デレマス短話集   作:緑茶P

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_(:3」∠)_みんな大好き”相葉ちゃん回”だよ!!


今回もなんでも良い方のみ頭を空っぽでお楽しみください!!


('ω')コメント・評価を貰えると僕の承認欲求がビンビンだよ!!



最後にちっひからお知らせがあります(笑)


その花言葉は偽りなく

 私の名前は“相葉 夕美”!!

 

 多分、どこにでもいる平凡な女子大生といってもいいと思います。あぁ、でも個人的にはお花に関してはちょっとだけ詳しいし、好きだっていうのはささやかな自慢といっていいかな?

 

 それに、もう一つ他の子と違う点といえば―――今、目の前で楽し気に話してるツインテールの可愛い子“十時 愛梨”ちゃんと友達っていうのも、もしかしたら普通の人からしたら珍しく見られちゃうのかも。

 

 何を隠そう、この子。いま色んな意味で知らない人はいない“シンデレラプロジェクト”で頂点に輝いたことのあるスーパーアイドルでもあるんです。雪国の人らしくきめ細かい肌に、誰もが見惚れちゃうくらい整った可愛い顔立ちにスタイル。その上、性格も愛嬌と朗らかさを兼ね備えてる事を知っている友人としてはこの子がトップじゃなきゃ誰がトップになるんだってくらいの可愛い子!!

 

 ただ―――そんな子でもやっぱり欠点ていうのがあって、その一つが……。

 

「それでね、そのアシスタントのハチ君が―――」

 

「あー、愛梨ちゃん?」

 

「ん、どうしたの夕美ちゃん?紅茶おかわりする?」

 

 可愛らしく小首を傾げてお茶を進めてきてくれる彼女に緩く手を振って断ると私は喉に絡まる生唾を飲み込んで意を決して彼女に踏み込んだ質問を投げかけた。

 

「えーと、その、愛梨ちゃんって昔その“ハチさん”って人に酷い事されたって言ってなかったけ?」

 

「ん?――あっ、そうなんですぉ!!あの時のハチ君は―――「ここで質問です!」

 

 しばしの間があってその時のことを思い出したのか可愛らしく怒る彼女を見て積もっていた嫌な予感はさらに募ってゆくがソレを打ち消すためにもう一度、彼女の言葉を遮って言葉を重ねる。

 

「ぶっちゃけ、もう昔された酷い事は気にしてないし、今は優しくしてくれてるからって、そ、その――その人の事が気になっちゃってたり………して、ないよね?」

 

「」

 

 私の口から問われた言葉に何を言われたのか分からないといった顔をする彼女がどうか、どうか自分の予想を覆してくれることを祈って私は固唾をのんで見守り―――その結果。

 

「い、嫌ですねぇ!そんな気になるだなんて!こ、これでも私は“アイドル”ですから!!そんな“ハチ君ともっといちゃつきたい”とか“今度の差し入れは何にしようか?”だなんて考える訳ないじゃないですかぁ。あは、あははははははっ!!」

 

 そんな祈りは顔も真っ赤に、ほっぺが蕩けるくらいのにやけ顔でそんな事を嘯く“あいどる”兼“友人”に打ち砕かれる結果となりました……。

 

 その衝撃に頭を抱えて突っ伏してしまった私は惚気話を延々と始めた彼女に最後の力を振り絞ってその両肩を掴んでこちらの世界に引き戻す。

 

「愛梨ちゃん!騙されてるから、それっ!!!」

 

「ほぇ?」

 

 私の必死の言葉も届かないのか首をコテンと倒す彼女に深くため息を漏らす。

 

 

 そう。この子は。“十時 愛梨”という女の子は完璧に思えるくらい可愛い自慢の友人ではあるのだけど、欠点がないわけではない。というか、その欠点すらも彼女の魅力ともいえるのだろうけど、同性の友人たちの間では危うさすら感じさせるその――――ド天然。

 

 傍から見ていればうっかり知らない人について行ってしまいそうな程にぽわぽわしている彼女は今まさに悪い男の毒牙にかかりかけている事を私は確信しました。

 

 彼女が信念をもってアイドルになったことも、理不尽な理由で挫折して落ち込んでいた時も、色々あって今誰よりも輝いているということもずっと傍で見てきたから彼女の仕事に関してはとやかくなんて言えないけれど――――その節々で必ず聞いていた“ハチ”という謎の男の名前。

 

 聞けば専業主夫志望で? 大学にもいかずバイト三昧で? いつも周りに女の子を侍らしていて? そして何より―――愛梨ちゃんを傷つけたのに手練手管で純粋な彼女をだましてまた近づいてきた最低の男!!

 

 というか!まるっきりダメ男の手口だよ!!

 

 傷つけて優しくすることによって依存させるDVの典型男だよ!!

 

 そんな酷い人にこの子を近づける訳にはいかない。

 

 そんな決意を胸にノー天気にぽやぽや微笑んでいる彼女の肩を一層強く掴み私は力強く宣言します。

 

 

「愛梨ちゃん、面接を行います」

 

「……面接?」

 

「その人が、愛梨ちゃんに相応しいか、私が見極めるの!!」

 

「ふ、ふええええぇっ!!?」

 

 

 私の断固とした力強い宣言と彼女の間の抜けた驚きの声が昼下がりのカフェテラスに響いたのでした。

 

 

 

-----------------------

 

 

 

「とか、何とか大見栄切っちゃったけど……大丈夫かなぁ?」

 

 夕暮れの公園、温かくなり始めた空気に応えるように花を咲かせ始めた花壇の花たちに水をあげながらも小さな弱音が思わず漏れてしまう。あの後、渋る彼女を押し切り強引に明日あのカフェにその人を連れてくることを約束させたまではいいのだけれど―――そもそも恋愛経験がないのは自分だって一緒なのだ。

 

 ああも分かりやすい手管に本人が気が付かないのは詐欺師の手腕によるものが大きいと聞いたことがある。つまり、自分だって気を抜けばいつのまにか同じように騙されているかもしれない。そうならないように今から気を引き締めなければ―――なんて、気を引き締めた所でふわりと吹いた風がまだ綻び始めたばかりの花の香りを運んできて思わずまゆ尻も下がっちゃう。

 

 そんな自分に苦笑を一つ漏らして肩の力を抜く。

 

 そうだよね、お花たちの世話をしてる時にまでこんな難しい顔をしてたらお花だっていい気分はしないはず。せっかくの趣味の時間までそんなことで悩むのは止めて楽しもう、と気持ちを切り替えた時にちょうど小さなお客さんが公園にやってきた。

 

 少し青みがかった黒髪の元気で可愛らしい女の子。小学校くらいのその子は興味深げに花壇にかがみ込んでじーっと花を眺めている。

 

 その様子に花を楽しんでくれているのが嬉しくなると同時に、あれくらいの年頃の子が次に何をするのかも経験上分かっているのでそろそろかなっていうタイミングで彼女の方に歩みよる。

 

案の定、花壇の中に手を伸ばそうとする彼女に声を掛けようとして――――

 

 

「悪いな、けーちゃん。ここの花壇のお花は摘むんじゃなくて、見て楽しむ用みたいだ」

 

 

 そっとその女の子の手を後ろから包むように抑えた成年の声によって遮られた。

 

「見るだけー?」

 

「そうそう、見るだけ。摘んでいいのはあっちの芝生とかに生えてる奴だな。何ならソレでお金貰ってる人がいるくらいだ」

 

「ほー。ぷろのお花つみ屋さんだー。はーちゃんも一緒になろー」

 

「………就職失敗したら考えとくわ」

 

「―――ぶふっ」

 

「「?」」

 

 続く二人の気の抜けた平和な会話に思わず吹き出してしまって二人の奇異な視線を集めてしまって赤面をしてしまうが、小さく咳払いをして気まずさを散りながら改めて二人に近づく。

 

「ご、ごめんなさい。二人のお話が面白くてつい―――ご兄弟ですか?」

 

「あぁ、いや、気にしてないんで。知り合いから面倒見るように言われて――「さーちゃんが来るまでけーちゃんが遊んであげてるの!!」―――らしいっす」

 

 その二人のやり取りに今度こそ抑えきれず笑ってしまった。そんな私に肩を竦めつつお仕置きなのか女の子のほっぺを軽くつまんで楽しそうに笑うその二人のやり取りはやっぱり微笑ましくて実の兄弟の様だ。―――少なくとも、誘拐とかそういった類では無さそうだ。

 

 そんな私の笑いが収まるのを待っていた訳でもないんだろうけれども、彼は小さく頭を下げて言葉を小さく紡ぐ。

 

「すみません。ウチの子が勝手に公園荒らしそうになって」

 

 ぱっと見、少し猫背気味で冷たい目と質素な格好から受けた印象は根暗そうで怖い印象を受けていたのだけれども折り目正しく頭を下げるその姿勢と、さっきの女の子とのやり取りで良い人なのだと素直にそう思える素敵な人だ。

 

 だから、私も自然に手を振って朗らかに答えます。

 

「いえ、私は別に管理人とかじゃなくて―――えっと、ここの公園は私が勝手に弄らせてもらってるだけですから。いわゆる、趣味です」

 

「……この規模を一人で、ですか?」

 

「おー、ぷろのお花屋さんだー」

 

 私の答えに帰ってくるそれぞれの反応にちょっとだけ気分が良くなり胸を張っちゃいます。たとえ勝手な趣味であってもソレをみて喜んで貰えたり、感心してもらえるというのはそれだけで気分がいいものです。―――何より、そこから知りたいとかそういう気持ちを花に向けてくれる人が少しでも増えてくれればいいなぁ。

 

「家の中だけじゃ物足りなくなって、誰も使ってなかったここの花壇を少しずつお世話して2年くらいでここまでになってくれました―――って、へへ、ちょっと自慢みたいになっちゃいましたね?」

 

「…いや、何かにそこまで夢中になれるって凄いって思いますよ」

 

「―――っ」

 

「はーちゃんもココで働く―?」

 

「いや、だから、お店じゃねーって」

 

 また和やかに話す二人を尻目に私は平静を保つのに必死でした。

 

 茶化すように語った自分の言葉は今まで多くの人には呆れられるか、ちょっと敬遠を込めた尊敬で迎えられてきた。ソレをただただ朴訥に、あんな柔らかな表情で受け入れられたというのは初めてで――――この胸で跳ねる鼓動と顔の赤さを必死に悟られないように別の事に意識を逸らす。

 

「あ、ここの花壇はこれから育ってく物なのでお分けできないですけど、向こうの花壇はもう季節が終わるから良ければ少し持ち帰ってください」

 

「はーちゃん!お花くれるってっ!!」

 

「……いいんですか?」

 

「は、はい。そっちはもう次の花に備えてそろそろ摘むつもりでしたから最後はお家に飾って貰えれば花も喜ぶと思うんです。―――それじゃ、行こっか?」

 

「うんっ!!」

 

 伺う様に見てくる彼の視線から逃げるように女の子の手を握ってさっさと足を動かす。治まっていない頬の熱は夕焼けに紛れてくれていると信じて、私は精一杯今の気持ちを込めて花束を作った。

 

 

 その中にそっと目立たないように混ぜた花の名は“コマチフジ”

 

 

 花言葉は “運命のような出会い”

 

 

 また、ここに来てくれるようにと願えるこの出会い。

 

 こんな温かい気持ちを持てる様な人が友人の相手であったらいいと、そう沈みゆく夕日に私は小さく祈った。

 

 

 

-----------------

 

 

 

 夜も明けてその時が来た。

 

 約束の喫茶店で一人、紅茶を飲んで気持ちを落ち着ける。

 

 なんとは無しに携帯を開き、あの公園での仲良しの二人を見送るついでに“また花の見ごろに来て欲しい”と難癖をつけて聞きだした彼の連絡先。表示名には“はーちゃん”だなんて彼の容貌には似合わない可愛い表記。ソレが少しおかしくてクスリと笑いを転がせば心の奥にあった緊張も少し和らいで力が湧いてくる。

 

 色眼鏡もなく、ただただお話をして見極めればいいだけ。

 

 それで違和感を感じたなら焦らずゆっくりと話し合えばいい。

 

 昨日までパニックになって相手を攻め立てる事しか頭になかったのが嘘のように落ち着いて考えられるようになっているのだから現金な自分にちょっとだけ呆れちゃう。それでも―――この件が終わったら、彼に連絡をしてお茶に誘うくらいは自分にご褒美をあげてもいいかもしれない。

 

 そんなちょっと先の未来に胸を弾ませていると入り口から来店を知らせるベルの音と聞きなれた友人の声に手をあげて―――――

 

 

 

「もう、だから何度も謝ってるじゃないですかぁ。ちょっと会ってくれるだけでいいんですって」

 

「……いや、それ“来なきゃ明日からボイコットします”なんて脅迫文送ってきた人間が言う言葉じゃないからね?」

 

 

 

 聞きなれた、甘ったるい声に―――聞き覚えのある、胡乱気な声。

 

 何かの間違いだと信じて、必死に願って、見開いた眼には―――間違いなくかけがえのない友人と、昨日であったばかりの彼がいて。

 

 

 上げかけた手と言葉は行き場を失って力なくしおれてゆく。

 

 

   手のひらから零れた

 

携帯が

 

    鈍い音を立てて   

    

          床に転がった。

 

 





ちっひ(∩´∀`)∩「この作品の続編、ですか? ふふ、嫌ですねぇ、皆さんホントはお分かりのくせに(笑)」




ちっひ('ω')「”ガチャを廻し、祈る”――――――それだけです」



to be continued..........



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