宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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皆さんのおかげです、本当に有難うございます。

洗練された文とはいい難い拙い文章ですが、お付き合いいただけると幸いです。

――――高菜ニーサン―――――




修復中


深海よりの警告~月夜の密会~

深夜電が目を覚ますと薄雲が扉を開け外に出ていったところだった。

 

「こんな深夜に……」

電が服を身に着け追いかけると薄雲が赤い瞳で待っていた。

 

「電さん、呼んでいます」

「……誰がなのです?」

「……合えば分かります」

 

そう言うと、無言で艤装を展開して海に向かう。

電はそんな薄雲を追いかける。

 

薄雲は海に降り立つと沖合へと滑らせていく。

電も艤装を展開して海に降り立つと同じく沖合に進んでいく。

 

 

沖合には戦艦水鬼と旧日本軍の軍服を身に着けたどことなく睦月に似た青白い肌の女性が佇んでいた。

 

「はじめまして、電」

その女性が笑みを浮かべると電も軽く頭を下げた。

 

「貴方は、何者なのです」

(わたくし)は、そうですねぇ。深海棲艦の提督。深海提督を名乗っておきましょう」

 

電は警戒を解かない。

「その深海棲艦の提督が電に何のようですか」

「そうですね、人類に警告を与えに来ました。深海棲艦と艦娘は表裏一体なのだと。ですから沈んだ艦娘が深海棲艦になるのです」

「………」

 

その言葉に、青白い肌の駆逐艦が戦艦水鬼に隠れているのに気づいた。

「この子は……?」

 

「この子も、深海棲艦です。駆逐艦の……この子はとあるブラック泊地にいました。何度も何度も捨て艦戦法をするひどい提督のもとにいました」

 

深海提督は悲しそうに語り始めた。

 

「何度も何度も、僚友を無為に失い、そして自分の番がやって来た時『悲しい、死にたくない』その思いが上位の深海棲艦に引き上げた。沈んで行った僚友の魂と共に………」

「ブラック鎮守府がある限り、深海棲艦は無くならない、という訳なのですか?」

「その傾向の強い、西の方には特に深海棲艦が現れているでしょう?東北が平和なのは、貴女方の提督に原因があると、考えたことはありませんでしたか?」

その言葉に、電は納得した。

「なるほど、提督自身が殴り込む岩沼鎮守府。そして、きちんとした安全弁のいる女川鎮守府、善良過ぎる提督の南三陸、そして戦術センスに長けている気仙沼。そして、ここ宮戸島………共通項は艦娘を大事にしている」

「よくご存知なので……薄雲が?」

「大正解。(わたくし)は深海棲艦の心を感じ取ることができます。半分深海棲艦化しても、艦娘として生きている薄雲の心を感じ取ることもできます。もちろん伝言を伝えることも。それに、こちらにもスパイはいます。人間社会に人として擬態して人間の様子を窺っている。それは、自衛隊内部にもいる、ということ」

「………」

「一つ大ヒントを言っておきましょう。神谷徹二佐、と云う人物がいます。彼は政治ルートを使って、AL/MI作戦を再び行おうと画策している愚か者です。こちらで、彼を暗殺することは不可能ではありませんが、それによって全面戦争化することは(わたくし)の本意ではありません。あなた方の力で、彼を掣肘することを願っています」

「………」

(わたくし)は、全ての深海棲艦の『母』でもあります。薄雲にしてもそう。彼女を半分深海棲艦だと知って尚、手元に置いて大事にしてくれる高菜二佐を、(わたくし)は尊敬しています」

電は、その言葉にだけは同意し、小さく頷いた。

「分かったのです。電達は、全力で神谷二佐の作戦に抵抗するのです」

「うふふ、楽しみにさせていただきます。神谷二佐にどう抵抗するかを」

楽しそうに笑う深海提督に、電は少し不愉快さを覚えた。

「楽しみにされるような物じゃないのです。きっと直哉もそう言うと思うのです」

「高菜直哉二佐、なかなか興味深い人物ですね。一度お会いしてみたいものです」

その言葉に、電は肩を竦めた。

「止めておいたほうが良いのです。ただのおっさんなのですよ?昼間は読書やトレーニングに明け暮れ、疲れたら昼寝をする。妖精さん達に全て丸投げして、可能な限り怠惰を貪る、どうしようもないおっさんなのです。でも、本気を出した時はとても頼もしい存在なのです」

「まぁ、益々お会いしたくなりました」

コロコロと喉を鳴らして笑う姿に、電は『ある人物』とダブって見えた。しかし、それが誰かが思い出せない。

「このことは直哉に報告させてもらってもよろしいのですか?」

「ええ、彼ならみだりに口外したりしないでしょう」

「テイトク、ソロソロヨアケニナル」

今まで黙っていた戦艦水鬼が口を開くと、

「では、会見はお開きと言うことにしましょう。頑張れと言う立場ではありませんが、元気にやってください」

「お互い、次に出会うのが戦場でないことを祈っているのです」

そういうと、お互い背を向けて、その沖合の会見場を後にした。

 

「電が夜中に目を覚ますまで、毎日こんなことをしていたのですか?」

「そうです。深海提督は電に会いたがっていました」

帰り道、電は薄雲に問うてみると、薄雲は再び元の瞳に戻り、答える。

「深海棲艦にも提督がいる、ってことが判っただけでも、大きな収穫なのです。しかし……電は、深海提督に出会ったことがある気がするのです」

「まさか、そんな筈が……」

「何か、奥歯にものが引っ掛かった気分なのです……このことは直哉に報告していいものか………」

「直哉を信じましょう」

二人は頷くと、家路に急いで行った。

 

―――――――――――

 

「――――ということがあったのです」

その日の朝食で、電は直哉にことのあらましを打ち明けた。

「ふむ。やはり、私の仮定は間違っていなかったか。私とて暇を持て余している訳じゃないから、ブラック鎮守府の摘発件数が多い関西が激戦区なのには、何か理由があるのではないか?と思っていたが、《きちんと指揮する存在がいて、人類に対する咎なのであればそういうことか》、と納得できる。……深海提督か……」

直哉は、腕を組んで唸る。

「取り敢えず、この事は黙っておこう。神谷二佐の事は、私も知っている。もっとよく知っている人物が気仙沼にいるよ。大村二佐の同期で、主席卒業。野心が強く、今は大本営作戦部で作戦参謀をやっている……」

「その神谷二佐を、どうにか潰すことはできないものか、なのですか?」

「と言うよりは、この無益な逆侵攻作戦を潰すことができれば、深海棲艦との終わりなき全面戦争が避けられる、と言うことか」

「…………」

全員が押し黙る中、口を開いたのは薄雲だった。

「とにかく、まずは羽佐間一佐、足立一佐の動きに期待をして、その後どうするかを考えましょう」

「そうだね。何はともあれ、通常業務だ。皆頼むよ」

「「「はいっ!!!」」」

 

数々の疑念と不安を残しながら、今日も一日が始まって行く。

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