東方忘却記   作:マツタケ

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そんなこんなで記念すべき第3回目のコラボ回ですっ!
空亡之尊さんの『東方絆紡録』より神無悠月くんと夢燈月美ちゃんをお借りしました!
気になる方は今すぐチェキだ!魅力的なキャラと壮大な異変が待ってるゾ!


コラボ回その3

 

 

『今夜も月が綺麗ですね』

 

「あぁ、まったくだ」

 

月が青白く輝きだす時間帯、一人の青年が串にささった団子を片手に夜空に浮かぶ満月を眺めていた。

屋根の上に寝転んで、何をするでもなく月を眺めるその姿は今にも散ってしまいそうな程儚い印象が残る。

人生の大半を完遂した様な表情で月を眺める青年、神無悠月。

とある理由から幻想卿に流れ着き、博麗神社で居候する事になった青年だ

 

 

決して長年想いを募らせた相手に失恋しただとか、末期ガンにその身を侵され余命三か月の命だとか、そういう訳ではない。

ならばなぜ年端もいかない少青年が1人寂しく黄昏れているかといえば、偏にそれが彼の趣味なのだ。

月を肴に団子を食べる。

この優しげな表情で盆栽を弄るおじいちゃんを思わせる娯楽を、まだ若干二十歳の青年は習慣にしていた。

 

つけ加えるならば、彼は別に1人という訳ではない。

彼の傍らに置かれた手のひらサイズの大半が液晶画面で出来ている物体。

スマートフォン、通称“スマホ”と呼ばれるものだ。

その画面の中で一人の少女がまるで命を宿しているかのように自在に動いている。

“まるで”ではなく本当に命を宿しているのだ。

どういう原理かは謎だが、彼女は悠月の文字通り“相棒”夢燈月美だ。

会話はもちろん、いざ戦闘になれば刀の姿に変化する事が出来る。

 

相棒と共に月を眺めて団子を食べて、そうして今日も一日が過ぎてゆく。

 

 

「いつからだろうな。こんな習慣ができたのは……」

 

『あの、その事なんですけど悠月……』

 

「どうした?」

 

『……月、ないです。ていうかココ――――………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人里のど真ん中です。月じゃなくて太陽出てます』

 

はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

ガバっと勢いよく寝転がせていた自身の身を慌てて起こす。

今まで夜中の屋根の上だったからこそその大勢が許されていたのであって、昼間の町中でそんな大勢をとっていれば、ただの変な人だ。

 

「……これは、一体!?」

 

『分かりません…。これも堕ち神の仕業でしょうか……?』

 

堕ち神とは、彼の一族が代々敵対する人外の事を指すのだが、それはまた別のお話。

ともあれ、当然降りかかった現象に警戒心を張り巡らせる。

もしこの現象が人為的に行われたのであれば、その人物は十中八九悠月達を狙っているはずだからだ。

 

 

 

「あら、その格好………失礼だけど貴方外来人かしら?」

 

警戒していた中で彼らの耳に入ってきたのは聞き覚えのある声だった。

アリス・マーガトロイド。

魔法の森に居を構える人形遣いで魔法使いの少女だ。

時折人里で人形劇をしているため、彼女を人里で見かける事も珍しくない。

 

『アリスさん!実はですね……』

 

見知った顔に巡り合えたためか、張り詰めていた警戒心を解き口を開く月美だが

この時既に、悠月は妙な違和感を感じていた。

 

「変わったからくりね……。ひょっとしてこの子、完全に自立してるの…?」

 

『えっ…?』

 

その違和感は、すぐに形となって現れた。

その声質も、その姿も、その雰囲気さえも、彼らのよく知るアリス・マーガトロイドのそれに間違いない。

なのに悠月の中で、何かが違った。

目とか、耳とかではなく、彼の中にある第六感がそれを告げていた。

 

 

 

『な、何を言ってるんですか!?私ですよ!夢燈月美ですよ……!』

 

違和感に気づかない彼女は瞳に涙を浮かべてアリスに語りかけていた。

知り合いに忘れられる。それが彼女の中ではそれだけショックなのだろう。

 

「おい月美、そのアリスは……」

 

 

 

 

「やっふぉいっ!ア~~リスさんっ☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

悠月達の前に再び第三者が現れた。

大きな白い魔女帽子、担がれた長めの箒が印象的な少女だった。

様子からして“このアリス”と知り合いなのだとうかがえる。

 

「そこの人は服からして外来の人ですよね?………ははぁ♪」

 

アリスと悠月、2人を交互に見比べて、その口元と目元をいやらしく歪ませた。

 

「逆ナンです……かっ!?」

 

嬉々として出歯亀る少女の首元に、いつの間にやら鉄製の槍が迫っていた。

ミリ単位であと少しでも動けばプスリ☆と刺さる距離である。

 

「お…おい、やり過ぎだろ!?」

 

槍を持っているのは彼女ではなく彼女お手製の上海人形ではあるが、その状態が人形遣いであるアリスの意思によって行われているものだと悠月は知っている。

違和感は徐々に肥大化していった。

少なくとも彼の知るアリス・マーガトロイドはいきなりこの様な凶行には至らない。

 

「……良いのよ。この子を見た目通りの子供だと思ってると後々後悔するわよ?」

 

疲れたように息を吐くその姿にどことなく親近感を感じた。

それは悠月自信が個性と呼ぶには生ぬるいキワモノ達を相手にため息をつくその様にとてもよく似ていたからだ。

という事は、この目の前の少女がそんなキワモノ達と同類という事なのだろうか。そんな考えが彼の頭を過った。

 

 

 

「それよりおにーさん、もし外の世界に帰りたいなら博麗……」

 

「…ぉぉぉ……がぁぁぁ……ねぇぇぇ……!!どこ行ったぁぁァァァ!?」

 

少女の言葉を遮るように怒鳴り声が人里中に響き渡った。

それを“声”と呼称するには躊躇われる。まるで、地獄の底から這い上がる鬼の様な咆哮だった。

 

「呼ばれてるわよ?“こがね”?」

 

ざまあみろ、そう言わんばかりにアリスの視線が少女に向けられる。

こがね、それが少女の名前なのだろう。

 

「ば………場所変えましょう。いや、私全然関係ないけどね?場所変えましょう……」

 

その顔は真っ青に染められ、脂汗が大量に吹き出ている。

間違いなく彼女の名前なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めまして初めまして!私の名前は上白沢古河音。以後お見知りおきを!」

 

くるっと回転決めポーズ、ふわりとスカートをなびかせながらにこやかに笑う。

一見する限りアリスが言うようなキワモノには見えない快活な少女だ。

 

「俺は神無悠月。こっちは…」

 

『夢燈月美です。よろしく』

 

「アリス・マーガトロイドよ。そういえば貴女、私を知っているみたいだけど?」

 

液晶画面を覗き込んで普段よりも優しいトーンで月美に向かって話しかける。

先程の件で自分が彼女を傷つけてしまった事くらいアリスも察している。

だから相手を気遣うように、月美の心を傷つけないように、ゆっくりと彼女に言葉を送る。

 

そんな様子を見ながら悠月は、彼女もまた間違いなくアリスなのだと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

「それはコラボ入りですね!」

 

「…………は?」

 

月美から事情を聞いた古河音の口から不意に妙な単語が噴出した。

 

「コラボ入りっていうのはですね。まぁぶっちゃけコラボ回の時に別の作品の主人公がこっちの作品の世界に来ちゃった的な?」

 

「ちょ……ストップ!ストップ!!ストップ!!!コラボって何!?別の作品って何!?

貴女が何を言ってるのかさっぱり分からないッ!!」

 

「えぇ~~…もうそういうの良いじゃないですか。ぶっちゃけ今回は空亡之尊さんの“東方絆紡録”から主人公さん達お借りしてコラボしちゃうよ的な感じで良いじゃないですか」

 

「こらァァ~~~っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな訳で悠月さん、今回はコラボよろしくお願いします」

 

「おいおい……コレ本当にこんな感じで良いのか?あとで色々と苦情こないか……?」

 

辺りをきょろきょろと見渡して見えない何かに気を配る。

彼としても、まさかここまでひどいコラボ回になるなど予想もしていなかったのだろう。

 

「そんな訳で、実はコラボ入りした方にはコレをつけてもらうのが決まりになってまして……」

 

ゴソゴソと鞄を探る。

その仕草はまるで玩具箱を漁る子供のそれ。

なんやかんやと言いながらも所詮は子供なのだと安心した。

 

――――――その時

 

ゾクっ!!

 

得も言われぬ寒気が彼を襲った。

それはまるで今まで彼に降りかかった数々の異変を思わせる様な、不意に刃を喉元につき立てられたかの様な、命の危機を思わせる寒気だ。

こういう時、悠月の“勘”は間違いなく当る。その的中率は彼の博麗霊夢に勝るとも劣らない。

 

思考のそれとは別に、身体が反射的に後方へと飛び退いた。

 

「そんな怯えないでくださいよ…。別にとって喰おうって訳じゃないんですからぁ~~…♪」

 

「………そんなものつけるくらいなら、とって喰われた方がマシだ」

 

邪心に塗れた不気味な笑顔を浮かべて悠月に向かって滲み寄る。

その手に握られていたのはネコミミ、だった。

正確にはカチューシャにネコミミを模した飾りのつけられた、恐らくは皆様が想像している通りのアレだ。

 

気味の悪い笑顔でネコミミを持ってじりじりとにじり寄る姿を見て悠月は確信した。

間違いなく彼女はキワモノのそれなのだと。

 

「く……っ!」

 

ネコミミを相手につけるためには接近戦に持ち込む事が必須になる。

つまり距離さえ保てば問題ない。

初見で彼女の動きを見る限り身体能力で彼女に負ける気はしない。

正直自分でもなんてアホらしい攻防をしているのかという気はするが、決して気は抜かない。

 

 

―――――だが

 

『……っ!悠月!!』

 

水符・【一緒に暗殺しなイカ?】

 

突如背後より現れた水の触手が彼の手足を縛りつけた。

切っても破いても、そのたびに水の触手は再生を繰り返し再び緊縛を繰り返す。

 

侮るなかれ、萌えの絡んだ彼女は何でもする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ………ひゃあっ!イイぜぇ!これイイぜぇ!堪んねえぜぇっ!!」

 

頬を朱に染めて、両の手を顔のすぐ近くまで持ってきて乙女なポーズ。

口元からはよだれを垂らしている。

その視線の先には仏頂面でネコミミをつけて腕を組む神無悠月の姿があった。

なぜすぐにそれを外さないかといえば、一応負けてしまった手前罰は受けるとの事。

その律義さを半分でも良いので、よだれ垂らしてうひーっ!と奇声を上げるこの少女も見習うべきだろう。

 

『あの…女の子なんですからその喋り方とよだれは控えた方が……』

 

「それは違いますよ月美ちゃん!?今の世の中は男女平等!男も女もみんな平等によだれを垂らせる世の中がいつかくると、私は信じてるっ!!」

 

『いや、別に男性がよだれ垂らして良いって言ってる訳じゃなくてですね…?』

 

 

 

 

 

 

「あれ…?古河音にアリスさんに……どうしたんですかこんな所で?」

 

そんな騒ぎを前に現れたのは人里の誇る稗田家のお嬢様。

稗田阿求だった。

その立ち振る舞いは古河音を悪いお手本とするなら、まさに良いお手本と称するにふさわしいお嬢様を絵に描いたようなものだった。

 

「もしよければ、これからうちで…………っ!」

 

視界の端に、相も変わらず仏頂面の悠月の姿が映った。

その瞬間彼女の眼の色が変わる。それは殺気にも似た獣が獲物を見つけた時のそれに近いものがあった。

 

 

「そこの方っ!そのまま動かないでくださいっ!!」

 

「……え?あ、あぁ」

 

返事が先か阿求の手が先か、どこからか取り出された紙と筆が走るようにネコミミ悠月の姿を模り始める。

それだけでは飽き足らず、一枚・二枚・三枚と、様々な構図の悠月が描かれていく。

真っ白な紙が一瞬にして模写+妄想に彩られたものへと変化してゆく。コピー機もびっくりの達人芸だ。

 

 

 

 

「…………ふぅ」

 

時間にして数十秒。一枚一枚が決してラフなものではなく丁寧に描き込まれている。

この業を世の漫画家の方々が手に入れたなら、どれだけ漫画界は変革を起こす事か。

 

「これが、修行の成果です」

 

「はは――っ!!」

 

反射的に古河音は阿求にひれ伏した。

なぜならネコミミ悠月の写真(絵)のフィルムは彼女の心の中にあるのだから。

 

 

 

 

 

 

「一応聞くけど、いつもあんな感じか?」

 

「そうね、365日だいたいあんな感じよ」

 

この世界に来て、もしアリスと出会ってなければと思うとゾっとする悠月だった。




そんな訳で………ごめんなさいでしたっ!
今回もうちょっとまともな話にするつもりだったんです!なんか気づけばキャラが一人走りしちゃっていつの間にかこんな事に…。
うん、アレです。悠月くんのまともな活躍が見たい人は東方絆紡録をチェックだ☆
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