宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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東北地区交流の中で、南三陸鎮守府の「武藤レストラン」に感銘を受けた熊崎提督……
地元・釧路から「継続型就労支援作業所」を立ち上げる為、根回しを始め……


短い上に数年寝かせたままのネタでした
難産過ぎる。




バリフリ!〜Barrier free Life〜

時間を遡ること4月の始め。

 

熊崎正志陸准将補は、釧路鎮守府の司令官職及び北海道地区統括責任者である。

そんな彼は、自己の職権を利用して脱柵した摩耶や多摩の支援を行って来ていた。

 

国家承認までのデスペランとの折衝も非公式に担当していたが、今やそれも外務省に移管されてしまった。

 

艦娘も、天龍・龍田が除隊してしまった為、秘書艦の不知火しか居なくなってしまった。

釧路漁港の近くに在る釧路鎮守府では、熊崎提督による新たな取り組みが行われようとしていた。

 

南三陸鎮守府が設立した“継続型就労支援作業所”を釧路鎮守府にも持って来ようと言う計画だった。

 

「とは言え、障害を持った皆さんに何のお仕事をお任せすれば良いものか」

「そうだね。先ずは、この鎮守府の機能を確認しておこう」

 

熊崎提督と秘書艦である不知火は、この釧路鎮守府の現状を再度確認した。

所属艦娘無し、補給基地としてのみ機能している。

それでも釧路鎮守府が廃止にならないのは、足立総監と高菜副総監の配慮でもある。

しかし、そればかりに頼る訳にもいかない。

 

「“鎮守府として”は機能してないですね」

「そうなんだよね」

「…………申し訳有りません」

 

申し訳無さそうにしている不知火の頭を優しく撫でる熊崎提督に、少し照れた表情をする不知火

 

「君が申し訳無さそうな顔をしなくていいさ。それより、今の鎮守府の仕事を洗い出してみよう」

「はい」

「不知火、そっちは君に任せてもいいかな?」

「はい、落ち度無くやります」

 

不知火は、釧路鎮守府の全業務リストアップを始めた。

それと同時に、熊崎提督は必要なスタッフを洗い出していた。

継続型就労支援作業所に必要な人材として、先ずは管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員が必要となる。

そのうち、管理者とサービス管理責任者は資格が要る。

そのなり手も探さなくてはならない。

困った熊崎提督は、不知火を伴い武藤提督の南三陸鎮守府に向かうことにした。

 

 

「…………と言う訳ですが」

「成程のぉ」

「そういう事ですか」

 

南三陸鎮守府の応接室で、武藤 廉提督と弟で代表の武藤晋也社長が並んで座っていた。

晋也は腕を組み考え込むと 、

 

「管理者とサビ管については、こちらで手配しましょう」

「え、宜しいのですか?」

「はい、北海道にも伝手(つて)は有りますので」

「良かったのぉ」

「ありがとうございます」

 

熊崎提督が頭を下げると、不知火もぺこりと頭を下げた。

暇を持て余していた釧路鎮守府の、大忙しの日々が始まった。

 

釧路鎮守府の主な業務は浜松警備保障やデスペラン、近隣の鎮守府の艦娘や深海棲艦の補給や補修である。

障害を持った方々には、簡単な作業をお願いした。

社長には、大本営の許可を得て熊崎提督が就任し、資本は“大本営が出資する”という形になった。

これは、高菜直哉陸将補(副総監)のや足立陸将(総監)の尽力でもあった。

予算関係で、防衛省に働き掛けてくれたのだ。

 

 

管理者の後藤さん、サビ管の藤崎さんと共に艦娘を出迎えたり補修をしたり。

仕事の無い時には、内職の仕事を近隣の製作所から貰って来ては仕事をして貰った。

不知火には、将来の管理者を目指して職業指導員に就任して貰った。

それと同時に、不知火には福祉系の専門学校へ特例入学をして貰い、行く行くは社会福祉主事にもなって貰うのだ。

 

 

時は流れて7月。

不知火は、勉強をしながら内職の指導をしている。

最近では利用者さんも増えて来て、30人の大所帯になっていた。

それと同時に、指導員として参画するスタッフさんも増えて来ている。

 

そんな中、見張り番の利用者さんが車椅子を動かしてやって来た。

 

「不知火さん、浜警(浜松警備保障)さんが入港します」

「そうですか、一旦作業は()めましょう。皆さん、補修と補給ですよ」

『はーい!』

 

不知火の号令の下、入港して来る艦娘達を出迎える。

初海率いる浜松警備保障の面々が入港すると、艤装を利用者さん達に預ける。

その間に食堂でお昼を食べる。

この食堂も利用者さん達の運営なのだ。

 

食堂の片隅で、初海と不知火がコーヒーを飲んでいた。

 

「今日も皆さん、生き生きと働いてますね。今度、社長が新たな事業展開の参考に顔を出すと言ってました」

「そうなんですね、ありがとうございます」

 

初海は今、北海道支社長に就任していた。

イロハ級の代表として、また“管理職”として経営に参画する立場なのだ。

浜松警備保障も今や全国規模になり、取締役トリオ(三隈・最上・曙)も浜松から各支社をコントロールする立場へと移って行ったのだ。

そんな理由(わけ)で、姫鬼の深海棲艦も各支社長として各地に赴任していった。

流石は“海洋警備のトップ企業”に上り詰めただけは有るのだ。

 

そんな中、初海と不知火は友人になっていた。

よく釧路鎮守府を利用して補給を行っている間柄である。

 

「そういえばお子さんは?」

「その、もう少し待とうと言うことになりまして…………今はお仕事を優先すべきだと」

「そうなんですか…………私はそろそろ産休かな?」

 

顔を赤らめながら指をツンツンする不知火に、初海は(初々しいな)と思いながら話を聞いている。

そんな彼女の左薬指には、指輪が填められていた。

見た目は子供だが、今年の春に結婚したばかりの新婚さんなのである。

そう言った意味でも新婚さん仲間である。

本名篠井(ささい)初海として戸籍登録し、子供も既にお腹の中にいる。

五倍の速度で成長する為、少し膨らんだお腹を擦りながら答える。

 

「そうなんですね、可愛い赤ちゃんが生まれると良いですね」

「そうですね」

 

二人は笑みを零した。

 

 

色々トラブルも有るが、その都度南三陸鎮守府の事業所の皆や福祉関係に色々と頼っては成長して行く事業所となったのだ。

 

 

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