ぼくのなつやすみ 〜のんのんと一緒〜   作:Edward

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8月2日の午後

川で偶然にも王冠を見つけたボク君は釣りに使う生き餌もそこそこ手に入り学校を後にする。

帰りもバスに乗ろうとしたが、山と川を歩き回ってドロドロになっているのでためらったボクはそのまま歩いて帰ることにした。

太陽が真上にある上に遮る雲はなく、ジリジリとボク君を弱らせていった。

「帰りに駄菓子屋によってみよう・・・。」ボク君は帰り道にある駄菓子屋へ寄る事にした。

途中で町道のアスファルトの道へ乗り換えたボクはさらに体感温度が増したように感じる、その暑さを避けるようにすぐそこにあるトンネルに入って流れるとひやっとした空気が頬を撫でた。

その長いトンネルを抜けた先に、朝にれんげが教えてくれた駄菓子屋へついた。

 

「にゃんぱすー。」

 

「あっ!にゃんぱすー。」僕はなんとか謎の挨拶を返すと、れんげは再び店先のベンチで絵を描いていた。

 

「なんの絵を描いてるの?」

 

「具の絵を描いてるけど、朝に見たばかりなのにイメージができないのん。」

 

「ぐ?ぐってなに?お味噌汁の?」ボクは知る限りの情報を得て集めてみるが想像も出来ない、絵を見る限り動物に見える。

 

「具をお味噌汁に入れたらたぬき汁になるなん!ボク君はたべたいですか?」

 

「え?ぐって名前なの?ペット?」

 

「またウチの家にきたら教えてあげるのん。今は絵に集中したいからボク君は買い物をしてくるんな。」

 

「う、うん・・・。」ぼくはまだれんげの思考が分からず、混乱したままお店に入る。

とりあえず残ったジェットサイダーを取り、きな粉餅を一つ取ると店番をしているお姉さんに渡す。

 

「うん?新入りか。・・・170円だ。」お姉さんにお金を渡して答える。

 

「うん!しばらくここで過ごす事になったんだ。お姉ちゃんありがとう。」

 

「へえー。何処の家に厄介になってるんだ?」

 

「えっ、と。一条さんのお家かな。」

 

「蛍ちゃんの家か・・・。なあ、君?必要な物があったらここで頼めば手配してやるよ。色々レンタルもしてるからぜひ声を掛けてくれ。」

 

「うん!ありがとうお姉ちゃん!

実は、釣りがしたいんだけどお姉ちゃんの家には釣り道具がなくて・・・。」

 

「釣りかあ、ウチの家にあるけどレンタルするような物じゃないしな・・・。よし!サービスで夏休み中貸してやるよ。」

 

「え?いいの?」

 

「だだし!食べられる魚を釣った時はウチにも回してくれるのが条件、ってのはどうだ?」

 

「え?食べられる魚を釣れるの?」

 

「釣れるよ、主にマスだけどな。夏海はたまにヤマメを釣ってくることはあるけど、あれは大人でもなかなか釣れない貴重な魚だ。」

 

「夏海お姉ちゃんやっぱ凄いんだね。」

 

「あいつは遊びの天才だからな、その分人としての知能は失われているけど・・・。新入りは何か得意な物はあるの?」

 

「うーん。家ではインターネット接続とか、デジタル家電とか詳しいって言われるよ。うちのお父さんもお母さんもそういうの苦手だから。」ぼくはそういうと、駄菓子屋のお姉ちゃんは手を握ってぼくを見つめてきた。なんか捕食されるような気分で妙な怖さを覚える。

 

「この地に救世主がきた・・・。名前は?」

 

「え?ぼくはボクだよ。」

 

「ちょっときてもらおうか・・・。」店の奥、つまりこの家の生活圏に招き入れられる。そして机の上に一台の旧式なセパレート型のデスクトップパソコンが置かれていた。

電源スイッチを押しても、全く起動する様子がない。

 

「壊れちゃったの?これ、BIOSも動いてないし、電源LEDも光ってないから多分電源ユニットが壊れてるよ。」ボクは見るなりそう判断する。

 

「!!・・・君は何者なんだ。」この辺りにいる子供とは一線を画していた。東京にはこんなサイバーな小学生がゴロゴロしてるというのか。楓は頭の中で逡巡した。

 

「んー、壊れたの最近?」

 

「?ひと月ほど前から調子が悪かったんだが、ここ数日でこのありさまさ・・・。」

 

「そうなんだ。お姉ちゃん、半田こてと壊れた家電ない?」

 

「え、半田こて?あー、あの溶かすやつか。あったような・・・。壊れた家電なら、ビデオデッキがあるな。」

 

「それなら治るかも・・・。」ボク君は壊れたデッキと半田ごてを準備してもらう間にパソコン内部を開ける。

その瞬間に特有のすえた臭いで確信し、電源ユニットを開けると臭いの元をたどる。

ちいさな基板の一つ、電解コンデンサの液漏れを見つけると準備してくれた半田で取り外して壊れた家電から電解コンデンサを探し出す。

 

「うーん、50Vの900μFかあー。あ!50V330μみっけ♪

たしか、静電容量の時は並列に三つ繋げたらよかったかな?」半田でつなぎ合わせ、これもまたデッキから見つけたリード線で基板にとりつける。

 

そして、電源を投入すると・・・。

 

「動いた!・・・。」BIOS起動が始まり、ハードディスクがカリカリと音をはじめた。

 

「今の内にデータをバックアップ取っておいて次のパソコンを買った方がいいよ。あちこちの電解コンデンサがパンク寸前だから、液漏れを起こして基板を焼かれたら直らなくなっちゃうよ。」

 

「うーん。今のデータを保持したまま次のOSに移行なんて私にできるかな・・・。オーバーホール、出来ないか?」

 

「出来ない事はないけど、延命してもOSがそろそろサポート切れちゃうし、そこまでするよりも買い換えた方がいいよ。」

 

「そっかあー。まあ、学生の時から使っていたからそろそろ限界か・・・。」

 

「うん!よかったらセットアップ手伝うよ。」

 

「助かるよ。・・・今回のお礼にボク君にはいい事を教えてあげよう。」

 

「え?なに?」

 

「夏海に釣果で勝ちたかったら、川じゃなくて池にいきな。あの池には主がいる。」

 

「ぬし?」

 

「ああ、残念ながら食べられる魚ではないけど、奴を釣り上げられたらここらで一番デカイ魚を釣り上げた事になる。」

 

「そんなに大きいの!」

 

「ああ、ボク君よりも大きいくらいだ。

でもあれを狙うとなると相当な仕掛けがいるだろうし、池に持っていかれる可能性もある。それなりに慣れてから狙うようにな。」

楓から貴重な情報を得る事ができ、釣竿を手に入れたボクであった。

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