」

 

数秒の間を空けて、その間まるで時間が飛んでいたかの様に。

心底意外そうな顔をして良也の顔を見る。

ちなみに三蔵法師が元の本に戻ったからなのか、いつの間にか髪を刈られた者達の髪の毛は元に戻っていた。

 

「いや、だから………お前じゃん今回の異変の犯人」

 

 

 

 

 

「い………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいやいやいや!何を言い出すんですか!?私はむしろ被害者ですよ!?私が猪八戒君にぶっ飛ばされたの忘れたんですか!?

 

そう―――――――……

 

もともとこの異変に犯人なんていなかったんですよ!

いたとすればそれは、何かが起こると異変と決めつけ、誰かを犯人にしたてあげようとする……そう、犯人は私達の心の中にいたんですよっ!!!」

 

「いや、あなたよね?この騒動の張本人」

 

文字通りナイフの様に鋭い視線が、額にナイフを突きつけるというオプション付きで、古河音へと突き刺さる。

今回の騒動、何より被害を被ったのが紅魔館組である。

そんな取り繕ったような言い訳が通じるような相手ではない。

 

 

 

 

 

 

「まあまあまあ、その辺にしといてやれよ」

 

「ま……魔理沙さんっ!!」

 

そんな中間に入ったのは古河音に突き立てられたナイフを取り上げる魔理沙の姿だった。

感動に瞳を輝かせる古河音。心底意外そうにする良也。不機嫌そうに眉間に皺を寄せる咲夜。その反応はまさに三者三様だ。

ほらよと、抜き身のナイフをそのまま咲夜へと投げ返す。

危ない事この上ないが、そこは一流のナイフの使い手。危なげなく投げられたナイフをキャッチする。大道芸人も真っ青の技術だ。

 

 

 

 

 

「……どういうつもり?」

 

「まぁ、聞けよ」

 

いつの間にか構図は魔理沙 VS 咲夜の構図に。

一方的に咲夜が魔理沙に対して敵意を向けているという事でもあるのだが。

 

 

「今までの異変もそうだ。だいたい何か起こってソレを起こしてる奴がいて。

でも実は、その裏にその原因になってる奴がいた。だいたいそんな感じだろ?」

 

「………なるほど」

 

何かに対して納得したのか、魔理沙に向けていた敵意もナイフも懐にしまい込む。

すると、今度は意地の悪い笑みを浮かべながら再び古河音へと、その視線を向けた。

能天気にも『そんなに見つめられると照れちゃうにゃ~…///』などとのたまう姿に可笑し気に魔理沙が喉を鳴らしながら笑う。

 

 

簡単に言うならば紅霧異変のレミリア・その裏にいたフランドール然り。

春冬異変の西行寺幽々子・その裏にいた八雲紫。

永夜異変の蓬莱山輝夜と藤原妹紅。

 

つまりはラスボスとEXボスの事を魔理沙は言っているのだ。

―――そう、今回の異変のEXボス。真に残念ながら今回そこに位置するのは……。

 

 

 

「つまり今回の事件の主犯、三蔵法師については今しがた解決した訳だ。

ならあとは…………それを裏で糸を引いていた真犯人をやっつたれば、万事解決だぜ!!」

 

「………………………はい???」

 

彼女の髪と瞳と同じく……太陽のような笑顔で、ミニ八卦炉を古河音に突きつけた。

今まで感動で瞳を潤ませていた古河音の瞳が一瞬で唖然としたものに変わる。

ミニ八卦炉を向けるその笑顔に、悪意はない。敵意もない。純粋に異変の解決に、これから起こる弾幕ごっこに胸躍らせている顔だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く…………………ふふふふふふふふ…………っ!!

 

 

 

ばれちゃ仕方ないですねぇ……。そう、私こそ今回の異変を起こした真犯人。よくぞ見破りました」

 

壊れたのか、はたまた開き直ったのか。

いやちがう。

真犯人……裏で糸を引く黒幕……そんな響きに酔っているのだ。

とても……とても悪い顔だ。悪役になりきったその顔が鈴芽と瓜二つだった。

 

「異変解決にばかり目がいってたけど………これはこれでアリじゃなイカ。

異変を起こした張本人が堂々とその内容を新聞に取り上げる………燃える……燃えてきたぁ………!

 

 

ふふふふふ…………はぁぁ―――っはっはっはっはっは!!

さぁ、どこからでもかかって来なさい!!」

 

毎度おなじみ魔法の杖(笑)を携えて、高笑いを上げながら宣言。

愛用の箒に跨り魔理沙達を見下ろす形だ。

高いところにいた方が格好いい。彼女なりのこだわりだ。

なんとかと煙は高いところが好きだというのは、古来より証明されている事である。

 

 

 

 

 

「じゃあ、私はさっそくお嬢様たちを……」

 

「ちょっとスト――――――ップっ!!!」

 

元凶を集団リンチにすべく、振り返る咲夜を古河音が呼び止める。

割と必死な形相で。

 

「咲夜さんは情緒ってものがまるで分ってない!こういうのは一対一で正々堂々と決着を着けるのが常識ってものでしょう!?よりによってレミリアさん呼んでこのメンバーで私を虐めようなんて…………死んだらどうするんですかっ!!?」

 

割とその辺の力量差くらいは自覚があるらしい。

それも人を殺す事に全く躊躇のないレミリアだ。これだけの事を仕出かせば本当に殺されるかもしれない。

だからこそ今大事なのは、まぐれでもなんでも良い。ここで一勝でも勝ち星を挙げれば『異変解決にきた者を返り討ちにした』というステータスを得る事ができる。

しかしここでレミリアないしフランドールなど呼ばれればその『まぐれ』の可能性さえ潰えてしまう。

余裕あるようで、実は内心ハラハラしている古河音だった。

 

 

 

 

 

 

「私からも頼むぜ咲夜」

 

古河音と同じ位置まで昇った魔理沙は魔女帽子を深く被り表情を隠していた。

けれど声を聞くだけでも分かる。きっと笑っているのだ。

 

「私にも意地ってもんがあるんだ。コイツに『異変で負ける』なんて事はもう二度としたくない。

弱い者いじめみたいでアレだけど、今回は私がこの異変解決して見せるぜ!!」

 

相も変わらず下手な男よりも男らしいその発言に、今度良也の身体を使って再戦するのも一興かもしれないと、密かに鈴芽は思っていた。

それに対して咲夜はため息をひとつついてからやれやれとボディーランゲージ。

『お嬢様方を呼ぶのはあの子が魔理沙に負けてからでいいか』と心の中で血も涙もない事を考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来いよ。この間のがまぐれ勝ちじゃないって証明してみせろよ」

 

「むふふふ……。魔理沙さんは後悔するでしょう。この真の黒幕に弾幕ごっこを挑んだ事を!!」

 

瞬間…古河音の姿がそこから消えた。

目指すは上空、花見でいう場所取りだ。

どんな競技にも得意な形、位置の取り方というのは存在する。

今回でいえば、それは上空から弾幕を打ち下ろすような形だ。

下から撃ち上げるよりも上から撃つ方が狙いやすいし、何より下から撃つという形はそれだけで狙いが定まりにくい。

 

 

が、突如何かが上昇する古河音をそれ以上の速さで抜き去った。

古河音は決して遅くない。

むしろ火力に不足のある彼女にとって速さは数少ない彼女の武器だ。

しかし、だからこそ彼女以上の速さを持つ相手との弾幕ごっこは実は非常に相性が悪い。

 

 

「悪いな。わざわざお前の得意な形にさせてやるほど、私は優しくない………ぜっ!?」

 

――――魔符・『スターダストリヴェリエ』

 

古河音の周囲に現れる複数の魔法陣。

それは踊るように彼女の周りをくるくると回り、星型の弾幕が次から次へと溢れ出る。

回転を増すごとに増えていく弾幕はまるで流れ星。

思わず避けるという概念を忘れてしまいそうな……まさに弾幕の醍醐味『美しさ』だ。

 

「ってぇぇ………それどころじゃないよねって!!ホントこういう魔理沙さんのセンスは妬ましいわぁぁ!!」

 

魅せるというのもまた、弾幕ごっこにおいて重要な要素だ。

星を象った魔理沙の弾幕にはまさに彼女の『顔』の出る弾幕だ。まさに魔理沙の弾幕。

強く・美しく・自分らしく。そんな弾幕をいつか自分も作ってみたいと思うし、逆にそれがまだ完成していないからこそ、悔しくもあり憧れる。

 

「ほんっと……もう、妬ましいわぁ……」

 

笑いながら、そんな言葉が自然と漏れる。

ギリギリのところで弾幕を躱しながら、反撃のタイミングを待ちながら、気づけば異変云々などもう頭から抜け落ちてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

「なんていうと思ったか!むしろ私の弾幕を妬みなさい。これが私の愛だから!!」

 

―――――華符・『咲き乱れる百合と薔薇』

 

花びらを模した赤と白の弾幕はさながら花吹雪。

同じ名前の弾幕でも速さも規模も当初とは段違いの別物だ。

これでも一応それなりには成長している。

 

赤と白の花吹雪が左右交互にうねりを上げながら、まるで蛇のように波を描きながら相手へと向かっていく。

強さも速さも避けにくさも、何より美しさを研磨した彼女なりの弾幕だ。

 

「どうしました魔理沙さん避けなくていいんですか!?ひょっとして私の弾幕に見とれちゃってたりしちゃったりなんかしちゃってますか!?あっはっはっはっは!!」

 

魔理沙は動く気配を見せない。その場から微動だにともしていない。

見る見るうちに弾幕は魔理沙に向かってい。

く右から赤い花吹雪、左から白い花吹雪。それらが魔理沙に対して一直線に並んだ瞬間……。

彼女の手元に光が灯る。

 

――――――恋符・『マスタースパーク』

 

 

 

 

避けるも何もない。ただ彼女の放った弾幕の全てを巨大な一本の光が飲み込んでいく。

弾幕を放っている間、術者は基本的に動かない。動くとしても弾幕を放ち終えてから動く事が多い。

攻撃中は隙ができ易いといわれる所以だ。

相手の攻撃に合わせてこちらの攻撃を乗せる。スポーツの世界でも多く見られる戦術の基本のひとつ。

 

カウンターだ。

 

「ちょちょちょちょちょ……………っ!!ぎょおうえぇぇぇぇぇ!!!」

 

弾幕全てを飲み込んで、目前まで迫る巨大な光を身体を捻ってギリギリのところで回避した。

回避出来たかどうかは怪しいところだ。所々火傷のあとが残っている。

 

 

「あ………あ………あぶにゃ~~~~……!!あぶにゃ~~~~……!!」

 

「今のを避けられるとは思ってなかった。今のは霊夢相手にもけっこういいとこいったんだぜ?」

 

「え?そうなんですか?えへへへへ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってそうじゃなくって!!随分えげつないカウンター持ってくるじゃないですか!」

 

「認めてやってる証拠だ。光栄に思っていいぜ?」

 

文句をつけても暖簾に腕押し。

そもそもこの戦術自体、自らの火力に自信があるからこそ出来た業だ。

普通は相手の弾幕すべてを飲み込んだりすれば当然威力も下がるし減速もする。

しかしそれをしないからこそ出来だ。

弾幕はパワー。まさに霧雨魔理沙の代名詞ともいえる弾幕だ。

 

 

 

 

 

 

「…………まさかとは思いますけど、レーザーを撃てるのが自分だけなんて思ってませんよね?」

 

バチバチと、音を立てながら古河音の魔力に変化が見られる。

増えたりしている訳でなく、あくまで変化だ。

乱れている。いや乱している。軽い魔力の暴走状態だ。

 

 

「私、この弾幕ごっこに勝ったらデカデカと新聞の一面飾るんだ……」

 

遠くを見るような目で、何かを悟ったような笑顔で、たらればを口にする。

世間で言うところの死亡フラグと呼ばれるそれだ。

当然古河音自身そんな事は百も承知だ。知っていて言っている。

 

 

「今宵の弾幕はぁぁ…………一味ちがうぜっ!!」

 

「うおっ………!!?」

 

突如現れる3つの魔法陣。そこから放たれる3つの光。

それがまるであみだくじのような軌道を描きながら、デタラメな筋を辿って進んでいく。

魔力の暴走によるものだ。

普通ならまっすぐ飛ぶはずのレーザーはその乱れた魔力によってデタラメな軌道を描きながら飛んでいく。

本人すらも、どこに飛ぶのか予想のつかない弾幕だ。

 

 

 

 

「ルートの決まったゲームなんてどこが面白いんですかっ!?どの選択肢を選べばどのルートにいくのか分からない。今のが死亡フラグなんて誰が決めたんですか!?

 

そう、真の勇者はフラグなんかに負けないんです!

 

そう、フラグとはへし折るものっ!!」

 

 

 

―――――道符・『フラグはへし折るもの』

 

ルートなんて決まってない。

そう言わんがばかりのデタラメな軌道を描きながら、尚且つ速度重視のレーザーが魔理沙を襲う。

さすがに今回ばかりは焦りの顔が垣間見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはははははっ!その弾幕がどこにいくか分かります!?分かりませんよね!?だって私もどこにいくのか分からな………」

 

それは、一瞬だった。

 

一瞬のうちに辺りはそれによって光を遮られ、巨大な影に覆われた。

振り返るわずかな瞬間、たしかに古河音はそれを見た。

 

 

自らをまさに押しつぶさんとしている………巨大な陰陽玉を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「異変があると聞いて、やって来たわ」

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