Fate/Grand Order in the Build   作:カイナイ

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色々と忙しくてあまり書けていません…すみません…


第2特異点 永続狂気帝国 セプテム
新たな地、ローマ


マシュ「おはようございます、先輩」

 

フォウ「フォーウ!」

 

戦兎「ああ、おはよう」

 

マシュがフォウを連れながら、ノックをして戦兎の部屋へ入った。

 

マシュ「また何かの開発作業中ですか?」

 

戦兎「まあな。ドリルクラッシャーの補修も済んだし、新しいボトルも手に入ったし」

 

オルレアンから帰還した戦兎は、傷が癒えるや否や自身のマイルームに篭りきりになっていた。食事とたまの鍛錬にトレーニングルームを使うこと、ダヴィンチの工房に顔を出す以外では殆ど部屋からは出てこなかったのだ。

ダヴィンチと協力して、ファヴニールから採取した成分で作った新たなサーヴァントボトルの解析、その他ボトルの浄化、壊れた武器の修復など、やることは山積みだった。

 

戦兎「でもまあこれでやることは大体終わったよ。次のレイシフトには間に合いそうだ」

 

マシュ「それは良かったです…」

 

ほっ、と安堵した様子を見せるマシュ。

戦兎はそんなマシュを見て少し歯がゆい思いをしていた。

本来彼女が戦うことは戦兎としては望むことではない。

だが今のカルデアで、彼女が重要な戦力であることは理解している。

だからこそ、彼女の負担が出来るだけ減るように武器の開発やサーヴァントボトルの研究は戦兎の第一課題だった。

 

戦兎「そういや万丈は?」

 

そんな自分の思いを悟らせまいと、戦兎は話題を変えることにした。

 

マシュ「この時間だとトレーニングルームだと思います。食事の後のトレーニングが最近の日課みたいです」

 

戦兎「そうか…ま、あのバカは他にやることもないもんな」

 

マシュ「そ、そんなことは…あ、先輩。あと少しでミーティングの時間です。そろそろ行きましょう」

 

フォウ「キュゥ〜」

 

 

会議室にはロマン、ダヴィンチ、万丈が既に入室していた。

 

ロマン「それじゃあ始めようか。まずは僕から。次の特異点についてだ。今回向かう先は1世紀ヨーロッパ。つまり古代ローマだ。転移先は帝国首都ローマを予定している。出発の時間は明日のこの時間。メンバーは前回と同じ、戦兎君、万丈君、マシュ。到着したらまず最初に——」

 

ロマンが簡潔にレイシフトについての説明を済ませ、質問がないことを確認すると戦兎に目配せをした。

 

戦兎「じゃあ次は俺が。ファヴニールから回収したボトルですが、あれは新しいサーヴァントボトル、バーサーカーボトルであることがわかりました」

 

ロマン「なるほど。発動にはやはり条件がいる…って認識でいいのかな?」

 

戦兎「はい。やはり想念の強さ、そしてもうひとつのボトルでベストマッチを作ることが必要です。しかし…」

 

ロマン「万丈くん、だね…」

 

万丈「え、オレ?」

 

戦兎「万丈はオルレアンでジークフリートの力を召喚させた。そもそも、サーヴァントボトルは特定のクラスの英霊を召喚させることしかできない不完全な聖杯なんです。その上召喚には触媒が必要です。通常の聖杯戦争だったら目的の英霊を呼ぶために使う触媒ですが、このサーヴァントボトルは触媒としてもうひとつのボトルを使わなければそもそも起動すらできない。…ですが、前回万丈はセイバーボトル一本で変身した。何か別に起動条件があるのか、それとも…」

 

戦兎(『万丈自身』に何かがあるのか…)

 

戦兎「…いずれにせよ、まだ研究段階のことです。結果は随時発表します」

 

ロマン「そうだね、ありがとう。じゃあ次は…」

 

 

それぞれの発表事項を話し終え、ミーティングも終了時刻になった。

ロマンは管制室へ、ダヴィンチは研究室へと向かっていった。

 

万丈「あー終わったー。腹減ったなあ…戦兎、マシュ!飯食いに行こうぜ!」

 

マシュ「はい、ご一緒させていただきます。先輩はどうしますか?」

 

戦兎「あぁ、ちょっと寄る所があるからあとで追いかけるよ。先に行っといてくれ」

 

マシュと万丈は戦兎の言葉を了承し、食堂へ向かって行った。

戦兎もある程度歩くと、ある一室の扉の前で止まった。ここが戦兎の目的地、ダヴィンチの研究室だ。

ダヴィンチとは共同で研究を行っているだけあって、この部屋に来るのはそれなりに慣れたものだった。

 

戦兎「ダヴィンチさん、頼んどいたアレできた?」

 

ダヴィンチ「もちろん。さぁ入ってきたまえ!」

 

 

ダヴィンチへの用事を済ませ、受け取った“モノ”をマイルームに置いた後、戦兎は食堂へ向かった。

 

戦兎「万丈のことだからもう食い終わってるかもな…」

 

美空「戦兎」

 

戦兎「うお!?…って美空か」

 

美空「最近顔見ないから心配してたんだよ。私も食堂行く」

 

戦兎「おう、悪かったな」

 

美空「ロマンさんから聞いたよ。また行くんだってね」

 

戦兎「ああ」

 

美空の唇が少し歪む。

あの危険な特異点にまた戦兎は行かなければならない。

美空にはそれが苦痛だった。

マシュや万丈のように共に戦えるわけではない。自分が出来るのはせいぜいボトルの浄化だけ。

ロマンやマシュよりも戦兎をよく知る美空にとって、やはりそれは歯がゆかった。

 

戦兎「美空」

 

美空「え?何?」

 

戦兎「俺が行くしかないんだ」

 

美空「…わかってるよ。今は戦兎の力が必要なんだもんね」

 

万丈「おーい!ここだ!」

 

美空「う、うん!」

 

戦兎に見透かされていたのを誤魔化すように美空は万丈達の元へ駆け寄る。

4人で食卓を囲み、他愛もない話をし続けた。

しかし、どう振る舞っていても美空の心にかかるもやは払いきれないままだった。

 

 

レイシフト当日。

全ての準備を済ませ、戦兎たちはレイシフトが始まるのを待つばかりだ。

 

ロマン「それじゃあいくぞ!プログラム・スタート!」

 

「レイシフト開始まで 3、2、1…全工程完了 グランドオーダー 実証を 開始します」

 

美空「帰ってきてね…みんな…」

 

 

マシュ「レイシフト、完了です」

 

マシュの言葉に気がついた戦兎が目を開くと、鮮やかな緑が広がる丘陵地帯が映った。

カルデアにいては感じることのできない、爽やかな風が頬を撫でる。

しかしそれと同時に、穏やかな雰囲気とは似つかわしくない激しい剣戟と人々の叫び声が耳に伝った。

 

ロマン「さ、早速だがサーヴァント反応だ!そこからすぐ東南の方向!」

 

フォウ「フォウフォーウ!」

 

戦兎たちが駆けつけると、特徴的な形をした赤い剣を振るう女性が先陣をきる小部隊と、その剣を素手で受け流す男性率いる大部隊がぶつかり合っているようだった。

そしてその大部隊の方には、決して嬉しいとは思えない戦兎たちもよく知る姿があった。

 

戦兎「ナイト…ローグ!」

 

ロマン「サーヴァントは男の方だ!しかしそれと渡り合っている彼女は一体…?」

 

戦兎「とりあえず彼女の方に加勢しよう!マシュ!万丈!」

 

マシュ「はい!」

 

万丈「おう!」

 

万丈が、戦兎によって新たに造られたビルドドライバーを腰に巻きつける。

 

戦兎&万丈「「変身!」」

 

「鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!」

「Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!」

 

赤と青、兎と戦車。二種のスキルを操るビルド。

蒼い炎を纏い、竜の力を制するクローズ。

二人の仮面ライダーがそれぞれの持つ力と共に、このローマの地に姿を現した。

 

ローグ「来たか…!」

 

赤剣の少女「おお!加勢か!よいぞ、余と轡を並べて戦うことを許そう!至上の光栄に浴すが良い!」

 

サーヴァント「うおおおお!!!」

 

マシュ「はあっ!」

 

相手の攻撃をマシュが盾で防ぎ、その頭上から赤剣の少女がサーヴァントに向かって剣を振り下ろす。

 

ローグ「ふん!」

 

ローグが隙のできたマシュ達に銃弾を撃ち込む。

それをビルドがドリルクラッシャーで弾いて防ぐ。

 

クローズ「お前の相手は俺達だ!」

 

ビルド「万丈!お前の武器だ!」

 

クローズが受け取ったその剣はビートクローザー。剣身にメーターがついた、戦兎が新たに開発したクローズ専用武器だ。

 

クローズ「おう!…オラ!」

 

ローグ「くっ…ふっ!」

 

クローズは初めて振るうその剣を、見事に扱っている。

それもそのはずだ。ビートクローザーには、オルレアンや戦闘訓練などの今まで万丈が使っていたドリルクラッシャーのデータが反映されている。

ドリルクラッシャーとビートクローザーが生み出す剣戟の連携攻撃は、ナイトローグを追い詰めつつあった。

 

サーヴァント「あ、あ…我が愛しき…妹の子…。なぜ、捧げぬ。なぜ、捧げられぬ。美しい…我が…我が…我が…」

 

ローグ「仕方ない…」

 

赤剣の少女「消えた…?叔父上…」

 

ロマン「霊体化して撤退したようだ。見たところバーサーカーみたいだったけど…」

 

赤剣の少女「さて」

 

赤剣の少女が振り返る。

値踏みするように碧い目で戦兎達を見つめた。

 

赤剣の少女「加勢、感謝するぞ。改めて褒めてつかわす!…氏素性を尋ねる前に、余からだ。余こそ—ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスである!」

 

————————————

 

首都ローマ。

賑やかな喧騒が街を包み、人々の顔には笑顔が溢れている。

 

戦兎「活気付いてるなぁ」

 

ネロ「そうであろう、そうであろう!それ、マシュに戦兎に龍我。リンゴはどうだ?」

 

万丈「お、サンキュー」

 

戦兎「がっつくなバカ」

 

街の様子を見終えた後、戦兎達はネロの館へと招かれた。

そこでネロはローマの現状を伝える。

連合ローマ帝国——突如として現れた「皇帝」を名乗る複数の者たちの手によって、本来のローマの半分を奪わていたのだった。

その「皇帝」を名乗る敵将のなかには先程のバーサーカー、ネロの伯父でもあるカリギュラの姿もあった。

 

ロマン「なるほど…その連合ローマ帝国が特異点の原因…敵将の誰かが聖杯を所持しているとみて間違いないだろう」

 

ネロ「悔しくはあるが…最早余一人の手では事態の突破は難しい。故に頼もう!余の客将となるがよい!ならば聖杯とやらを入手するその目的、余とローマは後援しよう!」

 

戦兎「願っても無い申し出です。ありがたく、協力させていただきます」

 

満足そうにネロがうなづく。

 

ネロ「うむ、決まりだな!では寝床を用意するから今夜はゆっくりと…」

 

そこへ甲冑を着た兵士が飛び込むように部屋へ押し入ってきた。

 

兵士「お、恐れながら申し上げます!首都外壁の東門前にて連合隊が襲来!強力な兵士がおり…我々では抑えきれず!」

 

ロマン「強力な兵士…サーヴァントか!?」

 

ネロ「むぅ…仕方あるまい。3人とも、出向いてくれ。今一度その力を余に見せるがよい!」

 

マシュ「先輩!万丈さん!」

 

戦兎「ああ!」

 

万丈「よっしゃ!」

 

 

戦場では既にたくさんのローマ兵士が倒れていた。

そして嵐のごとく暴れ回り、兵士を拳ひとつで薙ぎ払う男がひとり。

 

ロマン「…あれ?」

 

深緑のモッズコートに身を包んだ男がこちらに振り向く。

 

???「やっと骨のありそうな奴が出てきたな…」

 

ロマン「戦兎君!その男…()()()()()()()()()()()!」

 

戦兎「!?」

 

振り返った男の腰には——–青いベルトが巻かれていた。

ただのベルトではない。スパナのようなものがついており、不自然に真ん中にスペースがある。

 

「ロボットゼリー」

 

男がボトルのようなものを差し込んだ。

けたたましい待機音が鳴り響く。

 

???「変身」

 

男がスパナに手を下ろしたかと思うと、ボトルのようなものが潰され、男の身体が黒い液体に包まれる。

 

「潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!」

 

マシュ「変身…した…」

 

万丈「マジかよ…」

 

黄金のボディが際立たせる黒い頭部。その奥の赤い複眼に、全てを焼き尽くすような熱い炎が燃えている。

 

 

グリス「仮面ライダーグリス、見参」

 

 


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