でわ第二話、「二人目の
▲要side
私立初谷中学校。
それが俺とユウが通う学校の名前だ。
共学校で、そこに通う大体の生徒は騒がしいくらいに元気で活気があると近所で有名なのだが、今日に至っては別の意味で騒がしくなっている。
「俺にも動かせるのかな?」「これで動かせたらIS学園行けるんだろ?ハーレムじゃね?ジュルリ」「ようやく俺の時代が!!」「待ってろよ、かわい子ちゃん達!」
まあ騒がしくなっているのは一部の頭の中がお花畑の男子だけなのだが、音が響きやすい体育館にいるからかいつもの二割ましくらいに喧しい。
そんな連中が多々いる列の中程に俺はいるのだが、正直言って帰りたい。
今並んでいる列の先にはIS学園と書かれた腕章を身に付けた女性とその横にIS、ラファール・リヴァイヴが鎮座しており、それを順番に男子が触れていく。
何故わざわざこんな事をしているかというと、一週間ほど前にISを起動できる男が見付かったからである。
この事を取り上げたニュースを朝一で見た時は手に持っていたトーストを落としかけたのを覚えている。俺はこれでも技術者の端くれ。
IS技術の発展に繋がる。
そう思えば心が踊るなんてものではない事態だったのだが、冷静になって考えると、そんな貴重な存在の稼働データやら何やらが手に入るはずがない訳で。
上がりきっていたテンションが一気に急降下。
自室の壁に向かい何やらブツブツと言っていた俺を見たユウが慌てていたのは記憶に新しい。
そこまで慌てるかと思ったが、その時の俺の目は虚無を映していたと言っていたのでユウからしたら余程の事だったのだろう。俺もユウが同じ様子だったら慌てる自信がある。
そして今。学校で男を対象としたISの起動調査を開始したために卒業式まで来る予定の無い母校に足を運ばざるを得なくなってしまったのだ。
研究室でやろうとしていた予定が全て潰されたのである。おのれ、男性初IS搭乗者め。
「カーナッ」
早く終わらんかなと天井に挟まったバレーボールを眺めながら列に並んでいると横合いから声をかけられる。その方向を見ればユウがいた。手にはレシートサイズの紙が握られている所を見るに女子の方でやっていた適正調査が終わったようだ。
「どうしたのボーッとして。考え事?」
「考え事ってわけじゃないよ。……早く帰って調べたいことがあるだけ」
「えー。でも
まあそうなんだけどと俺。
ユウが携帯している
「でもISをさわるだけで、ISの稼働データを取れる訳じゃないだろ?それに起動できないだろうしさ」
そう、そこなのだ。俺が気になっているのは性能であり機体の質感とかではない。はっきり言って意味がないのである。
「むぅ、またそんなこと言って……」
「そんなもんなんだよ。技術者にとってはな」
それに、例え俺に適正があっても俺なんかを乗せてくれる心の広い
俺はぽんとユウの肩を軽く叩いてラファールが置いてある場所へ向かう。
「さくっと終わらせて帰ろう。今日は叔父さん達早く帰ってくるんだろう?」
夕飯は少し豪華にいこうなと言ってから俺もテーブルへ向かう。見れば先程の勇者は肩を落としてとぼとぼと体育館の入り口へ向かっていた。どうやら彼には剣は抜けなかったらしい。
「次の人ー」
IS学園の女性が業務用スマイルを向けてこちらを見る。ので机を挟んで前に立つ。
「いいですか、優しく触れて「起動しろ」と強く念じてください。適正があればそれで起動します」
本日何度目になるか分からない台詞を言う女性。
言われんでも分かっていると思ったが顔に出さないではいと言われた通りにする。
目の前には膝を着くラファール・リヴァイヴ。
触れようと手を伸ばした一瞬、何処か
「……あの、どうしたの?」
女性は怪訝な顔でこちらを見てくるが、それを無視して俺はラファールを凝視する。
ラファールはただ鎮座している。
でもこの機体なら、このラファールならばいつも
広がる大空を越えて、その先にある果ての無い
心の中で問いかける。
そして、手を伸ばし、機体に触れる。
すると、何処からだろうか、声が聞こえてきた。
――――――――――――――――――――――
適合者、確認。認証開始します。
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瞬間、光が溢れた。
――★
視界が戻って始めに感じたのは、昏い、だった。
どちらが上で、どちらが下なのかも分からないような空間にいて、ただ一面が真っ黒な空間。それでも一通り見渡せるほどには明るい場所。
そしてその空間には様々な色を灯す点が幾つも散りばめられており、時折瞬き、そして流れていく。まるでここは、俺が焦がれて止まない
『 よう....く.....えた 』
かすかにだが声が聞こえた。ノイズ混じりで聞き取りにくいが少女の声だ。
辺りを見渡すが姿などは見えない。しかしその声はお構いなしに続ける。
『 .......はISコアNo.238-2。......たラファール...リ....ヴだよ 』
ラファール。声の主はそう名乗った。そしてISコアということも。ということはこの声の主はさっきのラファールのコア人格だとでも言うのだろうか。
「君は……」
今度は空間にノイズが走る。それは次第に大きくなり、一際大きく歪むと同時に目映い光が辺りを包み目が眩む。口を開いたら喋るなと言わんばかりに状況が変わりやがった。
『 まだ完全に接続で......たい。少し...ぎたかな 』
先ほどまでの弾んでいた声が萎んでいく。ノイズに遮られ途切れているが何故かそれが分かった。だが光の量は反比例するように増していく。
『 バイバイ。時が来たらまた会いましょ? 』
完全にホワイトアウトする刹那、それだけは遮られずにハッキリと聞こえた。そしてその時、視界の隅には白いドレスのような衣装を身に纏い、寂しげな表情の少女が見えた気がした。
そして、引き込まれた時と同じように唐突に意識は現実の方へと戻される。
★――
気が付くと俺はラファール・リヴァイヴを纏って立っていた。あれからどれくらい経ったと壁に取り付けられている時計を見るが一分もたっていなかった。
あれは何だったんだろうかと考えながら大体のISに搭載されているハイパーセンサーを頼りに周囲を見渡すと皆俺を見て固まっていた。IS学園の人は口許に手を当てて目を見開いていて、他にいる生徒達は口をポカンと開けて突っ立っている。ユウに至っては俺を指差してあわあわしている。
皆共通して俺を見て固まっていた。
いやまあ、分からんでもないが。只の男子中学生がIS動かしたらそうなるわな……ん?
何かが頭に引っ掛かる。それはなんだと考えるとすぐに答えは見付かった。
俺がISを動かした。
そう認識した瞬間に俺は固まった。
だってそうだろう。世界中が躍起になって探している男性の適正者が俺だったのだ。他の誰よりも俺が驚かないでどうするんだっていう話だ。いや違うそうじゃないだろう俺。宇宙に行けるだとか搭乗データ取れるとか悠長に構えている場合じゃなくなったんだぞ? いいか俺よよく考えろ。二人もいるってことはどっちかは確実にモルモットにされるじゃないか。ここは慎重に行かないと……
静寂が体育館を包んでいるのがよくない考えを加速させている。思考がどつぼに填まっていく中、停滞した時間を動かす発言をした人物がいた。それは――
「とりあえず落ち着いたらどうだ」
スーツ姿の凛とした女性だった。
最後に登場したのは一体誰なんだ(遠い目
プロットでは要の悪友二人と優埜の親友一人が出てくる予定でしたが書いている内にいつの間にやらいなくなってました(
さらばオリキャラ三名。
次回、ダブルクロスThe3rdEdition第三話
「IS学園への切符」
ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉