唐突にやってきた転校生は髪も、目も色が薄く、そして男にしてはやや線の細い今にも儚く消えてしまいそうな少年だった。
「はじめまして、夏目貴志といいます。よろしくお願いします。」
というか、思いっきり主人公だった。
まぁ、テレビとかで名取さんが出ていれば予想はついてたけどこんなドンピシャで来るもんかね、普通。アニメ、漫画で色々な所を転々としているのは知ってたけども何千とある学校の何十ってあるクラスの中でドンピシャで同じクラスとかそれなんてエロゲ?俺ノンケだから夏目君は攻略対象外ですことよ。女子は逆に俺が対象外だけど。
そんな夏目君が転校してきてから数日が経ち視えない自分からしたら奇行に見えるそれもそれなりに目立ってきた頃。夏目君に呼び出された下駄箱に手紙を入れるというなんとも古風な方法で。
手紙によるとなんでも放課後、体育館裏で自分と話をしたいんだとか。しかも結構個人的なことで、あまり他の人には話したくないらしい。貴腐人達が騒いでいたが気にしない。気にしだしたらそれこそ色々と終わりだ。
そんなこんなでいつもより騒がしいクラスメイトとのいつも通りの授業を終えて体育館裏。二人で話をするにしては人一人分壁から離れた位置に立っている夏目と合流した。何やら隣を視ながらボソボソ呟いている。うん、夏目君に幼少期に人間の友達ができないわけだわ。なんかボソボソ呟いてて怖いし、呼び出しといて無視とかムカつくにも程がある。
まぁ、だからだろうか、つい口を滑らせてしまったのだ。
「人を呼び出しといて、なに妖怪とばかり会話してるんだよ。」
すると夏目は目を見開き驚く。そして自身の失言に気づく自分。しまったっと思い逃げる為に背を向けるが時すでに遅し。夏目が腰に抱きついてきて離れない。というかコイツ見た目ひょろひょろの癖に意外と力がある。いい加減離して欲しい。でないと俺の背骨が折れることは無いだろうけど昼飯が逆流する。
ようやく夏目が落ち着いて話せるようになった頃には日はもう沈みかけていた。
「とりあえず話は明日聞くから今日はもう帰れ、んで寝ろ。」
「ああ、わかった。それじゃまた明日改めて話すよ。」
そう言うと夏目は帰っていった。
(ああ、明日からどうしよう。とりあえず大量にお守りでも買っておこう。効果あるか分からないけど。)
そこまで考えると今度は逆に思考を放棄し帰路につく。
(もうこうなりゃヤケだ。なるようになる。今日はもう帰って寝よう。)