真剣で鳴神に恋しなさい!S   作:玄猫

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のでギリギリです!


14話 天神館との決闘準備

 百代への挑戦者を軽く倒した勇介。それを見ていた通学中の生徒たちがざわつく。いつものように百代による圧倒的な勝利シーンが見れると思っていた彼らの前に広がった光景は、先日転入してきて即決闘で華々しい勝利を飾った男による勝利だった。しかも、百代と同じく圧倒的な力の差を百代とは違う形で示して見せたのだから仕方のないことだろう。

 

「……こんなものでどうですか、モモ先輩?」

「うん、いいぞ勇介。まぁあの程度じゃ楽勝だよな?」

「まぁ、相手を下に見るわけじゃないけどちゃんとした鍛錬を重ねてない相手にはね。武の頂を目指している相手なら多かれ少なかれ尊敬するべき点があったりするんだけど、今の人は……ちょっと違うかな」

「ふーん……ガクトみたいな感じか」

「はは、否定はできないね」

「おい!そこは否定してくれよ!」

 

 戦う相手よりも周囲の女性陣に目がいっていた時点で結果は見えていたということだ。

 

「それに最後の言葉、かっこよかったぞ。小さい頃の大和と似てるがちょっと違う感じがな」

「姉さん!?それは言わない約束だよな!?」

「何で大和はあせってんだ?」

「勇介、気にしなくていい。……ガクトも笑うな!!」

「クク……焦る大和も好き。付き合って」

「お前も鬼か!お友達で」

 

 そんないつもどおりの大和たちを見て勇介が笑う。

 

「はは、大和は一体何をしたらそんなに京に好かれるんだ」

「いや、特別なことをしてないから断ってるんだって」

「……大和は私を救ってくれたの」

「そっか。……大和、俺ができなかったことをやってくれてありがとな。付き合って」

「お友達で……って、おい!?」

「ははは、冗談に決まってるだろ」

「当たり前だろ!?怖すぎるわ!」

「うわぁ……京嬉しそう」

 

 どこから出したのか、10点と書かれた札を立てて口元を押さえている京を見てモロが言う。

 

「大和×勇介……ありなんだっ!!」

「み、京!自分もよくわからないがドキドキしてきたぞ!?」

「クク……ようこそクリス。……腐が嫌いな女子はいないんだっ!」

『まゆっちはノーマルなんだぜ、京の姉さん』

「まゆっちもすぐにこちら側に来ることになるよ……」

「おい、モロ。女性陣が怖いぞ!」

「はは……僕には何もできないね」

 

 

「勇介、お嬢様と通学したのですか?」

 

 教室に入るなり声をかけてきたのはマルギッテだ。

 

「あぁ、ユキたちと先に会って、その後にな」

「そうですか。お嬢様は喜ばれていたでしょう。……勇介、少し身嗜みが乱れていますよ……これでよし」

「ありがとう、マルさん」

「貴方はもっとしっかりするべきと知りなさい。……まったく、私がいるときはかまいませんが」

「ユウー!遊んでるなら僕も混ぜて混ぜてー!」

「榊原小雪。貴方が抱きつくことで勇介の服が乱れていることをしっかりと知りなさい」

「えー?大丈夫だよー。ユウはどんな格好でもかっこいいよ?」

「……それは……」

 

 否定せずにじっと勇介を見るマルギッテ。

 

「ん、何だ?」

「な、何でもありません。とにかく、すぐに抱きつくのはやめなさい」

「ぶーぶー。あ、そーだ!ならマルギッテも抱きつけばいいと思う!」

「はっ!?な、何をいっているのですか、貴女は!」

「いやいや、マルさん動揺しすぎだろ」

「っ!貴方という人は……。知ってはいましたが」

 

 

「九州の天神館がこちらに来た際に模擬戦を行いたいとのことじゃったから受けておいたぞい」

 

 ある日の朝礼で突然鉄心がそんなことを言う。

 

 天神館。東の川神、西の天神と言っても過言ではない特殊な学園である。東には竜鳴館などもあるのだが。

 そんな天神館の館長は元々鉄心の高弟の一人である鍋島正(なべしまただし)だ。川神学園に負けない子供たちを集め、育成しておりその目標は打倒川神学園。……とはいえ、自分の育てた生徒は強いだろう?といった感じのものであるので特にギスギスしたものは本人たちにはないのだが。

 

「フハハハハ!他校との決闘か。三年はまず間違いなく勝つだろうな!」

「まぁ、モモ先輩いるしな。モモ先輩を倒せる存在が敵にいたらもうそりゃ戦争レベルになるな」

「気をつけろ。武神は地獄耳だ。俺は何度それで痛い目を見たか……年増め。ぐはっ!?」

 

 そんなことを言っていた準が頭に何かが当たったように崩れ落ちる。勇介の目には見えていた。おそらくは百代が放ったであろう、指弾が綺麗に頭に直撃していたのを。

 

「確かに耳いいな」

「それで英雄。どのような形での戦いになると思いますか?」

「そうであるな……代表クラスを出し合って、というのがもっとも可能性が高いのではないか?同じ人数を出し合えば、三年のようなイレギュラーでもなければいい戦いができるであろう」

「大規模な戦いにしたいみたいだし、一クラスじゃなくて二クラスか?……ふむ、それなら戦力的にはSとFとかになるのかな?」

「可能性は高いでしょうね。ですが、Fクラスと私たちは少々仲が悪いのですよね」

 

 冬馬が困ったように言う。

 

「まぁ、三年と一年で学園としての勝ちが決まるってパターンもあり得るだろうけど」

 

 頭に由紀江のことを思い浮かべる。彼女の強さがあればそうそう遅れをとることはないだろうと勇介は思ったのだ。

 

「相手の戦力を確認しておきたいところだな。うちは有名どころはバレバレだろ?」

「であるな。川神百代を知らんやつなどおらんだろうしな!」

「天下の九鬼の英雄もだろ?」

「フハハハハ!我もであるか!」

「強みであり、弱点にもなり得るわけだからな」

「王である我が敗れることなどない!……だが、確かに川神百代ほどではないにしても、イレギュラーな強さの者がいればわからんな。……だが、相手からすればお前も十分にイレギュラーであろう、勇介よ!」

 

 英雄の言葉に苦笑いで返す。

 

「そうでありたいけどね。……Fクラスと仲が悪いのなら顔見知りも多いし、仲がいい……と思う相手もいるから俺が繋ぎを取るよ」

「うむ、任せよう!」

 

 

「ってな話になってるんだけど、どうだ軍師殿」

「……勇介に言われるとちょっと変な感じだな」

「はは、実際天神館の二年にめぼしい相手はいるのか?」

「結論から言うと、いる。……いるどころか、相手の主力は二年生と言っても過言じゃないな」

 

 西方十勇士。天神館の中でも武力などで秀でた存在が選ばれ、与えられる称号のようなものである。その十勇士がひとつの学年に揃ったことで「キセキの世代」とまで言われているのが現在の二年生である。

 

「……ふむ、単純に十人は強い相手がいるわけだな」

「あぁ。しかも、数人はかなりやばいらしい。いわゆる姉さんのような壁を超える可能性のある人間とかも……って」

「へぇ……」

「おぉ……勇介くん、やる気だわ……!」

「あぁ、ユウの身体から気があふれ出しているな」

 

 話を聞いた勇介を見て、一子とクリスがそういう。

 

「あ、ごめん」

「俺様、勇介が味方でよかったと心底思うぜ」

「ははは……敵にはしたくないよねぇ」

 

 ガクトとモロも笑いながらいう。

 

「それで大和。実際に作戦的なものとか考えるの?」

「一応は。SとF合同で、って形になりそうだってヒゲ先生にすでに聞いてるから。ただ、なぁ……」

「九鬼くんが言うこと聞いてくれるかわからない、ってこと?」

 

 一子が何かを察したようにそういう。

 

「まぁ、九鬼だけじゃないけどな。不死川とかほかにも言うこと聞かなさそうなのがいるからな……」

「そのあたりは任せてくれ。俺とマルさん、冬馬あたりで何とかしておくよ」

「それなら助かる。ただ、基本的にはFとSが協力しないと負けてしまう可能性が高いっていうのが現状だな」

「個人戦では勝てても、ってことだな?」

「そういうこと」

 

 どういった方式になるかはわからないが、連携がとれずに勝てるような戦いにはならないだろう。

 

「俺は念のために最初は大将につくよ。大将を討てば終わり、みたいな形ならな」

「それがいいかな。本当は遊軍として動いてもらいたいところではあるけど……」

「ま、時期を見て動くさ」

「相手にも京と同じ天下五弓がいるし、京には狙撃ポイントで狙ってもらわないと」

「大和のためなら。……勇介も助けてあげるよ?」

「はは、ありがとう。俺よりは大和のほうが支援いる気がするしそっち重視でかまわないぞ?」

「……うん」

「ありがとう、助かる。キャップやクリスも遊軍かな。ワン子なんかは先陣切ってもらって……」

 

 大和がぶつぶつと考え始める。

 

「本当に軍師みたいだな」

「弟はこういうの好きだからな」

「モモ先輩はどうするの?」

「私は相手の要求は何でも飲むつもりだ。参加するなー以外ならな」

「はは、千人くらい連れてきたりして」

「楽しませてくれるならそれでも私は一向に構わないぞ?」

「……本気だな、これ」

 

 苦笑いの勇介。

 

 

 いくつかの作戦を立て、あっという間にその日はやってくる。

 

 

 更なるにぎやかな日常を引き連れて。




毎日更新崩したくなかったのでいつもよりちょっと短めです!
ごめんなさい!

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