宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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☆TS注意報☆


幕僚会議

早朝……ここは、宮戸島鎮守府付近の民宿という名の、秘密会議室。

卓袱台を囲んで、明石と薄雲が座っている。

「同志薄雲よ、作戦は万事滞りなく終わりましたか?」

「はい。昨日の夜、電が『直哉と服を交換してみたいのです』と言っていました」

コクリと頷く薄雲。

「まさか今回、私が民宿に居るとは思わないでしょう」

「私が漏らせば一発ですが?」

フッフッフッと、悪役の笑いをする明石に、冷たく突き放す薄雲。

「それは止めてください」

と、前回のお仕置きを思い出すと顔を青くする明石。

 

 

―――――――――――――――

電が目を覚ますと、布団を手繰り寄せて起き上がる。何やら()()()を感じる。

卯月に、謎の美少女。

「……………あれぇ?」

着ている服は、ダボダボの直哉の寝巻き(上のみ)。

「電、どうしたんだぴょ………ん」

電を見て、卯月が固まる。

「どうしたのですか?」

「うっぴょおおおおおん!?電がお姉さんになってるぴょん!?おっぱいが大きくなってるぴょん!?」

「うええええええええ!?」

電と卯月の絶叫が、寝室に響き渡った。

「何だ、騒々し……い」

起き上がった時点で声はおかしいし、視点が低い。何より股間がスースーする。

股間に手をやると、いつものアレが無くなっている。

「何じゃこりゃあああああああああああ!?」

直哉の絶叫が、寝室に響き渡った。

「取り敢えず今日、幕僚会議だぞ。どうすんだよ?」

と言ったところに、薄雲が戻って来た。

「本日の哨戒結果、特になし」

「こっちは特にあったよ。今度は何を盛ったんだ?」

直哉の問い掛けに、薄雲は、

「直哉には、性転換・子供化薬。電には、大人の体になれる薬。副作用で、大口径主砲が搭載できる」

「いや。副作用と主作用、()なのです!!!」

電がたまらず、ツッコミに回る。

「今日の幕僚会議、どうしたもんか………?」

「電の制服と交換して、徽章と名札を入れ替えれば……」

「それしか無いか……?しかし、トイレってどうするんだ?」

半分諦めて、トイレの方法を訊くと、

「普通に座ってすれば良いのです。ちゃんと()()()()()()拭くのですよ?」

「なるほどな……」

二人が、制服の徽章を入れ替えながら会話しているのを、生暖かく見守る卯月と薄雲だった。

 

幕僚会議に向かう直哉と電。

仕方がないので、仙台までバスで行って、電車を乗り継ぎ、会議の時間には余裕で間に合う。

会議場は、自衛隊の仙台駐屯地の会議室なのだ。

薄雲と卯月は、お留守番である。

見た目は、徽章だらけの艦娘と、何故か海尉の階級章を付けている陸尉制服の女性という出で立ちである。

「電ちゃん?」

声を掛けてきたのは、ちんまりとした奈々海と武蔵。

「奈々海さん、相変わらずこの姿なのですか?」

「うむ、可愛いからな。『可愛いは正義』」

代わりに、武蔵が代弁する。

気仙沼鎮守府は、彼女が秘書艦なのだろう。

「ところで。この可愛い物体は……先輩?」

「そうだよ。明石の野郎に、一服盛られちゃったんだよ」

「あっはっは、可愛い可愛い。なのです、って言ってみてよ、先輩」

「電は、可愛くて強いなのDEATH(デス)、HAHAHA!」

「何か、言い方が変なのです!」

その婦婦漫才に、大笑いしている。

その後に会議場にやって来たのは、南三陸鎮守府の武藤提督(二佐)である。

「おはよう、皆。って、明石の薬害被害が拡大しておるのぉ」

二佐の階級章を付けた女の子を、一発で直哉と見抜いた武藤提督は、困ったような顔をする。

もちろん秘書艦は長門であり、

「おお、ロリ高菜二佐もかわゆい」

と、顔をデレデレさせている。完全にながもんである。

 

その後にやって来たのが、宮城県地区を統括する岩沼鎮守府の、羽佐間眞一郎一佐である。

妙高四姉妹と、娘でもある花梨(かりん)三尉を連れての登場である。

「おはよう、諸君。今日も美人揃い……で………」

恭しく礼をして顔を上げると、視界には大人化した電に、ロリ二人、おっさん一人に長門と武蔵である。

「……明石の仕業か。徽章から察するに、大村二佐と高菜二佐か。流石にそっちは、私の射程範囲外だな」

この男40代の伊達男であり、とにかく女にもてるし、片っ端から口説く「不良中年」である。

妙高四姉妹とお留守番の扶桑、山城姉妹とは既にケッコンカッコカリを済ませ、事実婚状態になっている。

そして娘は娘で、母親が死んだ為に、父親のところに転がり込んで、防大卒業後父親の副官に配属された、新米士官である。

もしかしたら、こう言ったご落胤はまだいるかも知れない、という噂である。

そして、それにも懲りずに、他の鎮守府の艦娘や職員まで口説くことで、足立一佐にとっては()()()()なのだ。

「お久しぶりです、羽佐間一佐」

「やっぱり、ロリは対象外ですか?」

敬礼する直哉に奈々海。それに続いて、全員が敬礼する。

「あとは、桐山二佐が到着すれば宮城の提督が勢揃いだな」

 

そんな中、桐山二佐と神通がやって来る。

二人共機嫌が悪そうで、喧嘩したな、と皆察する。

「何だお前達、子供が来る場所じゃないぞ!?」

と、ロリ提督組に当たり散らすが、二人のロリ提督はあっかんべーと、おちゃらけている。

更にイラつき加減が増している桐山提督に、

「明石の薬害被害で、こうなったのだ。それより、会議の場だ。冷静になり給え」

羽佐間一佐が、鋭い眼光で窘めると大人しくなる。そして神通は、申し訳なさそうに頭を下げる。

羽佐間一佐は白兵戦技の達人で、深海棲艦にも有効な手段、白兵戦による直接攻撃と云う戦法で前線に出ている。

明石に作らせた、量産型艦娘を改造して作ったパワードスーツを強引に配備させ、装甲服と(のたま)って海を駆けている。

そう言った意味でも、華々しい戦果を挙げ、一佐まで上り詰めた男である。

「それでは会議を始めるから、全員席に付き給え」

 

会議は数時間にも亘った。

深海棲艦の進行状況や、戦果、それとおかしな点がなかったかを討論し合うのだ。

資料の機械操作は花梨三尉が行い、各鎮守府から上がって来たデータを纏めて、

それをこういった幕僚会議で説明する。

「姫は最近、出没して来ませんな」

その資料を見ながら、武藤提督がヒゲを弄りつつ言うと、

「こっちも、岩手の釜石鎮守府と連携して、ミッドウェー方面に向かっているんですが、如何せんミッドウェー近辺からの敵の層が厚くて………」

「と言うことは、やはりミッドウェーから先を守っている、と言うことになるかな?」

そう議論し合う奈々海と直哉。だが外見が外見なので、あまり締まらない。

「取り敢えず、当分は様子見、と言うことで……ところで、今朝入ってきた耳寄りの情報だ。硫黄島に構築されていた、敵の物資集積要塞を大和二佐率いる、横須賀鎮守府第13艦隊が奪取し、集積地棲姫を捕縛した、との事である。これで日本領海圏内の敵の拠点は、失われたことになる」

その羽佐間一佐の報告に、全員から歓声が上がる。

それに対して、花梨が付け加える。

「東京の情報本部の同期の話では、全国の艦娘を結集させ、硫黄島要塞を橋頭堡に南方に進撃、その陽動を以てアリューシャン、ミッドウェーを攻撃する作戦が持ち上がっているとか。どうも、防衛相に直接作戦案を持ち込んだ幹部自衛官が居るとか」

『…………』

その嬉しくない報告に、全員が押し黙る。

「私の意見を言うとだがね、ミッドウェーやアリューシャンを突くと藪になっていて、そこには藪蛇どころかどうも毒蛇の大家族がいるのではないか、と思われる。まあ無理はしないことだ、と私は思うがね。私の方でも、足立一佐と連携してどうにか廃案にできないものか、動いてみよう」

「お願いします。この作戦は、兵力分散の愚を犯した硫黄島の悲劇の二の舞の気がしてなりません」

直哉も、羽佐間一佐の言葉に同意する。

 

硫黄島の悲劇とは、戦争が始まってして少し経った後の悲劇だった。時期的には、宮戸島事件の直後辺りである。

硫黄島に集結する敵艦隊を包囲殲滅すべく、三個連合艦隊・36隻で出撃したものの、深海棲艦の連合艦隊が急進して、包囲網が完成する前に第3連合艦隊を襲い、続いて第2連合艦隊を撃滅した。艦娘24名が轟沈し、戦死自衛官百数十名を出す大惨事となったのである。

そして、総司令官である横須賀鎮守府司令官も瀕死の重傷を負ったが、指揮権を引き継いだ総秘書官大和一尉が突破されたと偽装し、背後から打撃を加え、撤退する、と言った戦法で全滅を免れた。

全滅を防いで、日本近海までの侵略をを防いだ功績で、大和は三佐に昇格して『不敗の女神』と呼ばれるようになった。今も二佐として、横須賀鎮守府の13番目の艦隊の司令官兼秘書艦として、()()()()()()()()()()と云う、珍しい体制で行っている。

神奈川県には、横須賀にしか鎮守府はなく、常時13個艦隊が配備されている、関東の守りの要である。

 

その後、深海棲艦は硫黄島に要塞を築き、集積地棲姫を置いて日本侵攻の橋頭堡、としていたのだ。

その硫黄島要塞を、大和率いる第13艦隊が奪取した、ということになる。

尚、哀れ物資を強奪された集積地棲姫は捕虜となって、明石の魔改造の後、硫黄島要塞で働かされている。

 

 

「差し当たり、今のところは各鎮守府の自由裁量権で抵抗できる案件だ。その噂については、もう少し調査を続けよう。それでは今月の定例会議を終了とする。一同起立、敬礼」

羽佐間一佐の言葉に全員が起立し敬礼すると、真っ先に桐山と神通が退出する。

「さて、お嬢様方とおまけ一名様、小官とランチなどはいかがですかな?」

「一佐、他所様の艦娘に粉掛けるつもりですか?」

そんな態度の羽佐間一佐に、ジト目になる花梨。

「まさか。私はそこまで無分別ではないよ。ただ、美しい花々に囲まれて食事を摂るのもいい、と思っただけだよ」

「いけません、帰りますよ。今鎮守府には、扶桑と山城しかいないんですから」

そう言うと、ぐいっと羽佐間一佐を引っ張るように帰って行く。

 

それを見送ると、

「それじゃあ、帰りますか?」

と、直哉の言葉と共に、各々が帰り支度をする。

「仙台市内で遅めのランチをしようか?」

「それは良いのです」

仙台市内のファミレスで、小さな提督と、大人化した電が仲睦まじそうに食事を摂っている姿が目撃されるのだった。

 

宮戸島に帰り着いた二人は、卯月と薄雲によって捕縛された明石の解毒薬を、自宅で飲んで元に戻ったことは言うまでもない。

又しても明石は、手酷いお仕置きを喰らった。




お題は「衣装交換・性転換」

この話のためだけに性転換タグを付ける。


《こぼれ話》
集積地棲姫ちゃんが必死で集めた物資を焼夷弾で放火したい(恍惚)
「もっと燃えるがいいや!!」
『ヤメロヨ…セッカクアツメタノニ…モエテシマウ…ヤメロォ!』
「これから毎日集積地(いえ)を焼こうぜ」
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