高1からの八陽   作:まいなん

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病院から帰って

 けがの具合も大したことなかったのですんなりと家に帰ることができた。

「たでーまー」

「あ、お帰りおにいちゃん。遅かったね~」

 入学式の終了予定時刻は午前11時。今の時刻は午後8時くらいか。病院で少し寝たせいもあるが確かに遅いな。

「それで?お兄ちゃんは小町に何か言うことがあるのではないですか~?」

 心なしか若干ニヤニヤしながら聞いてきた。

 …なんかお前変な勘違いしてね?ていうかこの感じだと、事故(犬にダイブしただけ)のこと伝わってないな。なんでだよ…

 まあいいや。どうせ自分の方からも言うつもりだったし説明してやるか。

 

 

 

 

 

 

  〜説明中〜

 

 

 

 

 

「…まじで?」

「まじだ」

「大マジ?」

「大マジだ」

 ノリで答えたけどなんだよ大マジって。

「えええええええええええええ!?てっきり小町は入学式でできた友達と遊んできたものだとばかり…」

 やっぱな。そんなとこだろうとは思ってたよ。

「そうだったら良かったんだけどな…というか、そういう感じのストーリーを思い描いてたんだけどな…」

「だよね!だってそのためにお兄ちゃん馬鹿みたいにウキウキして1時間くらい早く家出てたし!」

 なんか今聞き捨てならん言葉が聞こえたがスルーしてやるよ。

「ほんとな…八幡かなしい…」

「まあ、お兄ちゃんが無事ならそれで良かったよ!今日はお赤飯だね!」

 お前が赤飯炊くライン緩すぎるだろ。

「お前その理論で行くと俺は無事生きてるだけで毎日赤飯じゃねえか…」

「確かに…というかまあ、ぶっちゃけ言うと、新しくできた友達と遊んできてると思ったからその場のノリで炊いちゃっただけなんだけどねっ♪」

 兄妹揃って無駄なことしてんな…俺は飛び込み損で小町は炊き損だ。

「まあ、なら俺の無事を祝って赤飯食べようぜ。昼ご飯食べてないから超腹減ってる」

「ここでお兄ちゃんに悲しいお知らせあります」

「なんだよ、どした」

 え、なに、なんなの、そんな言い方されるとこっちも身構えてしまう。

「なんと小町!赤飯以外何も作っておりません!おかずが無いのであります!」

「いや、無いのであります!じゃねえよ!」

 ほんとになんでなんだよ!作っておいてもらっている以上小町を責めるのは違う気がするが、かといって堂々とおかず無し宣言をされるのも違うと思うんです…

「てへっ、いやぁ、実はお赤飯作った後寝てしまいまして、それで起きた後にどうしよーって考えてた時にタイミングよくお兄ちゃんが帰ってきたのですよ!」

 まじかよ…まぁ寝てしまったものは仕方がない。

「あー、だったらもう冷蔵庫にあるもので俺が作るよ…小町もうダラダラしちゃってていいぞ」

「いや、それなんだけどさ、もう今から作るのもあれだし近くのコンビニまでなんか買いに行かない?お兄ちゃん今日はもう疲れてるだろうし」

 ふむ、確かに。まあコンビニに行くだけでも疲れることに変わりはないが、今からおかずを作るよりはましだろう。

「そうだな、そうするか」

「んじゃいこっか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小町とコンビニでいくつか買い物をした後の帰り道。

「いやぁ、コンビニ行くとついつい色々と買っちゃうよね~」

「わかる。なんかもうずるいよなあの商品の置き方とかさー」

「いや、そこまでは思わないけど…流石にひねくれすぎだよお兄ちゃん…」

「お、おう」

 え?まじで?これ思うの俺だけ?なんか色々な商品に誘導されてる感あるじゃん…

「…って、ん?」

 なんとなく見たことのある面影が目に映った。

 というか、雪ノ下さんだなあれ。

 車道を挟んだ向かいの歩道を、雪ノ下さんが一人で歩いていた。

「どしたの兄ちゃん」

「悪い小町、先帰ってちょっと夜ご飯の準備しててくれねえかな」

「え、あ、うん。分かった。先帰ってるね…?」

「悪いなほんと」

 小町は少し不信そうにしながらも先に家へと帰っていった。

 なんとなくだが、今話しに行かないと今後話せなくなる気がする。信号機のない横断歩道を渡って、早歩きで雪ノ下さんの方へ向かった。

「雪ノ下さん」

「ん、あれ?比企谷君じゃない。けがはもう大丈夫なの?」

 少し驚いたような表情で雪ノ下さんが聞いてきた。

「はい、もう家に帰っても問題ないそうなので」

「それはよかったわ。というか、こんな時間に会うなんて奇遇ね。今日会ったばかりなのに。」

 クスッと笑いながら言われた。

 …なぜだろうか。きれいな笑顔なのにどことなく違和感を感じる。

 そんな疑問を悟られないように会話に乗った。

「そうですね。偶然ってすごいですね。」

「というか病院で言いそびれたんだけど、もっと楽に話そ?同級生なんだし。」

「楽に、ですか」

 とは言われたものの難しいな…家族以外と話すときは大体こんな感じなのである。

「そうそう、楽に。そんなかしこまった話し方されちゃうとなんか調子狂っちゃうよ」

 またクスッと笑いながら言われた。

「まあ頑張ってみます」

「うん!じゃあまた改めて学校でね!」

 本当はもっと話していたかったのだが、彼女はまたさっき向かっていた方向へ歩き出した。

 

 

 

 

 

 表面上は。

 表面上は仲良くなれたと思う。

 けど、病院で話した時より、自分と雪ノ下さんの距離は広がってしまった気がした。

 

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