1人でも平気だもん。私は孤児だから。私は雪の降る夜、この孤児院にだれかに置いていかれた。その前のことは覚えてない。その時、私をここへ連れてきた人を必死に追いかけようとしたけど、まだ7歳くらいだった私では到底追いつけなかった。それで泣いていたら、孤児院の院長さんが暖かい部屋に入れてくれた。院長さんが私を抱きかかえてくれて、私は泣き疲れてそのまま寝てしまった。
起きるとそこには、私と同じくらいの歳の子たちがいた。目が合うと、私の周りで突然騒ぎ出して、歓迎してくれてるんだなと思って、胸がいっぱいになった。みんなが騒いでいたら、それを聞きつけた院長さんがやってきて、私を家族だって言ってくれた。私はたくさんの兄さんと姉さん、それにお母さんを手に入れたの。
最初私はあまり皆の中に馴染めなかった。まだ悲しくて皆と遊んだりする気にならなかったから。でも、私の一番のお姉ちゃんがいつも話しかけてくれて、段々と馴染むことができた。
お姉ちゃんは私を元気づけるためにか、皆がどうしてここにいるのか教えてくれたことがあった。私含めて、ここの子達は家族が深海棲艦の攻撃の犠牲者になって…ということだった。だから、家族をなくして悲しい気持ちはわかると。悲しそうな表情で話していたけど、最後に私の目を見て言った。
「まあ、あんま悲しそうな顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?よし、皆で遊ぼうか!」
それからクールだけど可愛い子、頼れる姉御肌の子、気弱そうだけど優しい子が私と仲良くしてくれた。お姉ちゃんたちと過ごしているうちに、悲しいことなんて忘れてしまった。
皆とする遊びで一番好きなのは追いかけっこ。私は皆より速くて、捕まることも、追いつけないこともあまりなかった。追いつけなかった私が速いだなんて、なんかなあ…。でも、速い私を皆が褒めてくれたし、いつか誇りに思うようになっていた。
そんな日々に変化が訪れたのは、私がある話をお母さんからされてから。この孤児院は軍部の寄付で成り立っているらしく、深海棲艦のせいで身寄りがない子達のためのものらしい。私たちには艦娘の適性のテストがされていて、私含めた何人かに適性があったらしい。軍部の人には、その意思があれば戦ってほしい。ただ、君のような子を本来であれば戦場に送るなどあってはならないんだけどね、というようなことを言っていた。その言葉を聞いて、私はいろんな人に助けられてきたんだなと思った。
他にも同じ理由で軍部によって建てられた孤児院はあるけど、だんだんと資金不足になっているらしい。私が助けてくれた人に恩返しするには…。
そう考えて、私は軍部の人に尋ねてみた。
「私が艦娘になれば、恩返しになるかな?」
困った顔をしながらも答えてくれた。
「はたして皆が喜ぶかはわからないけど、君が艦娘になれば少なくない給料をもらえるから、皆は助かるかもしれない。でも、よく考えるんだよ。」
私は艦娘になると決めた。お母さんはやめさせようとしているわけじゃないけど、本当にいいのかといつも気にして話してくれた。私はこの時初めてわがままをしたのかもしれない。
でも、決めたの。
「私は艦娘になるの。私は平気、だって皆がいるもん!」