艦隊が一つ減り、ローテーションに影響が出始めた横須賀鎮守府……
その対策は……
■注意■
いつも以上にツッコミ役の夕張さんが壊れてます。
轟沈(?)あり。
いつも以上にカオスです
「とうとう完成しましたぁ!!」
硫黄島要塞研究所改め硫黄島科学要塞研究所の所長、明石が叫んだ。
「はいはい、今度は何ですか?」
夕張が、上階の夕張ラボから降りて来た。
「第13艦隊が抜けたことで、哨戒に穴ができたのでその代替となる艦娘を制作しました」
「また今度は、大騒動にならないでしょうね?」
「
明石ラボの真ん中に鎮座しているのは、電型の艦娘である。
「これは?」
「良く聞いてくださいました!アルティメットいなづまちゃんです」
「あんた!電に、何か恨みでもあるんですかねぇ!?」
ツッコミを入れる夕張。
「まあ、このアルティメットいなづまちゃんは、外付けフルアーマーパーツにより、戦艦並みの火力と、駆逐艦並みの機動力と、水雷艇ならではの雷装と、ついでに航空機発艦装置も付けました」
「それ、レ級じゃねえ!?」
「弱点は装甲ですが、最新の三大理論の二つ、自己修復・自己増殖で補ってます」
「嫌な予感しかしないんですが……」
「まあまあ。外装パーツを取り付けましょうか?」
そう言うと、クレーンで何処かのオーキスユニットみたいな外装パーツを、アルティメットいなづまちゃんに取り付ける。
がしょん、と取り付けるとフルアーマーアルティメットいなづまちゃん(以下いなづまちゃん)が起動する。
「なのDEATH」
「おお、起動しました!」
「ちょっと待てあんた!起動しましたって、不確かな物体創り上げたんかい!?」
いなづまちゃんは、ニコニコと『なのです顔』をしている。
起動したことに驚いている明石に、夕張はハリセンで叩きながら突っ込む。
「それでは早速、性能試験に行きましょう」
「は、はぁ………」
夕張は、頭痛がする思いだった。
もうこんな職場嫌だ……そう思いながらも、律儀に従っている。
硫黄島沖で、
「だから、何でいなづまちゃんなんですか!?」
「面白いからですよ」
本人が聞いたら、きっと気を悪くするだろう。そう思いながら、いなづまちゃんが出撃するのを見守る夕張。
フルアーマーユニットの背部ファンにより、駆逐艦並みの速力を出せる、小さな体に大きな艤装。
見るからにアンバランスな姿に、夕張は不安を覚える。
「それでは戦闘開始!」
量産型メカいなづまちゃんは、
「滅殺ナノDEATH」
と言いながら近づいて行くが、いなづまちゃんがフルアーマーユニットからにょきっと出ている、51㎝砲を容赦なく発射する。
ズドォン
その砲撃音と共に、量産型メカいなづまちゃんの一体が木っ端微塵になる。
それを見ながら、夕張は思った。
(この、量産型メカいなづまちゃんとやらで艦隊作ればいいんじゃないか?)と。
次に右側のコンテナが開いて、九九式艦上爆撃機が無数に出撃する。
そして、爆弾を抱えたまま体当りして行く。
「特攻かよ!?」
「はい。AIによる制御なので、代わりはいくらでも居ます!」
「いや、艦爆の役目果たせよ!?」
「普通に、爆撃も出来ますよ?」
「だったら最初からやれよ!?」
「あ、でもこの艤装、着艦できませんよ?」
「最初から犠牲前提かよ!?」
明石と夕張が漫才を繰り広げている中、量産型メカいなづまちゃんは次々と木っ端微塵にされて行く。
「さあ、次は雷装ですね」
「あの、魚雷発射管が見当たらないんですが………」
「ああ、これです」
左側のコンテナが開くと、ロケットが発射される。
ロケットが、ヒュルヒュルと上がって行き、パラシュートで魚雷が舞い降りて来て、
着水して少し立った後、足下で爆発を起こし、量産型メカいなづまちゃんが木っ端微塵になる。
「
「はい、対潜水・対水上誘導魚雷です」
「無駄に高性能だな、おい!?」
「では今度は、防御性能を試しましょう」
そう言うと、量産型メカいなづまちゃんが一斉に主砲を発射する。
ドゴォン!
「あうっ!痛いのDEATH!殺されるのDEATH!」
ボコボコにされるいなづまちゃんだが直ぐに自己修復で、受けたダメージを回復して行く。
「とでも、思っていたのかDEATH!」
その様子を見て、夕張は感心する。
「おお、これは入渠要らずですね」
「今回は、破片が一片でも残っていれば復活しますので、大丈夫です」
「それは経済的ですね。恐るべしアルティメットいなづまちゃん細胞……」
――――――――
時間は遡り……
宮戸島沖に沈んでいるメカいなづまちゃんは、
そう。取り外し忘れた自己進化機能で、ゆっくりと進化しながら海中で修復をしていた。
「硫黄島要塞ニ敵ガ居ルノDEATH 破壊ナノDEATH 滅殺ナノDEATH 皆殺シナノDEATH」
洋上に現れた、禍々しい姿に変貌したデビルメカいなづまちゃんは、丁度進行方向にいた岩沼鎮守府の艦娘達を蹴散らしながら、南下して行った……
「どうして、私達ばっかりこんな目に……ああ、不幸だわ……」
妙高は、山城の口癖で嘆きながら、気絶している僚艦に浮き輪を取り付けつつ、南下して行くデビルメカいなづまちゃんを見送っていた。
――――――――
「ところで私思ったんですけど、量産型メカいなづまちゃんで艦隊を組むのは駄目なんですか?」
「えっ?」
「『えっ?』って何ですか?」
そんな事考えもしてなかった、と言う態度に、夕張は絶句していた。
取り敢えず、いなづまちゃんは量産型メカいなづまちゃんを、次々と片付けていた。
「殲滅完了なのDEATH。お腹が空いたのDEATH」
ざざっと二人の目の前に戻ると、食事を要求するいなづまちゃん。
「ああ、普通に空腹にはなるんですね?」
「はい。ちょっと人間っぽさも欲しいかな?と取り入れてみました」
「そうなんですね、ちょっと可愛いです」
「今回のいなづまちゃんは、電に近づけてみました」
そう言うと三人は、ザザーッと要塞に戻って行った。
「美味しいのDEATH」
硫黄島要塞の食料合成プラントをフル稼働させて、助手型メカいなづまちゃん達が次々と運んで来る食事を、バクバク食べているいなづまちゃん。
フルアーマーユニットは、ウェポンラックに掛けてある。
「どんだけ食べるんですかねぇ……?」
そんな大食漢ぶりを、唖然として見ている夕張に、明石は平然と、
「そうですね。
「それ、財政傾くじゃねえか!?食料合成プラントでよかったよ!!」
答えるのに、夕張はいつもどおりにツッコんでいた。
食事を終えると、じーっと夕張を見る。
「えっ?」
「デザートなのです」
「えっ、アッー!」
夕張は、ベッドルームに連れ込まれると、メチャメチャ愛された。
――――――――
数時間後。
「いやあ、酷い目に遭いましたよぅ」
そう言いながらも、顔を赤らめていなづまちゃんと共に出て来る夕張。
いなづまちゃんも、満足そうに夕張に寄り添っている
「メロンちゃんのダブルメロンを堪能したのDEATH」
その直後、硫黄島科学要塞研究所に艦娘通信が入って来る。
第12艦隊からである。
「こらぁ!硫黄島要塞!返事しなさい!」
第12艦隊旗艦の叢雲である。
「はいはい、こちら硫黄島要塞ですよ?」
明石が通信に出る。
「あんた等が開発したと思われる、禍々しい巨大電型ロボットによって、哨戒中の第12艦隊壊滅、全員大破して漂泊中。今第11艦隊に救援を求めたわ。ロボットはそっちに向かったわよ!」
「えっ、あれは沈んだ筈……まさか……自己進化機能!?」
「やっぱりあんた等か!?そっち行ったから、自分達で何とかしなさいよ!以上!」
ブツッと、通信が切られた。
「あの、自己進化機能って、何ですかねえ?」
顔面蒼白になっている明石に、夕張が顔を覗き込む。
「実は……あのメカいなづまちゃんから、自己進化機能を取り外すのを忘れてまして……
「あんた!碌でもない機能付けたな!?」
「しょうもないマッドサイエンティストなのDEATH」
いなづまちゃんと夕張が、ゲシゲシと明石を蹴る。
「痛い!!やめて!!変なのに目覚めてしまいます!!」
「ええい!やかましい!」
「なのDEATH!」
明石はボコボコにされてから、ヨロヨロと起き上がる。
「そ、それはともかく迎撃しないと……」
「私も出撃します、一応軽巡なので」
「いなづまも出撃するのDEATH。夕張はいなづまが守るのDEATH」
「いなづまちゃん……」
「帰ったら、またご褒美のダブルメロンを堪能するのDEATH」
「そっちかい!?」
そんな夫婦漫才をしながら、夕張といなづまちゃんは出撃して行った。
因みに、島風は休暇で不在である。
――――――――
現れた、デビルメカいなづまちゃんに対峙している夕張といなづまちゃん。
そして、緊急入渠して救援に駆け付けた叢雲と共に、三方から半包囲している。
ミサイル系を、要塞からのシースパローで無力化している間に、三隻の艦娘はちまちまと傷を与えて行く。
「九九式艦上爆撃機出撃なのDEATH!」
無数の艦爆が、上空から爆弾を落とすが、焼け石に水で直ぐに回復して、装甲が強化してされて行く。
「これ、対処しようがないじゃない!?」
叢雲が、何度も魚雷を放ちながら叫ぶ。
夕張が、至近で主砲を放とう、と接近した時だった。
「危ないのDEATH!」
デビルいなづまちゃんの主砲が、夕張を捉えていた。
それをいなづまちゃんが、ブーストダッシュで夕張を突き飛ばして庇った。
チュガッ!
フルアーマーユニットが木っ端微塵になり、通常艤装になったいなづまちゃん。
通常艤装は自己修復で回復したものの、フルアーマーユニットには自己修復機能が付いていないので、回復しない。
「いなづまちゃん!」
「夕張は、いなづまが守るのDEATH」
そう言うと、ウェポンコンテナの中に入っていた、唯一生き残った武器である、巨大爆弾を担いで突っ込んで行く。
「メロンちゃん、愛しているのDEATH!サヨナラなのDEATH!」
「いなづまちゃああああああんん!!!!」
「た、退避ぃぃぃ!!!!」
叢雲は、慌てて夕張を引っ張って要塞に飛び込んで行く。
チュガッ
きのこ雲と爆風と共に、デビルメカいなづまちゃんは
因みに、要塞はバリアで無事だった……
「あ……ああ………いなづまちゃあああああああああん!!!!」
夕張の悲痛な叫びが、硫黄島要塞に木霊した。
――――――――
数日後………
「夕張、今日の作業は終わったのDEATH」
「ああ、ありがとう、いなづまちゃん」
いなづまちゃんは、生きていた。
巨大爆弾を投げ付けると、いなづまちゃんも全力で退避していたのだ。
あの後、爆沈確認に出た叢雲が、見るも無残なボロ雑巾のような姿で浮かんでいるいなづまちゃんを発見したのだ。
直ぐに要塞に引き上げられ、それに縋り付いておいおい泣いている夕張を余所に、いなづまちゃんはゆっくり自己修復して行き、元通りになったのだ。
「ただいま、なのDEATH」
「いなづまちゃんのバカ!もうさよならなんて言わないで!」
「ごめんなさいなのDEATH。これはお詫びの……」
にこりと、いなづまちゃんは夕張の涙を指で拭うと抱き寄せて、濃厚なキスをした。
「んぅ……」
「んっ……」
そんな二人を見ながら、明石は朗らかに宣言した。
「これにて、一件落着ですね?」
「綺麗に纏めようとしてるんじゃないわよ!?」
それにツッコんだ叢雲の叫びが、要塞に木霊した。
結局、新しい艦隊にいなづまちゃんは配属されなかった。
夕張が全力で拒否したのだ。
「アルティメットいなづまちゃんを側に置いてくれなかったら、私退職します」
との脅迫付きで。
結局第13艦隊の代理は、量産型メカいなづまちゃんで賄うことになった。
旗艦には叢雲がスライドで着任して、第12艦隊は別の艦娘が旗艦になった。
最初から、量産型メカいなづまちゃんとやらを配属すれば済む話、なのである。
しかし、デビルメカいなづまちゃんが復活した為、結果オーライではあるが……
今日も、叢雲と量産型メカいなづまちゃんの第14艦隊を含む横須賀鎮守府艦隊は、関東の海の平和を守っている。
「今日も哨戒に行くわよ!」
『了解ナノDEATH!』
だが、海の平和は長く続かないだろう。
第二、第三のデビルメカいなづまちゃんが復活するかもしれないのだ。
その時は、おそらく多分きっと、直哉達や愛達が迷惑を被るだろう。
そして明石は、デビルメカいなづまちゃん騒動の一件で、減給処分になったのは言うまでもない。
そんな中。
夕張とアルティメットいなづまちゃんは、着実に愛を育んでいる。
そんなラブラブっぷりを、延々と見せ付けられる明石と島風には、目の毒である。
「はい夕張、あーん、なのDEATH」
「あーん、ぱくっ」
「コーヒーが甘く感じますね」
「全くだよ」
こうして硫黄島要塞に、また一人珍妙な仲間が加わった。
今日のお題「横須賀鎮守府の艦隊再編」toshi-tomiyamaさん提供
→「不敗の女神」大和二佐率いる第13艦隊が室戸に異動……
艦隊が一つ減り、ローテーションに影響が出始めた横須賀鎮守府……
その対策は……
ど う し て こ う な っ た(汗
今回のモチーフ「デビルガンダム」