はたらく魔王さま!~IN EDO~    作:ジャンヌ

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タイトルのまんま(笑)


第十一話  堕天使、死す(笑)

バサリ、と役目を失った縄が、地に落ちる。

「ほら、もう大丈夫だ」

「あ、ありがとうございます…///」

器用に刀できっていき、人質は全て解放された。中には顔を赤らめる女性もちらほらいたが、恐らく緊張していたのだろう。

「さて、あとは地上に…って」

はた、と気づく。

…どこにつれていけばいいんだ?

というか、いまの時間は?

…のこり五分。

「…おぃぃぃぃっ!!?」

爆弾投下まで、あと5分。てへっ☆

「てへっ☆じゃねーよっっ!!いろいろ盛り込み過ぎて忘れてただろ!?つーかいらないよ今さら!?あーもうどーすりゃいいんだよぉぉぉ!!」

確かに人質は解放したが、上にはラスボス、下も制圧完了の知らせは、まだきていない。

爆弾は…だれも、注意していなかったのである。

…まずくない?

「たく、芦屋がなんとかしてくれればいいんだが…」 魔力の回復方法については、予測がついている。今、感じている−−−ルシフェルの魔力。最近起きている事件との関わりは不明だが、今。爆弾への恐怖が、今もルシフェル、そして真奥に魔力を与えている。

(俺の魔力があまり回復していないのは、ルシフェルの位置のほうが近いからだろうな…)

本来なら魔王のほうが魔力吸収の優先順位が高いはずだが、先に吸収されてしまえば、こちらには流れてこない。今この瞬間も徐々に回復しているが、いかんせん微々たるものだ。

せめてもう少し回復すれば、空間転移で彼女らを保護できるのだが。

まずは土方に連絡をつけようと、ケータイをとりだし、

 

怒号が、徐々に近づいてきた。

 

 

***

 

 

体が、軋む。

今まで、己が正義を貫くために振り回してきたこの剣は、堕した天使にすら届かないというのか。

胸に燻る闘志が、猛っている。

腕に力を込めながら、目の前の敵を睨んだ。

「あーあ、もう終わりか。」

奴は、遊戯を中断されたときの子供みたいに口をとがらせ、空を見上げる。

「もうすぐ爆撃も始まるだろうし…もどろっかなー。に、しても案外もろかったねー、ドイツもこいつも。侍なんてたかが刀振り回しているだけの」

ビュオン!!と風を切る音。総悟が、足を怪我しているというのに。目にも止まらぬ速さで切りかかった。

「…おい、テメェ」

舞ったのは、数枚の羽。しかし、奴の目は驚愕に染まっている。

「侍を…近藤さんを…真選組を…バカに、すん、じゃ」

そこまで言って、グラリ、と、糸が切れたように倒れ

ずに立ち上がり、

「あ、犬の餌しか食わない侍はいい、というよりどうぞ蔑めよたのんまさぁ」

今度こそ、倒れた。

…おいなんだ、確かにそんな奴は馬鹿にされてもいいだろうな・・・あ?俺は違うっつの!つーかお前まだ余裕だろぉ総悟ぉ!!

流石に最後のは理解できなかったのか、小首を傾げていたが、次第に狂ったように笑い出す堕天使。

「は…はは、あはははははははは!!いいね、こんなにヤっても壊れないのか!!はは、天界よりよっぽど面白いじゃないか!!」

バサッ!と翼を広げ飛翔する。

「ほら、もっと僕とアソボウヨ?」

 その眼に、今までをはるかに凌駕する、狂気の光が宿っていた。

「・・・チャイナ娘、起きてるか?」

「ンダヨ、バカにしてんのかコンチクショー」

 むくり、と美少女が言ってはならない悪態をつきながら、起き上がる神楽。どうやら、こちらも体力はまだ残っているらしい。

 懐から煙草を取り出し、火を点ける。

「で、いくアルか?正直、勝算がないネ。もう踏み台も壊れたし」

「ああ、安心しろ。そんな心配は、いらねぇ」

「・・・メガネ掛け器でも来たアルか?」

 ちょっとよくわからない返答をスルーし、ふぅ、と息を吐く。

 ピッ、と煙草を投げ捨て、呟く。

 

「悪魔大元帥が、来たからな」

 

 

 

「んな!?」

 いきなり腕が悲鳴をあげたものだから、後ろを振り返れば、

「・・・」

 マントを翻し、右手で何かを掴んでいる仕草。尻尾がゆらり、と揺れ、不快な声がその者の口から発せられる。

「・・・下らんことをやっているようだな」

 

 悪魔大元帥が一角・・・智将”アルシエル”。

 

「おま、なんでここに・・・?」

「魔王様の要請だ。考えれば分かるだろう」

 ”芦屋四朗”のときとは打って変わって、高慢で、言葉少なに威圧する。まさに、悪魔。

 堕天使よりも、悪魔としての威厳に満ちていた。

「魔力も、どうやって・・・」

「・・・」

 呆れたかのように、沈黙するアルシエル。

 実のところ、実力としては、悪魔大元帥四人とも、そう実力は変わらない。

 どちらかに優先的に吸収される、ということもなく。

 逃げ惑う人々の、”絶望”を取り込んだのだ。

(まずいな・・・あいつの念動力から逃れるのはちょっと・・・)

 止むをえまい。精神面をぐらつかせ、緩んだ隙に、地上の二人を人質にでもしよう。そう思い立つ。

「ねぇ、アルシエル・・・君、こんなとこにいていいの?」

「空上の戦艦のことか?」

 動揺したのは、ルシフェルのほうであった。まさに、自分が言わんとしたことを当てられたのだから。

 クイ、とアルシエルは左手の人差し指を、頭上に向ける。

「あ・・・ああ!!」

 バラバラ、と落ちてゆく装甲。まき散らされる硝煙。

 もはや、ガラクタも同然となっている。

(まさか、ここに来る前にすべて・・・!?)

「まだ、魔界のワイバーン兵のほうが手応えがあったな」

 嘆息し、無表情に言い放つ。

 この時点で、状況は悪化していた。

 爆撃によって、ルシフェルは完全に魔力を回復させる算段だったのだから。

「愚策も愚策・・・二つも、穴がある」

 こちらの思考を読んだかのような発言。

「それ、どういうい」

「死ねぇぇぇぇ!!」

「グハッ!!」

 背後から不意に、先ほどとは比べ物にならないスピードの衝撃が、ルシフェルを襲い、地に叩きつけられる。

「こ、この」

 ドスッ。目と鼻の先で、地に刺さる、刀。

 恐る恐る、頭上を見上げれば、

 瞳孔の開ききった、鬼がいた。

「・・・さんざんいたぶってくれた礼に、遊んでやろうか、ボウズ・・・!」

 その殺気は、人外ですら、心に恐怖を植え付ける。

(・・・調子のって、すみません・・・)

 そのまま、気を失った。

 

 

 

「ッチ、気絶しやがった・・・」

 面白くなさそうに、刀を抜いて鞘に納める。チン、という音も、なんだか鈍く感じた。

 土方としては、ただ決着をつけたかっただけなのだが、予想以上にメンタル面のダメージが残っていたらしい。これでは、ただ自分が弱い者いじめしたみたいではないか。

 しかし、これで一応、山場は越えた。まずもって一般人への危険は取り払われたし、これで真選組がしっかり機能すれば事態も沈静化するだろう。

(あとは・・・真奥のとこだけか)

 煙草をとりだし、火をつける。

 ふぅ、と息を吐き出して、

「なにしたネこのマヨがぁぁ!!」

 傘で思いっきり、吹っ飛ばされた。

 フンヌ、と怒り心頭の神楽。ジュッと火傷したところを押さえて叫ぶ。

「何しやがんだこのチャイナ娘ぇぇ!!」

「こっちのセリフヨ、急に宙に浮かんで突撃させるとか、どこの特攻隊ネ!?」

「すまん、それは私だ」

「お前かトカゲやろぉぉ!!」

 怒声とともに、降りてきた芦屋を同様に吹っ飛ばそうとして、難なく右手で防がれる。

「!?」

「私は魔王軍で最も最硬・・・夜兎といえど、そう簡単には屈せぬ」

「な・・なんで知ってるアルか?」

「勇者を匿う愚民の実態を調べるのは当然のことだ」

 高慢な態度を崩そうともせず、冷たく言い放つ。それが、さらに神楽の琴線を刺激したらしく、地団太でクレーターが二個も三個も出来る。

「おい芦屋・・・もう少し早くこれなかったのか?」

「副長殿・・・すみません、悪魔大元帥のマントの皺を伸ばしていて」

「何してんんだテメェはぁぁ!?」

 それでも、やはり根っこは主夫、芦屋四朗だったようである。

 

***

 

 エレベーターから出てきたのは。

「あんた魔王!?なんでここに!?」

「あー・・・よっ、多串くん」

「え、恵美!?・・・つーか誰スか、それ」

「違うの!?」

「あたりまえだ!!」

 傷ついた勇者と、相変わらずの銀髪侍だった。

「ほら前にもあったでしょう、クソ魔王よ」

「いや知ってるから。覚えてるから・・・なぁ、ミルドラース」

「確かに魔王だけどっ!?」

「あ、んじゃゾーマ!?」

「「ドラク○からはなれろ!!」」

 バスンっ!と二人分の突っ込み炸裂。つう、と額から血が流れるが、お構いなしに銀時が口を開く。

「で、これはどうしたんだ?」

「あー、そこの鬼兵隊幹部を倒して人質を解放したところです」

 指差した先には、たしかに気絶した川上万斉と、いまだ行動に迷っている女性たちの姿があった。

「そ・・・で、彼女たちはどうすんの?」

「それがなぁ・・・」

 その時、真奥のケータイが鳴る。

「はい、真奥です・・・えっ地上制圧完了!?爆撃も心配いらない!?」

 土方の報告は、真奥が叫ぶのに十分だった。

「ということは、芦屋のやつ・・・!」

「え?だれそいつ?あれだろ、めっちゃ臭いやつだろ?」

「それくさや・・・人じゃないし、”や”しか合ってないし」

 江戸に来たばっかりの恵美がなぜくさやを知っているのかはさておき。

 これで問題は、人質だけになった。

「で、こいつらどうすんの?」

「それがなぁ・・・。わざわざ下に戻るのも時間が・・・」

 頭を悩ます魔王と勇者。傍目からみれば、大分シュールな光景だった。

 鼻くそをほじって話に参加していない風だった銀時だったが、不意にポン、と手を打つ。

「そーだ・・・おーい雌豚~」

「んな・・・急になに言ってんのよ!?」

 勇者含めた女性全員がかぁっと顔を赤くする。代弁して、真奥がハリセンでスパコン。

「・・・なにすんだよ」

「あたりまえでしょうが!?ふざけないで下さいよ!!」

「ま、いいか・・・ほら、聞こえるか?」

「何を・・・!」

 かすかに聞こえる、廊下を駆ける音。

 徐々に近づいてきて・・・

「雌豚ことさっちゃん登場!!」

「「「「って天井からかいっ!!」」」」

 無駄な演出をかました彼女は、ひらりと紙のように地におり、銀時にひざまずく。

「どうぞ、ご命令を」

「んじゃ、そこのねーちゃんたちをお巡りさんのとこに届けてくれる?」

「了解!!ね、それが終わったら私のことも巡査してくれる・・・?」

「あーはいはいわーった、いくらでも鞭でぶってやるから」

「いやっっっっほぉぉぉぉう!!」

 そう言うがはやいが、さっそく二人ほど抱えて窓から飛び降りていった。

「なるほど、これで解決だな!!」

「・・・ていうかこれ、どうなの?倫理的に・・・」

 個人の趣味だから、両者おとがめなし。

 真に憂うべきなのは、強制的にバンジーさせられる彼女たちだと思う。

「もういいだろ、さっさと元凶ぶっ飛ばしにいくぞー、恵美、プチソーン」

「ええ、覚悟しなさいよ!!」

「よしいくかって!!誰がプチだよ!?」

 最上階に向かって、駆け足で向かう三人。

 誰も指摘しないが、勇者と魔王と侍。

 少なからず因縁のあった三人が、共通の敵を撃破するために手を組む。

 いったい誰が、予想したであろうか。

 物影のゲートからのぞいていた二人は、最初は不可解な顔をしていたものの、すぐに明るい顔になった。

 

 あれが、あたらしい平和の象徴なのだ、と。

 

 

 

***

 

 

「・・・ついに、くるな」

 ハゲが暗い照明をも反射する。モニターを凝視していた彼だったが、不意に壁にたたずむ、眼帯をした男に問いかける。

「・・・アア。どこぞのふぬけた勇者と魔王と・・・白夜叉(おに)がな」

 キセルを離し、そう呟く男。どこを見ているともわからぬ双眼には、しかし血に飢えた獣のごとき、狂気の光をたたえていた。

 その光はただ一点、天パの男に向けられている。

「やはり・・・あいつの牙は、抜けちゃあいねぇ・・・それどころか」

 クック、とかみ殺すように笑う。

「・・・どんどん研ぎ澄まされてやがる」

「それは、魔力の件じゃろうな?」

 また子と武市を瞬殺した時、たしかに銀時の体内には魔力が生成されていた。

 本来魔力は、悪魔のみが保有すべきもの。

 人間のみでは少量で中毒を起こすし、魔王レベルなら気絶、最悪死。

 聖法気ですら、許容量をこせば中毒をおこすのだ。魔力なんて、人間が扱える代物ではない。

 なのに。この男は。

「簡単なことだ・・・結局、あいつぁただの、ケダモノだってことだ」

 闇に生きる人間。そう眼帯の男は言う。

「まあよい・・そろそろ愚か者どもの相手をせねば、な。いこう・・・高杉殿」

 高杉と呼ばれた彼は、にやぁ、と口が裂けんばかりに笑い。

 

「俺ぁ、いかねぇぜ?」

 

 

「・・・へ?いやいや、ちゃんと計画には」

「だから、やることが増えたんだよ・・・てめぇ一人で相手して来い。そのために、あいつらを貸したんだろぉ?」

「いやそれは・・・ってふごぉ!?」

「ごちゃごちゃうるせぇジジイだ・・・!」

 カーテンをさっとあげ、窓を開け、ターミナルへポイ。

 哀れオルバは、高杉の魔の手によって、ターミナル屋上に不法投棄された。

 なにやら叫び声が聞こえてくるが、もはやあんなハゲに興味はない。

 

 

「さぁて・・・始めるとするかぁ・・・!」

 




高杉、ついに登場!
あれはギャグじゃないです、シリアスなんです(すっとぼけ)


ついに最終決戦へ臨むかれら三人!!

ギャグも交え、シリアスも交え、メインはいったい何なんだ!?

江戸の命運は!?

乞うご期待!!
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