私は硝煙の中で、この世に再び生を受けた。砲撃、いや蹂躙されたその場所で私は奇跡的に体の死を免れた。しかしこの絶望で私は復讐を果たさなければならないという強迫観念に身を任せ、己を殺したのだ。ほとんどの人間らしいものを、その時なくしてしまった。
だが、脳裏に浮かぶ1人の友の顔、それだけは忘れられなかった。もはやどんな感情を彼女に抱いていたのか、 彼女が私にとってどんな存在だったかすら私には理解できない。ただ、最も大事な、友以上の存在であること、それだけは今の私にも理解できた。
彼女は無事だろうか?もし、友まで失ったとすれば私は、私に残った最後の「人間らしさ」を失うことになるだろう。
私は自衛隊に入隊した。つまり、私は復讐の手段として最もわかりやすい手段を選んだ。しかし、私は、私たちは奴らに有効な攻撃手段を持たなかった。奴らには銃弾は効かない。艦娘だけが、憎き奴らを沈めることができるのだ。
私にとって幸運だったのは、この世界の危機に呼ばれたかのように現れた救世主、「妖精さん」が見えたことだろう。最初に見えたときは、ついに私は本当にイカレてしまったのかと思ったが、彼らは実在する人類の味方であった。
彼ら、あるいは彼女らが見えることが上の方々に知られることとなり、私は提督として、艦娘を指揮するという復讐の手段を得ることができた。
今思えば、ある程度人間らしさを取り戻した私にとって、それは愚かなことだった。妖精さんたちには感謝している。だが、提督になるべきではなかった。提督となった私は様々な「宣伝活動」を行った。私の仲間は着々と増えていったが、ふと思った。私が、未来ある若者たちを戦場へ送ることは正しいのかと。
私にとって幸運であり、不幸であった出来事は、私の元に配属された最初の艦娘が漣であったことだろう。彼女が原因で、私は人間らしさを少し取り戻してしまった。復讐するためには不要なモノを取り戻してしまった。そのせいで、先ほど述べたようなことを考えてしまった。
そのトドメのような出来事が、私の「宣伝活動」中に起きた。彼女が艦娘となって私の目の前に現れてしまった。彼女のことをあえて調べないようにしていた私は、彼女の無事を知って新たな私であり続けることは出来なかった。私は復讐をする心構えを失ってしまったという訳だ。
私は彼女らを戦場へ送り出してしまったことを償うために、今までの成果の報酬として孤児院を設立することを上に求めた。政府の方も孤児の増加には頭を、悩ませており、すぐに設立されることとなった。この戦時下では資金難は免れなかったが…。
誤算だったのは、私たちがその設立に関わったからか、孤児院からの入隊希望が多かったことだ。艦娘の適性があった子達はほとんどこちら側に来てしまった。
本当に私は復讐ではなく、正しいことをできているのだろうか?私は元の私にも戻れているか?
叶うことなら、教えてくれ…友よ…。