宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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2nd Season 2020年編
さいかい


4月の半ば……

 

笹野 愛の朝は早い。

 

新調したキングサイズベッドの真ん中で、0500(午前五時)に目が覚める。

キングサイズベッドの隣のベビーベッドでは、(ひなた)とリヴァがすやすやと眠っている。

 

「ふぁぁ…………」

 

隣では、健太と燿子とリーヴェと真愛が眠っている。

そして、愛が起きると真愛もガバっと起きる。

 

「おはよー!!ママ!!」

 

かなりの大音声で、皆目を覚ます。

もちろん、赤ん坊達もびっくりして目を覚ます。

今は慣れたもので、再び眠りに就く。

 

「おはよう、真愛」

 

元気いっぱいの真愛の頭を撫でながら、パジャマから中学校の制服に着替えると、

朝の一仕事、と鎮守府に自転車で出掛ける。

 

その間に健太と燿子は二度寝し、リーヴェは赤ちゃんと共に一階に降りて、朝食の支度をする。

オープンキッチンで赤ちゃんの様子を見易い為、安心して料理を作れる。

そんな赤ちゃん達は、仲良く座ってテレビを見ている。

 

毎日この時間にやっている、CS放送の『それいけ!ワンパンマン!』を鑑賞しているのだ。

 

愛が鎮守府にやって来ると、既に執務室には秘書艦兼旗艦のビスマルクが出勤して待っている。

 

「おはようございます」

「おはよう、愛ちゃん。今日の書類は未決箱に入れてあるわ」

「おっ、ありがとうございます」

 

司令官執務机に着席すると同時に、ビスマルクがコーヒーを差し出す。

いつも早朝やって来る司令官の為に、コーヒーメーカーでコーヒーを用意している。

コーヒー専門店で購入した豆を、毎日ミルして抽出している美味しいコーヒーである。

 

「うん、美味しい」

「お褒めに与り光栄よ」

 

早速、4月15日付の人事異動を確認する。

 

「へぇー、七原陸将補も引退ですか。中岡准将が昇進して警務隊本部長に補職されるんですね」

「そうらしいわ。でもあの爺さん、高菜副総監によると、再任用制度で“第1空挺団の指導員”として、防衛省に残ることになるそうよ」

「そうなんですね。まあ、高菜先生のお師匠さんが早々に楽隠居……とは考えにくいですからね」

「そうなのよ。きっとまた、訓練の鬼が現場に戻って来るから、空挺団は戦々恐々ね」

 

そんな世間話をしながら、全ての書類に目を通して行く。

 

0630(午前六時半)になると、仕事を中断して家へと戻る。

 

「ただいまー!」

『おかえりなさーい』

 

そこで、皆で食事の時間である。

 

食事が終わると、皆はお着替えタイムである。

真愛は小学校の制服、燿子と健太は中学校の制服に着替える。

 

 

「おっーす!」

「あー、おやぶん!」

 

真っ先にやって来るのは、拓くんである。

二件隣の空き家を購入して、ご近所さん同士で仲良く付き合っている。

最近、二人になってしまった寂しさか急接近して、拓くんのお迎えが来る度にぎゅーっと抱き付く。

 

「ちょっと、離れろよ!」

「ちゅーしれ!したら離してあげる!」

「はいはい、ちゅーな」

 

ほっぺたにチュッとすると、真愛も離れる。

そんな様子をニマニマと眺めている中学生トリオを無視して、拓は真愛の手を引いて行く。

 

「行って来ま~す!」

『行ってらっしゃーい』

 

拓くんと真愛を見送ると、今度は中学生組の優花と慎と寛太、それに高校生のギャルズ達がやって来る。

 

「皆ぁ~、おはよぉ」

「うぃっす」

「おはよう」

「やほー」

「それな」

「うん」

 

『おはよー』

 

新しくやって来た燿子ともすっかり打ち解け、皆で仲良く自転車で島外の中学校・高校まで自転車通学なのだ。

早速燿子はギャルズ達の洗礼を受けて、エッチな話もするようになっていた。

 

二年のクラス替えで、奇跡的にも六人全員が同じクラスになり、担任は卒業生を送り出し、前任者が定年退職した為、成原先生が担当することになった。

 

先生曰く、

 

「はー、問題児を送り出したと思ったら、提督()に、深海棲艦(健太)に、茶髪娘(燿子)に、天然カップルに番長2号()とはね。“また”問題児じゃないか」

 

とのことである。

 

学校の授業が終わると、真っ先に鎮守府に向かう組と街で遊んで行く組に分かれる。

今日は、慎とギャルズ達に燿子を加えて、カラオケに行くそうだ。

もちろん逆ナンをしないように、ナンパされないように慎の目が光っている。

 

鎮守府に帰る愛と健太、それに寛太と優花は、仲良く自転車で鎮守府へと向かう。

鎮守府にやって来ると、愛は艦娘寮のロッカールームで海上自衛隊の作業着に着替えて、執務を始める。

 

健太と優花と寛太は、大きなテーブルで宿題をこなし始めている。

 

夕方になると、愛の携帯電話が鳴る。

もちろん、高菜陸将補こと高菜直哉である。

 

「もしもし、先生」

『やあ、司令官の椅子の座り心地はどうかな?』

「そっちはどうなんですか?」

『いやあ、副総監と言ってもなかなか暇じゃなくてね、視察視察の毎日だよ。まったく、“足立総監がトシだから”って、視察の仕事が全部私に回って来てね』

 

そんな高菜先生の愚痴に苦笑いを浮かべると、

 

「その、総監はお元気なんですか?」

『そうだね、元気にしているよ。来年には引退だから、それまでは楽できると思ったのになぁ。七原の師匠と昼休みに将棋を指していたよ』

「七原将補も楽隠居しないようですし、もしかしたら足立総監も、再任用制度で大本営に残られるんじゃないですか?」

 

そんな冗談に、本気で嫌そうな声になる高菜先生。

 

『冗談でもやめてくれよ。私だって、あの堅苦しい親父さんと一緒に仕事をしたい訳じゃあない』

「うふふ、先生がちゃんと仕事をしているか、電さんが心配してましたよ?」

 

電は、お台場鎮守府司令官として、提督の道を進んでいる。

秘書艦の薄雲を筆頭に、卯月、子日、夕張で仲良く鎮守府運営をしている。

 

『失礼な。私だって仕事くらいしているさ』

「聞いてますよ、宮戸島鎮守府のお仕事ぶりは」

『……電め。まあいいさ……そうだ、この間圭一と飯を食いに行ったよ』

「そうなんですね、史絵さんと圭一君も元気ですか?」

 

東京に旅立った二人のことを思い浮かべながら、愛の顔も自然と笑顔になる。

長電話になりそうだと察した秘書艦のビスマルクは、秘書艦執務机から立ち上がると、コーヒーを淹れ直して書類の一部を持って行く。

 

「あ、すみません」

「ちょっと、仕事をもらって行くわね。ごゆっくり」

『仕事のジャマだったかな?』

「まあ、先生もたまには電話できる時間ができたようですし、大丈夫ですよ」

『それで、圭一と史絵ちゃんだったね。圭一は、早速番長になったらしいよ。男子ばっかりの高校だからね、一般コースでもわりと優等生がいっぱいだから、勉強の方は史絵ちゃんに助けてもらってるらしいけど。史絵ちゃんは今、親父との共著に取り掛かってるらしいよ。その名も『大貫 悟伝~大垣 守の生き様と死に様』だそうだ』

 

その言葉に、愛は苦笑いになる。“大貫 悟本人”が、自伝を出すようなものじゃないか?と。

もちろん愛は、高菜先生から全ての事情を聞いている。

 

「まあ、反艦娘派を一掃できると良いんですけどね?」

『そうだね。“深海棲艦と共生する社会の実現”が、第二のジレーネの出現を防ぐベストな方法だからね』

「さて、そろそろ定時でしょう?私は執務と宿題があるので失礼しますよ?」

『また今度、中岡新警務隊本部長と仙台に視察に行くから、顔を出すよ』

「はい、お待ちしてますね」

 

執務を終わらせると、カラオケ組も合流して皆で宿題を終わらせる。

先に終わらせた健太達が、カラオケ組の宿題も手伝っている。

……何故か、先輩のギャルズ達も“手伝われている”のは不思議である。

 

和気藹々と宿題をしているところに、哨戒に出ていた艦娘達も戻って来る。

 

宿題が終わると皆解散して、残りの執務をビスマルクとアイオワに任せると、愛と健太と燿子は家へと帰る。

家では、真愛と拓がテレビゲームに熱中している。

 

「おかえりー。おやぶんも、お夕飯こっちで食べるって!金曜だからお泊りするよ」

「だぞ!」

 

そんな、仲のいい二人をニコニコしながら見守ってるリーヴェは、忙しそうに夕飯の支度をしている。

赤ん坊達の面倒は、真愛と拓がゲームをしながら見ててくれている。

 

「おかえりなさい、今日はハンバーグにしましたよ」

「それじゃあ手伝うよ」

 

愛は、エプロンを身に着けて料理を手伝い、燿子と健太は赤ちゃんの様子を見ながらゲームに加わる。

そして、皆で和気藹々と夕飯を摂ると、真愛と拓が二人でお風呂に入りに行く。

ちょっと拓の顔が赤いのは、気のせいだろうか。

 

そして、その後順番にお風呂に入って行き、真愛は子供部屋に向かい拓と一緒に寝る。

愛達はリビングでテレビを見て、そろそろ寝る時間になると、四人連れ立って寝室へと消える。

 

今日は真愛が一緒に寝てないから、三人で健太をじっくり愛する日になるな、と愛は思いながら……

こうして、司令官として戻って来た愛の一日が終わる。

 

明日もきっと良い日だろう。

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