「愛ちゃんには、LINEで連絡して二次会は遠慮させてもらうことにしたよ。ここからは、一度戻って着替えたらカップルで自由行動をしていいよ。飲酒と問題だけは起こさないようにね?」
『はーい!』
皆のクリスマスは、ここから始まるのだ。
皆で旅館に戻って私服に着替えたところで、直哉は中学生カップルズに、
「私達は今夜、帰って来ないから、皆それぞれで三部屋使っていいよ」
『はーい!』
カップルズが、手を上げて答える。
これは事実上の、カップル同室許可である。
「夕食を外で食べると思ってキャンセルしてるから、旅館で夕飯食べるなら、フロントに連絡してね?」
『はーい!』
これは、史絵が手を上げた。
――――――
圭一と史絵は、あまりデートをしたことがなかったので、
旅館デートと洒落込むことにした。
お互い、旅館の浴衣でのんびり寛いでいる。
「そう言えばさぁ?」
圭一が切り出す。
「三島のヘッドに会ったんだって?ごめんな、怖かっただろう?」
その言葉に、史絵は笑みを浮かべて首を横に振った。
「ううん、いい人だったです。真面目に考えてくれて、『圭一を待ってな』って」
「そっかぁ…………ああ見えて、ヘッドはオレのことを考えててくれて、『扶桑咲花と言う花を、大輪の花に咲かせるのはお前だけだ』って」
「…………」
その言葉に史絵は照れてしまい、言って良い言葉が見つからずに顔を赤らめる。
「そうだ、新しい小説ってどんなんだ?」
「艦娘をモチーフにしたんです、東京島嶼部に任官された小柄な提督『高梨 湊』という提督と艦娘による物語で、今回は連載物の予定です」
「そっかぁ。史絵、改めて訊くけど、俺とお前、釣り合ってるか?」
その問い掛けに、史絵は慈母のような優しい笑みを湛えた。
「釣り合ってますよ、最初から。私にとっては、大番長原 圭一は
その言葉に、圭一は顔を赤らめる。
「そ……そうか?」
圭一は手のやりどころがなく虚空を摑んだり、右往左往させていたが、決意を固めると史絵の隣に座って抱き寄せた。
「きゃ……圭一」
「史絵、どこにも行ってしまわないでくれ、俺と一緒にいてくれ。だから俺は頑張る」
「突然どうしたの?圭一?」
「いいか、俺より先に死ぬな。俺よりずっとずっと長生きしてくれよな?」
「突然の『亭主関白宣言』ですか?」
その不器用な愛情に、ふふっと笑いながら圭一を抱き締める。
その柔らかい胸が圭一に当たって、圭一は顔を真っ赤にする。
そんな圭一の反応を、史絵は愛おしく感じていた。
「…………あの、さ?」
「何です?圭一」
「俺達、婚約者……でいいのか?」
その気の早い言葉に、史絵は堪え切れずに笑ってしまう。
「ふふ……うふふふふ」
「何だよぉ?」
「私からのクリスマスプレゼントは、これです」
一旦離れると、カバンからリングピローを取り出して蓋を開ける。
「ケッコンカッコカリリングです。人間用に明石さんが改良したもので、カッコカリの段階では子供が生まれなくなるそうです。圭一ったら突然したいって言い出して、今までヒヤヒヤものだったんですよ?」
少し顔を赤らめながら、腰に手を当ててお説教ポーズをする史絵。
今までは、ギャルズ達がたくさん持っているモーニングアフターピルで何とかなっていたのである。
「クリスマスプレゼントです、受け取って…………いただけますか?」
事実上の
「もちろんだぜ!」
「それじゃあ、付けてください、圭一」
「おう!」
圭一は、リングピローからケッコンカッコカリリングを取り出すと、史絵の左手を取って薬指へそっと填める。
「それじゃあ、私も…………」
史絵も、リングピローからケッコンカッコカリリングを取り出すと、圭一の左手を取って薬指へそっと填める。
銀色の指輪は、キラキラと輝き始めている。
「愛情がある限りは取れないし、輝き続けてるんですって」
「そうか!俺達好きあってるんだな!?」
「うふふ、そう言うことです。今度、三島ヘッドに報告に行きましょう?」
「おうっ!」
元気良く答える圭一に、史絵はふふっと笑いながら抱き締める。
圭一はやんわり離れると、荷物からラッピングされた箱を取り出す。
「ほい、プレゼントな」
「有難うございます、何が出て来るかな……?」
ラッピングを開けると、AppleMagicMouse2の箱が中に入っている。
史絵は、目をまん丸くする。
「え、こんなに高いものどうしたんですか?」
「うん、小遣い貯めて買った。ヘッドの知り合いの電機屋店員に、従業員割引使ってもらって」
「今、一番欲しかったものです……ううん、二番めかな?」
「一番は?」
「もちろん、圭一です、うふふっ」
そう笑いながら、史絵が抱き寄せると唇を重ねる。
「んっ……」
「んぅ……」
そっと離れると、圭一はゆでダコのように真っ赤になっていた。
「あ~……甘いデートはここまでだな?」
「えっ?」
キョトンとする史絵に、圭一はカバンから勉強道具を取り出した。
「ここからはお勉強デートだぜ」
「ふふ、そうですね。圭一には頑張って「東京晴嵐男子学校中等部」の編入サバイバルマッチに勝ち残ってもらわないといけませんからね?」
「おうよ!」
夕食まで、一生懸命勉強する圭一と、執筆しながら勉強を教える史絵の姿があった。
――――――
「かんちゃん、なんかデートプランあるぅ?」
「海を見に行かない?見慣れてるだろうけど」
「いいよぉ?」
ぽふっと頭を撫でる優花。
実は、寛太は背が低いので優花の方が背が高い。
手を繋いで、海に向かって歩く。
埠頭に二人腰を下ろすと、寛太がポツリと呟く。
「優花ちゃん、僕でよかったの?」
「もぉ、良いから告白を断らなかったんだよぉ?」
「そ、そうだったんだ……」
「優花も選ぶ権利はあるよぉ?そんな寛太にはこれだぁ」
寛太の左手を取ると、ポケットから取り出したケッコンカッコカリリングを左薬指に填める。
もう既に、優花の左手薬指にはカッコカリリングが填まっている。
銀色のリングは、キラキラ輝いている。
「うふふ、これでかんちゃんは逃げられないよぉ?」
「逃げられないよぉって?」
「優花と結婚するの。優花もお姉ちゃんと一緒で嫉妬深いから、他の女の子に浮気したら……」
「したら?」
「お家に閉じ込めちゃうっ♪ぐるぐる巻きに縛っちゃうっ♪」
「し、しないよ……僕だって優花ちゃんだけだよ!」
ちょっと物騒な会話が交じるのは、姉妹だからか?
「この指輪って、子供ができなくなる効力もあるんだって、カッコカリの間は。かんちゃんが結婚できる日になったら、解除しようね?」
「うんっ!」
「うふふ、優花幸せぇ」
優花は寛太に凭れ掛かり、寛太はそれを抱き寄せる。
「そうだ、僕からもプレゼントがあったんだ」
「ん?プレゼント?」
「うん、これ………」
ラッピングを開けると、ネックレスケースが入っていた。
中身は、鍵デザインのネックレスと、錠前デザインのネックレスのペアネックレスだった、
優花には、錠前のネックレスを付けてあげる。
「これ、この前の仙台のデートで……」
「うん、買っちゃった」
「あれ、1万円以上したけど大丈夫だったの?」
「お小遣い貯めたのと、お母さんに前借りしたので買っちゃった」
「もぅ……かんちゃんったら。お礼にちゅーしちゃう」
そう言うと、唇を重ねる。
「んぅ……」
「んっ……」
こっちのカップルはキスは日常茶飯事なので、二人共えへへっと笑う。
「かんちゃん」
「なぁに?」
「優花ねえ、キスより
「……うん」
「旅館に戻ろ?」
「うんっ!」
こうして二人は、旅館に戻って行った。
二人して圭一達のところに行って「エッチってどうやれば良いんですか?」と史絵訊いて、二人を赤面させたことはご愛嬌である。
――――――
「♪~」
慎とギャルズ達は、カラオケボックスでデートしていた。
「望超うまいな」
「それな」
「だね」
歌の上手い望はレパートリーも広く、最新の歌から、演歌まで歌える。
望曰く、ばあちゃんによく連れて行ってもらった、らしい。
歌い終わったところで慎が、
「そろそろ、プレゼント交換会しようかね?」
『はーい!』
三人は、揃って同じものを取り出した。そう、ケッコンカッコカリリングである。
「おい、お前等まさか……?」
「ハーレム確定な感じ?」
「それな」
「うん」
「いや、俺も同じものを用意してたんだよ」
『………』
全員が顔を見回すと、皆なでお腹を抱えて笑い出す。
「このリング、チョーすごいんだよ?避妊効果もあるから、コンドーム無しでできるね?」
「それな」
「うん」
「アホかお前等?コンドームは、避妊だけじゃないだろ?」
ぺしぺしぺしと突っ込む。本日は、プラバットは持参していない。
四人同時にリングピローを開けた瞬間、キラキラと輝いて皆の左薬指にリングが填まっていた。
ケッコンカッコカリリングが……
皆、強い霊子を感じるようになっていた。
「おお……何か力が漲るな」
「四個分のリングな感じ?」
「それな」
「うん」
「そう言えば、訊いときたかったんだが、俺で本当に良かったのか?」
「どういうこと?慎」
「それな」
「うん」
「なし崩しで付き合うようになって、俺もお前等も告白してねえだろ?」
『あっ』
「だろ?もうね、アホかと、馬鹿かと。と言う訳で、ケッコンカッコカリもしたことだし、言わせてもらうわ。俺達は
『うん』
「事実婚ってことになる。苦労を掛けるかもしれないが、それでいいか?」
『うんっ!』
「と言う訳で、遠慮なく封印を解除できる訳だ」
「えっ?」
「慎……?」
「櫻子達を孕ませたいの?」
「アホか!?」
また、ぺしぺしぺしっと頭を叩く。
「ちげえよ。俺の親とお前等の親の許可をもらって、親父が大家の、俺ん家の隣の空き家の使用許可が出たぞ。生活費として、当面仕送りも出る。まあ、現物支給だけどな?」
「同棲開始!?」
「まじで!?」
「おお!!」
その同棲宣言に、歓喜の声を上げるギャルズ達。
「指輪の開封条件は、俺を含めて全員、高校を出ること。そしたら俺は就職する。お前等も就職になるな。お前等の18の誕生日に開封だ。オレが中学出るまでは、親とお前等に養ってもらうことになるが?」
「うんうん、養っちゃう!高校も最低ランクだけど頑張る!」
「それな、バイトもするよ?」
「うん。三人で協力すれば、生活できる」
養育宣言に、慎はニッと笑って、
「さて、お前等の告白も聞かせてもらおうか?それな、とかうんとかはなしな?」
そう言うと、望から真面目な顔になって話し始める。
「あたしは慎の優しさに惚れて好きになったけど、今はドSの慎がもっと好き!」
「…………おいっ!」
「やんっ」
謎の告白に対し、望の頭をべしっと叩く慎に、声を上げる望。
「私も、飄々としてる慎が好き」
奈緒子も、真面目な顔で告白する。
「三人で慎を愛そうって決めたから、三人分の愛を受け取ってね?」
櫻子も真顔で言うと、三人が慎に飛び付いて、抱き付いた。
「おわっ」
「旅館戻ったらシよ?」
望が耳元で囁くと、慎はふふふっと笑い始める。
「元からそのつもりだよ?師匠が帰って来ねえってことは、そう言うこった」
『お~』
そうして四人は、カラオケボックスで散々歌い捲ってから、仲良く旅館に帰って行くのだった。