高1からの八陽   作:まいなん

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今更ですけど、更新ペースは1日~3日に1話くらいです
よろしくお願いしますm(*_ _)m


もしも比企谷八幡と雪ノ下陽乃が同じクラスだったら

 1つ不思議に思ったことがある。俺はなぜここまで雪ノ下さんに執着しているのだろうか。執着という言葉を使えば少し語弊があるかもしれないが、ここまで短期間で他人のことが気になるのは初めてのことである。無論雪ノ下さんと会ったのは今日が初めてだし、病院で話したとはいえ社交辞令じみたことを言われただけで大したことは話してない。ではなぜ、なぜここまで彼女のことが気になっているのだろうか。

 雪ノ下さんと別れてからの帰り道、俺はずっと自問自答を繰り返していたが、その問いに対する答えは依然として見つかりそうにない。はっ…もしかして俺…ちょろすぎ…?なーんてふざけた事を考えても、結局俺が雪ノ下さんに抱いている感情を理解することができなかった。 

 だめだ。これ以上は考えるだけ無駄だな。全くもって答えが見つからない。そもそもこの問いに対して答えが用意されているのかもわからない。

 と、少し考えるのをやめたところであることを思い出だした。

「やっべぇ…小町になんて言おう…」

 思わず声が出た。いや、ほんとにやばいんですけど。小町からしてみれば、『邪魔だから帰ってくれ』と言われたも同然だろう。かといって説明するにしても、俺自身なぜあそこまでして雪ノ下さんと話しに行ったのか分かってないない分説明のしようがない。

 そんなことを考えているうちにいつの間にか家の前に来てしまっていた。もういいや、適当にごまかしとくか…

「た、ただいま…」

「…おかえり」

 やべぇ…これは小町おこだ…どうしよう、やべぇよ…もうさっきからやばいしか頭の中にない。

「あ、あのね、小町ちゃん?」

「さっき学校の先生から電話が来てたから掛けなおしといて。それと、晩御飯の準備しておいたから適当に食べて。小町もう寝るから。」

 そう一方的に伝えた後、小町は階段を上っていった。

 はいやらかした。やらかしましたよ。久々に小町を怒らしてしまった。こうなってしまったらもうほとぼりが冷めるまで待つしかない。スイーツとか買ってやったら機嫌直してくれないかなぁ。

 まあ、そのことは明日考えよう。とりあえす学校の方にかけなおすか。今日の間にいろいろなことがありすぎて学校のことがすっかり頭から抜けちゃってたな。家の電話の方に着信履歴が残っていたのでそこから掛けなおした。

『prrrrrrr…もしもし』

「あ、もしもし、さっき電話に出れなかったので折り返し連絡させていただきました、比企谷です。」

『おお、君が比企谷か。総武高校教員の平塚だ。初日から事故に遭うとは災難だったなぁ』

 優しそうな女性の声だった。もしかしてこの人が担任だろうか。

「いえいえ、いきなりご心配おかけしてすみません」

『ふむ、まあ無事そうで何よりだよ。ところで明日からは来れそうかね?』

「はい、けがも大したことなかったので」

『そうか、それはよかったよ。だったら明日の朝職員室に来てほしい。今日渡す予定だった書類やその他諸々を渡しておきたくてね』 

「あ、はい。わかりました」

『夜遅くにすまなかったな。では失礼するよ。』

「はい、失礼します」

 会話が終わったところで電話を切った。なんとなくだがいい先生っぽかったな。

 さてと、ご飯でも食べますかね。と思ったところでどっと疲れが出てきた。もう今日は飯食って風呂入ってすぐ寝よう…冷えてしまったご飯を食べながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の朝、言われた通り職員室前に来た。今の時刻は7時35分、少し早く来すぎたかな。

 ちなみに小町の件だが、1日経ってもやはり不機嫌だった。朝自分から何度か話しかけたのだが、目すら合わせてくれなかったです…八幡ショック…

 と、朝の家の出来事を思い出したところで職員室から出てきた先生らしき人に声をかけられた。

「お、来てるな。ではこっちに来たまえ」

 そう言われると【生徒指導室】というプレートが張られた部屋に案内される。え?まじで?朝っぱらからいきなり生徒指導されちゃうの?

「なに、そう身構えるな。話をできる場がここしかないのだよ。」

 俺が内心そわそわしていたのを見透かされたのか、少し笑い気味に言われた。よかった…初日から目つけられたのかと思ったぜ…まあ俺何もしてないけど。

「では改めて自己紹介といこうか。君の所属する1‐F担任兼現代国語教科担当の平塚静だ。よろしくな。」

 あ、やっぱり担任なんですね。担任と教科担を兼任とはずいぶん大変だなぁ。ていうか、なんか変わってるなこの先生。主に話し方とか。

「は、はぁ。よろしくお願いします」

「うむ。まあ初日から色々あって大変だったと思うが頑張ってくれ」

 ほんとね、最初が肝心なのにね。もう終わった感しかない。

「はい、頑張ります…」

「まあそう暗い顔をするな。なんとかなるさ」

 何とかなるさって言われましてもねぇ…

「あ、そうそう。これが書類一式だ。提出する書類もあるから家に帰ったら確認しておいてくれ」

 そう言われて封筒に入った書類を手渡された。

「私からは以上だ。もう教室に行っておいていいぞ。1‐Fの教室はこの校舎の二階だ」

「わかりました。ありがとうございました」

 そう言って生徒指導室をあとにした。

 はぁ、入学式出れなかったの痛いなぁ…何事も最初が肝心なのである。というか、雪ノ下さんも入学式出れてないよな。大丈夫だだろうか。そんなことを考えながら階段を上って歩いていると、いつの間にか1‐Fの教室の前に来ていた。やばい、緊張してきた…なんか手汗出てきちゃったよ…。絶対誰かいるよねこれ、とりあえず浮かないように頑張るんだ俺は。もうあんな思いなんてしたくない。

 

 

 ────そんな思いで扉を開けた俺の目に映った光景は。

 広い教室で一人本を読んでいた雪ノ下さんだった。


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