デレマス短話集   作:緑茶P

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明けましておめでとうございます!!

まだまだ頑張る定期夕方6時投稿!!

今回はみんな大好き”もみやで回”!!ウヒョー―( *´艸`)

新年にふさわしいほのぼの回です!!

ウソジャナイヨ!!


喋喋喃喃

 師走とはよく言ったものだと思う。

 

 聖夜と年の瀬が一気に近づき、誰もが忙しなさそうに足を早めて街をすれ違う。それでもその表情は誰もが明るく、何とはなしに心が弾んでいるように見えるし、それに比例するように街は華やかに彩りを増してゆく。

 

 そんな人込みをただ通り過ぎて帰るだけというのもなんだか味気ない気がして、何とはなしに街並みを見下ろせる喫茶店に寄ってみる。窓べりの席が丁度空いていてくれはしないかと店内を見回せば――――珍しい人を見つけた。

 

 いや、正確に言えばその人自体は毎日のように見て、言葉を交わしている。

 

 それでも、そんな日常の中で見た事がない表情や仕草にちょっとだけ息を呑む。

 

 乱雑に伸ばされ纏められた鴉のような色合いの髪の毛から楽し気に揺れるアホ毛。いつもは気だるげな気配で細められている澱んだ瞳は好奇心に輝いてまっすぐ開かれ、現場や事務作業でちょっとだけ荒れたその見た目よりしっかりした細い指は名残惜しそうにゆっくりと手元の“ソレ”をめくってゆく。

 

 いつもは誰よりも走り回って皮肉気な悪態を漏らしている“比企谷 八幡”があんなに無邪気に本を捲っている姿を――――何人が知っているだろうか?

 

 そんな気まぐれから生まれた嬉しい誤算にちょっとだけ高鳴る胸に少しだけの呆れと優越感。こんな事でいちいち喜んでるなんてまるでその辺の女子高生と変わらない。でも、よく間違われはするけれども―――これでも現役の乙女なのだからそれくらいは見逃してもらおう。

 

 そんな誰にともない言い訳を重ねて

 

 弾む心そのままに“速水 奏”はお気に入りの彼のいる席へと足を向けた。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「相席、よろしいかしら?」

 

「―――え、あぁ、どう……何してんの、お前」

 

 意気揚々と赴き、目の前まで来たのに全く気が付きもせず本を読みふける彼に肩をちょっとだけ竦めて声をかける。それでようやく本の世界から意識をこちらに戻した彼はちょっとだけ迷惑そうに眉をしかめこちらに視線をやり――――――私を認めた瞬間にもっと嫌そうに顔をしかめるので思わず笑ってしまう。

 

「帰り道に寄り道しようとしたら珍しいものを見たから見物に来たの」

 

「人の事をナチュラルに珍獣扱いしている件について…」

 

 いつもと変わらない悪態を漏らす彼に苦笑しつつ、コーヒーを頼んで机の上に置かれたソレを見つめる。普段のくだらない言動とは裏腹に本が好きだというのは同僚の狐目の少女から聞いていたが、実際に彼が読んでいる姿は初めて見たかもしれない。

 

 自分たちの前ではいつだって眉間に皺を寄せて資料を読み込んだり、咥え煙草で現場で打ち合わせしつつメモを書いている忙しない姿しか見た事がない。というか、休暇中の彼にあったことのある人はほとんどいないはずだ。毎日顔を合わせて文句や軽口を交わし合っているはずなのに――――あんなに穏やかな顔もできるのかと、初めて知った。

 

「あんなに夢中で何を読んでたの?」

 

「エロ本」

 

「…いい歳して恥ずかしくない?」

 

「逆に未成年が堂々と読んでても問題だろ。あと、お前ら思春期は大人に夢を見過ぎだな」

 

「なら、尊敬できるようにする姿勢を持ちなさいよ―――て、話を逸らさないで」

 

 平然とくだらない事を言うのでいつもの掛け合いをしてしまったが、今日はそういう気分でもないので本題に戻して彼の手元にある本にちらりと視線を向けると、いつになく食い下がる私を珍し気に眉をしかめた彼がため息と共に開いていた頁にしおりを挟んで渡してくる。

 

 予想だともっと粘られるかと思っていたので肩透かしを食らった気分でその厚めの装丁が施された本を受け取り、そのタイトルをなぞる。

 

「これって―――意外な本も読むのね?」

 

「知ってるとは思わんかったが……久々に家の棚を探してたら出て来てな」

 

 そう思わず零した私の言葉に彼は苦笑と共にそう呟いて胸元から細巻きを取り出して、軽やかに火をつける。そんな彼を横目に、手元のその本をゆっくりと流すようにあらすじを確かめると自分の記憶違いではない事を知る。

 

 それは、下町のアンティーク店の女主人と既婚者の男が主題のお話で――はっきり言えば浮気のお話だったはずだ。

 

 随分前に本屋でその表紙に惹かれ手に取っては見たものの“浮気”という行為に対して言いようのない嫌悪感を抱いてすぐにソレを戻してしまったので随分と記憶に残っている。あの当時に感じたほどではないけれども、やはり心の中にそういったものは受け入れられないしこりがあって、軽く捲っていた手を止めて彼にその本を返す。

 

「てっきり冒険譚とか、ラノベとか、そういった方面の物が好きなのかと思ってたわ」

 

「別に特にこだわりはないな。面白そうだと思えば何でも読む。旅行記、恋愛、ミステリー、サスペンス、ラノベに果ては恐竜図鑑までな。―――唯一、無理なのはエッセイと自己啓発本関係だな。三分持たずに寝る」

 

「恐竜図鑑って…ふふ、やっぱり変な人。自己啓発本は――なんだか分かる気がするわ」

 

 目を輝かせながら恐竜図鑑を眺める幼げな彼を想像すると、この不機嫌そうな男の意外な一面に思わず笑ってしまう。そこから流れるようにポツリポツリと馬鹿らしい言葉を二人で交わしているウチに届いたコーヒーに口をつける。

 

 寒く、忙しない街を見下ろして、柔らかな空気と音楽に包まれて秘めやかに言葉を交わすだけでここまで浮つく自分の現金さに少々呆れた。だが、そんな事を悟られるのも少し癪でなんとなく浮かんだ話題を彼に振ってみる。

 

「こんなこじゃれた喫茶店で本を読むようにも見えないけど、どうしたの?」

 

「ん、あぁ、文香と待ち合わせをしててな」

 

「……………へぇ、仲がいいのね」

 

「…コーヒー鼻から出てきてるけど?」

 

 完璧なるアイドルとして名高い自分に恥じぬように、動揺する心と表情をなんとか完全にコントロールすることが出来た私は何事もなかったかのようにコーヒーカップを受け皿へと戻した。―――ついでに、謎の経路で鼻から漏れ出たコーヒーも優雅に拭う。

 

 さて、状況はイーブン。

 

 それでも、それは私の完全なセルフコントロールによるものであって、内心が穏やかという訳ではけっっしてない。なんとかそれらを感じさせないように、漏れないように穏やかに彼への不満を口にする。

 

「いくつか言いたい事があるのだけれど、この間、貴方は“映画”や“ドライブ”に誘った時に公私を混ぜて付き合うのは良くないと言って断っていたはずだけれども…文香は例外だとでもいうつもりかしら?」

 

「あくまで鼻から出たもんは無視する気か…。というか、公私は別に分けてるだろ。休日に“同級生”とレポートの写しを貰うのと、本を貸すだけなんだから。ちなみに―――お前の誘いを断ったのは単純にどっちも行きたくなかったからだ。何が悲しくて貴重な休日にクソB級映画を見るために命懸けの初心者ドライブに付き合わなきゃいけないんだよ…」

 

「そんなの事務所でやればいいじゃない!それこそ綿密に編まれた作戦で貴方はここに引きずり出されてる哀れな獲物よ!!というか!クソB級くらい付き合いなさいよ!!代わりに連れてかれた志希と小梅がかわいそうだと思わないの!?」

 

「もう意味が分からんし、もう自分で犠牲者って認めてるんだよなぁ…」

 

 呆れたように細巻きを吸い込む彼にもっとハラワタが煮え立ち、頭が燃えるようにヒートアップしていくのを感じて滲む涙と鼻付近に残っていたコーヒーをふき取り、のほほんとした彼を睨むように見つめる。

 

 この危機感のなさにはホトホト呆れかえる。“同級生のお願い”なんて女の誘いの常套句ではないか。ソレをいつもの事にして違和感を失くし徐々に要求をあげて最後にパクり。誰だってそうする。私だってそうする。――ましてや、あの事務所の強かな面子がソレを実行しないわけがない。

 そんな事も気づかない哀れなこの男をどうしてくれようかと睨んでいると、彼の手元の本が目に付く。艶やかで、それでも、楚々としていて一抹の寂しさを感じさせる綺麗なその表紙。

 

 それは“不倫”という行為の甘やかさや、純粋さを表しているようで―――その下に隠れた下心の厭らしさを隠蔽しているようで随分と鼻につく。

 

 中身を見ていない私がその本の中身をどうこう言うつもりはない。でも、こと“不倫”という行為に関しては絶対に許すつもりも、するつもりもないと思うのだって自由なはず。―――だてに軽い恋なんて好みじゃないと嘯いてるわけではない重い女なのだ。

 

「私、そうやってコソコソ逢引きするのはフェアじゃないと思うの」

 

「ストローの包み紙をとばしてくるな、小学生か」

 

 文句がわりに吹き矢のように飛ばした包み紙が彼の胸元に当たり、文句を聞き流しながらゆっくり入り口の鐘が鳴った方向へ首だけで振り返る。

 

 変装なのかいつもより深くかぶったニット帽に伊達眼鏡。外の冷え込みを表すかのように少しだけ赤くなった頬はこちらを見つけて別の彩りを加える。傍から見るだけでも絶世の美少女。――――そんな彼女をまっすぐに見据え、微笑む。

 

 笑顔とは本来は攻撃的な物だったそうな。好きな漫画に描いてあったから間違いないわ。ソレに、今の私も丁度そんな気分だもの。

 

 醜かろうが、なんだろうが、好きな男が自分もそっちのけで別の女と逢瀬するのを許せる“いい女”なんてまっぴらごめんよ。だから―――今日は絶対に二人きりの甘い時間なんて過ごさせて上げないんだから。

 

 

「すみません、遅れてしまいました。…奏さんは、どうしてここに?」

 

「あぁ、―「ごめんなさい、帰り道に偶然寄ったら彼にはちあって。その本についてちょっと話してたの」

 

 何かを喋ろうとする彼を遮って、件の本を指さしつつ経緯を話すと彼女は嬉しそうに頬を緩めこちらの席に近づいて腰を隣に下ろしてくれる。きっと、単純に本好きの彼女は本の話題を共有できることが嬉しくて喜んでいるのだろうけど―――ちょっと期待には答えられなさそうだ。

 

「ふふ、期待させてしまったなら申し訳ないけど…その本についてはあらすじ位しか知らないのよ」

 

「あぁ、そうなんですか。ならば―――「私、不倫とか、横取りとかって絶対に許せないのだけれど……文香はどう思う?」

 

 嬉しそうにその本を語ろうとする彼女を遮って、挑発的に微笑んでみる。なにも意図する所のない個人的な感想。そんな話題を唐突に振る私に彼女はしばし目を瞬かせて―――柔らかく微笑むことで答えた。

 

「多様な感情を持つ人間ゆえの葛藤ですね。……まあ、個人的には“お遊び程度”なら不愉快でも許してあげようと思える度量は持ちたいですね?」

 

 

 

 

「「……うふ、ふふふ、ふふふふふふっ!」」

 

 

 

 

 数舜の間と、同時に笑いあう私たちの声は暖かな室内の空気を揺らして、楽しい夜がやってきたことを伝えてくれる。

 

 

 今日は “喋喋喃喃” 楽しく語り合いましょうね?

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

あらすじ という名の 振り返り

 

 

 比企谷さん  男  21歳

 

 今回は後半空気。この後、胃がキリキリする修羅場に巻き込まれた。

 

 ちなみ、どのルートでも一歩間違えると凄惨なBADENDを迎えるので346道場のちっひのお世話になった方も多いはず。

 

 

 速水 奏   女  18歳

 

 青春真っ盛りの乙女。クールぶってるが地金は重度の漫画オタクで、割かし子供のまんまである。

 

 クソ映画ハンターでもあり、デレプロメンバーからは恐れられている。

 

 

 ふーみん    女  21歳

 

 読書系清楚黒髪ナイスバディなどと桐生社長も霞むほどの属性保有者。

 

 この後の会談で、下宿先に泊めた事やハッチ―の味の好み、本の傾向など圧倒的アドバンテージを見せつけて奏を涙目にした(大人げない)。

 

 ちなみに噂では、対抗した奏の“初めては彼”発言の時は店員が失神するほど恐ろしい顔をうかべていたらしい。

 




('ω')へへ、旦那。今回のお話いかがでしたかね。

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コメントに見てみたい√とか書いちゃうとわりかしフワフワ生きてるあっちは妄想を膨らませちまうのでよかったら気晴らしにポチっとお願いしまさぁ、へへへ←小物感


_(:3」∠)_ 新年がやってきてお年玉が消えてゆく。

まじ大人ってつらたん
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