真剣で鳴神に恋しなさい!S   作:玄猫

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18話 武士道プラン

 翌日。テレビなどでも武士道プランについての話題で持ちきりだった。

 

「すごいな、義経たち有名人か」

 

 先に学園へと着いていた勇介が呟く。義経たちの転入はまさかの全校集会を行って公表されることになった。

 

「武士道プランについての説明は新聞でも見るんじゃ。重要なのは学友が増えるということ。仲良くするんじゃよ。……競争相手としても最高級じゃぞい。なにせ英雄」

「煽るな、学園長」

 

 鉄心の説明に勇介は苦笑いを浮かべる。周囲を見れば闘気を漲らせてる人などもいる。……百代中心に。

 

「武士道プランの申し子たちは全部で四人じゃ。残り二人は関係者。まず三年、3-Sに入るぞい。……それでは葉桜清楚、挨拶せい」

 

 鉄心の声と共に現れた清楚に校庭がざわめく。

 

「これはこれは……なんという清楚な立ち振る舞い」

 

 冬馬がそう呟く。そう感じたのは冬馬だけではないようで、男子たちから見惚れたため息が毀れていた。

 

「こんにちは、はじめまして。葉桜清楚です。皆さんとお会いするのを楽しみにしていました。これから、よろしくお願いします」

 

 模範のような挨拶。柔らかな声でありながら、心の奥底まで届く強さを持った不思議な声での挨拶をしてペコリと頭を下げる。それと同時に男子たちから歓声が巻き起こった。

 

「やべっ!名前からして清楚すぎるんですけどっ!?」

「なんか文学少女ってイメージだね!いい感じ!」

 

 ガクトとモロがハイテンションで話すのが聞こえてくる。

 

「なんだよカワユイのにSクラスとか……Fにきてくれー」

 

 百代は逆に残念そうな声を上げる。

 

「あーあ、皆色めきたっちまって……まぁ無理もねぇか」

「ハイハーイ!気持ちはわかるけど静かにネ!」

 

 苦笑いの巨人と宥めるルー。そんな言葉にも静まるような生徒はほとんどいない。

 

「が、学長、質問がありまーす!」

 

 手を上げたのは2-Fの福本育郎だ。

 

「全校の前で大胆な奴じゃのう。言うてみぃ」

「是非、スリーサイズと彼氏の有無を……!」

 

 勇介は誰の偉人かを聞くかと思っていただけに軽く驚く。

 

「まぁ、男なら気になっても仕方ないか。……ただ、こういう場で聞けるっていうのは」

 

 凄いような、そうでもないような。そんな育郎は担任の小島梅子によって制裁されていた。

 

「アホかい!……まぁ確かにスリーサイズは気になるが」

「えぇっ!?」

 

 鉄心のお茶目(?)な言葉に驚く清楚。チラッと勇介を見る清楚。二人の視線が一瞬だけ交差して。

 

「……皆さんのご想像にお任せします」

 

 ちょっと恥ずかしそうに言う清楚の反応に再び色めき立つ。

 

「やれやれ、若までおおはしゃぎだこと」

「テンション低いねーこの男は」

「三年ってさ……言うたら、女としてもう腐ってるじゃん。やっぱり女は小学生までだろ、変な意味じゃなくて。それ以上はなんていうか……さようならだよね」

「同意を求めるな。俺は清楚かわいいと思うけどな」

「お前も年上の呪いにかかったのか……」

「腐ってるのは準の頭だよーん!この不毛地帯ー!」

「ひどいわっ!」

 

 準は平常運転だった。

 

 

「それでは次に二年に入る三人を紹介じゃ。全員が、2-Sとなる」

「お、義経たちは同じクラスになったんだな。まぁ、あの三人なら当たり前か」

「ほー。此方たちのクラスとは命知らずな奴」

 

 少しだけざわっとしたSクラス。これはプライドの高いSだからこその反応だろう。嬉しいというよりも敵が増える、といった感じなのは。

 

「まず源義経。武蔵坊弁慶。両方女性じゃ」

「うげぇ、マジで弁慶女バージョンかよ」

「誰が得すんだよ。ノーサンキューもいいトコだろ」

 

 ガクトと育郎が不満の声を上げる。

 

「……あれは見たら絶対手のひら返すよな。クルクルと」

「そういえばユウって知り合いなんだっけー?」

「あぁ、昨日久しぶりに会ってきたんだよ」

「ゴリラみたいなのー?」

「ははは、皆そんなイメージなんだな。ぜんぜん違うよ。ほら」

 

 勇介が視線を向けた先。一人は東西交流戦の最後に現れた少女……義経。そしてもう一人が。

 

「こんにちは。一応、弁慶らしいです。よろしく」

 

 女性としては長身の弁慶だ。先ほどまで不平をもらしていた男性陣が固まる。清楚と比較しても女性としてのスタイルは圧倒的だ。

 

「結婚してくれーっ!!」

「死に様を知ったときから愛してましたー!」

 

 勇介の予想通り手のひらを返したガクトと育郎が叫ぶ。

 

「あんたら、アホの極みだわ……」

 

 義経と弁慶は勇介に気づくと義経はそっと、弁慶はしゅたっと手をあげて合図をする。

 

「おい!今弁慶さん俺に手を上げたぜ!?」

「いや、俺だって!お前ら自意識過剰すぎるだろ!」

 

 一部の男子生徒たちがさらに騒ぐ。自分に向けたものだとわかった勇介は苦笑いだ。

 

「……ん、ごほん、ごほん」

「義経ちゃん、落ち着いて……大丈夫」

「ん。義経はやれば出来る」

 

 緊張している義経を清楚と弁慶が応援する。

 

「……よし!源義経だ。性別は気にしないでくれ。武士道プランにかかわる人間として恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む!」

 

 義経が挨拶を終え、元気に頭を下げる。

 

「うおおお!こちらこそよろしくー!」

「女なのは気にしない!俺たちにとってはご褒美だぜ!!」

「うん、気持ちのいい挨拶だな!話が合いそうだ」

 

 クリスは義経の挨拶を聞いて嬉しそうに言う。

 

「挨拶できたぞ、弁慶!あとで勇介くんにもどうだったか聞かないと!」

「義経、まだマイク入ってる」

「おい!?誰だゆうすけっていうのは!?」

 

 義経の言葉を聴いて突如殺気立つ男たち。一部の気づいた者たちはバツが悪そうに顔をそらす。……マルギッテとの決闘を見ていた者たちだろう。

 

「女子諸君。次は武士道プラン、唯一の男子じゃぞ」

 

 

 ……結果として、与一はこなかった。厳密には学園にはいる。勇介が気配を探ると屋上にそれらしき存在がいて、更には傍に李とステイシー、そしてクラウディオがいるようなので雄介は一旦任せることにした。その後に弁慶が前振りもなく川神水を飲み始め、いつでも飲む許可を貰う代わりに成績が学年5位以下であれば即退学という念書を交わしているという驚愕の事実も判明する。それにSクラスの面子が殺気だったのは仕方のないことだろう。

 

「後は、武士道プランの関係者じゃな。ともに一年生」

「ユウ、誰が来るか知ってるのー?」

「いや、関係者ってことは九鬼の人だろうけど……誰だろう」

「二人とも1-Sじゃ!さぁ、入って来るが良い!」

 

 鉄心の言葉と共に全く同じ服装と髪型をした男たち……おそらくは番号の振られていない従者たちだろう、それと高名な交響楽団が現れ演奏を始める。

 

「……九鬼だな」

「ですねぇ。英雄にそこまで歳の近い兄弟がいた記憶はありませんが」

「フッフッフッ!フッハッハッハッ!」

 

 高笑いをあげながら歩いてくる紋白に流石の勇介も驚く。

 

「紋白!?」

「我、顕現である!」

「フハハハ!何を隠そう、我の妹である!」

「分かっとるわー!それ以外じゃったら逆に困るわ!」

 

 心の突っ込みが入る。

 

「九鬼が二人も揃うとは……カオス過ぎる」

 

 マルギッテの呟きが全員の心の代弁だ。

 

「見た瞬間に心が震えたっ!……圧倒的カリスマッ……!」

「あーあー、お前にとってはそうじゃろうな」

 

 呆れたように心が言う。

 

「……自分が、恋に落ちる瞬間を認識してしまった」

 

 準の危険な言葉をスルーして勇介は意識を紋白に戻す。紋白は悠々と壇上へとあがっていた。

 

「我の名前は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい!!我は飛び級することになってな。武士道プランの受け皿になっている川神学園を進学先に決めたのだ。そっちのほうが護衛どもの手が分散せんからな」

 

 一理ある、と勇介は思った。いくら義経たち本人が強いとは言え武士道プランほどの大きなプロジェクトの対象を護衛なしで放置するわけにはいかないだろう。そうなると、従者部隊でも上位の者たちも動かねばならない。とはいえ、世界各地に護衛対象や拠点などがあり、更には世界を飛び回る帝の護衛もつけなければならない。敵が現れればそれの殲滅のために動くこともあるだろう。ならば、紋白の言うとおりひとつの場所に固まることは悪いことではないだろう。……紋白の背後にいるヒュームを見て勇介は納得と同時にいやな予感を覚える。

 

「……いや、まさか」

「新しく1年S組に入ることになりました。ヒューム・ヘルシングです。皆さんよろしく」

 

 どうやら百代は鉄心から話を聞いていたのだろうか、ヒュームのことを知っていたようだが、その強さの全てを見抜くことは出来なかったようで一瞬で背後に回りこんだヒュームになにやら声をかけられていた。

 

 

 ほかにも大きな出来事として、武道の世界でも有名なカラカル兄弟が教師として川神学園に赴任してきていた。どうも京都で敗北したらしく、修行をかねてとのことらしい。

 

「……京都で、ね」

 

 以前に仲良くなった人のことを思い出す。ひとつの技を鍛え続け、ヒュームと同じように必殺技へと昇華させた女性……松永ミサゴ。ヒュームから修行の一環として任されたボディーガードの仕事の際に知り合ったのだ。

 京都で思い浮かんだのは彼女の娘である松永燕だ。株に手を出して失敗した夫に呆れて家を出た母と違い、父親を支えるべく副業として納豆を売り始めたのだがそれがまさかの大ヒット。西では納豆小町として有名になっているのだ。そんな彼女も武士娘……かなりの凄腕だ。

 

「私なんて器用貧乏なだけだよん」

 

 そう言う燕だが、公式戦では無敗。そんな長い期間かかわったわけではないが印象深い相手だった。

 

「そういえば、元気にしてるかな、ミサゴさんと燕。久々に連絡してみるかな」




そういえば、ヒロイン希望にミサゴさんが入ってましたね。
確かに美人で好みなんですが(ぉぃ

人妻だから略奪愛に……!?
さ、流石にそれは……。


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