宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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武藤二佐が、突然寝込んだ……その原因は?


今回は軽めです。



南三陸大騒動

今日も平和な南三陸鎮守府。

長門・木曾・夕立のトリオは、いつもの哨戒を終えて帰港した。

 

「提督、異常はなかったぞ」

 

長門の声に、反応がない。普段なら、エプロン姿で三人の帰りを待っている筈なのに。

 

「提督、お出掛けっぽい?」

「いや、そんな話は聞いてないぜ?」

 

夕立と木曾も首を捻る。

 

「とにかく、提督のお部屋に行ってみよう?」

 

長門の提案に、二人が頷くと三人で武藤二佐の私室に向かう。

私室のドアを開けると、武藤二佐が脂汗を流して寝込んでいた。

「うーん……うーん……」

 

「「「提督!!」」

長門が、武藤二佐のおでこを触ると高熱がある。

 

「すぐにお医者さんを呼んで来るっぽい!」

 

夕立が走って行く。

すぐに、近所の町医者が駆け付けるも、原因が分からずほとほと困り果てていた。

 

「こんにちは」

そんなところに、薄雲がやって来た。

七月一日に成立・布告・施行された艦娘・深海棲艦基本法に基づき、薄雲は一発試験で普通自動車免許を取得した為、ローンで買ったコンパクト電気自動車でドライブがてら、高菜二佐からのお使いついでにやって来たのだ。

 

「おお、武藤提督が大変なのだ」

「武藤二佐がどうされたのですか?」

 

困り果てた顔をした長門が出迎えると、長門の案内で薄雲が武藤二佐の部屋に入り、

武藤二佐の様子を見て、薄雲は即座に一つの結論に達した。

 

「霊子の枯渇ですね」

『霊子の枯渇?』っぽい?」

 

「はい。霊子と言うのは艦娘や深海棲艦、人間の霊的エネルギーです。言い換えれば『精力』と言ってもいいでしょう。通常、人間は日常生活を送っている限り、霊子が枯渇することはありません」

 

宮戸島鎮守府の物知り、薄雲の解説は続く。

 

「ですが、例えば極めて霊子の高い(キラキラ)状態の艦娘と深く接触したりすると、霊子の低い方の霊子は奪い取られます。質問ですが、昨晩は…?」

 

その質問に、三人共顔を赤らめて目を逸らす。

 

「栄養価の高いお食事をして、ゆっくり休めば一~二週間で回復しますが、もう一つ《霊子のコア》を与えれば、直ちに回復するでしょう」

 

『霊子のコア?』っぽい?」

 

「はい。DSビーストと呼ばれる害獣が、北極海近辺に集中的に存在します。言うなれば、深海棲艦が《ヒトと軍艦の負の感情》を元に生まれて来たものなら、DSビーストは《動物の負の感情》を元に生まれて来たものと言えます。まあ、トドや害獣といった類のもので、時折南に流れて来ては北海道地区鎮守府の所属艦娘と交戦状態になります。その中で、幾つか種類があるのですが『グリズリー級』と呼ばれる物のコアを与えるのが一番の解決法だと思います。性交は程々に、と言われても毎日するでしょうし」

 

薄雲の指摘に、視線を外す三人娘。

 

「と、とにかくだ!DSグリズリーを倒して、コアを持って来れば良いんだな!?」

「そういう事です」

 

強引に話を戻す長門に頷きながら、薄雲は答える。

 

「それじゃあ、北極海に出撃するか?」

「そうだな」

「行って来るっぽい」

 

そう言いながら、武藤二佐の私室を出る三人に、

 

「心配なので、私もお手伝いしましょう」

 

そう言って、薄雲もその後を追い掛ける。

 

――――――――

北極海では、艦娘や深海棲艦達がDSビーストと戦闘を繰り広げていた。

小動物から、数mを超えるような怪物まで、いろいろ屯している。

 

「この中から、グリズリー級を探すのか」

「熊みたいなDSビーストを探すのか?」

「アレがそうだっぽい?」

 

夕立が指を指した先には、()()()()が口から出ていて、それを食べている熊のようなものが海に立っている。

 

「ああ……艦娘が食べられましたね………南無南無」

 

薄雲が両手を合わせると、三人の顔色が青くなる。

 

「マジか……?」

「本当にグリズリーか……」

「こっちに向かって来るっぽい!」

 

ペッと艤装の靴を吐き出すと、DSグリズリーはこちらに向かって襲い掛かって来る。

 

「来ましたよ!爪は体術で避けてください!」

 

薄雲の言葉に、全員が戦闘態勢になる。

DSグリズリーは、一番食べ応えのありそうな、長門に狙いを絞る。

 

「っ!!」

 

DSグリズリーの爪が、長門を掠める。長門の服が破れ、血が滲んで行く。

 

「ぐうっ……砲撃しろ!!」

 

木曾と夕立と薄雲が艤装を展開して砲撃を連発するも、硬い皮膚で阻まれる。

 

「何だ!?この硬さは!?」

「ちまちまと、ダメージを与えるしかないっぽい!」

「或いは、長門改二艤装の51センチ砲ですが……」

 

其の三人の言葉に、長門も艤装展開して51センチ砲を構えるが、遅かった。

DSグリズリーが、ベアハッグをして来たのだ。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ミシミシと、艤装が軋む音がする。

 

「長門!」

「長門さん!!」

 

叫ぶ二人に薄雲は、

 

「ベアハッグだけは外しますので、後お願いします」

 

そう言い残し、アイキャンフライ砲を展開させると、後方に向ける。

 

ズドォン

ズドォン

ズドォン

 

その反動で、薄雲がDSグリズリーにショルダーチャージを決めると、DSグリズリーは蹌踉けた。

そのスキに、長門はベアハッグをするりと抜け出すと、一気にバックステップで退がる。

体当たりを行った薄雲は、そのまま海を水切りのように転がり、気を失い海面に浮かぶ。

 

「薄雲!!」

気絶した薄雲が、ビーストハンターの深海棲艦に保護されているのを見ると、ほっと胸を撫で下ろす。

 

「長門!!こっちが注意を逸らす!!長門は、ヘッドショットを決めてくれ!!」

「そうだっぽい!」

「分かった!」

 

再びDSグリズリーに正対すると、木曾と夕立が交互にヒット・アンド・アウェイを繰り返して、

DSグリスリーに砲撃を加える。

何度も砲撃を加えた時、一瞬DSグリズリーの足が止まった。

 

「今だ!!」

連装51センチ砲を、DSグリズリーの頭部に向けて発射すると、

DSグリズリーの頭部が弾けるように吹き飛んで、バタリと倒れた……

 

「やったっぽい?」

「そのようだな……」

 

そんな三人に、声を掛ける艦娘が居た。重巡洋艦摩耶である。

 

「おー、あんた達見ない顔だけどやるねえ。ビーストハンターは長いかい?」

 

そんな感嘆の声に、仲間らしき深海棲艦が薄雲を抱えてやって来る。

 

「い、いや……今回が初めてだ……」

 

長門の言葉に、摩耶はヒューゥと声を漏らし、

 

「いやあ、初めてでGハンターとは、見込みあるぜ。いっその事自衛隊なんざ辞めて、ビーストハンターになんねぇ?」

 

そう、スカウトまでして来る。

 

「い、いや、今回はお断りさせてもらう」

 

気を失っている薄雲を受け取りながら、勧誘を謝絶すると、摩耶はゴソゴソと処理をしてくれる。

綺麗に輝く、大きな霊子結晶を取り出す。

 

「コレが霊子のコア。コレは、何十個ものケッコンカッコカリリングになる、高く売れる貴重品だぜ。あとはグリズリーの牙。コレは、幸運のおまじないと言われているんだぜ。チョット待ってな」

 

摩耶はそう言うと、ポケットからペンダントにしたグリズリーの牙を、三つ渡してくれる。

「その代わり、こいつの牙はあたしが貰ってくぜ?」

「分かった。ありがとう」

 

DSグリズリーの肉もお土産にもらった一行は、途中薄雲が意識を取り戻し、四人で南三陸鎮守府に戻って行った。

 

鎮守府に戻ると、早速肉を冷蔵庫にしまい、

武藤二佐の元へ向かった。

 

武藤二佐に霊子のコアを近づけると、ぱあっと光が注ぎ込まれるようにコアが崩れて行き、

真っ青だった顔色が、もとに戻って行く。

「うーん……」

 

武藤二佐が、身体を起こす。

「提督!」

 

三人が抱き締めるのを見ながら、薄雲は肩の痛みを感じつつ、ふっと笑みを浮かべてそっと部屋を出た。

 

――――――――

 

「と、言うことがありまして………」

「そうか。武藤さんはお年だからな」

 

薄雲の報告に、直哉はふっと笑った。

 

「しかし、わざわざグリズリー級を選んだのには、理由があるのかい?それこそ、もう少し小さいのでも回復は可能だろう?」

「それは、Gクラスの霊子のコアを人間に与えたら、20代の若さを取り戻して絶倫になれるからです。きっと今頃、艦娘達が「もう許して」って音を上げている頃でしょう?」

 

悪戯っぽい笑顔を浮かべた、薄雲の頭を撫でる直哉。

「さて、今日は薄雲の日だったね?武藤提督も今頃夜の営みをしてるだろうし、早速始めようかね?」

「……はい」

 

こうして、東北の提督達の愛の営みが始まって行く……

 




本日のお題

・南三陸大騒動
→武藤二佐が、突然寝込んだ……その原因は?

(toshi-tomiyamaさん提供)
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