( *´艸`)今日は渋のアンケートに勝ち上り、久々に登場の文香たん!!
ひっそりしめやかに、そして、どことなくアオハルっぽくかいきましたーん。
明日から頑張るために、頭を空っぽにお楽しみくだしゃぁ(笑)
遅れてやってきた夏らしい熱気に待ってましたと言わんばかりに婚活パーティーに乗り出す蝉たちがただでさえ短い生を取り戻すかのようにミンミンジワジワとがなり立ててくる。最近、流行りのスカして女を待つ腑抜けた若者達は是非ともそのハングリーさを習って頂きたいくらいの積極性。だが、むせ返るような暑さに包まれた納屋の中で作業中の俺“比企谷 八幡”としては今はただ煩わしいだけのBGMと化している。つまり何が言いたいかというと―――夏をエンジョイしようとするリア充はいつだって俺の神経を逆なでるという事だ。
そんな独白を恨みがましく心の中で呟いて納屋の中に残った最後の大箱を外に引きずり出して俺と同じくらい汗で額を濡らす大学の同級生“鷺沢 文香”に声を掛けた。
「これで納屋ん中は最後だな。他に引っ張り出すもんはあんのか、文香?」
「いえ、家の中の物は定期的にやってあるので、それで最後の筈です。こっちにも、大体が広げ終わりました」
いつもはゆったりした服装に身を包んだ彼女も今日ばかりは埃まみれになることを覚悟してか紺色のポロシャツに彼女の母校の名が刺繍されたジャージを身に纏い、首に掛けたタオルで汗を拭いつつもそれぞれの箱に収納されていた骨董品を丁寧に敷いたゴザの上に並べていた。だが、それも一段落したのか強張った体を解すかのように体を伸ばしてこちらへと向かってくる。
「しかし、よくもまぁここまでガラクタをかき集めたもんだよなぁ」
「叔父は凝り性ですから、何かをモチーフに小説を書くときは徹底的にソレを調べ尽くして堪能してから取り組むそうです。そのおかげであれらの作品が生まれたと思えば感慨もひとおしなのですが………用が済めばこうやって納屋に押し込むのは悪癖と言っていいかもしれませんね」
俺の言葉に困ったように苦笑を漏らす彼女が語るのは彼女の下宿先であるこの家の主の偏屈な老人の事である。いつだか腰痛で動けなくなっている時に俺を捕まえここまで送らせてから結構に長い付き合いではあるが、あのひねくれた口うるさい爺がまさか長年にわたって愛読している“鷺沢 研吾“その人であると知ったのはわりかし最近の事である。
その精緻で、巧妙な文は一周回って滑稽さもあり、引き込まれているウチに最後の最後で完全に思考の外から結末をひっくり返すその手法にさぞ知的な人物かと思えばガミガミと口うるさい糞爺だったというのだからやはり読者は作家と出会うべきではないと痛感した出来事だ。ましてや――――
「その“虫干しをするから来い”と呼びだした本人が開始30分で編集さんに引きずられてフェードアウトしていくってのが納得いかねぇんだよなぁ……」
「あっちはあっちで、ホテルに監禁されての特急執筆ですから……気分的にはこっちの方が楽だったかもしれませんね」
「それって、試験前に急に掃除し始める学生あるあるじゃね?」
「……………さぁ、最後のコレを乾して休憩にしましょうか」
ジト目で睨む俺に流石の身内も擁護する言葉が見つからなかったのか雑な話題変換を図っていそいそと最後の箱の開封に取り掛かり始め、俺も肩を落としてため息を吐いて答える他にない。というか、こういう思い付きで振り回されるというのも今日に始まった事ではないのでいまさらと言えば今更な出来事だ。
送り届けた俺が姪っ子の同級生だと知ったその日から、原稿に詰まったり、逆に締切明けに暇を持て余した時にあの爺は気まぐれに俺を呼び出しあれこれと面倒な事を言い始めるのはもはや恒例であった。その度にやれ泥酔して説教だの、釣りに連れていけだの、自慢の骨董品の来歴だの使用人か丁稚奉公の弟子のようにこき使ってくる老害っぷりに初期にはあった憧れの大御所作家という看板は今では下ろして“面倒な爺”に変わって久しい。
それでも、その面倒な気分転換が終われば書きあがった最新作を真っ先に読めたり、非公開のままお蔵入りになった爺の作品や、他の大御所作家仲間で書いた同人的なおふざけ本が読めたり、見た事もないような高級料理が食えたりするので中々に文句が言いずらいリターンがあるのも悩ましく今日までその関係は続いていたりするので断り切れないというのも一因だったりする。
そんなこんなで今日も爺の思惑に巻き込まれた文香に若干の同情を交えつつも、最後という言葉を励みにその箱に向かえば―――文香が珍しく年相応の少女のような無邪気な声を漏らした事に少しだけ驚いた。
「ど、どうした? ネズミでも入ってたか?」
「あっ、いえ、すみません。あまりに懐かしいものが出てきたもので……」
恥ずかしがり頬を染める彼女の脇からその箱の中を覗けば―――大きな段ボールの中に目一杯に詰まっていたのは家庭用プールや子供用の水遊び用品であった。記憶にある限り、あの爺さんは独身であったはずだし子供もいなかったはずだ。ソレを鑑みて推察すればコレは一体だれのために揃えられたものかは彼女の言葉と相まってすぐに思いつく。
「昔、この家に遊びに来させてもらった時に本に齧りついて離れなかった私の為、叔父が気分だけでもと揃えてくれたものです。―――今では、せっかく遠出した私のために予定を組んでくれていたのに引きこもろうとして、申し訳なさが際立ちますね」
「ま、本好きにとっちゃこの家は図書館よりパラダイスだったろうからな。気持ちは分からんでもない」
頬を染めつつそういう彼女に苦笑を漏らしながらも中を一緒に物色すれば折り畳みプールに浮き輪、水鉄砲にアヒルの玩具。思いつく限りのモノを可愛い姪っ子の為に金にものを言わせて買い集めてきたであろうという事が窺えてあの爺さんの姪っ子への溺愛っぷりが窺えて思わず笑ってしまう。そんな中で最奥にしまわれた布っぽい何かが手に当たりソレを何の気もなく引き抜く。
「あ、そ、それは―――」
「……なんか、すまん」
引き抜かれ俺の手に握られていたのは、在りし日の文学少女が着ていたであろう“水着”であった。セパレートタイプの地味目ながらも細部が丁寧に作られていたので安物ではないのだろう。なんの気は無しにソレを眺めていれば顔を真っ赤にした文香が普段のおっとりは何処にやったのか目にも見えない速さでソレをひったくって胸に抱え込んでしまう。
いっそ涙目すら浮かべソレを抱え込む彼女には悪いが、抱え込んだ事によって当時の幼さと現在の発育しきったその身体の対比が生まれて二倍エロイので今後はそういう事はしない方がいいとおもうはちまんでしたまる
「………いやらしい事を考えてる顔です」
「酷い誤解だ」
ジト目で睨まれるが、そんな事はない。豊かな子供の成長を心の中で祝っていただけだ。……ほんとだよ?
その目から逃れるためという訳でもないが箱の中にもう一度目を向けてみると、おそらく使ったのはその一回のみなのだろう。全部が新品同様で綺麗にしまわれているソレになんだか童心が騒いでくる。思えば俺自身も両親が共働きでこういった遊具にはとんと縁がなかった。ついでに言えば、この納屋や外から押し寄せる熱気。その他の蝉や虫共のざわめきに充てられたって事もあるだろう。
だから、俺は普段なら絶対にしないであろう提案を口にした。
「なぁ、せっかくだから使ってみるか?」
「―――ほぇ?」
同級生の、間の抜けた声が蝉の鳴き声に交じって消えていった。
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差し込む日差しを柔らかに遮る楓の木に、ホースから流れる水音。ソレが加わるだけで殺意すら湧く熱気も可愛く思えるもんで、火照った体のまま溜まった水の中に飛び込めばそれすら心地良く感じるのだから不思議なものだ。もちろん、水着なんて用意してなかったので、パンツだけ脱いでジャージの短パンを水着代わりにしてるが野郎にはそれでも十分だろう。子供用プールなのでちゃぷちゃぷと満杯近くまで溜まっても腹より上に来ることも無いのだが泳ぐわけでもなく涼をとるならばそれだけでも十分で、思わずその心地よさにオッサン臭いため息が漏れるのが少しだけ哀愁を感じてしまう。
そんなこんなでプカプカと浮かぶアヒルのおもちゃを突いていれば、ひょっこりと庭に通じる茶の間の柱から顔を覗かせた文香が現れた。前髪に隠れてもなお耳まで染まって恥じらっているのが窺えてしまうのについ苦笑が漏れる。
「グラビアや、この前の346のプライベートビーチとかで散々見たのに今更恥ずかしがる要素あるか?」
「……仕事は割り切れますし、この前は皆さんが居たのであれでしたが……改めてとなると、き、気恥ずかしいんです」
そんな事を嘯きつつもモジモジと茶の間の影から姿を覗かせた彼女。フリルを多くあしらったビキニタイプでありながらも、豊かな体つきは強く強調され元来の色白いその肌は陽光を眩しく反射する。そして、いつもは下ろされたその髪が今日は後頭部でまとめ上げられる事によっていつもの清楚さから少しだけ活動的に見える。その全国のファンが喉から手が出る程に見たいであろうその姿が一般民家の茶の間にあるという非日常が一層に現実感を倒錯させていく。
見慣れてる、などと自分で言いつつもその全容を見た瞬間に思わず息を呑んで見とれてしまった俺に―――割かし早めに罰は下された。
「っ、見過ぎです!!」
「うべっ」
あらかじめ用意してあったのか、その背に隠された水鉄砲で顔面を思い切り射撃されその冷たさと若干鼻に入った息苦しさで嫌でも現実に引き戻され目を白黒させつつもソレをおかしそうに笑う彼女にちょっとだけ反抗心が疼く。
「……先にやったのはお前だからな?」
「ふ、ふふふふ、比企谷さんの今の顔―――――って、ちょ、それは、ひゃっつ!!!」
ケラケラと能天気に笑う彼女に水を注いでいたホースをひっつかみその矛先を向けると彼女は何をしようとしているのか察したのか逃げようとする。だが、なまじ水鉄砲を当てようと近づいていた彼女の手を掴み逃げられないようにして―――思い切りホースの水を頭から被せてやった。
長時間出しっぱなしにしていた水はキンキンに冷えていて、そこそこに熱を持っていた彼女の体にはさぞかし効いた事だろう。飛び上がって逃げ惑う彼女が面白くてホースの口を握って高圧でシャワー状にしてかけてやれば更に“あばばば”なんて普段出さない様な声でテンパるのだから面白くてやめられない。普段ならなんとなく罪悪感も湧いて辞めるのだろうけど、先にやられたという免罪符が心軽やかに同級生をいじる楽しさを肯定してくれる。だが、しばらく悲鳴をあげて逃げ惑うだけだった彼女も水の冷たさに慣れてきたのか、それとも、弄られる怒りで反逆の芽が湧いたのか――ホースを持つ俺に食ってかかってくる。
「や、やり過ぎです!!」
「て、馬鹿っ、んな押すな――――ってぇ!!」
「きゃっ!!」
元凶であるホースを奪取せんと俺の肩に手を置き腕を伸ばした彼女に、不安定で滑りやすいプールを足場にしていた俺はよろめき―――踏ん張ることも出来ずに子供用プールに二人でダイブするという成人としては中々ない醜態を二人して晒した。
派手な水飛沫に、濡れた犬みたいに頭からひっかぶった水を振って払う馬鹿二人。せっかく溜まった水は半分まで飛び散って、終いには俺の上に落ちた文香とプールに見事尻もちをついた俺を嘲笑うかのようにホースから勢いよく溢れる水が二人揃って脳天から浴びせられていく。そんな年甲斐もない阿呆みたいな光景に――――どちらともなく笑いが零れ、お互いを指さして子供のように俺たちは笑い合った。
ミンミンと、リア充を目指す蝉たちの声に 馬鹿二人の笑いが混じって溶けていく。
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「ふ、ふふふ、いま思い出しても、今のは傑作でした」
「傍から見たら阿保丸出しだけどな」
あれからしばし経ってもいまだに思い出し笑いが収まらない文香に苦笑を返しながらも二人仲良く並んで張り直した水に浸かっている。いかんせん、子供用プールなので大の大人二人が入れば肩が触れ合ってしまいそうになるのが難点だが、このクソ熱い中でどっちかが焼かれるという選択肢も取れずにこうなっているのだ。ちゃぷちゃぷと揺れる水音に、蚊取線香の匂い、ソレに風に青空。アイドル達の要望による福利厚生という名目で連れていかれたあのビーチも終わってみれば楽しかったと思えるのだが、終始、アイドル達に振り回されていたせいでこうしてぼんやりとする時間は少なかったように思う。それをわざわざ、都内の狭い坪庭で体験しているというのだからおかしな話だ。
「あの海は、楽しかったですけれど―――こうして二人で話す時間はあまり取れませんでしたね」
「ま、最近はアイドルを武内さんが無制限にスカウトするせいもあるけどな」
クツクツと笑っていた彼女も同じことを思ったのかそんな事を言うので、俺は少しだけ意地の悪い答えを返す。だが、それすらも付き合いの長い彼女には照れ隠しと見抜かれているのか少しだけ笑って彼女は微かに水気を帯びたその頭を俺へと寄りかけただけで応える。
「貴方と出会って、アイドルをやって多くの事を学び体験してきました。だからこそ、こうして今の自分があるのだと思いますが―――こうして、アイドルじゃなくても叔父に二人で引っ張りまわされて、二人で笑えていた未来なんかがあったのかと夢想してしまう時がたまにあります」
「………どう、だかな」
言われてそんな想像をちょっとだけしてみる。偏屈な爺さんを家まで送った先にいた同級生。今ほど感情豊かでもなく、ただ本だけを読めればよかった頃の彼女。そんな彼女とたまたま持っていた古本を縁に少しだけ会話をするようになった日々にあの偉丈夫が現れなければ―――こうして二人で馬鹿みたいに笑い合えていただろうか?
そうであった気もするし、そうでなかった気もする。
結局は実現しなかった可能性の話。だが、少なくとも俺は―――
「少なくとも真夏の虫干しまで手伝いに来てたかは怪しい所だな」
「ふふっ、きっと比企谷さんはそうなってもなんだかんだ来ますよ。―――捻デレさん、ですから」
重要な所をぼかす俺に、それでも楽し気にそういう彼女はいる事を確かめる様に体重を預け、俺の心臓の音を子守唄に静かに目を閉じた。腹を彼女を庇ってぶっ刺されてから彼女が時折するようになった仕草。俺が生きている事を噛みしめる様に、味わう様に彼女はこれを行う。そんな彼女の祈りにも似たような行いをみて思うのだ。きっと俺は、どんな経緯になっても、どんな道を辿っていても彼女が同じ目に合うのなら同じことを繰り返すくらいには彼女を気に入っていただろう。
そんな彼女に言う事が生涯ないであろう言葉を呑み込んで―――ただ水に揺られるアヒルたちを呑気に眺めた。
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おまけ
叔父「(ホテルから脱走&帰宅後 お茶の間のぞきつつ)……人の家でアオハルしおってからにホントに―――あお、はる? これじゃ!! 今度のテーマは“アオハル”じゃ!!! きたきたきたきたきた――――っつ!! 書かずには!! いられない!!!」
二人「Σ(゚Д゚)(; ・`д・´)!?? 離れ&照れ赤面&驚愕」
この後、みんなでめっちゃかき氷やスイカ食べた後に虫干しの片付けした
(/_;)ランキング13位とか一瞬でも名前が載ってて嬉しさで発狂しそうだったぜ!!
(´ω`*)みんなありがとう!!