デレマス短話集   作:緑茶P

115 / 178
('ω')とある沼主の欲望と等価交換の結果、酷いのが出来ましたww


読む人はそこそこになんでも笑える人向けです。


でも、これだけは約束しよう――――”全年齢対象”これに嘘は無いんだ!!



【誘惑】

「ねぇ~、はち君~。莉嘉たちの出番まだー?」

 

「もう1時間くらい経ってるよ~。机の上がもうみりあ達が作ったトランプタワーで埋まっちゃった……」

 

「今日しか撮れないってんだからしょうがないだろ。……帰りに好きなもん奢ってやるからアプリでもやって待っててくれ」

 

 あてがわれた控室で遂には堪忍袋も限界を迎え、痺れを切らした二人の少女がついに不満を口に出した事で俺も小さく溜息を吐いて手元のノートパソコンから視線を切って魔法の言葉を口にするがぐてっと机の上で伸び切った二人“城ヶ崎 莉嘉”と“赤城 みりあ”は特に興味を示した様子もなく頬を膨らませるばかりである。

 というか、そうね。今やもう天下のシンデレラプロジェクトの古参JCアイドルの彼女達はぶっちゃけ俺の数倍稼いでるのにモノで釣る効果が出る訳もない。とはいえ、控室の奥から聞えるスタッフさん達の慌ただしい雰囲気から察するに機材トラブルが収まるのはもうしばらくかかりそうだしでどうにも八方塞がりである。

 

「「もう待つの飽きた~。飽きたあきたあきた~!!」」

 

「うるさ…」

 

 キャンキャンと喚いて数多にも築かれたトランプタワーを怪獣よろしく破壊していく二人のわんぱく共。いつもなら可愛らしく見慣れた光景なのだが、撮影直前でのトラブルだったため二人ともバスローブの下は普通に水着姿のままだというのがやましい事は無くても犯罪臭を醸し出す。

 

 バスローブから覗くのは未成熟ながら発育のいい肢体を包む所々を透ける網で目線を集めるビキニと反対に厚めの生地のパレオで腰回りをしっかりと隠しつつも惜しげもなく晒された真っ白なその太もも。なんならばいっそのこと普通のビキニの方が健全だったのではと思わせるくらいの水着に身を包む莉嘉。

それに対照的なのはボタニカル生地のビキニの上にシフォンを被せたオフショルダーに身を包んだみりあだ。出会って一年で随分と成長した彼女はその健康的な肢体を憚ることも無く可愛らしい水着で飾り立て、大人ぽくなり始めた雰囲気を持ち前の無邪気さで良い意味で安定させない魅力を引き出している。

 

何なら他の撮影予定の他事務所の子を返して二人のこのシーンだけ発売したって、変態なお兄さん達が大枚をはたいてDVDを買い漁るのではと疑うレベル。

 

 他事務所のスケジュールも複雑に絡んでいて日にちを改める事が出来ないストレスからの現実逃避にそんな益体もない事をつらつらと考えていると、暴れている二人と目があって数舜。顔をニヤリと見合わせた時点でろくでもない事を思いついたのは確定的明らかであり、思わず顔を顰めてしまった。そんな俺に構う訳でもなくニマニマと満面の笑みでこちらに近づいてくる二人が厭らし気に俺の顔を覗き込んできた。

 

「あっれー? もしかして、ハチ君、今、莉嘉たちの水着に釘づけだったー? メロメロ? 溢れる色気にメロメロになっちゃった?」

 

「えへへー、これ可愛いでしょ? 今回の撮影用って事だったけど可愛すぎてもう買い取りさせて貰うことにしてるの!! どうどう? みりあもおっぱい大きくなってきたから魅力的になったでしょ~?」

 

 ニマニマとしつつバスローブの腰ひもを取って各々が決めポーズで自慢の水着を見せつける様に無邪気に迫って来るが―――俺は思わず笑いを零してしまって、二人の額にデコピンを一発づつお見舞いしてやる。

 

「百年早いぞ、クソガキ共」

 

 それなりに蠱惑的な雰囲気を醸しだしていた二人は俺の二重の極み(笑)を喰らって仲良く頭を抱えているのを眺めつつ鼻で笑う。そもそもが、どれだけこのバイトでこういう撮影に付き添いをしてきたと思ってんだ。

 発展途上の二人どころか先進国からテロレベルの成人・大学生アイドル達の水着でもっと過激な悪戯で玩具にされている俺に今更、そんな青い果実を寄せてあげた所で動揺なんかするわけがないだろうに。そんな独白を心の中で苦笑と共に呟きつつパソコンに向き直ろうとするとグイと強い力で襟を引っこ抜かれる。

 

 

「「その喧嘩―――言い値で買った」」

 

 

 強制的に振り向かされた先にあったのは赤銅色の燃えるような瞳と、雷でも宿っているのかと思う程に黄色く輝く瞳。その二つが肉食獣もかくやと言わんばかりの瞳で俺を捉え―――犬歯を剥き、青筋を額いっぱいに散りばめた満開の笑顔の二人が低い声でそう呟いた。

 

 

 

笑顔とは本来、攻撃的なものであr(略

 

 

――――――――――

 

 

 

 さてはて、時間はしばし流れての事。控室の机を脇に寄せてその中央にパイプ椅子一個を据えて座らされた俺が何やらコソコソと携帯を片手に作戦会議をしている二人をぼんやりと眺めているのだが、この時間に鬼のように通知が流れ込んでいるであろうメールボックスに憂鬱になり始めた頃に話はまとまったらしい二人が闘志満々な感じでDAPを交わす二人。本場のスラム街でも通じそうなくらい決まってるのだが―――どこで教育を間違えたのか、本気で責任者を問い詰めたい。

 

 そんな俺の切なげな視線など知るかと言わんばかりに部屋の電気をいくつか消して丁度俺のいる位置から先がステージの様にライトアップされた状態でその最奥にバスローブを着込んだ莉嘉がスタンバイ―――ミュージックが流れ始める。

 

 曲名は何だったろうか? 確か、“女殺し”的な意味の奴だったはずだ。流れる音源を背に不敵に笑う彼女はお手本のようなキャットウォークで観衆を見下すようにステージを闊歩し、その純白のローブを俺の前で華麗に脱ぎ捨てた。

 数週の白の幕間から現れたのは、しなやかで瑞々しい張りを湛えながらもその肉付きは既に“女”であることを十二分に証明している身体。ピッタリとそのシルエットを映す上部の多くの透ける生地を多用したビキニに対照的に女性の象徴として双璧を誇るもう片方をギリギリで頑なに覆い隠すパレオが舞いに合わせて揺れるたびに視線を否応がなく引き寄せられる。

 

 そんな男の性を見抜いてるとでも言いたげに淫靡に目を細める彼女はその肢体をサービスだと言わんばかりに目と鼻の先。それこそ彼女の体温と少女特有の甘いミルクのような匂いが分かってしまうくらいに迫り―――それでも絶対に触れさせないラインでただ見せつける様に振り乱し、焦らすようにそのラインを嫌らしく撫でさすってその甘い肉汁の触感と味の想像だけを掻き立てては離れていく事を繰り返す。

 

 やがて、音楽もクライマックスを想像させるような緩やかさを奏始めた時にその肉食獣のような莉嘉の危うい輝きを放つ目が煌めき―――最後の秘所を守っていた城壁である腰布が艶やかに取り払われストールの様に器用に肘に引っ掛ける事によって淫靡な衣装は完成を迎えた。

 

 彼女のビキニが趣向を凝らした物だとするのならば、彼女が下に履いていたデリケートゾーンを覆うのは無骨なテカリを湛えた皮のようなズボンに近い形状だった。だが――それがその下に詰まった果肉の存在感を思わず想起させるようなぱっつぱつのモノであることがよりその先の柔らかさを引き立てる。

 

 スラリとした肢の上にまるで乗せたのではないかと思う程に肉感溢れるその尻――いや、“ケツ”と呼ばねば失礼なくらいにその双丘はブルリと存在感を示して自分の目の前でわざとらしく小刻みに振るわれている。その存在感は小癪にも腰の上で揺れているストールとなり果てた布切れが隠さねばならなかった理由をありありと証明していた。

 

 こんなものを、歩く度に誘う様に揺れるモノを丸出しにしていたならばそれはもう猥褻物陳列されても文句は言えず、道行く男にいつ路地裏で乱暴されたって文句は言えないだろう。

 そんな俺の感想を知ってか知らずか莉嘉はまるでその視線が楽しくて仕方がないのか、腰を更に俺に突き出して下品な蟹股に近い形で揺すり、何かを下の口で舐るかのようにこね回す腰づかいへとシフトした。

 

 自らの爪を噛み、淫靡に真っ赤な下で親指を何かに見立てる様にちゅぱちゅぱと音を立ててしゃぶり蒸気した頬と視線で俺を見つめ―――もはや激しい舞で発汗した汗に乗って隠すことも出来ないくらいに臭う、雌の匂いを放つケツを目の前で執拗に下品にゆすって誘い込む。触れただけでも、いや、今、こうして五感に彼女を感じているだけでも禁忌とされている果実を“今すぐ齧り付け”と全身でアピールする彼女。

 

 

 俺は―――ソレを

 

 

 思いっきり張り手でひっぱたく事で応えた。

 

 

 

「いったーーーーーーい!!! 何すんのさ、ハチ君!! ここは莉嘉の魅力に抗えなくてお尻に抱き着いちゃうシーンじゃないの!!?」

 

「じゃかましい!! どこでこんないかがわしい踊り覚えてきた、馬鹿垂れ!! 大体が小娘がケツを目の前で揺すってるだけで興奮してたまるか!! どっかの野原家の5歳児の方がもうちょうい華麗に舞うわ!!」

 

「はぁっーーー!!? あんなセクシーなダンスが子供向け番組に負けるとかマジあり得ない!! ハチ君の性癖って皆に歪められすぎなんじゃない!!?」

 

 さっきまでの男を喰らう怪物のような色気はどこへやら、いつもの子ライオンのような無邪気な獰猛さで張り手の残ったケツを抱えて喚く彼女にガミガミとお説教を開始する。というか、マジで誰だあんな18禁手前の芸仕込んだ奴!! マジで調べ上げて一回折檻を―――え? 嘘、ネットで普通にみれんの? 18禁でもないのあれ? 日本ヤバ過ぎじゃない? 大丈夫? もう駄目かも知らん

 

[newpage]

 

 

「えへへ、じゃあ次はみりあの番だねハチ君!!」

 

「頼むから変なのは勘弁してくれ……」

 

 喧々諤々と暴れる子ライオンの相手が一通り沈静化した頃に俺の裾を引っ張るのは黒髪の可愛らしい少女“みりあ”だった。顔を見るに純粋無垢そのものなのだが、デレプロの全てのメンバーが恐れおののくクソガキお茶目コンビの片割れなので純粋にえげつない事をしてくる事があるので油断はできない。――教育担当、怒らないから放課後指導室に来なさい。思いっきりビンタかましてやる。

 

 そんなこんなで既に仕事以上に満身創痍な俺は袖を引かれるまま彼女の跡をついて行くとそこには予備で渡されていた大判のタオルケットや楽屋の隅に積んであった座布団が丁度人一人分が寝そべれそうな感じでセッティングされていた。その意図を図りかねて首を傾げつつみりあの方を伺えば、ちょっとだけはにかんだ彼女が微笑みながら説明してくれる。

「昔はハチ君が肩凝ったりした時とかマッサージして上げてたの最近はしてあげてないなって思って……まだまだ、皆みたいにセクシーではないかもしれないけどこういう風にたまには労ってあげるのは私でも出来るから―――どう、かな?」

 

「―――天使かな?」

 

 そうそう、お子様は変な動画の影響や擦れたりしないでこういうのでいいんだよ。体が未成熟なのは当然。幼い子供に興奮しないのはお兄ちゃん以前に、人として当然。ならば、こういう心温まる交流と年相応の健康的な瑞々しさでいいんだと八幡おもいました、まる

 とにかく、こういった方向なら大歓迎だし、最近は確かに激務が続きすぎて専門店に行ってマッサージを受けようかと思っていたほどだ。効果の程はともかくとして揉んで貰えれば多少はましだろう、なんて思いつつ厚意に甘えて俯けでその簡易マットに寝そべる。

 

 意識はしないようにしていたがそれだけでも体はずっしりと疲労を重さで伝えてくるのでそれなりに疲れていたらしい。思わず深く溜息を吐いた俺の上にみりあの軽い体重が背中にかかったのを感じる。

 

「……いや、バスローブを脱ぐ必要あった?」

 

「動きにくいし、一応はセクシーさもあぴいるしようと思ってるから、頑張るね!!」

 

 あ、まだそのゲーム続いてたんだ。なんて苦笑を漏らしつつキュッキュッと小さな手が一生懸命にマッサージをしてくれ始めたのを感じて野暮な事は言うまいと目を瞑り『んしょ、んしょ』なんて可愛らしい掛け声と共に緩やかな圧に身を任せる。まあ、正直に言えばマッサージとしてどうかと言われれば微妙なのだがこういうのは心づかいが嬉しい物なのだ。それだけで随分と体も心も軽くなる。

 

 そんなホンワカした気持ちでその施術をしばらく受けていたのだが、可愛らしく息と弱音を吐く声が聞こえてきたのに苦笑を漏らす。

 

「ハチ君の背中って固すぎだよぉ…」

 

「苦労を掛けてすまないねぇ」

 

 文句の代わりなのか張っている筋肉をてしてし叩いてくる彼女に少しだけ冗談交じりに応えると不満げに唸った彼女が名案を思い付いたかのようにあっと声を上げた。

 

「ねぇねぇ、みりあお父さんにマッサージするときにね“上に直接乗ってくれていい”って言われてそうしてるんだけど、ハチ君の上に乗った方が効率いいかも!!」

 

「お、言われてみればそうだな。気にせず普通に乗ってくれ。多分、その方が効果出そうな感じがするしな」

 

 ボロボロに疲れ果てて帰ってもこんなカワイイ愛娘にマッサージしてもらえるなら赤城家の家長もさぞ癒されていることだろう。なんて、思いつつ遠慮気味に片足を乗せたみりあを鷹揚に促すとさっきとは比べ物にならない圧を感じて強張っていた筋肉が揉まれる事によって血液が巡り始めた事を感じる。

 

「おお、さっきより全然いいな。もうちょっと体重をかけてもいいくらいだ」

 

「えー、本当!? じゃあ……もうちょっと強くするね?」

 

 そんな遠慮がちな声の後にぎゅっと足に力が籠るのを感じつつ肺の中の息も緩やかに押し出される。最初は戸惑いがちだったモノも慣れるにつれてリズムよく踏み込まれ中々に悪くないマッサージになってきていて思考も疲れに引っ張られ緩くなって間の抜けたうめき声を漏らす生物になり果てる。―――掛けられる声に妖しい熱が帯び始めている事に気が付かないくらいには。

 

「ふふっ、こんなに固くなっちゃっうなんて―――大人って大変だね」

 

 固い筋を舐るように圧を込め、

 

「パンパンで、コリコリで熱くなって――くるしいよねぇ?」

 

固いかかとでこねくりまわすように嬲り、

 

「どんなに強くても、賢くても男の人ってここが苦しいと――ぜーんぶ、支配されちゃうなんて可哀想~」

 

 肩甲骨あたりから緩やかに降りてきた足が腰を溶かすように揉み解して熱を溜める様に念入りに踏みしめる。

 

「ぎゅ、ぎゅって、踏まれる度に気持ちいいんだよね? みりあみたいに、年が一回りも違う女の子に踏まれちゃってこんなに蕩けちゃってるんだよね?」

 

「うぎぃ?」

 

 なんだか様子が変だぞぅ? なんて疑問に思って首だけで振り返ればそこにいるのはさっきまで慈愛に溢れていた笑顔の少女ではなく爛々と仕留め終わった獲物を舐って遊ぶ興奮に赤銅色の瞳を爛々と輝かせる肉食獣がそこにいた。―――なんか、趣旨変わってない? これ?

 

 そんな俺が疑問を口に出す前にグッといきなり背中にかかる圧力が増大した。さっきほどまでと違い力を籠めるのではなくただただ全体重を背中にかけるために―――その小さくスベスベの足が俺の背に降り立ったのだ。

 ぎゅっという効果音がぐりっという物に変わってもその足はリズムを変えず――いや、さっきより楽し気にリズムを刻んで背中をステージにステップを刻んでいく。

 

「あは、あははっ、ねぇ、気持ちいいかな? みりあ、ちゃんと出来てる? うふ、うふふふ。 あ、お魚さんの市場でね ふふっ 箱から零れても拾われてないお魚さんってなんていうんだっけ? 物知りなハチ君なら知ってるかな? ねぇ―――なんていうんだっけ?」

 

「うぎ、ちょ、痛くはないけど、テンポはやっ……なんだ、っけ? “ざっこ”とか、 うぎ 言うんじゃ 無かった っけ?」

 

 たっぷりの溜と嗜虐心の籠った瞳でニマニマと問いかける彼女は俺の答えにその愛らしい唇を深く深く三日月を刻み―――真っ赤に燃える愉悦を瞳に映し、楽し気に哄笑を漏らした。

 

「あはっ♡ へぇ、“ざっこ”っていうんだねぇ? うふ、うふふふふふっ “ざっこ” “ざっこっ!!” あははははっつ! 変なの!! “ざっこ” ざこザコ雑魚ざこ!! ざーこ♡ ざーこ♡ ざーーーこ♡!!!! あははははははは!!! こうして拾われないままたっくさんの人に踏まれちゃうなんてかわいそ~~♡!! あは、あははははは――――――はれ?」

 

 

 頬を真っ赤に、息を切らさんばかりに新しい知識に大興奮して、人の背中でタップダンスを披露するJC。ノリノリの所で悪いのだが痛くないとは言ってもそこまで行くとちょっと気持ちいいとは変わり始めていたので寝返りを打って彼女をコロリとふるい落とした。

 ご機嫌なダンスをあっさりと止められた彼女は何が起こったか分からないといった風情できょとんとしている。これだけ見るとさっきまでと同一人物か疑わしく思えてしまうのだが、年長者として俺は彼女に伝えなきゃいけない事があるのでカワイイ水着に身を包んで尻もちを付いている彼女の脚を固定してその小さな足を逃げられないようにがっしりと掴み、笑顔で語り掛ける。

 

「とりあえず、言いたいことはいっぱいあるが簡潔に行こう。 一つ、人の背中でタップダンスを披露するのは良くない。 二つ、新しい知識が増えて嬉しいのは分かるが誤解を招いちゃう事もあるからあんまり大声で連呼しないように。 三つ―――マッサージのお礼に俺もしてやるよ “若林直伝の特別足ツボマッサージ”を、な?」

 

「へ、い、 いや、足ツボって、 みりあ 凝ってないからだいjyおおおおっぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉぉおx―――――いったーーーーい!!!!!」

 

 花のような微笑みといって過言ではない顔に“やっべ”みたいな焦りと冷や汗を浮かべる彼女に俺も笑顔で答えると、何か言い訳を紡ごうと口を滑らせる彼女の口は――――大絶叫へと塗り替えられた。

 

「おうおう、若いのに随分こってんなぁ? ほれ、ここが十二指腸らしいぞ?」

 

「あばばばばば―――ご、ごめ、ごめんなさいっ!! あぐぎぃっっつ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさ、いたーーーいっ! なんでぇぇぇっ!! みりあごめんなさいしたのに、あひっつ!! あ、ああぁぁ、そこ―――あぎぃぃぃっ!!!」

 

 口の端から泡を吹くくらい暴れる彼女だが残念ながら体格が違う。必死に痛みとむず痒さによって襲い来る健康の波にさらされる彼女にニッコリと微笑みながら俺は首を傾げる。

 

「ん? 何を誤ってるんだよ。コレはマッサージのお礼なんだから遠慮なんかするなよ。ついでにさっき教えた知識ももう一回俺に教えてくれよ。ほれ―――もう一回、さっきの な ん て い っ た か な ぁ ?」

 

「あーーーーっつ!! すみませんでした!! “ざこ”だったのはみりあでした!! ごめんなさいごめんなさい!!!!ごべんださざいぃぃ―――っ!!! いだだっだだだ!! 比奈ちゃんの嘘つき~!! “糞雑魚生意気小娘が粋がってごめんださい”って言えば比奈ちゃんのマンガじゃすぐに許してもらえたのにぃぃっぃいぃ」

 

「お前も、アイツも――――何してんだっつ、よぉっ!!!!!」

 

「ひぎぃぃっぃぃ!! み、みりあっ、健康体にされちゃうぅぅぅぅ!!!――――― あっ 」

 

 最後の仕上げにもはや意味不明な事を(もちろん、意味なんか全く俺には分からん)並べ立てる小娘に健康の尊さを教え込むために最後の仕上げのツボを“ごりりっ!!!”と押し込めば絶叫と共に体を跳ねさせたみりあが―――口から何かを抜けさせながら、あまりの健康の波にその意識を連れ去られ、気を失ってしまった。

 

 

 なむさん。これに懲りたら、健やかに育つがよい。

 

 

 そんな事を心の中で唱えつつもう一人、健康の尊さを教えこんでやるために部屋の隅で変わり果てたみりあを恐れおののきながら見つめるもう一人の少女に手を伸ばした、とさ。

 

 

 

 

―――蛇足―――

 

 

「すみませーん、デレプロさんすっかりお待たせしちゃ―――てぇ え? な、なにしてたんすか?」

 

 それからしばらくして申し訳なさそうに楽屋に呼びに来てくれたADさんがすっかり健康になって地面に転がされてる二人を傷だらけの俺を見て引き気味におもった事を口に出した。あの後も若林に聞いた秘伝を施術してやろうとするたび暴れて俺に牙を剥いてきた二人によって出来た傷にばんそうこを張りつつも俺は一拍考え、ありのままを伝えることにした。

 

「いえ、ちょっと―――健康の尊さを知って貰ってました」

 

「………あ、はぁ?(噂通り、デレプロ やっべぇな……)」

 

 

 

 余談だが、この後の撮影されたイメージビデオの中でも健康的な身体になった二人から溢れる魅力は同世代の中でも群を抜いていたらしく―――後日、二人だけが単独でビデオを発売し、ミリオンを達成したというのはまあ、どうでもいい話だろう。

 




(・ω・)ね? 全年齢対象だったでしょ?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。