これでまだヒロインルート始まってないなんて恐ろしい。
場所は中国、深山幽谷。ここには、恐るべき一族がいた。
曹一族。中国では伝説的な傭兵集団である梁山泊のライバルとして有名な一族である。
「
「了解だ、当主」
曹一族の現当主の手に握られた手紙。そこには梁山泊が欲する人材であり、なおかつ曹一族にとっても必要な男がいる、という情報だった。
「しかし、同じ時代に二人、可能性を秘めた男がおるとはな。……これだから長生きはしてみるものだな」
ボソリと呟いた当主の言葉に誰も答えるわけでもない。だが、任務を言い渡された史文恭も当主と同じように興味を持っていた。
「私と同じ、『龍の眼』を持つ男か。興味が沸く」
彼女の名は史文恭。曹一族の中でも最高レベルの武術を使いこなし、武術師範もしている女性である。彼女の眼もまた、勇介が力を解放したときと同じように黄金に輝いていた。
ところ変わって梁山泊。世界最高の傭兵集団であり、今では伝説となっている英雄たちの集う場所である。ここに属する者たちは必ず普通の者にはない特異体質を持っている。ある者は炎を自在に操り、またある者は少し先の未来を見ることが出来る。
「皆、集まってもらってすまない。今回の任務について確認しておきたい」
そう切り出したのは長い黒髪を持った女性、林冲だ。実力者揃いの梁山泊においても一目置かれており、今集まっているメンバーの中ではリーダー的な存在でもある。槍の名手で、その腕前は大陸一とも世界一とも謳われている。
「今回の任務は護衛だ。難易度は天」
「無駄に高すぎなーい?最高難易度だよ。せいぜい特とか」
会議の場であるにも関わらず面倒くさそうな様子を隠さない少女、
「川神院と武神、そして九鬼……聞くところによるとドイツの猟犬部隊まで集まっている場所だぞ。そして、私たちの護衛対象は……勇介だ。それと、直江大和。こちらは曹一族が何故か狙っているらしい」
「なるー。もしかして何かの星の継承者かな?でも勇介は優しいから好き」
「お前は何もしなくてもやってくれる奴が好きなだけだろ。ってゆうかリン。わっちらより護衛対象のほうが強いってどうよ?」
そう言ったのは
「勇介もそうだが、直江大和にも
蘆俊義とは梁山泊において、第二位の位を与えられる者の称号のようなものである。求められる資質は多く存在するが、特に大きなものとして武士娘たちの管理能力というものが挙げられる。梁山泊にはそういった特殊な資質を持った者たちを見抜く専門の者たちもいるのだ。
「曹一族も、私たちと同じ理由で彼を狙っているわけだな」
「うん。だから彼らを曹一族にとられないよう護衛しつつ、蘆俊義の才能が本当にあるか見極める」
「でもさ、リン。勇介は分かるけどこっちの男、そんな強そうに見えねーんだけど」
「蘆俊義の才は私たちを管理することに特に秀でている。武力だけでは分からないだろう?」
「護衛とかめんどくさいから、勇介残して直江大和っての、デストロイしたら?」
「もしくは強引にこっちへ連れ去っちまうとか!」
過激なことを公孫勝と史進が言う。
「直江大和だが、彼は蘆俊義の資格者と言われるだけあり、武神や川神院とも懇意という。知ってのとおり勇介は私たちと同じように異能を持ち、
「あんな連中、任務でもないのに敵に回したくないね。川神院に、九鬼財閥。勇介はドイツの猟犬部隊とも懇意なんだよね?」
そう言ったのは楊志だ。一度見た技をコピーすることの出来る能力『模倣』を持ち、あらゆる武器に精通した器用な女性である。欠点をあげるとすれば、その趣味が美人のパンツを集めるという異常なものであることだろうか。ちなみにお気に入りは林冲のものらしい。
「そっか、それこそメンドイか」
「難易度が天というのも分かる話になってきたな。だからこそやりがいがあるというものだが」
武松がやる気を漲らせる。それを見た史進が何か思いついたような表情を浮かべる。
「あ、パッドが何か思いついた顔だ」
「おい今パッドって言ったか、まさる?」
「命賭けても言ってないよ」
さらりと嘘をつく公孫勝。
「ったく。わざと曹一族に大和を誘拐させるのはどうだ?そうすりゃ、武神が曹一族潰しにいくんじゃない」
「だから、そうならない手筈が整ったからこそ曹一族もいよいよ動き出したんじゃないの?」
史進の言葉に楊志が反論する。
「うぬぅ……ナイス計略、わっち天才と思ったんだけどな」
「それでだ。今回の任務のために」
林冲が一度言葉を切り、全員を見渡す。
「川神学園に転入する」
「はるー、えぶりばでぃ!今週はまたまた転入生を紹介しちゃうぞい。今回は大陸からの留学生五人じゃ」
「またそのパターンか。猟犬とやりあった鳴神に続いてクローンの後じゃ。動物やロボが転入してきても驚かぬわ」
学園長の言葉に心が呟く。
「はは、ただ昨日の夜に覚えのある気が複数川神に入ったんだよな」
「ユウ、あなたの知り合いですか」
マルギッテが勇介に聞いてくる。
「知り合い……まぁそうだな。川神に来るまでの途中で立ち寄ったんだよ。行ったのは偶然だけど」
「ほぅ……?そのあたりのことはまた詳しく聞くとしましょう」
Sクラスでもわいわいと話が続いている。それはほかのクラスでも同じ事だった。
「フム……嫌な予感がする」
そう言ったのは京だ。
「ということは留学生は女性ということか」
「おっ、クリも色々と分かってきたわね!」
クリス、一子と言葉を続ける。
「あぁ、自分は成長しているからな!」
えっへんと胸を張るクリスを温かい目で見る京。壇上に上がった五人の少女を見て武を志した者たちはその気配に少し驚く。
「強いわね……」
そう呟いたのは一子だ。少なくとも川神院の師範代候補クラス以上はあるだろうか、もしかするとルー師範代と同等かそれ以上もあり得る強い気。
「学長最高!学長最高!!学長最高ッ!!」
反して盛り上がるのは男たちだ。壇上に上がった五人が五人とも種類は違えど美人なのだから仕方ないことだろう。しかも、全員がチャイナ服を身に着けているからなおのことだろう。
「まったく……いちいち騒いで落ち着きがない奴らだぜ」
「気持ち悪いのうこのハゲは」
「あぁ、そっか。準は公孫勝みたいな子が好みなんだっけ」
「……待て、勇介。いや勇介さま。お前、もしかして」
「知り合いだぞ」
「お前、交友関係どうなってんだよ!?」
壇上の林冲たちもまた、少し驚いていた。男子には馬鹿ウケだったが、武士娘たちからの強い闘気に当てられているのだ。しかも、それに混じって九鬼従者部隊、更にはヒュームまでがいるのだ。
「すげぇな。ガンガン闘気ぶつけてくるじゃねぇか」
「大河の濁流のような荒々しい気だ。乗せられるなよ」
史進と武松の会話である。おそらくは百代とヒュームから発される気と威圧感だろう。百代は戦いたいという気持ちが、ヒュームは余計な動きをすればすぐにでも、というものが彼女たちに叩きつけられているのだ。
「(これが川神。何人か壁超え。または近い者がいる。武神と川神院の関係者以外では……)」
すっと林冲が視線をめぐらせる。
「(勇介に噂のクローンと九鬼の従者部隊か。さらには欧州の猟犬に松永の娘……ほかにもいるな。さすが難易度天の任務。気を引き締めねば)」
「彼女たちは梁山泊からの留学希望者じゃよ」
鉄心が説明を始める。
「梁山泊!これはこれは生臭い連中がでてきたねん」
燕が驚き。
「報告にあった中国の傭兵集団か。いい面構えだ」
「紋さま、名刺のご用意をなされていますが、彼女たちを引き抜くのは骨が折れるかと」
「フハハ。いい瞳を見るとついクセでなぁ」
紋白がスカウトしようかと動くのをヒュームが止める。
鉄心の説明が続き、全員が一言自己紹介を始める。
「天雄星。豹子頭の林冲だ。宜しく」
林冲はそう言うと勇介のほうをチラッと見て後に大和へと視線を流す。
「……ん?今のリンの動き……」
勇介はその動きに違和感を感じて視線の先へと同じように向く。そこはFクラスの付近で更に違和感を強める。
「わっちは天微星の史進。九紋龍史進。よろしくぅ!」
「天暗星、青面獣の楊志。宜しくお願いするよ」
「天傷星、武松」
「天間星の入雲龍、公孫勝。天才だからよろしくしろ」
全員が同じような視線を動きをしたのを勇介は確認する。
「……これは大和あたりに何かあるか?……後で確認するか。任務だと教えてくれないかもしれないが」
「改めて宜しく」
Sクラスに配置されたのは武松。ほかの三人はFクラスらしい。公孫勝は学年違いだ。
「フハハハ!我がクラスも国際色豊かになってきたわ!」
「おじさんそろそろキャパシティオーバーだから、頼むから仲良くしてくれよ」
「ヒュホホ、ならば川神式歓迎会といくかのう」
「つまり……決闘ということか」
心の言葉に義経が反応する。
「義経もわかってきたのだ」
「……私か、ユウか。どちらかが相手をするのが妥当でしょう」
「そうなるよな。俺はあっちの手の内を知ってるけどな。それはあっちも同じだけど」
決闘の準備をしようかとSクラスが動き始めたとき、校庭にFクラスが出てきている。どうやら決闘を行うことになったようだ。
進み出たのは京と史進。勇介がすっと目を細める。
はい、やっと人気投票のヒロインがほぼ全員出揃いました。
もうひとつ話を挟んだら個別ヒロインルートへと突撃していきます。
ルートによって登場する子や、全く関わってこない子などいますがご了承ください。
感想、評価等いつも励みになってます!
追伸:PCが一回壊れて復旧したのですが、怖いので新しいのを買いました。二、三日中に届く予定です(ぉぃ