何か、矛盾があるかもやしれません。
そうそう、一か月の間に、いつの間にかUA数が五千越え!!ありがとうございます!
銀時の手は、ピタリと止まっていた。
そして、糸の切れた人形のように、ぎこちなく立ち上がる。
「・・・恵美?」
既に、殺気は治まっていた。
フラフラと、横たわっている恵美に近づく。
「ぎ、銀時・・・?」
ひざまずく銀時に、息切れを起こしながらも、しっかり銀時を見据える。
「生きてたのか・・・」
「・・・ええ」
「・・・はは、つい勘違いしたじゃねーか、バカヤロ・・・」
銀時の手が、恵美の背中へと回された。
「え、ちょ、銀時?」
戸惑う恵美の声には反応せず、そのまま恵美と倒れこむ。
たちまち恵美の顔が真っ赤に上気するが、それも一瞬のこと。
どうやら、気を失っただけらしい。
(一時的とはいえ、急激に魔力濃度が高まったんだもの、疲労が出たのね・・・)
そのまま、ぎゅっと抱きしめる。
その後ろ姿は、赤ん坊を抱く母のようで。
武市は、ふぅ、と息を吐いたのだった。
恵美は、銀時を抱えて、ゆっくりと歩き出す。彼女にも並々ならぬダメージがあったはずだが、やはり守る者がいると違うのだろう。
そう結論付け、武市はまた子のほうへ振り向く。
「あの・・・先輩、早く手当てを・・・」
「貴方の場合は命に別条がないので不要です」
「そんな、先輩ぃ~」
軽口を叩きあえるだけ、大事にはなっていない。
しかし、武市は、これから起こりうることを、把握している。
ほら、胸の奥から、グルンと何かが巻き戻って・・・
「ぐ、グハッ・・・」
負った怪我に不釣り合いなほどの、血反吐を吐く。
「ど、どうしたんすかせんぱ・・・う、ううおえぇ」
こちらは嘔吐のようだが、どちらにしろ異常な事態だ。
(これが、魔力の弊害なんですねぇ・・・)
薄れゆく意識の中、武市は妙に冷静に思考する。
(後は、頼みましたよ・・・晋助様、ルシフェルさん、オルバさん、河上さん・・・)
***
ググ、と刀と弦が互いに軋みあう。
真奥と万斉の力はお互いに拮抗。それはすでにどちらも理解している。が、それゆえに決め手がない。
かれこれ十分近く、均衡状態が続いていた。
(さて・・・どうすべきか)
かれもルシフェルより手渡された堕天使の羽根―――魔力がある。ただ、あまり魔力が適合しないために、使いどころを見計らっていた。
(しかし、そうも言ってられないでござるな)
弦を、ぐっと握る。
対する真奥も、苛立ちが隠せないでいた。
緊迫した状況に、真奥はただ焦っていた。
(クッソ隙がねぇなアイツ!?なんか余裕綽々だし!あーもうイラつくぜ!)
一旦後方へ飛び、距離を空ける。
なるほど、見れば隙のない構え。はりめぐされた弦、不自然なくらいな穴も、恐らく罠だろう。
おまけに、向こうは魔力も何も行使していないときた。
(だったら・・・)
チン、と刀を鞘に納める。
不可解な行動に、眉をひそめる万斉。流石にこの状況で投降、なんて甘い展開はない。
(さすれば・・・挑発でござるか)
万事休すなこの状況の打開策にしては、随分と陳腐に思える。
案の定、真奥の紡いだ言葉は。
「なぁ、人斬り。いい加減、その耳のヘッドホンを外したらどうだ?」
笑わせる。その程度で、この万斉の心を動かすことなど。
「何故でござろうか。秦の強者というのは、例えハンデがあっても、輝かしいフィナーレを迎えるものでござる」
「ふーん・・・そうかそうか・・・へぇ~」
・・・顔がこれ以上ないってくらい、ウザい。口を奇妙にあけ、目に馬鹿にしたようなように曲がっている。
「まぁいいけど・・・そしたら、なぁ?俺に負けたとき・・・言い訳に困らないからなぁ?」
まあ、予想どおりである。
「ふっ、笑止。拙者が勝って、万々歳。拍手喝采でござる」
「ああ、それと」
思い出したようなように、万斉のズボンを指さす。
「そこになんか入ってんだろ・・・魔力の媒体」
「!!?」
チッ、と舌打ちが思わずでた。腐っても魔王、そういった超常現象には敏感らしい。
「ほら、さっさと使えよ。今のこれが俺の全力なんだからさ、勝てるぜ?」
「・・・」
どう考えても、罠にしか思えない。確かに言ってることはあっているのだが・・・。
どの道、ここが正念場ということか。
「まあ、いいでござる。そんなに死に急ぎたいならば・・・鎮魂歌すら聞こえないほど、圧倒的に終わらすでござる」
既に魔力を行使した時の自分の力は把握済みである。身体強化、武器の強化。問題ない。この程度の雑魚、一瞬で。
ゆっくりと、堕天使の羽根を掲げる。
『地に墜ちし天の子よ、我に魔の力を・・・!』
カァッと紫に輝く。徐々に、万斉へその光が移行されてくる。
(・・・なるほど。これが魔力でござるか)
もはや、自分の力が自分でないような気がする。
こんな感覚を・・・意志を持った機械にまどわされた、人斬り似蔵も、この気分を味わっていたのだろうか。
刀を、三味線を握る手を、一層強く。
そして、なんか脱力した。
「・・・え?」
なんか、脱力した。それはもう、肩から、こう光が消えるというか。とにかく、魔力が感じられなくなったのである。
その抜けた魔力はというと。
(ま、まさかまさか・・・)
真奥へと、流れていた。
「おー、なっつかしーな、そうそうこれだよこれ!ま、雀の涙くらいかな」
さらに、万斉は開いた顎をさらにあんぐりと開けた。
万斉の気分が高揚するほどの力を、こいつは少々と言い切ったのである。
ーーーこれが、悪魔の王、サタン。
「ははっ、まさかほんとにやるとは・・・、一応こちとら魔力のエキスパートなんだからさ、少しは頭を使えよこのB級ヤロウ!!」
「うがっ、こ、この・・・」
ギリギリと歯ぎしりする万斉をものともせず。ニヤリと笑う。
ゾクリ、と背中に悪寒が走る。
もはや、目の前にいるのは真奥ではなくーーー魔王だ。
逸る殺気を抑え、冷静に弦を放つ。
先ほどまでならとらえていただろう束縛の糸は、しかし、紙一重でよけられる。不敵な笑みをうかべ、ちょいちょいと人差し指を動かすその挙措に、ますます苛立ちが募る。
(くっ・・)
柄にもなく、焦っていた。
相手が急に覚醒するのは、別にいいむしろ面白い。いきなり曲調が変わり、自身に全力でかかってくる、戦闘の醍醐味である。
だが、今の相手は、最早自分を敵に見ていない。
そのことが、万斉の誇りを異常なまでに刺激していた。
(一瞬で終わらせてやる・・・!)
再び、右手で真奥に弦を放つ。同じようにかわす真奥。
そこに、左の弦が襲う。
「うぉっ!?」と驚き、のけぞる真奥。そう、これを待っていた。
予想外の攻撃、一番反撃しにくい姿勢、心理状態。
弦にしか注意がいってない奴に、この接近する万斉の姿を捉えられるはずもない。
愛刀が、ギラリと光る。
敵の喉元まで、一直線に突き出した。
ガキィィン!!
「!?」
万斉の刀は、真奥の腕に防がれていた。
「あぶなっ!魔力がなかったら死んでたぞオイ!!」
たらり、と冷や汗が垂れる。
結局、自分は。
この男のことを、何一つ理解してなかったのだ。
ブンと真奥によって吹っ飛ばされる。
「・・・で?まだやるのか?」
キッと刀を突き付けられる。
まだ、戦うという選択肢はある。実力差を悟ったところで、玉砕覚悟で突っ込めば良いだけのこと。
しかし。それは、己の矜持が許さない。
「いや・・・拙者の負けでござる。好きにするといい」
「・・・そうか」
刀を納め、人質だった者たちへ駆け寄る真奥。
その背中を見ながら、万斉は薄く笑う。
ーーーお主のビート・・・さてさて、どうなる事やら。
これからの展開に胸をはせ、万斉はゆっくりと目を閉じた。
***
絶望が飛来したのは、まさに狙い澄ましたかのような、最悪のタイミングだった。
雑兵も残りわずかとなり、いよいよ士気が最高潮に達していた、その時。
「何アルか・・・あれ?」
舞い落ちるは、地へと堕した天使の羽根。
「さーて・・・僕もそろそろいきますかっと!!」
無造作に数多の・・・百はあろうかという魔力弾を生み出す。
「ん?・・・なんだ、あれは?」
「っ!神楽ちゃん、あれって・・・」
新八が声に出すよりも早く、爆撃は地上に散弾した。
ーーーーダダダダッッ!!
「け、ケホ・・・大丈夫、神楽ちゃん、近藤さん!!」
いち早く回復した新八が辺りを必死に見回す。この前の猿飛の話を思い出したため、いち早く避難はできたが、さすがに他の者まで手が回らなかったのだ。
「・・・いたアルか、新八」
すすまみれでも、険しい表情を浮かべる神楽。彼女も本能か、避難できたようだ。
「ああ、良かった・・・そうだ、真選組のみんなは!?」
「ゴリラならあそこネ」
クイ、と指差した先を見てみると。
「・・・なんでケツ出してんですか?」
頭から地面に突っ込み、ケツ毛という名の漆黒のジャングルを外気に晒していた。
おおむね、他の隊士も、ケツは出していなかったが、頭は地面に。
「さすがネ、こんなときでもギャグを忘れないなんて」
「・・・(グッ)」
「いや、褒めてませんから。神楽ちゃんの目、ゴミを見る目ですから」
親指を突き出す近藤にツッコム新八。
「そんなことより、アイツをぶっ飛ばすアル!!」
「え、えぇ!!でもどうやって?」
「ん~、よし、新八。眼鏡かけ器、貸すヨロシ」
「え、いやそれは家にゲブゥ!?」
神楽は、新八の頭を踏み台に、空高く飛翔した。
ボーゼンと消えゆく神楽を見つめる。
「・・・」
「お・・おぃぃぃ!?せっかく一カ月ぶりに出番もらって、またこの仕打ちぃぃ!?なんか新しいけど!?僕を何だと思ってるんだぁぁぁ!!」
・・・踏みぬかれた時点で、相当の負荷がかかったはずなのだが、ものともしていない。
こんなときばかり、超人さを発揮する、地味こと、新八。
「はぁ・・・仕方ない、近藤さんたちをたすゲボァブフゥウ!!?」
またもや、頭部に二連続ショック。おまけに二人目は、的確に首の根元を踏みつけやがった。
「けはっこほっ・・・なんなんだよぉぉぉ!!!」
「ハハハ・・・どうしたの?そんなもんかい?サムライってのはそんなもんなのかいぃ!?」
嘲るような高笑いが、炎揺らめく上空に響く。
もう少し骨があるかと思っていたが、これではとんだ見当違いだ。
意気高く刀を振り上げていたものどもは、いまではすっかり腰を抜かしている。
(あ~あ、つまんない。僕も高杉のほうに行こうかな~)
のんびりと諦めをつけ、クルリとターミナルへ引き返そうとした。が、
「死んどけやこらぁぁ!!」
「何してくれやがるコノヤロウ!!」
「死ねぇ!!・・・土方」
「なにボソリと呟いてんだ総俉ぉ!!」
騒がしくも、こちらにばく進してくる三人組。
「・・・いいね」
ニヤリ、と笑みがこぼれる。
やはり、こうでなくては。面白みがない。
いち早くルシフェルへ拳を振りぬく神楽。しかし、空中ではやはり、羽があるほうに分がある。
難なくかわされ、魔力弾を打ちつけられる。
「クソッ・・」と呟き、地へ落ちゆく。
残りの侍二人も、抜刀してきりかかるも、かわされる。
(ま、仕方ないよね)
だが、やっと見つけた玩具だ、ここで終わりにするのはもったいない。
なんとか着地していた三人の元へ、ゆっくりと降りる。
「へぇ・・・やりあう気か?」
「まぁね・・・どうせ死ぬなら今がいいでしょ」
「はっ、ぬかしやすねぇ」
「何かテメー、サドに似てんだよコンチクショー!!」
神楽の悪態はさておき。
互いに構え、にらみ合う。
・・・何分が、過ぎただろうか。
どちらからともなく、地を飛翔し、蹴り、刀を振り上げた。
万斉にB級と言い切る真奥、パないっス。
まだ姿は魔王のものではありません、まだまだ基準地には、ね。
次回も時間がかかるかも・・・善処しますので、よろしくお願いします!!