プロデューサー杏、芸能界を生き抜く   作:アイスクリン

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ちょっと実験的な回です


美味しい仕事?

 

 

 特別に早朝からの仕事なんかが無ければ一日の始まりはミーティングだ。

 事務所の杏ルームでマネさんと

 今日のアイドルとしての仕事内容の確認と、

 菜々さんや乃々も含めてPとして担当する全員のスケジュール確認、

 近日中に片付けなければいけない案件や事後報告とか

 めんどくさいけど、やらない訳にはいかないしね。

 大体はマネさんの報告を聞いてるだけで終わるんだけど、

 今日は違ってた。

 

「双葉さん、CMの話が来てるんですが……」

 

 朝のミーティングの終わり際、

 マネさんが遠慮がちにそう言って来た。

 何故、言い淀むのか分かんないな。

 CMって他の仕事に比べて圧倒的にギャラがいいんだよ。

 全タレントが憧れる仕事といっても過言ではないぐらいね。

 勿論、杏だってCM欲しい。

 効率の良さを求めている杏にとって、

 一日の収録でドラマ1クール以上のギャラがあるCMは

 最高の仕事の一つだもん。

 

「え、その言い方は何かまずい所からなの?

 それとも商品? 」

 

 でも、CMだったら何でも良いわけじゃない。

 実は、CMの話自体はたまーに来るんだよね。

 問題は受けれるCMかどうかなんだよ。

 やっぱ杏達アイドルだからさ、イメージが大事だし。

 ぶっちゃけるとCM受けた企業が不祥事起こすと

 広告塔になってるタレントも悪いイメージがつくからね。

 受けるかどうか慎重にならないといけない。

 それに特定団体への肩入れも避けないといけない。

 政党とか宗教とかだね。

 あと商品もなんでも良い訳じゃない。

 性的なイメージがつくような物とか、

 生理用品なんかも受けれない。

 

 せっかくのCMの話をあんまり乗り気じゃない感じで話されると

 何かそういう問題があるのかなって思っちゃうね。

 

「いえ、商品はシャンプー他、洗髪や洗顔用品です」

「え、その言い方だと複数パターン? 」

「ええ、不死鳥製薬の新シリーズそのもののCMです。

 具体的にはシャンプー、コンディショナー、洗顔フォーム

 ボディソープを一新して、統一イメージの新シリーズとして出すそうで、

 そのシリーズそのもののCMとして話が来ました」

 

 まずます美味しいじゃん。

 こんな大型CM、複数のCM来たのと一緒だよ?

 なんで乗り気じゃないんだろ。

 

「すっごくいい話じゃない。

 どうしたの? 」

「いえ、実はこのCM、中身も杏さんに考えて欲しいらしいんです」

「へ? 」

 

 は?

 

「どういう事? 」

「兼任プロデューサーとして話題になってる杏さんを起用したいという事で、

 CMそのものを杏プロデュースCMと銘打って出したいとの事で……」

「そういう建前で実はプランナー案で作るとかじゃなくて? 」

「ええ、本気で杏さんに考えて欲しいそうです。

 最低でも三種類。

 打合せは三日後で、CM案の締め切りは二週間後。

 スケジュールはかなりタイトですね。

 ただ、プランナーの分まで仕事するわけですからギャラはかなりいいです」

 

 ただでさえギャラがいいCMの仕事なのに、

 更にギャラがいいなんて言われるなんてどれくらいなんだろ?

 ただ、企画からなら全然楽じゃあ無いよね。

 むしろ、今のスケジュールに入れられると休みの日なんか

 全く無くなるレベルなんじゃないの?

 

「……いくらギャラ良くても出来なきゃ意味ないよね?

 信用落とす事になるし」

「うん、そうだよ。

 杏ちゃんが身体壊したりしたら元も子もないよ」

「私達ですら忙しいのに、杏ちゃん凄く大変でしょう?

 無理はしない方がいいと思う……」

 

 かな子と智絵里が心配そうな声を上げてくれる。

 そうだよね。

 高額のギャラは惜しいけど、出来もしない安請け合いは首絞めるだろうし……

 

「それが……その、社長が……」

「ん、社長? 」

「断れないと思ってくれ、と」

「えーっ!?

 なんですか、それ! 」

 

 かな子と智恵理が大きな声を上げて、抗議してくれる。

 ……うん、ちょっとビックリした。

 いやでも、いいんだよ。

 マネさんに言っても仕方ないし、

 杏としてはマネさんが言い辛そうにしてた理由が分かって納得したぐらいだよ。

 

「それと、元Pと小寺Pと宇佐美Pから、

 無理ならこっちでどうにかしてやるから無理するな、と伝言です」

 

 マネさんがそう言うと部屋の中に微妙な空気が漂った。

 元Pは杏達のPだった人、小寺さんは千枝ちゃん達キッズのP、

 宇佐美さんは元菜々さんのPだね。

 あの人たち、義理堅いからなぁ。

 杏は別にこれくらい平気なのに。

 

「受けるよ。

 こんな美味しい仕事断る訳無いじゃん」

「「杏ちゃんっ!」」

「双葉さん、いいのですか?

 一度受けると言えば、断る事はそれこそ出来ませんが」

 

 マネさんが心配してくれるのはよく分かる。

 八月は夏休みだから、事務所の仕事の入れ方が容赦ない。

 それは去年も一昨年も経験してるけど、

 今年は杏がプロデューサーだから調整できる……と思ってた。

 正直、杏の考えが甘かったみたい。

 今でさえ、かなりの忙しさなのだ。

 スケジュール管理してるからこそ、マネさんは心配してくれてるのだろう。

 いくらギャラ良くても、忙殺されるようじゃね。

 

 でも、こんな大きな仕事を断れる訳ない。

 プロデューサー兼任アイドルという肩書は杏の新しい武器だし、

 それが有効に働いてくれたおかげで舞い込んだ仕事を断るなんて。

 だったら最初からP兼任なんてやらない方がいいもんね。

 せっかくなんだからメリットは最大限に受け取りたいじゃない。

 

「いや、考えても見てよ。

 企画から杏って事は、決定権も握ってるんだよ?

 つまりNGテイクが存在しないようなもんだからね。

 逆に普通のCMの仕事より楽なくらいだよ。

 こんなに美味しい事無いよ」

 

 かな子と智絵里は納得したのかしてないのか、

 首を傾げながら顔を見合わせていた。

 杏が大丈夫って言えば大丈夫なんだから信じなさいって。

 

「双葉さん、いいのですね? 」

「うん、いいよ。

 マネさんも心配しないでよ。

 あ、でも、返事は一応、明日にして。

 サンプルあるなら使ってみてからにしたい」

 

 よっぽど使い辛いとか、変な匂いとかじゃなきゃ受けるつもりだけどね。

 使ってみないで返事するのもどうかと思うしさ。

 

「かな子、智絵里、今日うち来れる? 」

「うん、いいよ」

「もちろん、いきますっ」

 

 二人の協力も取り付けたし、髪洗えるね。

 一人だと洗うのも乾かすのもめんどくさいから

 やってられないんだよ。

 トレードマークになってもいるから、髪切る訳に行かないしさ。

 ま、これでとりあえずCMに立ち向かう体勢は出来たね。

 あとは杏がアイデアをパッと思いつけばいいだけだから、案外楽勝かもよ。

 

 

 そんな話をしてたのが一週間前。

 やっぱりというか、案の定、杏はCMの事で頭を悩ませてた。

 そりゃそんな簡単にバッチリ完璧なCM思いつけるなら、

 CMプランナーなんて仕事成立しないもんね。

 そんなに甘くないか。

 

 打合せで告げられた話を要約すると5つ。

 

 ・名前は燦(さん)

 光り輝く美しいという意味。

 そこから金髪の杏に白羽の矢が立った。

 ・他事務所の共演者やBGMは要相談。

 杏が手配出来る分は出していいけど、杏は絶対出る事

 ・シャンプーと洗顔料のCMをメインに15秒、30秒、

 WEB公開用一分以上と案を出す事。

 ・好感持てるイメージ優先だけど効能もアピールする事

 ・狙いは十代から三十代までの女性

 特に十代女性への訴求力を期待しているとの事

 

 パターン作らないといけないのと、効能もアピールってのがめんどくさいよ。

 最初に適当に考えた”杏が高原で髪たなびかせて微笑むだけ”が使えない。

 それにアピールして欲しい効能なんだけど、

 髪さらさらと艶が出るのと透明感といい香りって、ありがち過ぎる。

 いや、それぞれ素敵な効能なんだけど、

 はっきり言ってほとんど全ての女性用シャンプーが使う謳い文句だよね。

 そこそこ大きい企業の一大プロジェクトみたいなのに、

 そんな事でいいのかなぁ。

 まぁ、そんぐらい思いつかなかったから

 杏に丸投げしようって案が通ったんだろうけどさ。

 

「今までに、このシャンプー使ってみようかなって思った事ある?

 どういう理由だった? 」

 

 この質問を周りの子に聞いたみたけど、あんまり参考にはならなかった。

 ちなみに、かな子は友達がいいって言ったのを使ってて、

 智絵里は家にあったのから杏が使ってるのに変えた、

 きらりはパッケージが可愛いのにした、

 菜々さんは潤いと艶が出ると評判の高級薬用シャンプー、

 乃々はお母さんが使ってるのをそのまま、

 みくは香りがいいの、李衣菜は染めた髪が色落ちしないの、

 千枝ちゃんは川島さんが宣伝してる大人の魅力が出そうなの、

 仁奈ちゃんと薫ちゃんはよく分かってなかった。

 

 CMで心動かされた子が千枝ちゃんしかいないし、

 あの子は大人っぽいものに憧れてるから響いたわけだし。

 まあ、でも、あと一週間もあるし。

 何か思いつくっしょ。

 よゆーよゆー。

 

 

 そんな話をしてのが6日前。

 久々に部屋に一人。

 時間は夜の八時。

 杏はまだ何にも思いついて無かった。

 ちょっと忙しくってさ。

 単発だけどドラマ出演が入ったり、

 クイズ番組の特番にも出なきゃだったし、色々とね。

 ライブとかほとんどやらないタイプのアイドルで良かったよ。

 この上、ライブとかあったら倒れてたかも。

 

 そもそも、二週間で案を出せってどうなの?

 ちょっと厳しくないかな。

 もうちょっと余裕あるスケジュール組めないもんかね。

 愚痴言ってても解決しないから、こんくらいにしとくけど。

 明日までに何か叩き台になるアイデアぐらい出さないといけないもんね。

 

 でもさー、正直、杏はシャンプーのCM来ないかなって思ってたよ?

 純日本人なのに生まれつきの金髪だし、長く伸ばしてるし、

 髪の奇麗さには自信があるからさー。

 だから、CM向けだと思ってたけど、

 杏の髪を奇麗にしてきたシャンプーって、別にこれじゃないんだよね。

 新発売のシャンプーなんだから当たり前の事だけど、

 このシャンプーのCMで杏の髪の奇麗さアピールするのって違くないかな。

 このシャンプー使いだして奇麗さに磨きがかかったとかならいいけどさ。

 

 ちょっと飴食べよう。

 ずっと思考に没頭してると逆に閃かない。

 あっ、すもも味か。

 あー、懐かしい美味しさだ。

 最近見かけなくなってたな、これ。

 口の中で美味しい塊がころころしてると、落ち着く……

 

 菜々さん流美容法ならもうすぐ寝ないといけない時間か……

 ふふ、なんか申し訳ないけどちょっと楽しくなってきたよ。

 いよいよ明日、と追い詰められてるし、

 事務所としても製薬会社さんにしてもコケる訳に行かない案件だし

 すごく悩んではいるんだけどさ。

 心の中になんかワクワクしてる部分があるよ。

 おかしいかな。

 でも追い詰められた方がモチベーションって上がるよね。

 そんな事無い?

 まぁ、人それぞれかな。

 

 さて、そろそろ本気で考えないといけないね。

 発想の転換で、シャンプーから離れてみるのはどうだろう?

 杏が出演するのは決定事項だから、杏のキャラを先に出して

 そこにシャンプー要素を足すとか。

 

 例えば長い髪を生かして、わっさーっと髪翻して……

 うん、絵的には映えるよね。

 

 ソファーから立ち上がって、髪を掬ってみる。

 お尻を隠せる長さだからね。

 やろうと思えば歌舞伎みたいにぶるんぶるん振り回せるし、

 扇風機とか送風機で髪をたなびかせても見栄えはする。

 シンプルに杏のビジュアルで押し切るのも悪くないよね。

 

 あと思いつくのはコミカルにするパターン。

 やっぱ気取ってるのより、面白い方が親しみは増すもんね。

 例えば……そうだな。

 誰か他の人、もしくはナレーションに

『杏ちゃん、やっぱりその美しい髪の秘訣は

 この○○成分を配合し○○効果抜群の新発売のシャンプーのおかげですか』

 とか大げさに言わせて、

『違うよ』

 なんて返すとか。

 

 この長さを生かす…………

 そういえば、智絵里が髪を巻いた事あったな。

 サンプル使った次の日に、杏が自分の髪の香りを嗅いでたら

 智絵里が私も嗅ぎたいとか言い出して顔に杏の髪を巻き付けたんだよ。

 智絵里のボケというかギャグは訳わかんない事もあるけど、

 これは面白かった。

 顔中に髪巻き付けて「あぁ~いい香り~」とか言ってるの。

 スーハ―スーハ―してさ。

 珍しく乃々まで冗談に乗って来て反対側の髪で同じ事始めるし。

 マネさんまで嗅ぎに来て、大分カオスな状況だった。

 あの絵面を再現したら面白いかも。

 

 そういえばCIって髪の長さもバラバラなんだよね。

 かな子は肩ぐらいまで、智絵里は結んでる事多いけど背中まであるし、

 杏はお尻を隠せるぐらいまである。

 どの長さでもお薦め、とかダメかな。

 弱いか。

 

 ニーズから考えると、どうだろう?

 十代女子に買って欲しいわけだから……

 モテるとか、恋とかのワードを入れる?

 男の目を集めるみたいな売り文句……

 あんまりイメージ良くないかな。

 モテたい人ってモテたい事を知られたくない事多いもんね。

 モテたい訳じゃないですけどって顔してモテたい訳だから、ダメだね。

 

 飴切れた。

 次の……おっ、ザラメ付きのか。

 これも美味しいよね。

 杏は飴大好きだけど自分じゃ買わないんだ。

 人に買って来てもらうって決めてるんだ。

 だって、自分で買ったらどういうのがあるか、分かっちゃうでしょ?

 やっぱり、食べるまで分からないのが大事だと思うんだ。

 あー、しかもこれソーダ味だ。

 この飴のザラメ無くなってからの本番感ってなんなんだろうね。

 前座が終わって、いよいよって感じで好きだな、これ。

 

 他に女の子が好きな物、惹かれる物って言ったらやっぱり”可愛さ”かな。

 でも、ボトルのデザインが特に可愛いって感じじゃないし、

 そこは変更しようもないし、どうしようも無いか。

 香りはいいね。

 でも、いい匂いってだけで買う人いるのはいるだろうけど、

 CMじゃ香りなんか伝わらないしアピールしづらいな。

 そのものは伝わらなくても周りのリアクションで伝えるって方法も一応あるか。

 

 物語風のCMはどうかな。

 複数パターン作らないといけない事を利用して、

 ストーリーが展開していく感じで……

 でも、時間差で放送するんじゃないしな。

 同時に複数パターン放映なら工夫がいるか。

 RPGゲーム的な演出で魔王みたいなの……

 ボサボサ魔王とかをこのシャンプーで倒して

 世界に光を取り戻すシャンプーとかダメかな?

 インパクトはそれなりにありそうだけど、購買に繋がるかというと疑問だね。

 ターゲットは女子だしなぁ。

 

 じゃあ、魔法少女的なのどうかな。

 ガチっぽいんじゃなくて、あくまでコメディ調に

 変身アイテムとしてシャンプー出して美少女になるみたいな……

 うーん、一つ間違えるとかなり寒い事になるね。

 これは難しい。

 

 炎上狙いって手もあるのはあるね。

 わざと叩かれるようなインパクト重視でいって、

 注目を集めるみたいな奴。

 例えば、このシャンプーはのど越しも爽やかとか、

 このシャンプー使った途端に買った覚えのない宝くじが当たったとか、

 滅茶苦茶な事言っといてすぐ謝罪する……ダメか。

 炎上したらイメージ悪くなるし、杏考案CMって表に出すから余計駄目だね。

 不愉快系も同じ理由で絶対ダメ。

 

 そういえばイメージ優先って話だったね。

 その上で効能もアピールして欲しい、か。

 イメージ優先のCMって言ったら、車のCMに多いかな。

 とにかく格好いい雰囲気出して、格好つけたおじさんがスーツ来て運転して

 誰もいない荒野の高速道路をぶっ飛ばしてるような奴。

 ああいうのをシャンプーでやったらどうかな?

 髪洗ってる杏から始まってザバーっと水流に飲まれて泡を流して

 高原でわっさーって髪たなびかせて

『シャンプーの新次元』とか『洗髪レヴォリューション』とか

 意味不明な言葉をドカーンと打ち出して強引にいい感じで終わらすの。

 それなりにアリかもね。

 凡庸っちゃ凡庸だけど。

 

 キャッチコピーから考えるって手もあるか……

 なんかズバッと決まったキャッチコピーあったら

 そっちに合わせていく方向でCMも出来そうだし。

『恋する艶髪』とか『愛されヘアーに世界が振り向く』とか……

 やっぱ簡単に思いつくのはもう一つだね。

 どんなのだったら、興味ひくかな……

 

 杏だったら例えば『これで洗えば一か月はもう洗わなくていい』とか。

 いや、そんなシャンプー存在しないし。

 嘘言っちゃ駄目だ。

『髪を洗える幸せ』とか……すごーくキレる人いそうだからダメだね。

『幸せ髪』みたいなワード作るのはどうかな。

 うん、悪くは無いか。

 

 あと考えられるのは有名CMのパロディとかだね。

 でも、単発のCMならともかく、

 せっかくの新シリーズヘアケア商品のCMでやる事じゃないか。

 ああ、でもCMじゃなくてもっと有名な話のパロディならどうかな。

 例えば髪に関する逸話とか……そうだ、神話とか。

 かみのけ座の話は……今一つだね。

 あと髪の毛っていったらメデューサ?

 髪の毛がヘビの人が有名だよね。

 女神様の嫉妬だかで髪の毛ヘビにされるんだっけ。

 逆に傷んだ髪を憐れんで神様がくれたシャンプー、みたいなストーリーとか……

 うーん………………

 更に逆はどうだろ。

『髪の毛が奇麗になり過ぎちゃった、神様許して』

 なんていうのは……あ、これはアリじゃない?

 そうだ、これでストーリー仕立てはいいかも。

 

 このシャンプー使って髪が奇麗になった杏が

 ポニテから髪ほどいて、わっさーってやって

「奇麗になり過ぎちゃった、ごめんね」

 なんてウインクして一本。

 

 同じく髪を見せびらかす杏の絵を撮って

「髪の美しさの秘密を教えて下さい。

 やっぱり、このシャンプーなんですか?」

 ってナレーションに

「違うよ」

 って杏が答えて、秘密の髪のヒミツとは?

 みたいな煽りいれて一本。

 

 30秒バージョンは、逃げる杏が智絵里やかな子に捕まって

 髪を巻き取られてくんくんされて

「だからヒミツって言ったのにーっ」

 って泣き言言うカットで終わり。

 これで一本。

 

 WEB版の長めの動画は……そうだ、嫉妬してきた女神様に

 このシャンプーを捧げて

「実は美しい髪のヒミツはこのシャンプーなんです」

 って告白で、女神様がにっこり許してくれる話。

 これ、イケそうじゃない?

 

 あ、洗顔フォームもあったな。

 これも似たようなノリでいっかな。

 顔ぴっかぴかの杏が洗顔フォームを後ろ手に隠して

「使ってないよ」「知らないよ」って

 わざとらしく口笛吹いたりして……

 この場合、ノーメイクの方がいいかな?

 別に杏はノーメイク顔を見せるのに抵抗無いし、いいかも。

 

 いいかな?

 

 いいって事にしよう!

 

 よし、出来たっ!

 

 久しぶりに自分で珈琲を淹れて、一口。

 あー苦味が美味しいね。

 達成感と疲労感が珈琲を美味しくするよ。

 ふっふっふ。

 マネさんもかな子も智絵里も皆、心配してるだろうから

 メールぐらいは入れとこう。

 

「出来たよ」って。

 




動きも描写も無く、ほぼずっと杏が悩んでるだけの話でした

アリかナシか答えてくれると嬉しいです
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