賛否色々あるかもしれませんが、何かあるようでしたら是非ご意見お聞かせ下さいませ。
「ボク君ー!!」
「ボク君ー!!」
「お願い!返事をしてようー。」蛍はすでに精神崩壊したのか、自動販売機の取り出し口に手を突っ込みながらいるはずのないぼくを叫び続ける。
「お、落ち着くのん!ボク君はきっと・・・、どこかで呼び止められて・・・。」
「誘拐されたの!」蛍の想像力が脳裏で働かされていた。
「どっかで修理をしてるのん!だからクーラーとか、扇風機のあるあたりで待ち伏せすればきっとでてくるのん!」
「・・・れんげちゃん、それはちょっと。」ほのかちゃんがフォローのつもりで無理があると告げる。
「わたしのせいだ・・・。」ポロポロとなく小鞠にみんなが注目する。
「わたしが着替えで遅かったから、ボク君は・・・。」その涙に誰もが一瞬口を閉ざしてしまう。
「・・・先輩、大丈夫です。ボク君はすごく強い子で、私以前に迷子になった時もボク君に二度も救われているんです。だからきっと大丈夫です。」
「ほたるうー。」小鞠は蛍に抱きついて慰め合う。
ピンポンパンポンー♪
「えー、迷子のお知らせを致します。
東京からお母さんが出産を迎え、帰郷しております名前不詳の・・・。」
「ぼくはボクだってばー!!」
「ボク君を預かっております、覚えのある方は迷子センターへお越しください。」
・・・ ・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・・
「ごめんなさい、迷子センターがぼくを迷子だって決めつけるから・・・。」ぼくはバツが悪くてとりあえず一堂へ謝罪する。
「まあまあ、無事で何よりだよー。もう小鞠ちゃんと蛍ちゃんが泣いて泣いて・・・。」
「あー!!それは言わない約束でしょ!!」小鞠はすぐ様横槍を入れた。
「まあまあ、ボク君が無事に見つかったし・・・。そろそろご飯にしようかねー。」
「おー!かずねえ!!お弁当は持ってこなかったけど、今回はどうするの?」
「ふっふーん♪今回はすぺしゃるなイベントを準備しているのだよ。」一穂は何か策があると見て、意味深な一言を告げる。
「なになに?楽しみだなあー。」ぼくははしゃいでいると、一人の女の子が背後から肩をとんとん、とする。
「あれ?・・・・・・みどりちゃん?」
「やっぱりあんただったんだ。」ぼくがみどりちゃんと呼んだ女の子は水玉のワンピースを着て仁王立ちでぼくの前に立ちふさがった。
長いロングの黒髪で肌がれんげく並みに白く、僕よりも背の高い女の子だった。
「さっきの放送で、もしかして・・・。と思ったけど、こんなとこで何してるのさ?」
二人のやりとりに、みんなが不思議な顔をする・・・。
ぼくはもちろんこの地の人間でないのに、なぜ知り合いがいる?といった感じであった。
「みどりちゃんこそ・・・、北海道にいるはずのみどりちゃんがどうして?」
「お母さんがこの夏休み中に出産があるから、親戚の家に厄介になってるんだわ。」
「みどりちゃんも?うちもだよ。」
「あのー。ボク君?この子と知り合い?」蛍が控えめに話を切り出した。
「この子はみどりちゃん。蛍お姉ちゃんがお母さんのお姉ちゃんの子供で、みどりちゃんはお父さんの弟の子供だよ。」
「ボク君の親戚なんだ。」
「あっ!吉本みどりです。ボク君の従兄弟で、普段は北海道に住んでます。」
「北海道!どうりで肌が綺麗なわけだね。また私よりも背が高い・・・。」小鞠が突っ込んだ。
「にゃんぱすー♪」
「みどりお姉さん、こんにちは。」れんげとほのかがそれぞれの挨拶する。
「にゃんぱす?ここの挨拶?」みどりが不思議な顔をする。
「そうなん!」
「そうなんだ。・・・にゃんぱすー♪」みどりは精一杯似せるように返しれんげは満足し、ほのかとも丁寧に挨拶を交わす。
「あんた、今回こっちが出産だからお母さん側の親戚に預けられたんだ。私も一緒だけど・・・。」
「そうだね、吉本のおばちゃんも子供が生まれるんだ。」
「うん。」
「まあまあ、積もる話もあるだろけど。・・・みどりちゃんだっけ?よかったらご飯、一緒に食べるかい?」一穂がみどりに提案し、みどりは付いてくることになった。
「みどりちゃん、私蛍って言います。遠いけど私たちも親戚になるんだね、よろしくね。」
「みどりです、よろしくお願いします。」二人は会釈する。
「みどりちゃんはぼくと同じ三年生だよ。」
「そうなんだー。私は五年生、よろしくね。」
「ご、五年生!私も背は高い方と言われるけど、蛍さんの方が全然高い・・・。」
「え?でも私三年生の時はみどりちゃんより低かったよ。きっとみどりちゃんの方がおっきくなれるよ。」
「ありがとうございます。」二人のなんだかぎこちない挨拶を終えた頃、目的の場所に到着する。
「いらっしゃいませー。」
「こちらへどうぞー。」
「ひかねえ・・・、なにやってるん?」
「このみちゃん、どうしてここに?」れんげと小鞠の言葉に二人は気まずそうに下を向く。
よく見ると奥にある食事処には駄菓子屋の名前と同じで「かがや」を掲げていた。
「なにって・・・、バイトだよ。駄菓子屋が海の定食をするからって、そそのかされたらこのザマだよ!」
「あははは・・・、この格好はちょっと恥ずかしいね。」このみがいうように、今時のファミレスでも採用しないようなミニスカート風の制服で場合によっては水着よりも恥ずかしいかもしれない・・・。
「おーい、バイト共。無駄話してたら時給下げるぞ、キビキビ働けー。」
「あんの悪魔めー!」ひかげは戻って注文の品を届けに走り、このみはぼく達一堂を先導し予約席へと着席させる。
注文を一通り受けたこのみは笑顔を向けて退席していった。
楓の作る屋台メシはなかなかの評判で上場の売り上げであった。
なにせ、ウエイトレスとコックの見た目もあり鼻を伸ばした男どもがわんさかとやって来ている、そして料理の味もなかなかであるのだからリピーターがあるのだろう・・・。ある意味楓の戦略勝ちであった。
「しっかし蛍といい、みどりちゃんといい、ボク君の親戚の女の子はどうなってるんだ。」夏海が切り出す。
「そだちすぎでしょー、君達・・・。」一穂も夏海と同意見であった。
「そう言われたって、何もしてないだべさ。」
「う、うん・・・。私も、特に・・・。」二人の言葉に小鞠はがっかりする、成長の極意があるのかと思っていただけに・・・。
でもみどりも蛍も食べる量は意外と多い、育ち盛りの夏海と張るくらいであるのだからやはり食事だろう・・・。
「みどりちゃん、親戚の家ってこの辺り?ほく達は電車で結構来たんだけど。」
「私もよ、電車にのってここまできたんだわ。」帰りの切符を見せると一穂は頷く。
「隣町だねー。バスで学校から四駅、電車で一駅。」
「そうなんだ!じゃあみどりちゃんもよかったから遊びにこない?」
「いいよ、じゃあ何かあったら連絡して!遊びに行くから。」みどりは携帯の番号を渡すとぼくはキッズ携帯に登録してお互い確認する。
「でも!二人だけは無しだからね、デートになっちゃうから!」
「うん!わかったよ。」
「私そろそろ行かないと、ご飯ご馳走になりました。」みどりはたちあがっておじきをする。
「お金はいいよ、うちにも遊びにおいでー。」
「ありがとうございます、したっけばいびー。」みどりは元気に走り出していった。