東方忘却記   作:マツタケ

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この度は、天白雲様の執筆されている『東方双雲録』とコラボさせて頂きました。
天白雲様は『二次元にのめり込みすぎた僕がボクッ娘彼女を求めすぎた結果。』というオリジナル作品も手掛けられております。
東方・オリジナルともにとても楽しみな作品なので、ぜひ目を通してみてはいかがでしょうか?


コラボ回その6パート壱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャリン という音がする。

パンパン と手を複数叩く音がする。

 

場所は博麗神社。

その道中には人を襲う妖怪が多く出没するため、滅多と人が出入りする事のない……なんとも残念な由緒正しき博麗の巫女の住まう神社である。

 

そんな神社でひとり。

珍しく……本当に珍しく賽銭箱に小銭を投じる参拝客が訪れていた。

彼女の名前は上白沢古河音。

その実力は中の下ながらもその持ち前の行動力で幻想郷を騒がすかの上白沢慧音の義理の妹だ。

 

 

 

「…………お前、正気か?」

 

そんな彼女の行動を、まるで信じられないものを見るかのように

たまたま遊びに来ていた霧雨魔理沙がその瞳をぱちくりとさせていた。

そんな彼女の側頭部に、失礼ね。と陰陽玉が投げつけられる。

 

 

 

「でも、たしかにどうしたのよ?アンタ……またよからぬ事でも企んでるんじゃないでしょうね?」

 

さしもの靈夢も古河音の投じる賽銭を手放しでは喜べなかった。

普段の行動が行動なだけに、怪しむなという方が無理な話だ。

それでも普段覇気のない目が若干輝いて見えるのは、これはもう仕方のない事だ。

条件反射である。

 

 

 

「失礼なっ!ふふふ……。というのも今日実は夢のお告げがあったんですよ。

博麗神社には縁結びの効能があるってね!

ちょぉぉ~~っと今そっち系のお願いごとに用がありまして」

 

ウインクひとつにドヤっと口角を上げる。

お賽銭をあげる私に感謝しなさいと言っているようで、とても癇に障る笑顔だ。

 

 

「縁結びだぁ…?そんな話聞いた事もないけどなぁ…。そうなのか霊夢?」

 

「そんな訳ないでしょ。ずっとこの神社で過ごしてきたけど、そんな文献見た事も聞いた事もないわよ」

 

博麗の巫女からの逆保証付き。ない、と断言されてしまう。

が、それでもお構いなしに彼女は一心不乱に手を合わせて祈り続けていた。

 

 

 

 

「大事なのは直感なのですよ。そう私のサイドエフェクトが言ってます。

文献なんて実態しかない根拠よりも、私は自分の見た夢のお告げを信じてますから。

ていうかコレ絶対何かのフラグじゃね?って感じで」

 

両手を腰に当てて夢のお告げを心底信じながらふんぞり返る。

どこぞのあたいったらさいきょーねといわんばかりの根拠なき自信に、もう好きにすれば良いと霊夢は室内に戻り煎餅をかじりながらお茶を啜る。

 

 

 

 

 

「ていうか縁結びってお前……お前が?」

 

なんと罰当たりな賽銭箱に腰かけて、古河音の方を見ながら鼻で笑う。

馬鹿にしている半分・もし本当に彼女に好きな男ができたならそれはそれで面白そう半分。そんなどちらにせよ性質の悪い笑みだ。

 

「残念♪残念ながら魔理沙さんが期待してるような事じゃないですよ?

 

実は―――――――――…………」

 

そこまで言いかけたところで、彼女の身体は徐々に薄くなっていき

すー…っとその姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わった。 いや、変わってない。間違いなく博麗神社だ。

けれど何かが変わったのだ。

その証拠に、先ほどまで彼女の目の前にいたはずの魔理沙の姿が突然消えた。

だが、それだけではない。

何がそれだけではないかと聞かれれば古河音自身答えられないが、何か違うとしか言いようがない。

 

少なくとも魔理沙が消えた。それだけではないと思った。

その場の空気が、その場の雰囲気がまるで別の場所に突然移ったかのようだ。

 

 

 

 

 

「………博麗神社に、なにか御用ですか?」

 

声のする方に振り返ってみると、そこには巫女がいた。

霊夢……にとてもよく似た少女だ。

だが霊夢ではない。今風に例えるならレムそうでレムくない少しレムい霊夢といったところか。

ちなみにそれはもはや過去の遺物だ。ありからず。

 

「え……えぇ~~と??」

 

「あぁ、紹介がまだでしたね。私はこの博麗神社の巫女、博麗靈夢といいます」

 

「博麗霊夢(はくれい れいむ)?」

 

「はい、博麗靈夢(はくれい れいむ)です」

 

靈(れい)という字が古河音の知っている霊夢とは違った……が、そんなもの当然のことながら口頭で述べて分かるはずもない。

それが古河音をますます混乱へと貶めていった。

 

 

 

 

 

「それで、この博麗神社に何用でしょうか?」

 

混乱する意識の中、ふと彼女の言葉で意識が戻る。

今の状況がなんであれ、とりあえず質問に答えなければ。

 

「えぇ~と…。この縁結びの効果があると夢のお告げを受けて、やって来ました!」

 

ビシっと敬礼のポーズをとって、うるさいくらいに声を張り上げる。

謎の現象に謎の霊夢によく似た人物、この状況下でよくそんな馬鹿げた妄言を公表できるものだ。

とはいえ、本当にその理由で博麗神社に足を運んだのだから、そうとしか言いようがないともいえる。

 

 

「あぁ、主に御用の方でしたか。それでしたらちょうど今いらっしゃいますよ。

運がいいですね。あの方は気まぐれにしかここに来てくれないので」

 

心なしか少し不満そうな表情で彼女が指さした先にいたのは、少年だった。

まるで白狼天狗を思わせる白銀の頭髪。

高くもなく低くもなく…いや、若干背の低い部類かもしれない。

肉つきや背格好だけいえばどこにでもいそうな、それでいてその雰囲気や纏っているオーラは熟練した達人のそれのような……そんな少年が一人、二刀の刀を振るっていた。

 

 

「えぇ~と…。あの人は?」

 

古河音は縁結びの効能に用があるのであって、別に誰かに会いにきたという訳ではない。

まさかあの少年があなたの運命の相手ですよなどというつもりなのか。

という馬鹿げた考えも一瞬芽生えたが、目の前の真面目そうな巫女さんがそのような事を口にするとも考えにくい。

 

 

 

「彼がこの博麗神社の神。『結い』を司る結神。

 

白雲双覇(しらくも そうは)様です」

 

 

「お………おぉぉ~~~………おぉっ!!」

 

たしかに実りの神や厄神なんてものが実際に神様としているくらいだ。

縁結びの神様が人としての姿でいてもおかしくはない。

むしろ見えない神様に祈りを捧げるよりもずっと具体性があるではないか。

期待していた以上の期待できそうな縁結びの効能に古河音のテンションも自然と上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白髪の少年の名は、白雲双覇。

元はその頭髪以外はどこにでもいるごく普通の少年だった。

が、ある日彼は交通事故に遭いその生涯を終えてしまう。

そんな彼が前世の記憶を持って半人半妖として生まれ変わり、結びを司る神へと昇華したのが、今の彼である。

 

そして彼は今、博麗神社で縁結びの神として祀られている。

そうはいっても常に博麗神社に身を置いている訳ではない。

彼の基本的に身を置いているのは妖怪の住まう山…妖怪の山だ。

妖怪の山といえば、博麗神社とは別のもうひとつの神社を連想するが……そうではない。

 

ならなぜ仮にも神である彼が妖怪の山に身を置いているかといえば、かの射命丸文。

彼女が主な要因である。

端的にいってしまえば、双覇と文は恋仲だ。

故に、彼女のそばを離れたくがないために、博麗神社の神は定期的にしか博麗神社を訪れない。

縁結びの神様だけに、まずは自らの縁を率先する。まさに結神の見本となるべき神様………と、とらえるべきなのだろうか。

 

 

 

 

ともあれ、そんな双覇はその定期的な博麗神社の神として、ちょうど今この場に居合わせていた訳である。

今回は博麗神社を見てみたいとの要望もあり、幻想入りした彼女の幼馴染。

夜神さつき(やがみ さつき)も同行している。

何の因果か双覇の恋人(?)射命丸文に瓜二つの外見をしており、彼女もまた彼に密かな恋心を寄せていた。

そうして更にその隣にいるのが、まさに双覇が博麗神社をあまり訪れない原因。

射命丸文だ。

片や両想いの恋人。片や同じ外見をした密かに想いを寄せる幼馴染。

これだけ聞くととんでもない修羅場な組み合わせである。

 

 

 

 

 

 

「………すぅぅ~~~………びぃぃ~~~……がぁぁ~~~~……みぃぃぃ~~~…

 

 

 

 

 

サマァァァァァっ!!!」

 

「うおおおっ!!?」

 

突然、彼の前に一人の少女が、助走をつけてその勢いのまま、頭を垂れながら双覇の足元に突っ込んできた。

無駄に技術を必要とし、且つ実際にそれをされるとあまり謝られている気がしないという。

まさに無駄の詰め合わせの様な懇願方法。世間でスライディング土下座と呼ばれる業である。

 

 

見知らぬ少女だ。

上下一体の黒い服に身を纏い、早苗を思わせる翠色の髪を襟もとで一本結び。更にその上には黒いリボンのつけられた白くて大きな魔女帽子が乗せられている。

 

「だ……誰だ……?」

 

まさにその一言に尽きる。

突然顔も知らない少女が自分のもとへ土下座状態で突っ込んで来れば、誰でも疑問しか湧かなくなるのはごく自然の事だろう。

 

 

 

「ハロー☆ ハワユ☆ はじめましてっ!私、上白沢古河音(かみしらさわ こがね)と申しますですっ!以後お見知りおきをばっ!!」

 

 

それが、出会いだった。

おそらく出会い方としては最低の部類に入る出会い方である。




うん…。毎度の事ながら、本当になんかごめんなさいっ!
まずは出会いからって事で、完全に見切り発車ではありますが、気長に見守って頂ければ幸いです。場合によっては前・中・後編になっちゃうかもですねw
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