金曜に複数投稿しないと言ったな。あれは嘘だ。
すみません、次の投稿は今度こそ月曜予定です。
宮戸島鎮守府は、メカいなづまちゃんの暴走によるトマホークミサイル攻撃で壊滅した……
ブチ切れた電は、艦娘達を伴って出撃したのだった。
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その頃硫黄島要塞では、明石と夕張が、メカいなづまちゃんによって破壊された壁をせっせと直していた。
一緒に
一応、建前上は明石のお目付け役なのだが、本人がその役目を果たす気が一切なく、面白いから、という理由で被検体になっている。
島風の艤装も速力がアップして、明石曰く『本気を出せば、主翼を付ければ離陸できる』程度の速度、と言われている。
そんな硫黄島トリオが壁面の修復に取り組んでいると、夕張は一つの疑問に行き着いた。
「ところで、明石さん」
「何ですか?」
「メカいなづまちゃんの弾薬って、どうするんですか?」
「ふふ、良い質問ですねえ」
手を止めて、夕張に向き直ると島風に、
「明石、作業を止めない。遅くなるよ」
とツッコまれ、再び壁面修復作業をしながら解説を始める。
「最近、私が編み出した三大理論により、メンテナンスフリーなんです」
「三大理論?嫌な予感しかしませんが、聞いてみましょう」
「自己修復、自己増殖、自己進化。今回、自己進化は予算の都合上省きましたが、自己修復で、燃料・入渠不要ですし、自己増殖で弾薬は勝手に増えて行きます」
「何か、デビルなんとかみたいな金属細胞ですね?」
「そう、そのデビルなんとかを参考にしました!夕張さんの、アニメライブラリからちょっと拝借しまして」
「いや!借りるなら借りるで、ちゃんと言って借りようよ!?って言うか、それ既存の艦娘に適用出来ないんですか?」
夕張がツッコむが、その横で島風が涼し気に、
「艦娘の艤装に適用できてたら、島風が実験体になってない、と思うな?」
と、然も当然のように答える。
「まだ艦娘の艤装には、適用する段階には至っていません、もっと研究を重ねませんことには……」
深刻そうな表情をしつつ、壁面を修復しながら、ふと明石は思い付いた。
「要塞の壁に自己修復機能付ければ、いくら壊しても治りますよね?」
「あんた!大概、壊さない方法考えろよ!?」
夕張のツッコミは、留まることを知らない。
結局、修理作業を中断して、自己修復機能を要塞に搭載することにした。
ものの数時間で、みるみるうちに壁面が修復されて行った。
「この一日半の作業は何だったんだ……?」
夕張は、がっくり項垂れた。
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硫黄島のお気楽トリオが呑気にしている同じ頃、宮戸島沖では激戦が始まっていた。
急行した女川鎮守府艦隊の軽巡棲姫、金剛四姉妹、陸奥が早速撃ち合いを開始していた。
と言っても、無尽蔵に発射される90式艦対艦誘導弾を、必死で撃ち落としている。
音速を超える飛翔体を落とすだけでも、神通の訓練が行き届いていて練度が高いのだが、攻撃ができていない。
メインターゲットの電は、女川艦隊の後ろに布陣しており、メカいなづまちゃんの周囲を、駆逐艦コンビが魚雷を撃ちながら、主砲を避けている。
魚雷はバシバシ当たるものの、自己修復機能で修復されているので、焼け石に水である。
子日はまだ練度が低いので、軽巡棲姫の後ろに隠れている。
「待たせたな!」
「魚雷は任せな!」
「素敵なダンスしましょう!」
長門が自慢の超大和砲を発射すると、メカいなづまちゃんに命中する。
メカいなづまちゃんは痛そうに蹌踉けるが、損傷箇所はじわじわと修復して行く。
「痛イノDEATH!ターゲット、長門、滅殺ナノDEATH」
長門をギロッと睨むと、VLSからトマホークを発射する。
トマホークは、一直線に長門に飛んで行って爆ぜる。
長門は、大爆音と共に吹き飛ばされるが、ざざっと立ち上がる。
一気に、中破まで持って行かれた。
「お待たせしました!」
「今度こそ仕留める」
「さっきのお返しよ!」
「はわわ……長門さんが一撃で……」
「また再戦ですか……」
「ああ……不幸だわ」
岩沼鎮守府艦隊が、緊急入渠を終えてやって来て、距離を取りながら砲撃戦に加わる。
ミサイルが必殺必中とは言え、同時に追尾できる対水上目標は二発までなので、ターゲットにされた艦娘を後ろに下がらせて、弾幕でミサイルを撃ち落とす、と言う艦娘ならではの戦法で乗り切っていた。
「待たせたな」
直哉が、モーターボートに乗って戦場に乗り出して来た時には、
最後の増援である気仙沼艦隊が、指揮艦搭乗の夏海と操縦の結有同伴でやって来た。
何れにせよ、自由裁量による無免許運転である。
「全艦爆撃用意!」
夏海が手を上げ振り下ろすと、加賀を中心に爆撃隊が発艦して、メカいなづまちゃんに殺到する。
「ESSM、サルボーナノDEATH。CIWS、AAWオートナノDEATH」
VLSから勢い良くミサイルが飛び上がると、殺到して来る爆撃機を次々と落として行く。
そして腕の連装ガトリングガンが、残った爆撃機を次々と破壊して行く。
「マジで!?」
「あんなのどう倒せばいいのさ!?」
唖然とする夏海に、安全な位置で指揮艦を停める結有。
直哉が、モーターボートから通信で指示を出す。
『しょうが無いね。間断なく攻撃を仕掛けながら、薄雲と武蔵はこっちに来てくれ』
じわじわと修復しながらも、傷は拡大しつつあるメカいなづまちゃん。
電も、薄雲の代りに前に出て、速度で自分のパクリ、もといテレビの仇を翻弄する。
宮城連合艦隊が総力を結集して攻撃をしている中、武蔵と薄雲は直哉のボートのそばまで来ていた。
「どうした?高菜提督」
「どうしました?直哉」
二人がやって来ると、直哉はメカいなづまちゃんの頭部を指差す。
「たぶん、頭部に重要部分が詰まってると思うから、
結局、最終兵器投入である。
二人は頷くとアンカーを下ろして、武蔵がそのまま後ろから抱き付いた。
それを確認すると、直哉はモーターボートを夏海達のいる位置まで移動させる。
「やあ、お嬢さん達。ちょっと、全部の航空機を出してもらえないかな?」
直哉が指揮艦に移乗して、モーターボートと連結させると夏海に声を掛ける。
「それは構いませんが、航空機はCIWSで……あっ」
夏海は、アイキャンフライ砲を展開している薄雲に気づいてしまったのだ。
それを見ると、頷いて加賀に、
「噴式航空機含めて全機発艦、一発でもいいから当ててください!」
「了解しました!」
「行きます!」
「やるわよ、翔鶴姉ぇ」
「ええ、瑞鶴」
四人の空母艦娘が、同時に弓を引き絞って航空機を全機放つ。
その直後、カウンターで飛んで来た90式艦対艦誘導弾を食らって、加賀が派手に吹き飛ばされる。
「加賀ぁぁぁっ!!!」
三笠が、慌てて加賀を救助に向かう。
「お願い!」
「一矢だけでも……」
「当たって……」
残った艦娘達の期待空しく、艦載機は皆CIWSにより墜とされて行く。
「駄目なの……?」
大鳳が、ぐっと目を閉じて顔を背ける。
次々と航空機が墜とされている中、前線の艦娘達も奮闘している。
「今です。敵が、航空機に気取られている間に、肩のロケット発射口を潰しましょう!」
前線で、細かい指揮を執っている軽巡棲姫の号令で、ピンポイント攻撃が加えられる。
「アウッ!滅殺ナノDEATH!殲滅ナノDEATH!」
三鎮守府の連合艦隊がロケット発射口を潰した時、再びトマホークが発射される。
やはり狙いは、軽巡棲姫である。
「軽巡ちゃん!」
その間に陸奥が割って入り、陸奥は吹き飛ばされる。
それを、金剛四姉妹が救助に向かう。
その間、岩沼鎮守府の妙高四姉妹と扶桑山城が砲撃を加えて、注意を自らに逸らす。
「ミンナ殲滅ナノDEATH!」
メカいなづまちゃんは、怒りの主砲乱射を放つが、だんだん狙いが外れて行く。
蓄積されたダメージが、明石の計算を超えてだんだん溜まって行ったのである。
「死ヌノDEATH」
それでも、再びトマホークを発射すると、今度は妙高に向かって飛んで行く。
「妙高!!」
「ここは私達が!!」
扶桑と山城が前に出てトマホークを受け止めると、二人は宙を舞って海面に叩き付けられる。
それを、妙高四姉妹が救助に下がった。
そう。電以外、近接距離から居なくなった瞬間だった。
「電。滅殺ナノDEATH」
電に、主砲を向けた時だった。
「準備完了、視界オールクリア」
「アンカーロック完了。やれ!薄雲」
「80㎝三連装砲発射!」
ズガァァァン!!!
ズガァァァン!!!
ズガァァァン!!!
薄雲とメカいなづまちゃんの間がクリアになった、その瞬間を逃さずに、薄雲がトリガーを引いた。
「ぐうううっ!!!」
腹部にダイレクトに来る反動で、武蔵の身体に激痛が走るが、奥歯をぐっと噛み締めて堪える。
砲弾は二発が外れたものの、一発がメカいなづまちゃんの頭部に命中し、メカいなづまちゃんの頭が吹っ飛んだ。
「うわぁ」
紛い物とは言え、自身の似たものの頭が吹っ飛ぶ姿を間近で見た電は、複雑な気持ちだったものの、
そのまま弾薬に誘爆を起こし、爆発しながら沈んで行く、メカいなづまちゃんを見ながら呟いた。
「本物は、電だけなのです」
完全にメカいなづまちゃんが爆沈した頃には、夕方になっていた。
皆ボロボロで、ぐったり疲れ果てていた。
「武藤提督、ミッション完了だ」
長門が、自身の提督である武藤二佐に作戦終了を伝えると、
『おお、皆南三陸に来なさい。高速修復材と夕飯をたっぷり用意して待っているよ』
と言う通信が、全艦に入って来る。
その武藤二佐の穏やかな声を聞いた皆は、「ああ、終わったんだ」と、実感したのだった。
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数日後。
「……という訳で、修理代と鎮守府再建費用は皆、君のところに回しておくよ」
『まあ、良いデータが取れましたし、修理代はこちらで。それに、七原准将にもこってり絞られましたし』
『宮戸島鎮守府仮庁舎』と言う名の自宅リビングで、直哉は硫黄島要塞の明石に電話を掛けていた。
「全く、電はかなり怒ってたよ。『何で電モデルなのですか!?』って、武藤レストランで皆に愚痴ってたよ。テレビもオーディオも、皆灰になってしまったし」
『まさか、暴走するとは思わなかったんですよ』
「どうせ、君のことだから懲りないだろうけど……」
そう言いながら、リビングで寛いでいる四人娘を見遣る。
艦娘寮が炎上してしまった為、子日も高菜家で暮らすことになったのだ。
電を代表に、「鎮守府が再建できるまで、仕事はしないのです」と言う、ストライキ宣言の下サボっているが、
直哉だけは、焼け跡から
結局轟沈艦は出なかったものの、宮城県の保有戦力の半分を損傷させる、と言う大惨事になってしまった為に、
各報告書も山のごとしである。
特に鎮守府壊滅の一件では、消防車を出す事態になり、東松島消防本部や宮城県警本部には顛末書を差し入れることになったのだ。
現在、新鎮守府は焼け跡の片付けを終えて、建設中である。
とは言え、また急拵えのコンテナハウスなので、数日中には完成するだろう、とは大工の親父さんの言葉である。
今度は、テレビとオーディオは据え付け型にしてもらい、全ての費用を明石に請求した。
結局明石は、それを大貫財産から支払う羽目になった。
漸く落ち着いた直哉は、子日を売ったブラック鎮守府に対する調査を、四国警務隊長足立秋也一佐に依頼した。
そんな子日は、電達と共謀して同居している今だからこそと、ある企みを実行に移すことになるのだが、ブランデーを飲みながら足立秋也に電話している直哉には、知りようもなかった。