宮戸島の提督と仲間達のお気楽日記   作:SAMICO

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最初で最後の電達の6隻編成!


INSANE~反逆の硫黄島要塞②~

編成を終えた連合艦隊は、ビスマルクを旗艦にお台場鎮守府を出撃していた。

 

指揮艦に搭乗するのは直哉に愛、それに明石の三人。

艦隊陣形は第二警戒航行序列で、慎重に進んで行く。

 

最後の補給地である青ヶ島補給基地で補給を行った後、一同は硫黄島へと艦隊を進めて行った。

北硫黄島に差し掛かった時、偵察を行っていた伊勢から通信が入った。

 

『高菜提督、敵艦見ゆ、クラーリン艦隊を発見』

「く……クラーリンだと!?」

 

一瞬絶句した直哉の言葉に、愛は苦々しい顔をする。健太を連れて来なくてよかった、と。

 

「おそらくは、鹵獲したクラーリン級深海棲艦を(アルティメット)いなづまちゃん細胞で複製(コピー)したんでしょう」

「その可能性は大だな。あの『無敵艦隊』クラーリンを強化した存在だ、と言うのはかなり骨が折れるな」

 

直哉の言葉に、愛もコクリと頷いた。

 

 

――――――――

「クラーリンなのですか」

 

伊勢から入って来た報告を受けながら、電は思案の後、

 

「突破するしかないのです」

『わかっている。全艦、対水上戦闘用意!』

 

直哉の号令で、全員構える。

まずは伊勢、鳳翔、レ級の航空攻撃が行われる。

艦爆・艦攻中心の編成で、クラーリンに接近して行く。

その時、異変が起こった。

 

ヴイイイイイイイイイン!!!

 

クラーリンの腕からニョキッと現れた30㎜対空機関砲の弾幕で、次々と艦載機が撃破されて行く。

 

「拙い、CIWSですか!!」

「くっ」

「へぇ〜」

 

伊勢の叫びに、鳳翔が愛機が撃墜されて行くのに目を背ける。

レ級だけは、ニヤッと笑って前進する。

何とか残った数機が爆雷撃を行い、クラーリンを傷つけるも、すぐに再生能力で回復して行く。

 

「面白いじゃん」

 

好戦的なレ級が舌舐めずりをすると、北上と大井が前進する。

 

「次は、雷撃よ!」

「大量の雷撃で」

「シネ!」

 

北上と大井、それにレ級の先制雷撃で、クラーリンの一隻を集中して狙う。

 

「グアアアアアアアア!!!」

 

クラーリンは叫びと共に、木っ端微塵に砕け散った。

…………筈だった。

 

 

砕け散った残骸が、元に戻って行く。

そして、再びクラーリンの姿に戻っていた。

 

「え、マジ!?」

「冗談でしょう!?」

 

驚愕する北上と大井に、レ級は態とらしく大きな溜め息を吐いた。

 

「再生機能とか、はー、くっそ」

 

次に砲雷撃戦が始まる。

アイオワとビスマルクが中心となって、鶴翼陣で半包囲してクラーリンの一隻に集中砲火を浴びせ、粉微塵に砕く。

 

「グアアアアアアアア!!!」

 

クラーリンは、叫びと共に木っ端微塵に砕け散った。

 

そして、砕け散った残骸が元に戻って行く。

 

「電、雷撃よ!」

「完全に粉々にするのです!」

 

ビスマルクと電を中心にして、粉々になった戻りかけたクラーリンに雷撃を直撃させる。

クラーリンは爆炎と共に燃え上がり…………

 

「やったの!?」

「ダメだったのです」

 

そして、再びクラーリンの姿へと戻って行った。

 

「…………ダメなの!?」

 

ビスマルクが、ぐっと拳を握りしめた時だった。

 

『薄雲さん、アイキャンフライ(80㎝三連装)砲に搭載されてる#3弾を装填してください!』

 

明石から、叫ぶような通信が入って来る。

 

「それは、#3弾薬庫……テルミット・アドバンス弾を使用せよ、と言うことですか?」

『はい。細胞を残さず焼き払えば、消滅できる筈です!』

「使用は構わないのですが、海面が蒸発して水蒸気爆発が起こりますが、よろしいですか?」

『はい!責任は全て私が……』

 

そう言い終わる前に、直哉の言葉に変わる。

『私達が取ろう、テルミット・アドバンス弾装填』

『各艦緊急後退、宮戸島艦隊はフォーメーションF!』

 

直哉の装填指示と同時に、愛が艦隊全艦の緊急後退と、アイキャンフライ砲による四隻での緊急後退フォーメーションを指示すると、薄雲は真ん中の砲身(バレル)を伸長させて、スコープを覗き込む。

 

「目標、敵陣中心……」

 

薄雲が迫るクラーリン艦隊に照準を向けている間に、ビスマルクが、

 

「全艦急速後退!尤もらしく逃げるわよ!」

了解(ラジャー)!』

『わー!!!にげろー!!』

 

土佐鎮守府艦隊が急速反転し、尤もらしく慌てて逃げる()()をしながら、後退して行く。

クラーリンは、そちらに気を取られて、薄雲への注意を逸らしてしまう。

 

「テルミット・アドバンス弾、発射」

 

ズドォン!

 

ズザザァァっ!!

 

「くっ!!」

「反動が……」

「すごいぴょん!!」

「皆、無事ですか!?」

 

その反動で、四隻の宮戸島艦隊の面々は、薄雲に必死に抱き付きながら、高速で下がって行く。

あっちの明石(浦の星の技術オタク)が改良したアイキャンフライ砲の反動は、かなりのものだった。

 

チュガッ

 

そしてテルミット・アドバンス弾は、テルミット反応を起こして周囲を高熱の地獄と変えて行く。

 

ズドォン!

と言う爆発音と共に巨大な水煙が立ち上り、周辺に潮の雨を降らせた。

テルミット反応により6,000度の熱で焼き払う。まさに、()()()()だった。

 

「ふぅ…………」

 

しかし水煙が晴れた時、連合艦隊が目にしたものは、信じられない光景だった。

クラーリン艦隊は健在だったのだ。

焼き払っても再生する、()()()()()と化していた。

 

『嘘…………まさか、自己進化……?テルミット・アドバンス弾のデータも取り込んでる……』

 

明石の絶望的な声に、レ級が通信を入れる。何時になく真面目な表情だった。

 

「あー、こちらレ級。一つ作戦案があるんだけど、よろしいかな?」

『何だ!?』

 

直哉の怒鳴るような返事に、肩を竦めながら通信を返す。

 

「クラーリン級は撃破不能と判断。土佐艦隊は、ここでクラーリンと遊んで(釘付けにす)るから、アイキャンフライ砲で宮戸島艦隊と明石で敵陣を強行突破して、要塞に接近して説得するなり殺すなりすればいいんじゃないかな?」

『なるほど、それしかなさそうだな。薄雲、デリバリーを頼めるかな?』

「了解しました」

 

指揮艦から明石が水上に降りると、子日の後ろに抱き付いた。

再び三連装モードに戻すと、薄雲は何もない後方に向き直り、アイキャンフライ砲を向け、トリガーを引いた。

 

ズガァン!

ズガァン!

ズガァン!

 

爆音に近い発射音と共に、一気に五隻は加速すると、クラーリンの単横陣を突破して、硫黄島要塞に急いで航行して行った。

 

「急ぐのです!」

「はい!」

「わかったぴょん!」

「了解です」

「わかったよぉ!」

 

 

――――――――

硫黄島要塞に辿り着いた電達を待ち受けていたのは、要塞そのものが深海棲艦化した姿だった。

まさに、『デビル硫黄島要塞』。

 

「こ…………これは」

「禍々しい姿だぴょん」

「倒すのに、骨が要りそうですね」

「勝てる気がしないよぉ……」

「外壁にはアルティメット……いいえ、()()()()()が使用されていて、突入するにも……」

 

『諦めるのはまだ早いよ!』

 

その通信と共に輸送ヘリコプターが飛んで来て、空から()()が舞い降りて来た。

 

『いーやっほう!!応援を一人デリバリーしたよ!』

 

ヘリコプターの操縦の主は、大垣 翼だった。

そして、双眼鏡で薄雲が空を覗くと、舞い降りて来たのは真愛だった。

 

そして、パラシュートが開き、ゆっくり舞い降りて行く。

 

「へ~んしんっ!」

 

真愛は、その可愛い掛け声と共に、駆逐新棲鬼に変貌して行く。

こうして、電達は六隻が揃い、()()()()()()正規一個艦隊として、要塞に挑むことになった。

中学生くらいの姿になった駆逐新棲鬼(真愛本気モード)は、一気に要塞主砲の射程距離に迫って行く。

 

「いーやっほう!」

 

駆逐新棲鬼は、その砲撃を島風を超える快速で避け始める。

次々と発艦して来る艦戦に対しては、腰から大きな銃をクルリと回して、トリガーを何度も引く。

トリガーが引かれる度に、たこ焼き艦戦RC(レッドカスタム)が出現して、ドッグファイトに加わる。

 

上空のヘリコプターはUターンすると、西の空に去って行った。

 

「真愛ちゃんに負けてられないのです!」

「テルミット・アドバンス弾で穴を開けます。電と明石さんは要塞内へ!」

「うーちゃんと!」

「子日で支えるから!」

 

二人で支えるのはかなり厳しいことを承知で、薄雲はアンカーを下ろし砲撃態勢に入る。

 

「テルミット・アドバンス……発射!!」

 

ズガァンっ!!

 

「「「うわぁぁっ!!!」」」

 

そのまま、薄雲と子日と卯月は後方に吹き飛ばされ、テルミット・アドバンス弾は外壁で炸裂して大きな穴を開けた。

じわじわと修復されて行く。

薄雲達は海面に叩きつけられ、気を失って浮かんでいる。

 

「皆!!」

 

吹き飛ばされた三人に注意が向いてしまい、足が止まってしまう駆逐新棲鬼に、容赦なく砲弾の雨が降り注ぐ。

 

「あうっ!!!」

 

吹き飛ばされた駆逐新棲鬼は力を失い、真愛の姿に戻ってしまう。

 

「お姉ちゃん達!真愛は薄雲お姉ちゃん達を助けに行く!だから!」

「わかってるのです。明石」

「はい!」

 

今にも沈みそうな薄雲達を、中破の状態ながらも救助に向かう真愛を見送りながら、電と明石は要塞内に飛び込んだ。

 

 

――――――――

 

要塞最深部では、美里が指揮席に腰を下ろしていた。

 

「美里ちゃん!」

「明石……ここまで来たんですか……」

「美里ちゃんはもう死んだんです、だから!」

 

その言葉に、美里が激昂した

 

「その美里を蘇らせようとしたのは、どこの誰だ!?」

「私です。ですから、()()()()()死んでもらいます」

「なっ………?」

「電さん、脱出してください!」

「ふふっ、もう無理なのです。直哉、さよならなのです」

「待て!明石、お前は唯一の工作艦……!」

 

焦ったようなデビル化した美里に、明石はばっと艤装を展開した。

体中にテルミット・アドバンスを巻き付けた状態で…………

 

「やめろ!!やめろぉぉぉぉ!!!!」

「美里ちゃん!ごめんなさい……!!」

 

カッ……

 

6,000度の炎に包まれて行く中、美里は穏やかな表情になった。

「ありがとう……明石お姉ちゃん……だから、死なないで……」

 

硫黄島要塞は、その炎と共に消滅した。

 

――――――――

電が目を覚ますと、焼け野原になった硫黄島に倒れていた。

隣では、明石が気を失っているようだった。

 

「ここは………?」

 

全てが消滅した硫黄島に、卯月達がやって来る。

「電ちゃん、明石さん、無事だったぴょん!?」

「まさに奇跡です……硫黄島要塞は消滅したのに……」

「美里ちゃんは!?」

「おねえちゃん、だいじょうぶ!?」

 

電達は起き上がれずにいた。

そして、卯月、薄雲、子日、真愛に囲まれて再び意識を失った……

 

 

――――――――

クラーリンと戦っていた直哉達は、瀕死の状態だった。

全艦大破、愛と直哉も指揮艦に魚雷が直撃して重傷だった。

 

「もうだめなの……」

「Why!何で勝てないの!?」

「高菜提督!愛ちゃん!!」

「もう、艦載機がない……」

「大井っち……」

「北上さん……」

 

「ヤキが回ったようね」

「まあ、仕方なかろうよ。潔く沈もうか」

 

「愛ちゃん……大丈夫か……?」

「先生こそ……大丈夫ですか……?」

 

その直後、硫黄島の方で大爆発が起こったと思った直後に、クラーリンは溶けて消えた……

 

『皆、大丈夫!?』

「終わった……ようだね」

「はい……」

叢雲率いる量産型いなづまちゃん(横須賀第十四)艦隊が救援にやって来るのを見ながら、直哉と愛も意識を手放した。

 

 

直哉と愛は、揃って東京の病院に入院、明石と電は艤装が完全破壊されて、海に浮けなくなった。

全員大破で、お台場鎮守府で待機していた夕張は、朝まで入渠作業を行っていた。

唯一中破の真愛は、皆のナビゲートをしてお台場に帰った後、気を失うように眠りに就いた。

こうして、硫黄島事変は終わりを告げた。

 

足立総監が協力を依頼した、浜松警備保障の面々が硫黄島の調査を行ったが、()()が消えてなくなっていた。

純粋な自己再生能力しかない、量産型いなづまちゃん5体だけが残って、全て灰燼に帰したのだ。

結局、明石の私的な研究成果は、限定的なものになった。

 

 

――――――――

 

「やれやれ、なのです」

海に浮けなくなった電は、苦笑しながら同じ病院に入院している直哉のお見舞いをしていた。

 

「海に浮けなくなって、電はどうするつもりなんだい?」

「三佐の階級で、新設される有明鎮守府の司令官を拝命したのです」

「そうか、電はそれでよかったのか?」

()()()は直哉と一緒にいればそれで……後悔はしていないのです」

 

電は、少し大人びた雰囲気になっていた。そんな彼女を、直哉は優しく抱き締めた。




直哉編後2話!
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