連装砲事件の片付けも終わり、一息吐いたところで、司令官による通信会議が開かれた。
司令官コンピューターを使ってのテレビ電話で、全員の顔を見ながらの会議である。
さすがはブロードバンド時代の産物である。
『今年のクリスマスの警備計画についてだが……』
羽佐間一佐が、何時になく真面目そうに切り出す。
『あ、今年は、娘がイヴに女の子の友達とクリスマスパーティーするから、当日希望でー』
真っ先に、奈々海が当日を希望する。因みに、未だちんまいロリっ子のままである。
『ふむ、大村提督のところは夫子持ちだからな。旦那は帰って来るのか?と言うか、その姿のままなのか?』
羽佐間一佐が、苦笑いをしながら奈々海に問うと、
『もちろん!旦那も帰って来るから、この姿で夫婦の営みをしてみたいんですよ。何かおじさんとロリって、背徳感無いですか?』
その答えに、羽佐間一佐の副官である花梨がモニタから顔を覗かせて、
『大村提督は変態です』
と、ジト目で言う。
『まあ、大村家の性生活は置いておいてだな。気仙沼は、25日休み希望ということだな?そうなると、隣接の南三陸は24日になるがいいか?』
予定表を書き込みながら羽佐間一佐が問うと、武藤提督は頷いた。
『そうなると、宮戸島も自然と24日になるが、高菜提督も構わないか?』
「了解です」
『それでは、岩沼と女川、気仙沼は25日、宮戸島と南三陸が24日を全休としよう。各自、クリスマス期間中は無理な突出を避け、近海防衛に専念してくれたまえ』
「『了解です』」
『それでは、今年のクリスマスシフト会議を終了する』
テレビ会議が終わると、武藤提督から電話が掛かって来る。
胸ポケットからスマートフォンを取り出すと、スピーカーモードで電話に出る。
「はいはい、どうしました?」
『丁度同じ日にクリスマス休暇じゃろ?』
「そうですねえ、うちは弟子達と艦娘達でクリスマス会をやろう、と思っていましてね?」
『そのクリスマス会、私達も参加させてくれんかね?』
「と言うことだけど、どうする?」
秘書艦執務机で、書類を整理していた電に声を掛けると、
「美味しい料理がいっぱい食べられるから、大歓迎なのです!」
「うんっ!大賛成!」
「同じく!」
執務室の会議机で、冬休みの宿題をこなしている愛ちゃんと健太君も、両手を上げて賛成する。
お騒がせトリオは今、外で艦娘達と埠頭の雪掻きを仲良くやっている。宿題は、後で愛ちゃんのを写すと言っている。
因みに、今日の格好はお揃いのオリーヴドラヴ色の作業服である。
もちろん、子供サイズの自衛隊レプリカ品を、直哉が買ってのプレゼントである。
この間の雪掻きの功績で、愛ちゃんには陸士長、健太君とお騒がせトリオには一等陸士の名誉隊員階級を任命した。
愛ちゃんは、生きてるのに『二階級特進』である。
愛称は、『愛ちゃん隊長』に変わった。
「……と言う訳なので、大歓迎です」
『それは良かった。それじゃあ、当日お邪魔させてもらうよ』
「了解です」
『それじゃ、また当日に』
「はい」
電話が切れると、直哉は子供達が今日の宿題分を終えたところで、空手の練習に入る。
クリスマスイブ当日、雪がちらついてホワイトクリスマスの様相を呈している。
51㎝連装砲ちゃんは、たった数日で宮戸島のモニュメントとなっている。
今日も、主要街道の雪を融雪剤を撒きつつ、可愛い声を出しながら強力な履帯とブルドーザーパーツで雪を押している。
バックブラスト排出口からは、工廠妖精さんの改造した温風ヒーターの熱風が、残った雪を融かしながら進んでいる。
51㎝砲塔からは、融雪剤をポンッポンッと発射している。
宮戸島の工廠妖精さんも、技術力は大概である。因みに海上での試射は、海底にアームを伸ばして固定しないと狙いが付けられない、と言う致命的な欠陥が発覚して、兵器としては落第となったのだ。
その為51㎝連装砲ちゃんは、明石の私物から正式に宮戸島に移籍となり、雪掻きマシーンとして活躍することになった。
有事の際は、半固定式砲台として散弾砲を搭載し、役に立てる予定ではあるが……
今日は宮戸島鎮守府はお休みで、
仲良し五人組の子ども達と艦娘達が、高菜邸で飾り付けを行っている。
「フンフンフーン、フンフンフーン」
電はご機嫌で、鼻歌でクリスマスの歌を歌いながら、楽楽市場で購入した大きなクリスマスツリーに飾り付けを行う。
そんな様子を、ソファーで眺めている直哉。
キッチンでは、武藤提督と夕立と木曾がクリスマスパーティーの準備をしている。
長門は、そんな様子をデレデレしながら見守っている。
子ども達が、サンタさんの格好でワイキャイしながら、飾り付けを準備しているのも見ているのだ。
「長門も直哉も手伝うのです!」
電の
「健太君、それ取って」
「うん!」
相変わらず、健太君と愛ちゃんは仲良く二人でイチャイチャしながら、飾り付けをしている。
そんな二人に、キッチンから夕立が、
「ねー、二人はもうヤッたの?」
等と、子供の教育上良くないことを
二人は学校で性教育を受けているし、愛ちゃんは生理も来ている。二人で真っ赤になる。
「「し、してないよっ!!」」
「こらこら、純真な少年少女を誂うんじゃあない」
「はーい」
そんな夕立を、武藤提督が窘める。
「しかし、昨今の少年少女は早い、って聞いてるぜ。都会の方じゃ特にな」
木曾は、姉妹艦の多摩がお台場鎮守府に所属しているので、常々都会の子供の早熟さを聞いている。
「全く嘆かわしい限りじゃ。二人共、もっと大人になってからにするんだよ」
武藤提督が二人に諭すように言うと、二人は顔を見合わせてから赤い顔のまま、
「「はーい!」」
と答える。
武藤提督も直哉も、ハーレム形成なんぞをしているが、そういうところに関しては、常識人である。
だからこそ保護者からの信頼も厚く、今回は子供達のお泊り許可も出ているのだ。
子供達にはクイーンベッドを譲って、自分達はまた、リビングで雑魚寝のつもりのようだ。
「トリオは、そういう子いるぴょん?」
「「「………」」」
圭一・寛太・慎のお騒がせトリオは、卯月から目を逸らした。
「えっとねえ、三人共クラスの優花ちゃんのことが大好きなんだよ!」
代わりにそう答えたのは、愛ちゃんである。
「「「何で言うんだよ!?」」」
トリオが揃って、抗議の言葉を上げると愛ちゃんは、「巻き添えー♪」と、イタズラっぽく笑う。
「おっとぉ。これは取り合いだぴょん、不味いことを聞いちゃったぴょん」
「そして海岸で殴り合って、一番強い奴と結ばれる、という訳ですね?」
薄雲も、子供達を誂うのに参戦し始める。
「何でそうなるんだよ!?」
圭一が、薄雲に裏手でツッコミを入れる。
「少年漫画に描いてありました」
「いや、いつの時代の漫画!?それ」
今度は、寛太が堪らず突っ込む。
そんな様子を、長門はデレデレして見ている。
「長門、動きが止まっているのです!」
電に再び叱られる長門だった。
夕方になるとキッチン組の料理も完成し、ダイニングテーブルに料理がたくさん並んだ。
「それじゃあ、乾杯の音頭を愛ちゃん隊長にお願いしようかな?」
「それじゃあ、メリークリスマス!」
直哉の指名で、元気よくグラスを上げると、全員も、
『メリークリスマス!』
と唱和して、パーティが始まる。
長門サンタが、クリスマスプレゼントを各自に渡し始める。
予め、直哉を通じて欲しいものをリサーチしてもらっていたのだ。
「ほーらプレゼントだぞぅ」
そう言いながら、皆にプレゼントを手渡す。
自衛隊大好きな愛ちゃんには、作業着レプリカに縫い付けられる、ネーム刺繍と陸士長階級章レプリカワッペン。
健太君には、オープンフィンガーグローブ。最近
どこまでも、愛ちゃんを守る
それぞれ欲しいものが行き渡ると、愛ちゃん達から大人にプレゼントが渡される。
それぞれ工夫を凝らしたもので、圭一の『肩たたき券』から、愛ちゃん健太君合作の手作りペン立て等が、直哉と武藤提督に贈られる。
プレゼント交換が終わると、いよいよ食事会が始まる。
皆、ワイワイ賑やかに食べている。
「愛ちゃん、健太君にチュ~するっぽい!」
シャンパンを一本空けて酔っ払っている夕立が誂うと、真っ赤になった愛ちゃんが隣の健太君を抱き寄せ、濃厚なキスをする。
「んっ……」
『おー!』
「大胆なのです」
フリーズしている健太君に、更に真っ赤になる愛ちゃん。
そして、
「オレ達もチュ~する?」
と言う、ど天然発言をかます慎。
食事が終わったらケーキを食べながら、夜更かししてのゲームである。
最新のゲームを、子供達と艦娘達で賑やかにやっているのを見ながら、
長門と武藤提督と直哉は、酒を飲みながら将棋を始める。
将棋のできない長門は、酒を飲みながら見ているだけであるが。
日付が変わった頃、お騒がせトリオはクイーンサイズベッド、
そして積極的な愛ちゃんは健太君を強引に引っ張って、今は使用されていない卯月の部屋のベッドを使用して、一緒に眠る。
そして、艦娘と大人達はリビングのソファや床で、布団を敷いて雑魚寝である。
床暖房の効いているリビングは、床に寝ても温かいのだ。
それぞれの提督に、愛する艦娘達が寄り添って眠っている。
明日は皆、お仕事なのだ。