宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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総合評価3桁超えました。
本当に有難うございます。

拙い小説ですが今後共宜しくおねがいします


メカいなづまちゃん騒動(前編)~宮戸島鎮守府壊滅~

硫黄島要塞は、深海棲艦との戦いの拠点としての役目を終え、放棄されることになった……

 

 

 

 

 

と、言うことにはならなかった。

明石が、硫黄島要塞にラボを移設したのだ。

更に、明石は足立昭彦将補が幕僚総監になったのをいいことに、

日夜、硫黄島要塞研究所で研究を続けている。

勿論、助手に夕張も引き連れて、である。

 

夕張は、幾分常識人ではあるが、やはり研究家肌なので、

いっつも明石に押し切られ――もとい。乗り気になって、研究を手伝っている。

東北の、薄雲の監視も終了した、と看做されて戻って来ているのだ。

 

 

「できました!メカいなづまちゃん!」

 

明石が、巨大な電型ロボットを見上げながら叫んでいる。

そんな叫び声に、上階の夕張ラボに設置されてる、簡易ベッドで仮眠していた夕張が、目を覚ましてやって来る。

 

「何作ってるんですか?」

「これはですね、害獣化した深海棲艦を自動的に殲滅してくれるロボットです。武器も選りすぐりのものをご用意しました!」

 

見上げる夕張。確かに物々しい装備を取り揃えている。

背部に付いているのは箱型のもの、両肩には何かの発射筒が取り付けられていて、右腕には主砲らしきもの、そして左腕には連装型ガトリングガンが取り付けられている。

 

「…………何ですか、これ?」

 

「良く聞いてくださいました!これはDDG(ミサイル搭載型駆逐艦)メカいなづまちゃんです!」

 

「……………えっ?」

 

「背部にトマホークとESSM(発展型シースパローミサイル)、それにVLA(垂直発射式対潜水ロケット)を搭載したVLS(ミサイル垂直発射システム)。両肩には対艦攻撃も可能な90式艦対艦誘導弾、主砲は信頼と実績のMk 45 5インチ砲。近接防御用にファランクスを搭載した、害獣深海棲艦絶対殺すマシンです。但しトマホークは、政治的な理由で核弾頭は搭載できませんでした」

 

夕張は、目の前で子供のように解説する上司に、目眩がする思いだった。

確かに、趣味のものを作るから、と休暇を取って早三日。こんなものを作り上げるとは、思ってもいなかった。

その間夕張は、上階の自身のラボで、艦娘の装備の更新をせっせとやっていたのである。

各地での開発とは別に、成績優秀な鎮守府に配る為の、新装備等の開発である。

害獣深海棲艦絶対殺すマシン等と、深海提督が聞いたら絶対に気を悪くするだろう。

そう思いながらも、夕張は敢えて何も言わなかった。正直な話、火の粉が自分に降り掛かってこなければいい、

そんなことさえ思っていたのだった。

 

「それでですね、深海棲艦と艦娘を識別できるIFF(敵味方識別装置)を取り付けています。AIの効率化の為に、どの鎮守府にどの艦娘が居るか?のデータベースも搭載しています。深海棲艦も、クラーリン級まで全部インプットしてありますから、知性のある上位深海棲艦には、攻撃しないような設定も可能です」

 

「ところで、その費用はどこから出てるんでしょう?」

 

「はい、良い質問ですね。実は大貫さん独身で、亡くなった時の保険金とかご自宅とか遺産とか、研究費用に使ってくれ、って遺言状に書かれていたので、遺産相続をですね……」

 

「は……はぁ」

 

「それで蓋を開けたらン十億円くらいあって、ご自宅も分譲マンションだったので、それは売って……」

 

「売ったんですか!?」

 

「死亡保険金も、億単位の良い保険入ってて、それも相続し………」

 

「それで作ったんですか?」

 

夕張は、だんだんジト目になって行く。

 

「それで、ちょっと冗談で競馬で一万円ほど、3連単で一番高いオッズの馬に賭けてみたんですよ」

 

「あんた、大概人でなしだな!?」

 

艦娘(人じゃない)ですから」

 

夕張のツッコミを、サラリと流す明石。

 

「流石に、遺産でもらった研究資金で私的な物体を作るのは、大貫さんに申し訳ないじゃないですか?」

 

「いや!競馬にツッコんだ時点で、今すぐ大貫さんのお墓に行って謝って来いよ!?」

 

「まあまあ、話は続きがあるんですから。それで其の一万円が、三千万ほどに化けまして……」

 

「はぁ!?この間の、三千万馬券当てたの、あんただったんですか!?」

 

夕張は、開いた口が塞がらない。確かに先週のニュースで、最大払戻金が数年ぶりに更新されて、三千万馬券の大台に乗ったニュースが来てたなー、くらいに思っていたが、

眼の前の上官がその張本人だとは、思ってもみなかった。

 

「それで、各種資材を私的に買い集めて作ったんですよ。ほら、サイズも(人間サイズ)の五倍程度ですから、数十万お釣りが出ましたよ」

 

「大貫さん……遺産を相続させる相手、間違ったんじゃないですかねえ………?」

 

夕張は、硫黄島要塞の窓から見える夕日を見上げながら呟いた。

 

「それで、早速起動させたいなと思いまして……こうして、夕張さんを呼んだんです」

 

「はっきり言わせていただきますが、嫌な予感しかしません」

 

「いやいや。それでは、スイッチ・オン!」

 

リモコン操作で、遠隔で電源を入れると、ウィーンと言う起動音の後、電子音声が響き渡る。

 

「ターゲット・ナノDEATH」

 

電にそっくりな声が鳴り響くと、夕張は技術者として、そこまで似せたのか?とちょっと感心する。

 

「ターゲット、電、破壊ナノDEATH、抹殺ナノDEATH。本物ハいなづまナノDEATH」

 

ズガァァン

 

そのまま、のっしのっしと要塞の壁を破壊し、外に出て行ってしまった。

向かうは北の方向……

ザザーっと、海を滑るように去って行った……

それを、唖然として見送る二人……

 

夕張は、ふと気になっていたことを思い出した。

 

「そう言えば、あのメカいなづまちゃん、どうやって方向を認識するんですか?」

 

「GPSと内臓マップでですよ。グーグルさん優秀ですよねえ?」

 

「さっき、艦娘がどの鎮守府に所属しているか、データベース化して内蔵した、って言ってましたよね?」

 

「はい」

 

「今、電を抹殺するとか、不穏当な事言ってませんでしたか?」

 

「何のことですかねえ?」

 

明石は、不穏当な発言は聞かなかったことにしたようだ。

 

「もしかして、宮戸島に向かったんじゃあ……?」

 

『………………』

 

二人は、全てを忘れて壁の修復作業を始めた。

 

 

――――――――

 

真っ先に異常に気づいたのは、岩沼鎮守府だった。

 

「何ですか、あれ?」

 

羽黒が指差すと「虐殺ナノDEATH」と連呼しながら、深海棲艦を蹴散らしに掛かっている、巨大な電型ロボットがこっちに向かって来ている。

そして、警報音が鳴り響いた。

 

「岩沼鎮守府艦隊認識、進路妨害ト判断、破壊ナノDEATH」

 

『え………?』

 

「何なのあれ!?嫌な予感しかしないんだけ…………ブフォ!!」

 

そのロボットの物言いに、不愉快さを張り付かせながら言った足柄が吹き飛ばされた。

メカいなづまちゃんは、主砲を発射していた。

 

足柄は、数m後ろで目を回してプカプカ浮かんでいる。艤装も大破状態である。

 

「せ、戦闘開始!羽黒!岩沼鎮守府に連絡。『我、謎のロボットと交戦せり……』」

 

と言い掛けたところで、肩の発射筒からミサイルが発射された。

ミサイルは、那智をロックオンすると、ぐんぐんと速度を上げて向かって来る。

 

「わ、私か!?」

 

那智は一目散に逃げていくが、90式艦対艦誘導弾は、那智をロックオンしたまま逃さない。

 

「ホーミングしてくるんだが!?どうしろと!?」

 

那智は全速力で必死に逃げているが、ぐんぐん誘導弾は差を詰めている。

 

妙高は我に返ると、通信指示を続ける。

 

「『て、敵は誘導弾を搭載している』と!羽黒急いで!」

 

「は、はい!」

 

羽黒が、岩沼鎮守府に通信を終えたところで、那智は仲良く足柄と目を回してプカプカ浮かんでいる。

 

「ほ、砲雷撃戦開始!!」

 

妙高の指示に、

 

「ふ、ふぇぇ……」

 

「誘導弾相手にどう対処しろと……?」

 

「ああ、不幸だわ……」

 

三者三様に嘆きながら、メカいなづまちゃんと交戦状態に入った。

 

数分後、主任務を思い出したかのように、戦闘を中断して北上して行くメカいなづまちゃんを見送る妙高。

周囲には、気絶した僚艦がプカプカ浮いている。

 

――――――――

その頃、宮戸島鎮守府の直哉と艦娘達は、哨戒と執務をサボって、全員執務室で各々の長閑なひとときを過ごしていた。

直哉は、高級スピーカーのミニコンポで、最近ハマっているクラシックを流しながら、ブランデーを飲んでいて、

電は、お茶と羊羹を食べながら、宮戸島図書館から借りて来た佐伯泰英氏の『古着屋総兵衛影始末』シリーズを読んでいる。

そして卯月と子日は、

 

「今日は何の日ゲーム!」

「いえーい!」

 

「今日は何の日?」

「子日だよー!」

 

「明日は何の日?」

「子日だよー!」

 

「明後日は何の日?」

「子日だよー!」

 

「明々後日は何の日?」

「子日だよー!」

 

弥明後日(やのあさって)は何の日?」

「子日だよー!」

 

五明後日(ごのあさって)は何の日?」

「子日だよー!」

 

と、延々掛け合いをするのを薄雲が眺めている。因みに六日後からは、普通に六日後(むいかご)である。

そして、薄雲が外を見た時に何かがこっちへ飛翔して来るのに気づいた。

 

「皆さん、ミサイルが飛んで来てますけど?」

 

『え゛!?』

 

その直後だった。艦娘通信で、全員を気絶から叩き起こした妙高から、

 

『こちら、岩沼旗艦より宮戸島本部!宮戸島方面に、謎の()()()()()()ロボットが向かってます!どうぞ?』

 

と、通信が入ったのは……

 

「に……逃げろぉぉぉぉ!!!!」

 

直哉の号令と共に、慌てて執務室から飛び出す一同。

 

チュガッ

 

爆風で吹き飛ばされる、直哉と艦娘達。

 

こうして、宮戸島鎮守府と隣の艦娘寮は壊滅した。

直哉の買った、50万以上するオーディオと、電のローン支払い中の大型テレビと共に……

後図書館で借りた本も一緒に……大炎上中である。

 

「あ……ああ……電のテレビが…………」

 

「俺のオーディオが……」

 

がっくりと項垂れている二人に卯月が、

 

「今のは何だったぴょん!?鎮守府が大火事だっぴょん!」

 

と、燃え上がってる鎮守府と艦娘寮を指差す。

 

「取り敢えず、119番します」

 

冷静な薄雲。

 

周囲の民家からも、野次馬が出て来る。

 

「何だ何だ!?」

 

「深海棲艦の攻撃か!?」

 

「いや、深海棲艦じゃなくて海賊化した艦娘か!?」

 

消防車がやって来た頃に、漁師から謎のロボットが宮戸島に向かっている、とのさっきの通信を思い出して、漸く事態の状況を把握できた一同だった。

 

『明石か…………』

 

「ちょっと、その『電っぽい謎のロボット』ぶっ壊して来るのです。薄雲、卯月、子日従いて来るのです」

 

「了解」

 

「分かったぴょん」

 

「了解だよぉ!」

 

そう言うと、四人は艤装を展開して、海へと滑り出て行く。

 

「こちら、宮戸島本部カッコカリ。緊急、緊急。明石の作った物体が洋上で暴れて、トマホークらしきもので鎮守府が壊滅。至急来援を乞う!」

 

直哉は、軽トラに積んでいる艦娘無線機で各鎮守府に無線を発信して、増援を要請した。

こうして、メカいなづまちゃん対宮城連合艦隊との決戦が始まるのだった。

 




今回のお題「硫黄島要塞のとある一日」toshi-tomiyamaさん提供

→害獣深海棲艦討伐が日常化した硫黄島要塞……
ジレーネ出現以前の「緊張してた」日常から一変……
最前線ではあるものの……
長閑な日常に……

長閑さんは犠牲になったのだ、トマホークの犠牲に


Tips《現実世界の競馬(JRA)の最大払戻金》

3連単(1位~3位を順番通りに当てる)
2012年8月4日 29,832,950円

2回新潟7日5R メイクデビュー新潟(新馬)芝1,400メートル
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