宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

22 / 108
獣耳と云う素材はやはり絵だと思います。
―――作者談―――




獣耳注意報

ピピピピピピ…………

今朝も目を覚ます。

電が、モソモソと布団を手繰り寄せ起き上がる。

何か頭に違和感が……

頭を触ってみる。何か付いている……

横で眠っている卯月の頭を見ると、うさぎの耳。

布団を捲ると、お尻にもうさぎのちっちゃくて可愛いしっぽが付いている。

自分のお尻にも、尻尾は付いている。縞々模様の狸の尻尾……

「な、何なのですかぁぁぁぁぁぁ!?!?」

電の悲鳴が、寝室に響き渡った。

 

 

その叫びが響く頃、薄雲は漁港の埠頭で、工作艦明石と密会していた。

「私の新装備、どうでしたか?」

「ユニーク……上手く行きました」

薄雲も、黒猫の耳に長い尻尾を付けている。

「さすがは私の元助手です」

そう、直哉の下に来る前に、薄雲は明石の下にいたのだ。

そこで明石は、薄雲の身体を検査したり調査したりしていたのだ。

薄雲は、それから直哉の下に行くまで、明石の助手をさせられていたのだった。

明石は、大本営の大工廠の所属で、日夜新装備を開発している。

それとは別に、趣味で日夜、全国の提督と一部の艦娘が喜びそうなものも開発しているのだ。

「私の『獣耳ドリンク』上手く行きましたね、これで全国の提督に高く売れば……うふふ」

「碌なことにならないと思いますよ。マッドサイエンティスト」

「褒め言葉と受け取っておきましょう」

そう言われた薄雲は、先に立ち上がると、スタスタと高菜家に戻って行った。

 

「ただいま」

寝室に戻ると、虎の耳と尻尾をつけた直哉が、狸とうさぎを仲良く襲っており、

「あれっ」

黒猫さんも敢えなく捕まって、ベッドに放り込まれた。

 

 

数時間後……

獣耳の状態で庁舎に向かう四人、

完全に遅刻である。

「しかし、どうしてこうなった……?」

「解らないのです……」

「そう言えば、薄雲が買って来たジュースは、皆飲んだぴょん」

その卯月の言葉に、耳と尻尾がピコンと跳ねた。

その様子を見た三人は、ジト目で薄雲を見る。

「逃さないのです!」

逃げようとした薄雲の尻尾を、電が捕まえた。

「ふにゃああ…………」

薄雲は可愛い声を上げて、へなへなと崩れ落ちた。

 

 

「……という訳なんです」

薄雲は腕を組んだ三人に囲まれて、庁舎で白状した。

「明石の仕業か………」

直哉は、エグゼクティブチェアに腰掛ける。尻尾は、キャスターで踏まないように、くるっと支柱に丸める。

「はい。昨日明石さんから、宮戸島に宿泊する旨連絡がありまして、その際に実験をするように、と」

正座している薄雲が答えると、直哉は大きな溜め息を吐いた。

「取り敢えず、このまま哨戒に行っておいで。明石は、私に用事があるようだ」

仲良く哨戒に行ったのを見計らって、大きな溜め息を吐いた。

「明石、一人だから入っておいて」

すうっと光学迷彩を解除して、明石が執務室に現れた。

「相変わらずのマッドサイエンティストだねえ」

苦笑いを浮かべる直哉に、同じく笑いを浮かべる明石。

「取り敢えず、応接室に行こうか?」

「はい」

 

庁舎の応接室に場所を移動した明石は、開口一番、

「薄雲はどうですか?」

「やはり、用件はそれか。半分深海棲艦と言うのは本当のようだね?」

「はい、再生力はかなり強いと思います。ただ、その方向性は生きたい、という想いのようですね?」

そう言うと、ちらりと意地悪そうな笑みを浮かべる明石。

「結局、一目惚れってのは本心だったのか?」

「はい。薄雲の希望と、私の推薦で異動になったようなものですから」

「さすがは『宮戸島の脱出行』の手品師。いずれにせよ、私のところに押し付けると思ったよ」

 

宮戸島の脱出成功を、更に後押ししたのは、上陸して来た深海棲艦達であった。

これ等は全て明石が作成したダミーで、自立駆動もする後々、量産型艦娘計画の基礎になったものである。

この深海棲艦の姿に島民達は恐怖して、当時の直哉の言うことを信じ、全島避難を完遂することになったのだ。

その直後、艦娘部隊が結集して陸上戦を行い、奪還したのだ。

何故、宮戸島を深海棲艦が狙ったのかは、未だに分かってはいない。

「うふふ、もう少し調べておきたいこともありましたし、今は宮城に出張していますよ」

「また謎の物体を研究したいんじゃないのかい?結局、量産型艦娘はどうなったんだい?」

「ああ、あれはですね、コストの問題でボツになりました。後、浪漫の問題で。中に自衛官がおっさんが入ってたらちょっと……」

「自衛官としては、それでも有用な手段なんだがねえ。防護力を考えれば、怪獣型の方がいいんじゃないかな?」

「怪獣の姿のパワードスーツみたいな感じですか……それもコストの問題が……それに人命も」

「現状、コストパフォーマンスがいいのは艦娘だ、というのは悲しい限りだな」

「…………」

溜め息を吐く二人。

「話を戻そう。薄雲についてはどう思う?」

「私の結論では、貴方の側にいる限りは大丈夫だ、と考えています。大本営は、理由を付けて処分したがりそうですけどね」

悲しそうに明石が首を振る。

「深海棲艦化の問題か。だが、私はどうなったとしても薄雲を信じている。私達の敵にはならない、と」

「私も信じたいです。ですから、私が宮城に派遣されました。兵装関係は夕張に任せておけばいいですし、実装演習は鹿島に任せておいていい。実戦配備試験には、大和二佐率いる特殊艦隊もいますし」

「それで、宮戸島に滞在している訳か……いっその事、宮戸島鎮守府に工作士官として着任すれば良いじゃないか?」

「ふむ………その手もありですか。でも、私がここにいてはお邪魔でしょうし。私は宮城地本に作ってもらった工廠で、研究を続けますよ」

「?」

「三人の嫁達に囲まれて幸せな日々を送っている、高菜二佐のお邪魔はできませんよ?」

意地悪そうな笑みを浮かべている明石に、直哉は苦笑いを浮かべる。

 

「あー!!いたー!!」

扉が開かれると、中に乱入してくる三人の嫁達。明石は慌てた顔をして、

「INVISIBLE!」

と発し、姿を消す。

「消えたのです!?」

「どこ行ったぴょん!?」

「きっと入り口に……ふに゛ゃん!!そこです!」

尻尾を踏まれた薄雲が、悲鳴を上げた直後に腕を伸ばすと、そこに明石が引き攣った笑いをして立っていた……

 

「解毒剤を出すのです」

三人娘にとっ捕まって、正座状態の明石が泣く泣く解毒剤を出すと、それぞれが飲んで元に戻る。

「全く、酷い目に遭ったのです」

「うーちゃん、尻尾がパンツの中でずっと気になってたぴょん」

「尻尾を踏まれました……」

明石は苦笑いで立ち上がると、両脇をガシッと電と薄雲に掴まれた。

「えっ?」

引き攣った顔で両サイドを見回すと、卯月が笑顔で見上げる。

「お家でお仕置きだぴょん」

「た、高菜二佐、助けてぇ…………」

助けを懇願すると、

「やだ」

そう言って、さっさと執務室に戻って行ってしまう。

 

その後、明石はめちゃめちゃお仕置きをされたのは言うまでもない。

 




お題「獣耳」

このお題が良くなかった。
クオリティ低くてすみません。
お休み予定でしたが、夜から気分が向上したので書いてみました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。