デレマス短話集   作:緑茶P

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(´ω`*)渋の沼友からもリクエスト”リアルおままごとでわちゃわちゃする大人組”でーす(笑)


でれすてSSS 【りある おままごと】

 

 

「“リアルおままごと”?」

 

「ええ、昔のアニメで合ったじゃないそういうの」

 

 長らく続いた連勤も終わりそのまま直帰を決め込もうとした時に会社のロビーでのんべい共に捕まったのが運の尽き。そのまま強制的に飲み屋に連行されお開きにしようとするたびに新たなメンバーを迎えて河岸を変える事数件。遂には夜も更け、もう時計は頂点に差し迫ろうかという時間帯に酔っ払いたちが最後に雪崩れ込んだのは事務所から徒歩圏内にあり、最近は年長組のたまり場となりつつある“美優さん”の自宅だった。

 

 深夜にも関わらず意気揚々と乾杯をしてしばらく、菜々さんと佐藤がまるおカートで熱戦をしていたり、気になった化粧品等の意見だったり、ゲラゲラと下品な話題や仕事の愚痴を交わしたりと思い思いに過ごしている時にふっと昔見たアニメの話題になった。

 

 そんな時に川島さんが零した懐かしい単語が何故か全員の目を引いたのだ。

 

「あー、合ったわね。なんだっけ……確か、しんちゃんと同じクラスの女の子のお家芸でしょ?」

 

「あのドロドロした奴だろう? 子供心にあれを見たときは内心複雑だったが……いま思い出すと割かし各家庭の夫婦の事情が思い浮かんでクスリと来てしまうから不思議だな」

 

 それに乗っかった早苗さんがスルメを噛みつつ思い出すように語れば、ソファでくつろいでいる木場さんがウイスキーの氷を揺らしながらクツクツと笑いを零して答えた。まぁ、元々が青年誌が出発点だったアニメなので案外に大人の方が楽しめるものなのかもしれない。というか、木場さんがああいうアニメを見ていたという事の方が意外だが。

 

「ははっ、これでも一般家庭で育った身だからね。それくらいは普通に見ているさ。―――所で、男から見るとああいうのはどう映るもんなんだい?」

 

「まぁ、普通に見てる分には面白かったですよ。実際にああなると嫌気も指すでしょうけど、養って貰えるなら甘んじて耐えて見せます」

 

「ハチ公まだ専業主夫諦めてなかったのかよ☆」

 

「うるさいぞ、佐藤」

 

「お前には負けるぞ―――っと、パイセン赤甲羅あ・げ・る♡」

 

「ひえっ!!」

 

 ゴール直前で妨害された菜々さんを追い抜いて一位になった佐藤と、菜々さんが項垂れながらゲームのファンファーレを背にこちらに混ざってきた。その手に持つのはアルコール度数が厳ついテキーラとウォッカなので相も変わらず腎臓自殺志願者らしい。

 

「うぅ、サボテンジュースが敗北の傷に沁みます…。とはいえ、子供に見せたくないランキング上位でここまで長寿アニメってのも凄いですよねぇ」

 

「誤解されがちだがテキーラはサボテンの酒ではないぞ、菜々君」

 

「うえっ!?」

 

「音沙汰なく、夫去った……なんて事にならないような家庭にしたいですねぇ」

 

「楓ちゃん、それは相手がいない私達には効きすぎて笑えないわぁ……」

 

 

「これは、予行練習がひつようれふね」

 

 

 沈痛な面持ちでツッコミを入れる川島さんに誰もが苦笑いをしていると、先ほどまで酔いつぶれて壁際でミッフィーならぬミッフーになっていた“美優さん”が唐突に立ち上がって焦点の合わないまま何かを決意するように口ずさんだ。―――とりあえず、フラフラと危なっかしいので座って欲しい。

 

「予行練習って、ドロドロ家族のですか?」

 

「一体、どんな闇を抱えたらそんな練習を重ねて生きてくんだよ☆彡」

 

「甘いれふっ!! 例え、結婚していなくても日常的に色目使ってるとか、枕営業の噂立てられて付き合ってない男に心配されたりとか人生は危険に溢れてるんでしゅ!!」

 

「あー、あー、これは完璧に悪いお酒になってるわねぇ。ほら、美優ちゃん。お水呑んで落ち着きましょう?」

 

「ふーむ、だが少しだけ興味深い話題だね。―――例えば、どんな練習が必要なんだい?」

 

「あら、意外な方が乗っかってきましたねぇ」

 

 鼻息荒く何かへの憤怒を語る彼女に誰もが苦笑を零してお流れになりそうな所で木場さんが掘り下げた事によって美優さんは飲んでいた水を脇に置いて胸を張って答える。いや、別に語りたいなら止めはしないけどこれ最終的には自分だけ墓穴掘って火傷するパターンなんじゃない?

 

「ふふん、その答えが “リアルおままごと” です!」

 

 と、思ったら何故か影となってやり過ごそうとしていた俺を指さしそのささやかな抵抗はあっという間に無為とされ、性質の悪い酔っ払いたちが面白そうなツマミを見つけたと言わんばかりに顔を見合わせて悪い笑顔を浮かべてこちらを見た。

 

 

――――恨みますぜ、美優さん。

 

 

 泥酔ミッフーが提案したゲームの概要はこうだ。

 

1. みんなが思いついたクズ夫を紙にそれぞれしたため、箱に回収。

 

2. じゃんけんで決めた順番で籤を引き、そのクズ夫に扮した俺に対面

 

3. 俺を改善させるか、論破すれば訓練終了

 

 

 ………なんか俺に恨みでもあるのかな?

 

 というか、みんなノリノリで書いてるけどもうそれだけでこえーよ。自分とこの所属アイドルが思いのほか闇が深くてこえーよ。

 

 

 そんな黄昏ている俺をよそに彼女達の楽し気な声がキャッキャとアパートの一室に響くのでしたとさ。

 

 

 ちくしょうめ

 

 

----------------

 

 

Case by 木場 真奈美  “暴力夫”

 

 

「ふむ、初手は私か……中々に面白い」

 

「これだれー?」

 

「あ、私です。ウサミン星ではこういう男性は速攻でコロコロです」

 

「ウサミン星マジぱないっス」

 

「どきがムネムネしちゃいます」

 

「それじゃあ、さっそく~~ 始め!!」

 

 壁際に寄せ観客席とかしたソファから外野の声が楽し気に響き渡る中でオシャレなガラステーブルを挟んだ差し向かいで木場さんが俺の前に腰を下ろした。川島さんの開始の合図から一拍、役者モードに入った木場さんが切なげな顔を浮かべ、気まずそうな雰囲気の中で意を決したように声を紡ぐ。

 

「ハチ……その、今日はちょっと込み入った話が合ってね……」

 

「……なんすか?」

 

 余りに緊迫した雰囲気に思わず息を呑みそうになるが、佐藤に渡された台本を読み上げてなんとか答えることが出来た。―――というか、俺が身じろぎしただけで体を強張らせるとかクオリティが高すぎて俺が本当に極悪人になってしまったみたいで随分居心地が悪い。

 

「そ、その、…だな。君との子供が出来たんだ。だから、その、もちろん今まで通り君の愛情表現は続けて貰って構わないんだが……腹部だけは子供が生まれるまでは、避けてくれないか……?」

 

 …………いや、いやいやいやいや、重いわ。というか、そんな重度のクソ野郎設定なの? ソファ側で早苗さんが“即逮捕ね”とか座った眼で俺を睨んでるけどやらせてるのアンタらだから! というか、俺だってそんな発想と設定に驚いてるわ!!

 

 だが、唖然とする俺をよそに目を瞑って小刻みに震える演技を続行する木場さんは台本を完遂するまでは意地でもコレを続けるつもりらしい。その謎のプロ根性にうんざりしつつも、深いため息を吐いて台本に書かれたシナリオ通りに動くことにする。

 

「なめんな、おまえがおれにいけんしてんじゃねぇー」

 

 台本に書かれたクソみたいな台詞を棒で読み切り、真奈美さんの襟元を間違っても傷つけないようにゆっくり手を伸ばすと――――

 

「ふぅ、理解が得られなかったようで残念だよ。ハチ」

 

 ギラリと気弱な女性から歴戦の狩人の様な眼差しに変わった彼女に伸ばした腕を取られあっという間に脇固めを決められフローリングとキスをしていた。何を言ったかわから(ry。一切身動きが出来ない中で手の甲に感じるふくよかな膨らみの至福と、“あ、死んだなこれ”という恐怖でもう脳内が完全にフリーズ状態だ。客席から黄色い歓声が聞こえてくるがマジシャラップである。

 

「今までは私が我慢していればよかったんだが……いい機会だ、これから私たちの夫婦の関係も見直していこうじゃないか? なに、安心するといい。私は君を見捨てたりなんかしないとも―――逃がしもしないしね?」

 

 

「しゅーーーーりょーーーーー!!! perfect!!」

 

 

 そのキメ台詞が満面の笑みで決められた所で審査員の川島さんがけたたましくベルをチンチン鳴らしてやたら流暢な英語で試験終了を告げた。こういう時しかその学歴がいかされてない元アナウンサーってどうなんだ。

 

「ははっ、すまないねハチ。ついつい演技に熱が入ってしまったが、痛くはなかっただろう?」

 

「身体はともかく俺の心は既にズタボロですよ。というか、木場さんに暴力振って生き残れるのなんてマイク・タイソンくらいでしょ……」

 

「まぁ、酒の席だ。遠回しにゴリラ呼ばわりしてる事には目を瞑るが―――甘く見ないで欲しいものだね。リング上でなければタイソン相手にだって避けきって見せるとも」

 

 否定はそっちかーい。なんて思っていると観客席で盛り上がっていた面子がやんややんやと木場さんに群がって褒めたたえている。いや、まあ、見てる分には楽しかっただろうけどね? 皆さんそれが誰の犠牲の上に成り立ってるのか忘れてない?

 

「こんなにも盛り上がるとは思わなかったわ!! さあ、駄メンズすら更生させていく私たちのサクセスストーリーを続行しましょう!!――――出番よ、楓ちゃん!!」

 

「ウフフ、あんな名演されたらアーメンと祈るしかありませんね」

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「……さあ、私が引いた籤は―――これです!!!」

 

 

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Case by 高垣 楓  “酒乱夫”

 

「いや、その………楓さん?」

 

「はい? なんでしょう?(くぴくぴ」

 

「あの、その、ちょっと飲みすぎなんじゃないかなぁ、って思いまして」

 

「 ? 今日はとことん貴方に付き合うって決めたので遠慮しないでもっと飲んでください?(くぴくぴ」

 

「いや、ちょ、マジで死にますよ! 何本目ですか!!」

 

「嫌です! やめてください!! DVでこっちはいつでも訴える準備は出来てるんですから!!」

 

「アンタが進めるべきは入院の準備です!! 分かりました!! 分かりましたから!! 禁酒しますから楓さんも飲む量を控えましょう!!?」

 

「ふざけないで下さい!! いつも貴方が飲んでるのを羨ましく思ってたのに私が始めた瞬間にそんな事いうなんて!!――――さあ!これから毎日がお酒まみれの楽しい生活ですよ!!」

 

「マジで武内さんにいいつけますよ!!」

 

 

「しゅーーーーりょーーーーー!!! えっと、その、流石ね、としか言いようが……」

 

 

「てへ、そんな褒められると困ります」

 

「「「「「褒めてない」」」」」

 

「(´・ω・`)あれー?」

 

 

-------------------

 

 

 その後もこの地獄の遊戯は続き俺は散々な目にあった。具体的な事は伏せさせてもらうが“セックスレス旦那”と書いた佐藤。お前だけは許さない。

 

 

 そんなこんなでたどり着いた最後の挑戦者にして、発案者が俺の前に静かに座っている。そう、ミッフーでお馴染みの美優さんだ。さっきまでケラケラと笑ったり、怒ったり、落ち込んだりとしていたのだが籤を引いてその内容を見てから終始こんな感じになってしまった。これだけはなぜか佐藤も台本を用意していなかったらしく、ただただ差し向かいに美優さんが俯いて座っている時間が流れている。

 

「………おい、佐藤。コレどうすんだよ。収集つけてくれ」

 

「いやー、こんなピンポイントで“アレ”を引くとは思ってなかったからなぁ……まぁ、気のすむように付き合ってやれよ☆」

 

「はぁ?―――って、は?」

 

 気まずげに視線を逸らす佐藤や他の面子を訝しんで睨んでいるといつの間にかすぐ目の前まで迫っていた美優さんが目に涙を溜め、頬を膨らましてこちらを睨んでいて強制的に顔をそちらに向けさせられる。

 

「他の人なんか、みちゃ嫌です」

 

「は?」

 

「あっちこっち、あっちこっち!! 女の子に優しくばっかして!! そんな事してたら痛い目を見るのは貴方なんですからね!!―――――なので、今日から他の子に優しくするのは禁止です!!」

 

「………え、は、あのー」

 

「お返事は!?」

 

「………は、はい」

 

「―――うへへへ、それなら、いいで、す…………ぐぅ」

 

 おっかない顔してこちらを叱りつけていた彼女は、俺の吐息とも取れないような返事に満足したのかふにゃりと表情を軟化させてそのまま人の膝の上で安らかな寝息を立てて丸まってしまう。そんな彼女が緩めた手元から零れた紙に書かれたのは――――“浮気夫”という文字。

 

「…………とりあえず、コレ書いた人。正座してください」

 

「正座も何も、いまアンタが膝枕してる子が自分で書いて自分で引き当てたのよ」

 

「………oh.」

 

 なんで自分が一番ダメージ喰らう内容を書いて引き当ててんだこのミッフー。というか、あんな適当な一言で絆されちゃうとか色んな意味でこの元同僚 兼 アイドルが心配になってきた。是非とも悪い男に引っかからないように皆さんには目を光らせておいて欲しいものだ。

 

「「「「………」」」」

 

「…なんすか?」

 

 

「「「「一番たちが悪いのに既にひっかかってるんだよなぁ……」」」」

 

 

「?」

 

 

 なぜかゴミを見るような眼で見られ首を傾げて答えれば、誰も彼もが深いため息を吐いて思い思いの酒をグラスに注いで飲み干していく。そんな酔い乙女たちの極寒の視線を紛らわせるために俺はグラスに残ったハイボールを流し込んだ。

 

 

 シンデレラの夜の茶会は、こうして今日も更けてゆく。

 




(*'▽')みんなの評価とコメントでこのSSは制作されました(笑)
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