デレマス短話集   作:緑茶P

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_(:3」∠)_書いてもでんかった、死のう……。

奏、復刻ガチャ待ってるよ。。。


('ω')という訳で無事爆死したので諦めてリゾート編を自分で書いて脳内補完することにしました。←諦め


夏の潮騒  ー 346リゾート  ビーチ編(一ノ瀬 志希 ver) ―

 

 浜辺に集合した日本を代表する大規模アイドルグループの少女達。いつもなら収集もつかないくらいに姦しい彼女達だが今は誰もが一糸乱れず真っ青な浜辺を前に整列し、自分たちのリーダーの号令を今か今かと待ちわびている。そして――――

 

「みなさーん、いいですか~? いっせーのーーーで!!」

 

「「「「「「「「海だ―――――っっ!!!」」」」」」」」

 

 楓さんの掛け声と共に島中に響くんじゃないかってくらいの歓喜の雄たけびを上げて、輝く満面の笑顔と共に白い砂浜に飛び込んでいく乙女達。年長も年少も関係なく我こそはと波の打ち寄せる海原へと一番乗りを目指して、思い切り飛び込んでいった。

 歓喜と興奮に湧く年頃の乙女たちの大はしゃぎがビーチ中に響き、笑い声も透き通るような海と空にどこまでも吸い込まれるのを後ろから眺め、俺は燦燦と照り付ける太陽に負けないくらい笑顔を輝かせる彼女達に対して苦笑を浮かべつつも小さく肩を竦める。

 

 元気なやっちゃ。

 

 そんな呆れと羨望を混ぜた独白と共に俺もゆっくりと焼ける砂の上で歩を進めていった。

 

 

―――――――― 

 

 

 海辺で一通り大はしゃぎをして興奮も冷めやらぬままそれぞれ仲良しグループに分かれてあっちこっちに用意されたレジャーに散っていった彼女達を見届けた俺は何か所か点在するビーチパラソルの下に用意されてる寝転べる椅子に海の家から貰ってきたドリンクを完備してどっかりと座り込んでゆっくりと息を吐く。

 

 うーむ、流石346さんいい椅子使ってますな。

 

 そんな謎の品評家みたいな事をいいながらドリンクをちゅうちゅうして笑顔いっぱいに駆け回るアイドル達をなんとは無しに眺める。みんな流石というかなんというか絶世の美女ぞろいに完璧なプロポーションを華やかな水着に包んでいるので見飽きることも無い。全力でビーチバレーに勤しむ瑞樹さん達や、砂浜で理想のお城を目指して鼻息を荒く施工に取り組む森久保一行。素直に海辺で水を掛け合ってはしゃぐニュージェネレーションや水上バイクで年少組を順番に海のクルージングに連れていってやっている炎陣。―――うーむ、全国のファン達からしたら呪い殺されてしまいそうなくらいの眼福。皆さん、たわわに実ってますね。

 

 そんなエロおやじみたいな感想をしみじみと味わいつつも心地いい浜風と程よい日陰。それに漣と遠くから聞える乙女たちの歓声に耳を傾けているウチにいい感じの睡魔が襲って来る。本も携帯もない中では気を紛らわせることも出来ずに、まあいいかなんてそのまま昼寝を貪ろうと目を閉じた瞬間に――――思いっきり海水が頭から掛けられた。

 

「あはははっ、ハチ君あーそーぼー!! こんなとこまで来て寝てるとかおじさんじゃーん!!」

 

「あっ、見て見て莉嘉ちゃん! ハチ君って髪をオールバックにしてもアホ毛はたってるね!! 変なのー!!」

 

 寝耳に水どころか頭からぶっかけられた俺が飛び起き、滴ってくる水滴と張り付く髪を後ろに払って振り返れば無邪気に元気に大爆笑しているウチの悪ガキ筆頭コンビが大きめのバケツを片手に引っさげているのが目に入った。JCにしては攻めの水着を身に纏う“莉嘉”に、フリルが可愛いらしい“みりあ”だがこの二人の悪戯は某イタズラアイドルもドン引きするレベルのえげつなさで定評がある。もちろん、寝ている人間の安眠を妨げるなんて許されざる蛮行―――すなわち、折檻の時間じゃ。

 

「……こんの、クソガキども。今日という今日は大人の怖さをその身に叩き込んでやる。うりゃ、こっちこい」

 

「きゃー、へんたーい! ろりこーん!!」

 

「あー、みりあ達わからせされちゃうー!! 比奈ちゃんの薄い本みたいに!! 比奈ちゃんの薄い本みたいにっ!!」

 

「お前ら絶対にそれ街とかテレビ局の中でやるなよっ!! 洒落や冗談じゃなく人の人生変えちゃうから!! あと、あの糞眼鏡はガキになんてもん見せてんだ!!」

 

 クソガキ達を脇と肩に乗せて雑に持ち上げて運んでいるととんでもないことを叫び始めやがった。ここが身内しかいないから生温い視線で済んでるけどマジ街中でそれやったらお兄さん普通にしょっ引かれるからね? 武内さんの職質どころじゃなく、対応次第ではそのまま鉄のお縄喰らっちゃうからね?

 

 そんなきゃいきゃい騒いでゲラゲラポーしている二人を小脇に抱えてたどり着いたのは遠浅に立てられた桟橋。本来は水上バイクとかそういうのを乗りつけたりする場所なのだろうけど、今からここはこの馬鹿二人の折檻の為の地獄の会場になるのだ。へへへ、おっちゃんが大人を怒らせるとどうなるか分からせちゃるぜ。………いや、このキャラ付けはマジでやばいからやめておこう。

 

「人の惰眠を邪魔するクソガキは―――――こうじゃっ!!」

 

「「うおおおぉおお――――!!」」

 

 とりあえず、小脇に抱えたみりあを遠心力も利用して思い切り海にぶん投げる。子供とはいえそれなりに重いのであまり飛距離を出せなかった反省を生かして肩にのっけていた莉嘉は一度下ろして寝かせた足を掴まえてジャイアントスイングの要領で思い切りぶっ飛ばした。――――おー、飛ぶ飛ぶ。

 そんな、可愛くない絶叫をあげて派手に着水する二人を大笑いしているとプカプカ浮かんで桟橋まで戻ってきた二人も大爆笑して声を掛けてきた。

 

「あははははっ、なにこれすっごい楽しー!!」

 

「ハチ君、ハチ君!! 次はみりあもジャイアントスイングやってー!!」

 

「少しは反省しろ、馬鹿ども」

 

 まったく折檻も堪えてない二人に頭からバケツに組んだ海水をぶっかけてやっても更に笑うばかり。それどころか海に潜航して避けたり、隙を見て人の足を取って引きずり込もうとしたりとリアル人魚みたいな凶暴さを見せてくるのでマジで気が抜けない。そんなこんなで二人とじゃれていると袖を引かれ、振り向けば顔見知りのお子様アイドル達が長蛇の列を作って並んでいた。

 

「仁奈も悪い子になれば“おしおき”してもらえるですかー?」

 

 ほらみろ、悪い見本をすぐに子供は真似しちゃうんだぞ。とかなんとか、どうでもいい思考で現実逃避しながら仁奈をあやしつつソワソワと自分の番を期待して待つ少女達に密かに俺は絶望を胸に抱いた。

 

 俺の筋肉は、今日が命日かもしれん。

 

 あと、楓さん達おとなはこのアトラクションの対象外なので御引取くださいバカ野郎。

 

 

―――――――――――

 

 

 

「お、ま、え、で最後だっ―――!!」

 

「うきゃーーーっ!!」

 

 長らく続いた幼女ぶん投げアトラクションも遂には最後の一人となった千佳をアルゼンチンバックブリーカーの要領で持ち上げて身体に残ったなけなしの気合で海に叩き込んで俺は全身から噴き出る汗を拭くことも無くそのまま膝を折った。やばい。何がヤバいってもう全身の筋肉が悲鳴を上げているのが分かっちゃうのがマジヤバい。

 

 軋む筋肉を何とか動かして顔を上げれば大層ご満悦で大興奮な幼女たちが無邪気にはしゃいでいるのが唯一の救いだろうか。泳げる子も泳げない子もそれぞれが浮き輪やライフジャケットを持ち寄ってソレに捕まっているので溺れる心配もないだろうし、遠くの方から拓海たちがゴムボートを引っ張って水上バイクで向かってきているのが見えるのでもう間もなく回収されるはず。

 

 これにて、俺の任務は終了という事にしてはひはひ情けなく漏れる息を残して桟橋を後にする。後ろから幼女たちがアンコールをしてくるが応える余力はないので俺は振り向くことも無く逃げ出す。―――おい、誰だ今、ヘタレ童貞とか言った奴。聞こえてるからな。

 

 そんなこんながありつつも性悪ちび人魚達からの脱走に成功した俺の前に先ほどあった顔ぶれの一人が優雅にハンモック型の椅子に座って寛いでいるのが目に入った。フワフワの栗毛を緩く後ろで纏めて、外人女優がつけてそうな分厚いサングラスの下で爛々と輝く知性の宿った瞳。ただ、惜しむらくはその有能な頭脳の持ち主が猫の様に気まぐれさを持つ女“一ノ瀬 志希”であった事だけが欠点であった。そんな彼女がニマニマとしながら俺にからかいの声を掛けてきた。

 

「わははは、まさか最後まで人力で投げ切るとは流石の志希ちゃんも予想外だったよ、はっち―」

 

「高みの見物するくらいなら手伝え、バカ猫」

 

 “志希ちゃんフラスコより重い物もてなーい”なんてぶってケラケラ笑う彼女に付き合う元気もないのでそのフワフワと心地よさそうな椅子に俺もすっかり重くなった腰を下ろして彼女の呑んでいたトロピカルっぽいジュースを奪ってカラカラの喉を潤す。一瞬だけ目を丸くした彼女はちょっとだけ毒気を抜かれたような顔で苦笑を零した。

 

「おーい、一応年頃の乙女との間接キスをするならもうちょっとムードという物を考えてくれないと困るなぁ」

 

「お互いそんな柄かよ。……というか、お前から飲み物を貰う場合はお前が目の前で摂取してるモノ以外は高確率で危険物入ってるじゃん」

 

「にゃはは、ロマンの欠片もないけど説得力が半端ない」

 

「日頃の行いと実体験に基づいてるからな」

 

 カラカラ笑う彼女を鼻で笑って答えると“体験に勝る実証はないね”などと宣って不安定なハンモックを揺らして俺の上に跨った。目の前に広がる玉のような肌とちょっとだけ不安にさせるくらい細くしなやかなくびれを描く体幹。それから、ちょっとだけ視線をあげれば不釣り合いなくらいに実った二つの果実はシックな臙脂色の水着に包まれながらもその存在感を主張し、その上から覗く整った顔立ちからは分厚いサングラスを額に寄せて今度は真っ直ぐと俺の瞳を覗き込んでくるその灰と碧の混ざった不思議な眼差し。

 

 太陽を背に影を作るその姿に見惚れるかのように息を詰めていると嫣然と微笑む彼女が問いかけてくる。

 

「ところで、“ダメ人間再調教プログラム被検体第一号君”。まだ志希ちゃんは君の口からこの姿の感想を聞いてないんだけどにゃ~?」

 

「まだ、続いてたのかその意味不明企画……。ん、いや、素直に似合ってると思うが?」

 

「んふふ、もーっと素直に言えるくらいになるまでもうちょっとステップが必要かな?」

 

 久々に聞いたその名称に呑んだ息も思わず笑いにしてしまうくらいには意表を突かれ、素直に思ったまま口に出すと、満更でもなさそうに鼻を鳴らす志希。

 

いつぞやのコイツの誕生日をすっぽかしてブチぎれさせた事がある。その時に鬱になって面倒だったこいつを沼に叩き落した次の日に声高らかに宣言されたプログラム。

 曰く、“クソ無能な最底辺の唐変木を最低限の能力をつけて適切に管理してあげる為”との事らしい。長々と続いた説明と徹夜で書き上げたのか辞書一冊分はありそうな論文を熱弁していたが結局の所は“女の子にもっと気を遣え”との事だった。

 

 まあ、それ以来から俺の周りをウロチョロして事あるごとに叱りつけたり、試すように問いかけをして褒められたりと不可思議な事をし始めたのだが――失踪の数は劇的に減っていた為にそのままにしていた。その上、慣れてくるとそれが通常営業になってくるのでついさっきまでその宣言を忘れていたまである。

 

「で? 重くはないけど熱いし、汗かいてるからそろそろどいて欲しいんだけど」

 

「んー? 別に志希ちゃん的には君の匂いは嫌悪対象じゃないから無問題!!」

 

 さっきまでの鋭さも鳴りを潜めてにゃはにゃは笑いだすマッドサイエンティストにそういう問題じゃない事を伝えようとした時に――――俺の警戒アラームが遅ればせながら脳内で警鐘を鳴らし始めた。

 

「………志希、お前にいくつか質問とお願いがある」

 

「ん~? なにかにゃ~?」

 

 俺の言葉に能天気に笑っていた猫は遅ればせながら罠にかかった事を嗤う間抜けな獲物を見るような愉悦を湛えて甘ったるい声を漏らした。

 

「なんで、このハンモック型の椅子……後ろに引っ張られて行ってるんだ?」

 

「それはね、コレが志希ちゃんと秋葉ちゃんで作った特製の投射機だからだよ?」

 

 座る時は気が付かなかったが椅子の各所にワイヤーのようなモノが付けられていてキリキリと不吉な音を立ててハンモックを俺たちを中心に後ろへと引き絞られている。ならば、さっさと降りればいいだろうに何故俺がこんな呑気に問答しているかというと――

 

「次はお願いなんだが………どいてくれ」

 

「だ~め♡ どいたらハッチ―逃げちゃうでしょ?」

 

 俺に跨った状態の志希はいつの間にか肩に回した手に万力のごとく力を込めて俺の脱出を阻止してくる。くそう、親父―――アンタの忠告、ちゃんと守れなかったよ。ハニートラップの誘惑にまんまと嵌っちまった馬鹿な息子を嗤ってくれ。

 

「そ、な、何でこんな事を―――「志希ちゃんね~」――」

 

 最後の抵抗と攪乱でご自慢の口八丁を繰り広げて何とか活路を見出そうとしたが満面の笑みを浮かべた志希の声に無慈悲にもかき消されてしまった。ただまな板の上の鯉となった俺にはギラギラと野生の肉食獣の様に輝くその瞳にただ息を呑むしかない。

 

「ついさっき思い出したんだけど、沼に叩き落された仕返しまだしてないなって気が付いたの」

 

「……………その心は?」

 

「百倍返しが基本でしょう」

 

 引きつる頬を何とか抑えて絞り出した問いかけに満面の笑みの志希が柔らかく微笑んで抱き着き、背筋も凍るような冷たい声で答えたのを最後に俺の記憶はちょっと飛ぶ。

 

 覚えているのは―――青い空、青い海。体を覆う強烈なGと浮遊感。それに、桟橋や浜辺で俺達をあんぐりと口を開けて見送るアイドルや武内さん達。

 

 それらが走馬灯と混じってしっちゃかめっちゃかになっている脳内にやけに鮮明に残ってるのは腹の底から楽しそうに大笑いするバカ猫の声と、水面にたたきつけられる時の衝撃から庇わねばと思って無意識にその細くて柔い体を思い切り力の限り抱きしめていた時に嗅いだ、甘く蠱惑的なその特徴的な彼女の匂いだったというのは不思議な話だ。

 

 

 起きたら、覚えとけよ―――バカ猫。

 

 

――――――――――――

 

 

 

 楽しい楽しい空の旅を終えての短い海中ツアー。その先に残ったのはグルグル目を回して水に浮く奇妙奇天烈な陰険アシスタントと共にプカプカ浮かぶ生身のクルージングだった。気を失っている癖にいまだに強く自分を抱き留める彼には少し焦ったが、胸元に折りたたんでいた緊急用のライフジャケットもどきのお陰で沈むことも無くこうして二人真っ青な海を回遊中なう、にゃはは。

 

 全身を冷たい海水がくすぐり、気まぐれな波の飛沫が時たま顔や髪を濡らす。あの時の陰鬱な曇天と打って変わった快晴と体と心を覆う快感に私はふつふつ湧き上がる笑いを抑えることが出来ずにそれを誤魔化すように彼の胸板に強く顔を埋める。

 

「うーん、あんな仕返しをされても女の子を守ろうと体を張るのはプログラムの成果か、元々のお人好しかはちょっと判断に迷うなぁ……」

 

 彼の意識が無い事をいい事に滅多に味わえない被検体の体を入念にチェックしながら一人で今回の仕返しの唯一の不満点をごちる。

 これが自分とだけの研究の末だとしたら満点なのだが、残念ながら不確定要素が多すぎる。なにせ、自分の被検体は多くの女子と日常的にふれあい、なんならば考えもなしに他人を庇ってナイフの間に体を滑らせてるようなお人好しだ。それが、自分の事が最優先になって自分だけの為にそうしてくれるようになってこその研究結果でなければ意味がない。

 

 だが、まあ、焦ることはないだろう。

 

 失敗は成功の元。

 

 被検体のモルモットが望み通りの結果を出さないからといって叩き潰すのは三流だ。一流とはその結果を冷静に受け止め改良を加えていくものなのだから。この唐変木がいつか話すまでもなく自分の心を読み取り、応えてくれるようになるまでの過程だって楽しもう。

 

 なんでもすぐに思い通りの結果を出せてしまう自分に神様とやらが与えた最後の命題がすぐに解けてしまったら面白くない。

 

 だから、きっと――――

 

 

 この研究は一生をかけていくのだろうから、じっくり楽しもう。

 

 

「私をもっと悩ましてね――――はっちー」

 

 

 そんな独白を青空に溶かして、私はボートで迎えに来てくれた友人に満面の笑みで手を振って応えた。

 




( `ー´)ノへへっ、ランキング上位を目指して突っ走るぜ!!
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