だから、ただの念能力者だって! 作:ぽっぽぽるる
クラピカさんが倒れた後、クラピカさんは直ぐに目を覚ます様子が無かったため、放って置くわけにもいかず、そのまま僕も地面に寝転がった。
先程の闘いを思い出す。
昔からだが、負けそうになったら何故か意識が飛び、意識が戻ると相手がボロボロになっていることがよくあった。
自分としては、全力で向かってきた相手を気づいたらボコボコにしていることに少しの罪悪感を覚えている。相手は相手なりに覚悟を決めて向かってきただろうし、何よりその覚悟を知らず知らずにへし折っていたと考えると、余計にだ。
そんなことを思いながらボーッと夜空を見ていると、クラピカさんが呻き声を上げながら身をよじった。見ると、少し身体が震えている。
寒いのかな?
今は夏なのにも関わらず、最近は夜になると寒くなることが多い。先程の戦闘のせいかクラピカさんの服はボロボロになっている。それも相まって、かなり寒そうにしていた。
ないよりかはマシだと思い、自分の着ていたローブをクラピカさんに被せた。クラピカさんは無駄に分厚い布のローブのおかげで、少しは寒さが軽減されたようで、身体の震えも止まっていた。
そのまま僕もぼーっとしていると、段々と眠気が襲ってくるようになった。
「あー、やばい……眠っ…」
寝る前に見た夜空は、相変わらず綺麗に僕の目に映し出されていた。
****
「……ここ、は…?」
クラピカは身体を走る鈍痛と、肌をくすぐる夏風により目を覚ました。辺りは暗く、もう深夜に近い時間帯になっていた。
「これ、あいつのローブか…?」
クラピカは自身を包んでいる黒いローブに気づいた。自分のことを心配してくれたのか。勘違いかもしれないが、実際にこのローブのおかげで身体を冷やさずにすんだ。その事実だけは変わらない。
「人に優しくされたのは…久しぶりだな」
最近は復讐のことばかりに目が行き、あまり休めてなかった。それに、ノストラード家のボディーガードのこともある。少々気負いすぎていたのだろう。
「……ん…」
「ふふっ」
横で眠っている、ローブの持ち主である青年は身を捩りながら唸った。その様子がおかしく、思わず笑ってしまう。
さっきまではあんなにオーラを出していたのに、眠っている時のあまりの無防備さにギャップを感じる。
綺麗な顔だ。
クラピカは純粋に青年のフードで隠されていた素顔を見て、そんな感想を持つ。
「カナタ…」
青年の名を呼んでみる。
負けた相手なのに、何故か心が満たされた。
ぎゅっ、とローブを抱きしめ、青年の横に寝転ぶ。
「今くらいは…人に甘えたっていいだろう…?」
それは誰に向けたものなのか、誰かに言い訳をするように言った言葉は、少しの熱を孕んでいた。
「おやすみ…カナタ」
***
ガチガチになった身体にムチを打ち、無理やり起き上がる。
寝てしまった。
人生初めての野宿。結構行けると思ったヨークシンでの夏。
「そういえば、クラピカさんは……」
クラピカさんがいた場所を見ると、そこには綺麗に折りたたまれたローブが置いてあった。
律儀な人だなぁ…僕のせいでボロボロになったのに……いい人かっ…!
昨日の戦闘のせいか、身体中が筋肉痛で痛い。巨漢さんやピエロさんの闘いの後よりも酷い。寝慣れてなかった地面で寝たからだろうか。
「はぁ……帰ろ」
沈んだ気分のまま、家へと足を運ばせた。
その間、筋肉痛のあまりの痛さに泣きそうになったが、無事に家まで辿り着いた。
「あれ、クラピカさんからメール?」
お風呂に入り、さっぱりした後、携帯を見るとクラピカさんからメールが届いていた。内容を確認すると、感謝の言葉が綴られていた。
君のおかげで、色々と気付かされたよ。ありがとう。
そんな感じのメールだった。
まじでクラピカさんいい人すぎるでしょう、聖人君子か何かかあの人。
クラピカさんのメールに返事を送り、一日ぶりのベッドに飛び込む。
「ぁあー…やっぱベッド最高…」
そのまま昨日のように寝落ちしそうになっていると、また携帯が震えた。なんだ?またクラピカさんか?
内容を確認すると、とある人達に大量の懸賞金がかかったとかいうメールだった。
普通なら食いついたが、今は結構余裕がある。後でちらっと見るだけでいいか。
「ふあぁ……寝よ」
昼間から寝る。
何と幸せなことか。
そのままいい気分で眠った僕は、後になってあのメールをしっかりと見ておけば良かったと後悔することになる。
「……あの巨漢さんが蜘蛛とかいうやばい人達の一人だったのか」
あれぇ?なんでクラピカさんヒロインみたいになってるのぉ?
こうなる予定じゃなかったんや(震え声)