何も考えてません、今から思いつくまま描いていきます。
昭和レトロとのんのんはどうなっていくのやら、興味のある方は是非お立ち寄りくださいませー。
のどかな田園地帯をたった二輌の旧式電車か走る・・・。
どこまで走ってもまるで同じ風景、しばらくみていなかったが帰省してもどことも変わってない風景に溜息をついた。
「ちっとは、変わってくれたら帰り甲斐があるんだけどなあ〜。」伸びをしながら誰も乗っていないと思われる車両で独り言を吐いたのだが1人少年が乗っていた、突然の独り言で自然と目が合ってしまう。
10歳くらいだろうか、手元には小さな旅行カバン。
かわいい狼が描かれた赤いシャツに半ズボン、おかっぱ頭に切られた髪にピンクのほっぺ・・・。かわいい男の子が座っていた。
「あれ君、新幹線で見かけたね?一緒に乗ってたお父さんは?」
「・・・おとうさん、急に仕事が入ったみたいで東京にかえっちゃった。降りる駅に迎えに来てくれてるから大丈夫みたい。」
「そっか・・・、えらいね。切符見せてみ?一応どこで降りるか見てあげるよ。」渡されたその子の切符を見ると私と同じ金額が見えた。
「私と同じとこだ、東京からなのに同じなんて偶然だね。
私、宮内ひかげっていうの?君は?」
「ぼくはボクだよ、みんなそういうの。」
「・・・へえー斬新だね、まあいいや。ところでボク君はどこの子?見かけない顔だけど。」
「ボク、お母さんが臨月でお家が大変だからこの夏休み叔母さんの家に預けられる事になったんだ。」
「そうなんだ、東京から来たなら驚くよー。すごい田舎だから。」
「田舎って?」
「なーんにも無いところだよ。コンビニもないし、ビルもないし、あるのは山と川だけ!」ひかげの説明とは反対に少年は目を輝かせる。
この純粋な目にひかげは眩しく感じる・・・。
「それってすごいところだよ。ボク遠足くらいでしか見た事ないよ。」
「・・・見方が変われば変わるもんだわー、私はもう見飽きたよ。」
ひかげの言葉が耳にはいっていない少年は、この夏休みを期待で一杯にしていたのであった。
「ボク君ー、そろそろ降りるよー。準備しなー。」ひかげの抑揚のない声がかかった時、うたた寝をしていたみたいで一気に覚醒する。
はっと辺りを見渡すと、日は随分傾いていた。
また夕方とはいかないが、昼食べたご飯はすっかり消化されおやつを食べたくなる頃合いであった。
「ん?食べる?」ひかげはスティック状のキャンディを舐めており、もう一つを渡される。
「ひかげおねえちゃん、ありがとう。」少年は包装を向くと笑顔て口にする。
「おー、素直に喜ばられると破壊力あるわー。れんげもこれくらいなら可愛がりたくなるのになー。」
「れんげ?」
「あー、私の妹だよ。また向こうであったら紹介したげる、この間一年生になったばかりだよ。ボク君は何年生?」
「三年生。」
「そっかー、じゃあ一緒に遊んであげて。あの子年の近い子いないから喜ぶよ。」
「でも、二年も違うよ。」
「うちの学校、中学と小学一緒なんだけど全部で生徒が五人しかいないんだ。四月に転向して来た子がいるらしいけど、いなかったら四人だけなんだから。」
「少ないね、少子化って事?」
「あははは!少子化どころか、もともと人が少ないからそれくらいになるんだって。・・・とにかく同級生が一人もいなくて次がその転校生の五年生らしいから、ボク君が一番年齢が近くなるんだ。」
「そうなんだ、わかったよ。ひかげおねえちゃん、その時は一緒に遊んで見る。」
「うん!頼んだぞ、ボク君。・・・あっ、着いたよ。」ひかげは慌てて荷物を拾い上げると、ドアの開閉ボタンを押して外に飛び出し、それに習って一緒に飛び出した・・・。
そうしてボクは東京では味わうことのできない、夏が始まった。
あの夏の出来事は全てが新鮮で、決して忘れることのできない大切な夏の思い出の始まり・・・。
ホームを降りたボクは、迎えに来ているだろう人を探して辺りを見回した、程なく三人の家族がボクを見るなり手を振って呼んでくれた。
「ボク君久しぶりね、大きくなって・・・。」おばちゃんがボクの目線にまで頭を下げてくれて頭を撫でてくれた。
「おばちゃんの事覚えてる?前にあったのがまだ幼稚園だったから、覚えてないかな?」ボクは記憶になくて、照れてしまい俯いた。
「おばちゃんは、お母さんのお姉ちゃんなの。三月までは東京に住んでいたんだけど、お父さんが転勤になってこっちに引っ越ししたんだ。そしたらボク君のお母さんが赤ちゃん産む準備があるから夏休みの間引き受ける事にしたのよー。突然でごめんなさいね。」
「そうなんだ。おばちゃん、これからよろしくお願いします。」ボクの挨拶におばちゃんは再び頭を撫でる。
「いいのよ、自分の家だと思って思いっきり遊んで過ごしてね。・・・そうそうおばちゃんの家族を紹介するわ。」そういうと後ろに控えていた二人が前へ出てくる。
「こっちがおばちゃんの旦那さん、ほとんど出張と仕事で会えないけどたまに休みで家にいる時は遊んであげてね。男の子とキャッチボールするのが夢だったみたいだから。」
「ボク君こんにちは、そういうわけで今度の休みの時は一緒に遊ぼうね。」
「うん、おじちゃんよろしくね。」
「こっちが、娘の蛍よ。ボク君が小さい時蛍が手を引いて遊んだんだけど、覚えてないかな?」
「ボク君、蛍です。」蛍ははにかみながら挨拶をするとボクは記憶の中から呼び起こされる。
「・・・蛍お姉ちゃん?覚えてるけど、そんなに大きかった?大人みたい。」
「はう!?」蛍の仕草におばちゃんは笑う。
「大きいでしょ、この子これでも五年生なのよ?この一年でぐーんと背が伸びて大人っぽくなっちゃったけど、頭の中は五年生だから気にしないでね。」
「うん、わかったよ。蛍お姉ちゃんよろしくね。」
「うん、ボク君よろしくね。」蛍と握手を交わして一家の挨拶が終了する。
「しょーねーん、じゃーねー。」ひかげは遠巻きにボクへ挨拶すると大人の女性と一緒にホームを後にする。親ではなさそうで、おねえちゃんのおねえちゃんかな?とボクは頭をひねった。
「あ、先生だ。あの人誰だろう?」蛍おねえちゃんはその女性を先生と呼んだが・・・、ますますわからない。
「さあ、私たちも帰りましょう。」おばちゃんの一言でホームを後にするのであった。