わたし一番道路のコラッタ、意地でも最後まで付いてきます!   作:あまやけ

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『ピ、ピカッ!』

……あぁ?

という話です。


2.登場黄色いアイドル

トキワの森、いいですよねぇ。

 

トキワシティとかいう質素な町を抜けた先のここは、私たちにとってオアシスと呼んでいいでしょう。のどかな空気、おだやかな風、そしてポケモン達の鳴き声。「あぁ、自然っ!」って感じがして好きなんですよ。

 

レッドさんの声が森の中で響きます。先頭に立つヒトカゲさんが、目の前の幼虫、キャタピーを焼き焦がしました。あれやっぱり火力ハンパないですよね、わたしもかなり熱かったです。

 

「ヒトカゲ、[ひのこ]!」

 

ちなみに、私はまだレッドさんのてもちにいるにも関わらず一度も先頭にも戦闘にもなりません。これは私を傷つけたくないというレッドさんなりの愛情表現なんでしょうね。ええ、ええ、ちゃんと伝わってますよレッドさん!

 

そんな私を一度として見ることのないレッドさんはここで暴挙に出ました。なんと勝ちまくれることを良いことにどんどん森を進んでいくではありませんか。

 

「ひのこ!ひのこ!ひのこぉぉぉ!!」と無駄にハイテンションで叫び続けどんどん子供達からお金を受け取っています。やってることだけを書くとものすごく最低な人に見えますね……まぁ、その通りなのですが、そんな彼にも良いところがあるんですよ、きっと。

 

「ひのこ!……あ、あれ?どうしたヒトカゲ?」

 

そうしてトキワの森を燃やし尽くしてしまいそうなほど同じ言葉を繰り返していたレッドさんが疑問の声をあげます。どうやらppが切れてしまったようです。

 

「しまった、ppを回復するもの持ってきてない……ヒトカゲもなんだかんだいってダメージは大きいし、戻るのは面倒だな」

 

あっちゃーと赤い帽子をくるくると回すレッドさん。そしてようやく、レッドさんがわたしのボールに目を向けました。

 

そうですよレッドさん!わたしがいます!!この[あああああ]が!!

 

「……はぁ、目の前が真っ暗になるのやだなぁ、お金大事だなぁ」

 

ちょ、レッドさん!?何故にそんなに落ち込んでるんですか!わたしポケモンセンターで回復したので元気はつらつですよ!あなたのおかげでね!

 

レッドさんはわたしの(出して出して!)の仕草になぜかため息をついています。

 

「いいか[あああああ]。ポケモンに出逢ったら一応お前を出すが、あくまで逃げるためだ。絶対に気絶だけはやめてくれ」

 

ふっふっふ。今はそう言ってるといいんですよ。キャタピーさんの倒し方ならちゃんと把握してますから!さぁ、かもんぬ!

 

その時、奴が現れました。

 

草木をかきわけるレッドさんの前に、それは現れました。全身黄色のでんきポケモン。ほっぺの赤い丸い模様がまさかの電気袋というポケモンです。体も小柄で抱くと気持ち良さそうですし、ほら今もこっち向いて首かしげましたよ。あの可愛い仕草、たまらないですよねー。

 

「ピカチュウ!?うお、可愛い!やっべ、国民的アイドルにも匹敵する可愛さだわ!!うっひょぉぉぉぉおおおおお!!」

 

実際、レッドさんもこんな感じです。もうメロメロです。あのピカチュウ、オスですけど。オスのレッドさんがメロメロになってしまいました。やっぱりあの仕草、見た目、声、全てが可愛いですよねーうんうん。

 

「ちょ、なに、コラッタ……じゃない[あああああ]!なに騒いでるんだお前!?」

 

おっと失礼。思わずモンスターボールを壊しかけました。いえ、別に取り乱したわけではありませんよええ。ただ私は、

 

あのクソうぜぇあざとい系ぶりっこポケモンをきぜつさせた上からみだれひっかきしたいだけですから。

 

なんですかあのぶりっ子キャラが見え見えなポケモン。いや〜いますいますこういうの。なぁにが『ピッカァ?』ですか首をこてんと傾げてんですか。媚売る気満々じゃないですか、見え見えですからね。わたし達ポケモンにとってトレーナーさんの前に出ちゃったら戦うことになっちゃうなんて常識なんですよ首傾げてる暇があれば逃げるか戦う体制になるか動けってんですよ。ポケモン同士なら簡単にわかるんですから『うっわこいつ媚売ってるわ〜引くわ〜』ってなるんですからね。

 

ということで、レッドさんはよ!私を出して、はよ!!

 

「なんでやる気満々なんだお前……まぁいいや、いけ【あああああ】!」

 

私の様子に怪訝な顔をするレッドさんでしたが、疲れ切ったヒトカゲさんを出すよりもと思ったのでしょう。うぅ〜ん、久しぶりの外の空気は美味しいですね!……っとそんなことよりあのクソネズミさんを叩きのめしてやりましょうか!さぁ、どんとこいですよ!

 

『ピカ?……ピカチュウ??』

 

「か、かわぇぇええええええええええええ!!」

 

威嚇するように鳴いた私に、ピカチュウさんは再びこてんと首を傾げやがります。

 

えぇ、ちょ、レッドさん。なにニヤニヤした顔してんですか、見事に敵の策にハマってるんですかアホですか。

 

「絶対捕まえるぞ、おい【あああああ】絶対にきぜつさせるなよ!」

 

えぇ……。あぁ、はいはいわかりましたよもー。手が滑らない限りはレッドさんに従いますともさ。

 

『ピカ?』

 

ほら、もういいですよピカチュウさん。レッドさんはやる気満々みたいですしそれ以上やっても無駄ですって。……うーん、しかしここまで媚を売るのを続けるというのもおかしいですね。

 

まさか、本当に何もわかってなかったりーー

 

『……チッ』

 

あ、そんなこと皆無でしたわ。舌打ちしましたわこの子。

 

レッドさん、やっぱこの子捕まえるってのやめときません?正直あまりオススメしなーー

 

「うっひょぉぉぉぉおおおおお!!尻尾振ってる、尻尾振ってるやん!これ俺に気があるのかな、俺への愛情表現だな!伝わってるぜお前の愛!さぁ【あああああ】、頑張れ!」

 

……はい、バトルスタート。

 

『バトル』レッド 【あああああ】VS やせい 【ピカチュウ】

 

「【あああああ】[なきごえ]!」

 

はいはい。ってええ!?いきなりわたし鳴くんですか!?わたし、見た目的に凄むとか無理なので鳴いてもしょうがないかなって思うんですけど……しかしトレーナーはレッドさんです。わかりました、指示に従いますよ、鳴きます。

 

〜♪

 

『……ハッ。ピッピカ』

 

ちょ、ちょっとぉぉぉ!なんか鼻で笑われたんですけど!?絶対あれ「……はっ、しょうもな」って言ってますよ!?レッドさんこいつ、やっぱ性格悪いです!捕まえるなら別のピカチュウにしましょう!

 

「[なきごえ]が効かない……!?このピカチュウ[こうげき]が下がらない特性でもあるのか?れ、レアポケモンだ!!」

 

んなわけあるかっ!!

 

「おい[あああああ]!トキワの森でピカチュウなんて珍しいんだ!捕まえるぞ、弱らせろ!」

 

あぁもうわかりましたよ!やってやりますよこのコラッタが!たいあたり行きます……んん?

 

 

『ピッピカチュウ〜♪』

 

たいあたりしようとした私にピカチュウはなぜかすりすり〜っとすり寄って来ました。どうやら[あまえる]こうげきのようです。

 

ふむふむ。

 

『ピカッ!?』

 

「お、おぉ!よくやったぞ[あああああ(コラッタ)]!きゅうしょに当たった!」

 

へぇ、[あまえる]って相手のこうげきを上げる効果があったんですね。実力以上の力がでましたわ。私のたいあたりがかなりいいところに当たったようで、木に激突したピカチュウさんはよろよろとフラついています。

 

うん、これは負けられない。負けられない戦いがここにあった。そしてーー

 

「いけ、モンスターボール!!」

 

ふらつく金色の腹黒ネズミにボールが当たり、コロコロと回転。三回光った後に、カチリと音が鳴ります。そして、

 

「ピカチュウ、ゲットだぜ!やったぁぁぁぁぁああああ!!ピカチュウ!やった、やったぁぁぁぁぁあ!!」

 

そのボールを手に取り激しくダンスを始めるレッドさん。えっと、あの、喜ぶのはまぁわかってましたけど私へのなんかこう、無いんですかね?初めての戦いで急所に当てて、あなたの言う通り気絶させないギリギリのHPにしたんですよ?

 

……とまぁ、そんな風に思ってても私なんて見る気もないレッドさん。まぁ慣れましたからいいですよそれで。レッドさんはすぐさまボールからピカチュウを出しました。

 

「これからよろしくな、ピカチュウ!」

 

『ピッピカチュウ!』

 

固く握手を交わす二人。それはまるで長年の親友に出くわした瞬間のように何故か絵になってます。ふむ、これを見てるとなんか怒る気にはなれない気も、まぁしないでもないですかね。

 

なんにせよ、これから仲間になるんです。ここは先輩の私から近づいてあげますよ。あざといですが見た目が可愛いのは認めますし、仲良くしてやってもいいでしょう、ええ。

 

そう思い、わたしはピカチュウさんに近づくと前足を伸ばします。これからよろしくの挨拶ですよ。仲良くしましょうね!

 

『ピッ!』

 

と、そんな私を見たピカチュウさんは満面の笑顔。私の前足を握って頬ずりしてきました。おぉ、なんだあざといですけどいい子じゃないですかピカチュウさん、これは仲良くなれそうな気がしますね。あら、そう考えるとちょっとこれからさきの旅が楽しみになってきましたね!

 

「よし、んじゃニビシティも近いしこのまま歩いて行くか。ついてこいよ2匹とも〜!」

 

気分のいいレッドさんはウキウキと先へ進んでいきます。ふむ、正直ボールの中のほうが楽なのですが、まぁいいでしょう。その間にピカチュウさんとお話しできますし、もっと仲良くなれる何かを探す時間に使いましょうかね。好きなものとかいっしょだといいなぁ。

 

隣を歩くピカチュウさん。なぜか下に顔を向け歩いているのですが、きっと先ほどの攻撃がまだ残っているのでしょうね。話すくらいはできそうですし、話しかけてみましょうか。

 

ね、ね、ピカチュウさんは何のきのみが好きですか?私はオレンのみが好きなのですが。

 

 

『……。』

 

 

あ、あれ、ピカチュウさーん?

 

『ピカチュ、ピッ』

 

え、なに中指立ててるんですかあんた。え?

 

 

ピッピカチュウ、ピッカァ(気安く話しかけてんじゃねぇよクソネズミが) ピッピカチュウピカピッピカチュウ(なんの取柄もない紫ネズミごときがよぉ)!!』

 

 

……あぁ、これ、ダメな奴ですわ。

 

 

こうして、レッドさんの手持ちに新たな仲間が加わりました。……性格最悪の。

 

 

ーーーーー

レッドさんの手持ち

 

【あああああ】性格(脳内おしゃべり系OL女子) Lv3

 

【ヒトカゲ】性格(???) Lv10

 

【ピカチュウ】性格 (腹黒あざとい系男子) Lv5 new!!

 

 

 

 

 




次はジム戦……どうしよっかなぁ。
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