デレマス短話集   作:緑茶P

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_(:3」∠)_へへへ、渋でアンケートした結果を適当に集計した結果、上位と同数だった中でピンときた子をチョイス。

嫌気の指す夏の気晴らしと戯れと思って頂ければ~


346 【夏祭りの乱】

 もはや見慣れてきてしまった各テレビ局からの346本社への変わらぬ街並み。精々変わった事といえば車内のクーラーが効いてなければ途端に汗が噴き出すような日照りの残り火がアスファルトに残っている事と、夕日と風にそよぐ街路樹が新緑を越して猛々しい程に茂り始めた事くらいだろうか。そん中で今日は少しだけ慣れない空気というもんが漂っている。

 

 いつもは姦しい程に響く笑い声や会話が途切れることが無いか、死んだかのように誰もがぐっすりと眠りこけているこの送迎時間。誰もが口を噤んでいるのに、目はまどろむわけでもなくソワソワと落ち着きなく窓の外を見ている。そんな静かなのに騒がしいという妙な雰囲気の中で遂には自分たちの事務所である時計塔を擁したビルが見えてきた瞬間にその圧はもっと強くなってゆく。

 

 そんな雰囲気に辟易としながらも通いなれた道順を通って緩やかに地下の駐車場に愛車のバン君を停めた時に―――遂にその緊張が弾けたように彼女達は勢いよく扉を開いて挨拶もそこそこに本社へと駆け出して行った。

 

「ちょ、もう時間がギリギリですよ! 皆さん、僕のようにカワイク急ぎましょう!!」

 

「あー、ついてないわー。こんな日に限って収録が長引くなんて!!」

 

「あ、あ!! 川島さん!! バッグ忘れてますよぅ!!」

 

 ドタバタとガヤガヤと地下に響くその声は大きく木霊を残して、その反響が返ってくる頃には影も形もなく彼女達は姿を消していったのに小さくため息を吐いて俺は守衛室に今日の活動票を届けるために足を向けてゆき、地下からスロープを上った先にある出口を上り切った先には―――夕日に照らされつつ多種多様な出店が立ち並び、そのBGMとして祭囃子が高らかに響き祭りの開催を待ちわびた人々で溢れている光景が広がった。

 

 何度も言うが、ここは都心のど真ん中にある芸能プロダクションであり、間違っても多摩川沿いにある花火大会の会場なんかではないはずなのだが、今日ばかりは広い中庭は完全にそのためにセッティングされていて盆踊りのやぐらまで組んでいるのが本気度を嫌でも伺わせる。

 

「おぉ、ハチ公。今日ばかりはお宅んとこも店じまいかね?」

 

「こんな祭りをやってるときに仕事なんて入れたらストを起こされかねませんから」

 

「わははは、まぁ、今回の件はいい試みじゃと儂は思うのぅ。美城の嬢ちゃんも粋なことをするもんじゃわい」

 

「――――こっちは上役の思い付きに振り回されてへとへとですよ」

 

 その光景に目を眇めつつ紫煙を吹かしているとベテラン守衛の“徳さん”が快活に笑いながら声を掛けてきたので適当に毒を吐いてみればそれすらも大笑いするのだからため息もでようものだ。

 

 賑わうその雑踏と宵闇が濃くなるにつれてその存在を強めていく提灯の灯りに―――俺は今回の事件の発端を思い返したのだった。

 

 

―――――― 

 

 

「諸君、最後に通達がある」

 

 

 346プロダクションで月に1度行われる総会議。ここでは様々な部署が入り乱れるこの会社で唯一といっていい程に全部署の責任者が招集され結果報告や方針の総括をこの城の覇者である常務へと報告する場でもある。下手な報告や失敗等があればその場で心身共にボコボコにされるので着いた仇名が“公開処刑場”という物騒な物である。

 

 ただ、今回に限って言うならば全ての部署の売り上げは好調。さらに言えば、これから来るシーズンに向けて様々なイベントや撮影でどこの部署も展望は明るく多くの提案も意欲的なモノが多かったので終始、常務もご機嫌だったために誰もが最後の報告を終えた瞬間に詰めた息を吐き出して朗らかに席を立とうとした時の事である。女王のその一言に大の大人が揃いも揃って肩を強張らせた。

 

 かつての苛烈な彼女の施策を思い出し、冷や汗が流れる。

 

 確かに、彼女が行った大手術は大きな成果を齎した。余計な政治や遠慮、悪意の壁。かつて仕事をするために邪魔だったものは全て取り払われ、実力だけがモノを言う状態にすることによって次々と抑え込まれていた若手が頭角を現したことによって今日日の様な積極的な提案も増え、企業として大きく躍進を迎えたことに疑いはない。だが、それでもその手術は痛みを伴わなかった訳でもないし―――いまだに傷が癒えきった訳でもない。

 

 そんな中で新たに彼女から発せられる言葉に誰もが息を呑んだ。

 

 資料投影の助手として呼ばれた俺も纏めていた資料をうっかり取り落とすくらいには動揺したのだが、隣に座るちひろさんだけは呆れたように小さくため息を吐いていた事を今でも覚えている。

 

 そんな全員をゆっくりと見回した彼女が不敵に唇を歪めて―――言葉を紡いだ。

 

 

 

「 祭 り を 行 う 」

 

 

 

「「「「 はぁ? 」」」」

 

 

 

 室内にいる誰もが予想外の言葉に唖然とする中で、女王は楽し気に目を細めたまま部屋の隅に控えていた秘書たちに資料を配らせていく。というか、資料っていうより告知のビラに近い感じである。その中にはこのために作ったのか祭りっぽい表紙の写真の下に、ここの中庭やテラス等を利用した出店配置であることや、日時、注意事項等が掛かれただけの簡素な物であった。

 

 誰もがソレに眉を顰め、首を傾げる中で自然とその視線は一点へと向かってゆく。こういう時にいつだって白羽の矢が立つのは若手で、それが普段から悪目立ちしているならそれはなおいい。―――以上の事から武内さんに“どういうことか聞けよ”という圧力は集中し、それに疲れたように眉間を揉み解した我らの偉丈夫はその雄々しい腕をまっすぐと天に突きあげた。

 

「……常務、質問を宜しいでしょうか?」

 

「手短にしたまえ。私も暇ではない」

 

 会議室の誰もがこの時ばかりは心を一つにした“おまゆう?”。

 

「――――では、要約していきます。 これ、必要でしょうか?」

 

「………少々、お前には期待をしすぎたようだな。順を追って説明してやろう、お前以外の誰もが分かっているであろうことを “わざわざ” お前の為に」

 

 武内さんの核心すぎる一言に盛大に頷こうとした各部署のお偉いさんたちは常務の一言に必死にその首の動きを誤魔化して誰もが武内さんと常務から目を逸らした。これには蝙蝠もびっくりな掌返しである。この変わり身の早さとステルス性能は見習ってゆきたい部分がある。

 

「昨今、マスコミやパパラッチの記事のレベルの低さは周知の通りだ。街を歩いただけで囃し立て、知り合いと挨拶などすれば火のない所に火事を起こそうとする始末」

 

「……それは、同意できます」

 

「普段からそれであるのにこれからの季節は夏祭りだの、花火だとそういった話題は事を欠かん。さらに踏み込んで言うならば、タレントとて人間。街を歩くのにも変装や周囲の視線を気にしなければならない事は想像もできないストレスだろう。―――だが、そんな下らない事を気にして回る縁日が楽しいと、本気で思っているのか?」

 

「―――っ、それは!!」

 

「乙女であれば変装など無粋なモノを取り払って、最高の状態で縁日を楽しみたいことだろう。男の俳優とて人目を気にせず縁日のビールを供に焼き鳥をほうばりたいだろう。芸能界に入った以上はそういった娯楽は諦めなければならないなど下らぬ幻想だ。

 

 この“346夏祭り”で―――そんな無粋は一切許さん!!

 

 全タレントと社員に伝えろ!! “祭 り を 行 う” と!!」

 

 

 「「「「はっ!!!!」」」」

 

 

 誰もが、先ほどとは違う息を呑み―――いつの間にか喝采と拍手を打ち鳴らしていた。

 

 世の芸能人が出店や遊びに行くというだけでも人目を忍んでいるという暗黙の了解への明確すぎるアンチテーゼ。その効果は昨今のアイドルブームから乱立する多くの事務所への明確な区別化となり、多くのまだ見ぬ原石がココに集う事になる大きなきっかけともなる基盤。そして、今現在で所属しているタレント達へのここに居続ける大きな理由となるだろう。

 

 多くの福利厚生でうやむやにしてきた一番の鬱屈を晴らすこのイベントは、色んな意味での新しい礎となりえるかもしれない、そんな発議であった。魔法使いと呼ばれあらゆるアイドルの概念を打ち破ってきた武内さんですら至らなかった考えに恥じ入るように目を伏せ、しかし、大きく手を打ち鳴らしている。ただ―――この発議には大きな問題が潜んでいることにココにいる全員は気が付いているのだろうか?

 

「………ちひろさん。これ、日程合わなくて参加できない人はどうすんすか?」

 

「…比企谷君はこの話を聞いた娘達が黙って引き下がると思います?」

 

「…つまり?」

 

「皆が参加できるようにスケジュール調整を今から死ぬ気でやらなきゃ、アイドルに呪い殺されます」

 

「――――」

 

 アイドルに殺される前に、過労で死んじゃうんだよなぁ……。

 

 いつの間にか常務コールが鳴り響く会議室に、俺の“ふぐぅ”なんて頭を抱える情けない声が混じって消えた。

 

 会議は踊り、議論は纏まった。

 

 後は、社畜が死すのみである。

 

 

------------------

 

 

 

「という事があり――祭りが行われます」

 

 

「「「「「 常務、最高!! 」」」」」

 

 

 その結果を伝えた瞬間のアイドル達の歓喜たるや凄まじいものである。普段は味噌糞に悪口を言いまくっているのにこういった時はユダもびっくりの掌返しっぷり。誰もが武内さんが持ってきたチラシを穴が開く程に睨んで、日程を確認した瞬間に浴衣を実家から取り寄せたりだの、持っていない連中は纏まって何処に買いに行くかなんて入念に自分のスケジュールを確認して示し合わせていたりする。

 

 この“急にそんなこと言われても困るわ~”なんて口々に文句を漏らしながらも楽し気にその予定に心躍らせる様子を見るに常務の考えは案外に的外れでは無かったらしい。美嘉とたまたま参加した地方の小さな祭りだったり、初期のまだ売れてなかった頃に全員で行った以外では、個人はともかくメンバーで集まってこういうイベントに参加する事はなかったはずだ。年頃の娘として気兼ねないってのはそれだけでも嬉しいもんなのだろう。

 

「あ、補足ですけど。今回は会社関係者の家族まで招待してますが、それ以外の一般人はゲートを閉じて警備員を立ててますので完全に社内の催しとなります。―――ついでに、その自然な感じを写真に収める了承が欲しいんですけど、大丈夫ですか?」

 

「え、何? 写真に残るのコレ!! きゃー、適当なの選べないわ~!!」

 

「うっわ、気が抜けない事いうな~、ちひろさん」

 

「でもまぁ、コレも思い出作りと思えば楽しいですね!!」

 

「うーん、こりゃちょーっと奮発しちゃおうかな?」

 

「周子はん、浴衣ならお安くしときますえ♡」

 

「紗枝ちゃんのお安くは桁が二つちがうんだよなぁ……」

 

「ふふっ、でも、一生物と考えるなら―――私も一口乗ろうかしら?」

 

 ちひろさんの一言に更にテンションがアゲアゲになるメンバーに男勢である俺達は苦笑を零すしかないのだが――思いもよらない所から矢が飛んできた。

 

「ハチさんは、どんな浴衣買うの?」

 

「何言ってんだ、小梅? 強制参加じゃないから俺は普通に帰るぞ?」

 

「―――へ?」

 

 姦しく騒ぐメンバー達から抜け出してちょこちょこと近づいてきた小梅が素っ頓狂な事を言うので俺もおかしくてつい笑いながら答えてしまった。それを唖然としている彼女の透けるような金髪の頭をそのまま撫でつけようとすると――がっちりと手首を掴まれた。 解せぬ。

 

「………だ、駄目だよ。 それは、駄目」

 

「はぁ? いや、こっちは気にしなくていいから楽しんできていい、ぞ?」

 

 幼いながら気を使ったのだろうが心配しなくていいぞ、小梅。そもそも人込みが嫌いなタイプのボッチなので祭りとか全然に興味ない。むしろ人が集まるところとか大嫌いだし、そのためにわざわざ浴衣を買うとかもっとあり得ない。それなら俺は課金する事を選ぶまである。 

 

なんて軽口を叩こうとしたところで異変に気が付いた。あれだけ騒がしかった部屋がピタリと静まり返って、それぞれ盛り上がっていたメンバーがジッとこちらに視線を向けている。一部は“なにいってんだこいつ?”みたいな目で、年長組の多くは“自殺志願者かな?”みたいな目。更に、年齢問わずに一番怖いのが“逃がさん”と言わんばかりに目の奥をぎらつかせてる奴らだ。

 

 なに? みんながそんなお祭り好きだなんて八幡初めて知ったぜ?

 

「は、ハチさんが――仲間がみんないないと、心から、楽しめないと 思う。だ、だから、一緒にいこ?」

 

 は? かわいいかよ。 なんて、心の沸点が突沸して思わずキレてしまいそうになったが、クールなボッチの俺は寸前で堪えて腰元に抱き着いてくる小梅の上目使いに心の天秤がグワングワン揺らされる。ついでに言うと、首筋と足首をやけに生々しい手が握ってる感触があるせいで何故か背中に冷や汗が止まらない。―――小梅さん? なんで“まだ、まだ駄目だよ?”とか俺じゃない方向に目線向けて小さく呟いてんですかね?

 

「わ、わかったよ。いきゃーいいんだろ。行けば」

 

「わぁ、あ、ありがと!! 一杯お店まわろう、ね?」

 

 なぜか命の危機を感じた俺が根負けしてそう呟けば、まさに花が咲くような笑顔で小梅が首っ玉に抱き着いてくる。最近、また時間をつくれてやれていないせいかいつもより過度な感じのスキンシップに苦笑いしていると、うるさいのがここぞとばかりに突進してきたので頭を掴んで距離をとる。

 

「ふぐぅ、コレが噂のらぶらぶ天聳拳ですか…」

 

「安心しろ、拒絶100%の灼熱のゴットフィンガーだ」

 

 阿保なことを抜かすナスビの頭をそのまま片手で締めあげると奇声をあげて悶えながら茄子が良く分からない駄々をこね始めた。

 

「ずーるーい!! ずーるーいーでーすー!! 小梅ちゃんとだけじゃなくて私ともお祭り回りましょうよ!! 私と回ればなんとお得にくじ引き百発百中!! カワイイ浴衣に美女までついてくるんですよ? これは回るっきゃなぁぁっぁぁ、いだだだだ」

 

「いや、別に祭りのくじ引きにそこまで求めてねぇわ」

 

 限界まで搾り上げて悶えたナスビの言葉をにべもなく切って、ほおり投げる。最近じゃ明らかになって久しいがあの籤に当たりは入ってないのである。もしかしたら、入ってるのかもしれないがあれはそういうものだって割り切ってるし、ホントに引き当てて恨みも買いたくない。悶える茄子に溜息を吐いていると、そんな彼女を脇に避けて数人の娘たちが前に出てきた。

 

「でも、茄子さんの発言には一理あるかな?」

 

 それは沙耶の様な黒髪に狼の様な目の鋭さを宿した少女で。

 

「独り占めは、良くないですねぇ?」

 

 赤いリボンを指で弄びながらにこやかに微笑むロリ系読モで。

 

「最近は愛梨とお話する時間も随分少ないとおもうんですけどぉ?」

 

 栗毛をツインテールに纏めた初代シンデレラで。

 

「機会は均等に―――民主主義ですね」

 

 不穏な笑顔を浮かべる内気な同級の文学少女だった。

 

 その他にも、言葉は発さないものの一歩だけこちらににじり寄る数人。誰も彼もにこやかに笑っているはずなのにさっきの様な明るく緩いものではなく、なぜか細い糸を張りつめさせたような緊張感を漂わせている――――なんだこれ?

 

 武内さんやチッヒに救援の視線を送るとサッと逸らされた。相も変わらず使えない上司である。そんな中でも一歩踏み込む彼女達にこちらも一歩下がる。そんな事をしているウチに壁は背につき、小梅も何故か俺の首を強く抱え込み少々苦しい。

 

 

 そんなとき、救いの女神は訪れた。

 

 

「はーい、はい。冗談もそこそこ。みんなハチ君と遊びたいのは分かるけど、今回は公平に行きましょ?」

 

「「「公平?」」」

 

「そ、文香ちゃんの言う通り“機会均等”ってやつね」

 

 手を打ち鳴らして迫ってくる少女たちとの間に入り込んできたのはこの大所帯の纏め役である“瑞樹さん”だった。謎の迫力も物ともせず首を傾げる彼女達にウインクして場を取りなすその姿はマジで女神かと思った。そうそう、エロのヴィーナス(笑)とかじゃなくて女神ってのはこういうのでいいんだよ。マジ瑞樹さん女神。―――なぜか美波に睨まれた。解せぬ。

 

「―――とはいってもどうするの? この人数で希望者に絞っても平等って訳にはいかないよね? 下手に時間で区切っても短くて楽しめないと思うけど……」

 

 凜の疑問に誰もが頷くが…そもそも俺の時間をなんで勝手に切り売りする話になってるのか全然分かんない。え、これって座ってビール飲んでりゃいいんじゃないの?

 

 そんな俺の疑問には誰も取り合ってくれず、瑞樹さんは不敵に笑いポケットからあるものを取り出して皆に見せつける様に掲げる。

 

「困った時はいつだってコレでしょ? “くじ引き”!!」

 

「それなら私大賛成 「ただし、成人済みの娘はこれを引けません!」 てぇ?? ななななんでですか!!? 平等にっていう趣旨が既にぶっ飛んでるんですけど!! ついに小皺対策が効きすぎて脳の皺にまでツルツルになっ「少しシャラップでして~」 ふぎゅ」

 

 噛みつく茄子が依田に黙らせられた所で眉間に青筋を浮かべた瑞樹さんが深呼吸をして、笑顔で仕切り直し、不満げな面子に説明を再開する。

 

「まぁ、めっぽう籤引きに強い茄子ちゃんがいるっているのも理由の一つだけど――成年組は飲み会でいっぱい交流してるから今回はお預けよ。どうせ、お祭りが終わったら飲みに行くんだからここは大人の貫禄で譲ってあげましょう?」

 

「飲み会で一杯ずつ付き合って貰うってことですね?……ふふっ」

 

「楓ちゃん、混ぜ返さないの――――という訳で、これで人員は半減。後は時の運。これなら平等でしょう?………ふむ、ついでだからハチ君を参戦させた小梅ちゃんはシード枠で勝ち抜きって事にしときましょう。コレも平等って奴の弊害という事で」

 

「「「「…………(コクリ」」」」

 

「どうか、この機会に“あんまり時間が取れなかった子”が引けるといいわね」

 

 年長組が面白半分のヤジやブーイングを漏らす中で未成年組は神妙にお互いの顔を見合わせ小さく頷き、それぞれが籤を手にしたが―――これ、そんなに大事にするようなことなのだろうか?

 

 キャッキャと喜んでいる小梅をあやしつつも俺は静かに一人首を傾げるのであったとさ。

 

 





結果発表

小梅「えへ、へ……久しぶりのデート、だね?」


アーニャ「Мне очень приятно! ミナミやりました!」


千夜「………まぁ、コレが籤の結果なら従います」


ありす「―――っ!!(ガッツポーズ」

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