Fate/Grand Order in the Build 作:カイナイ
先日予約していたcsm Vバックルが届きました。
人生初のCSMだったんですが…完成度がすごい!何万も払った価値があるというものです。
年に一回、こういう高い買い物があってもいいかもしれませんね。
カリギュラ「ネロォォォォォ!!」
ネロ「ぐっ…いささか不味いな」
カリギュラのやむことのない猛攻にネロは苦しまされていた。
右肩を負傷したため力が入らず、思ったように動けない。
荊軻「そこだ!」
荊軻のナイフがカリギュラの頬をかすめる。
カリギュラ「ォォオオオ!」
荊軻「ぐっ…がぁっ!?」
カリギュラの拳を受け止めるが、その膂力に荊軻は耐え切れず、力負けしてしまう。
大きな筋力ステータスの差の前に倒れた荊軻に、カリギュラの容赦ない一撃が迫る。
ネロ「はっ!」
割って入ったネロの一閃がカリギュラの拳を斬り、血しぶきが上がった。
その間に体勢を整えた荊軻が、好機とみてナイフを突きつけながら突進する。
しかし斬られた痛みなど全く感じないかのように、カリギュラは血まみれの拳を荊軻に叩きつけ突進の勢いを殺した。
荊軻「がはっ…!」
みぞおちに強烈な打撃を受けた荊軻は痛みに何とか耐えながらバックステップし、ナイフを投げつけた。ナイフはカリギュラの傷ついた拳を貫き、血塗られた手をより一層どす黒い紅で染め上げる。
カリギュラが再び咆哮をあげる。
その様子に、荊軻は少し呆れ気味に笑みを浮かべた。
ネロ「むぅ…」
荊軻「まさしくバーサーカー、だな。さて…」
グリス「あっちは盛り上がってるな。こっちも負けてられねぇなぁっ!」
クローズ「ちっ…馬鹿力が!」
一方少し離れた場所でクローズとグリスがお互いの力をぶつけ合っていた。
その勢いに、巻き込まれることを恐れた兵士たちが距離を取り、戦場にはぽっかりと闘技場のような空間が生み出された。
戦いの中で、グリスは小さな違和感を感じる。
グリス(なんだこいつ…昨日より少しだが、確実に強くなっている…ビルドとの訓練?戦いの中での成長?いや、どちらにせよこの成長速度は…)
クローズ「油断してんじゃねえ!」
「ヒッパレー!」「スマッシュヒット!」
グリス「まずい!」
刀身に蒼い炎を纏ったビートクローザーがグリスの黄金のボディに傷をつける。
火花を散らした身体を手で抑えながら後方へよろける。
グリス(規格外だ…!)
クローズ「よっしゃー!やっと一発!」
グリス「はぁ…調子乗ってんじゃねえぞコラ」
グリスはだらりと下げた片腕に、一瞬でビルドの分身体を消し去った武器、ツインブレイカーを構えた。
クローズもビートクローザーを両手でしっかりと握りなおした。
固い装甲覆われた肌に、汗が流れた。
グリス「ここからが本当の祭りだ!」
————————
ビルド「はぁ!ふん!」
海賊と電車の力を操るビルドの攻撃をスタークは苦も無く躱し、的確に攻撃を与えていく。
ビルドは完全にスタークに翻弄されていた。
ビルド(攻撃を完全に読まれてるな…だったら…)
「天空の暴れん坊!ホークガトリング!イエーイ!」
「10!」「20!」「30!」「40!」「50!」「60!」
60もの鷹が空を舞う。そのすべてが一斉にスタークに襲い掛かった。
スタークはいくらかを撃ち落とすが、全て消すことはかなわず残ったエネルギー弾を全身に浴びた。
スターク「フッフッフッフ…確かに攻撃の手が読めたところでよけれなければ意味はないな」
しかしスタークはまだまだ余裕のある態度を見せる。
「70!」「80!」「90!」「100!フルバレット!」
スターク「そう何度も同じ手が効くかよ!」
スタークが巨大な蛇を顕現させる。蛇はあっというまに鷹を飲み込み、ビルドの必殺技を無効化してしまった。
ビルドにはスタークのマスクの下の醜悪な笑顔が容易に想像できた。
黄金の剣がブーディカに向かって振り下ろされる。
ブーディカは片手で構えた盾でそれを弾き、己の剣を深紅の男に振るった。
しかしセイバーは身体を捻り、斬撃がわずかに当たらない位置へ移動する。
空を切ったブーディカの剣は主の身体を無防備な状態へと晒す。
マシュ「させません!」
マシュが振りかぶった盾を思い切り薙ぎ払い、剣を巻き込みながらセイバーの身体を弾き飛ばした。
セイバーはその太い身体からは想像もできない俊敏な動きで体勢を整える。
はぁ、とため息を漏らすセイバー。その顔には憂鬱そうな表情が浮かんでいた。
セイバー「ふうむ。こんなものか。本来は名将たる私ではあるが黄金剣にこうも対抗できるとは…だが私も聖杯を欲する身でな。貴様らにくれてやるつもりはない。いい加減本気を出そう」
ブーディカ「本気だって!?」
信じられない、と驚愕の表情を浮かべるブーディカとマシュ。
そう。彼は二人を追い詰めるほどの強烈な剣戟を見せておいて今まで本気ではなかったのだ。いうなれば、ただの肩慣らし。
セイバー「ゆくぞ。我が名はガイウス・ユリウス・カエサル。貴様らが将、ネロ・クラウディウスを破り、聖杯を手にするものだ」
————————
ちょうど同刻、ネロには勝機が見えてきていた。
カリギュラの動きが明らかに鈍ってきている。ついには、その場でうずくまるようになった。
荊軻「私の暗器に仕込んだ毒がようやく回ってきたようだな。霊基が少し弄られていたせいか効果が現れるのが遅れたみたいだったが…これで終わりだ」
虫の息となったカリギュラにとどめを刺そうと逆手でナイフを構える。
カリギュラ「余の…」
ネロ「…?」
カリギュラ「余の振る舞いは…運命である!」
ネロ「…まだ立ち上がるか!」
ネロが驚嘆する。カリギュラのおぞましさすら感じさせる、激しい執念、狂気に。
背筋が凍る感覚がネロに走る。
————恐怖している?この余が?
頭を振ってあり得ない感情を必死に払い落とす。
相手は毒に侵された死に体。こちらが敗北する道理などない。そう自分に言い聞かせる。
だがこびりついた「恐れ」は、そう簡単に剥がすことはできない。
一歩、一歩と近づく恐怖。先ほどのような烈しい動きではなく、漫然と、蝕むように。
「そこまでだ」
その時、先の戦場でカリギュラとともに軍を連れていたコウモリ男——ナイトローグが姿を現した。
ナイトローグ「撤退だ」
こちらなど気にする様子も見せず、スチームガンから発せられた煙に紛れ蜃気楼のように二人の男が消えていった。
荊軻「ちっ…取り逃がしたか」
クローズ「うおおお!」
グリス「まだまだぁ!」
ツインブレイカーを使うグリスに翻弄されつつも、クローズは持ち前の根性で食らいつく。
「シングル!シングルブレイク!」
「ヒッパレー!」「スマッシュヒット!」
お互いの武器を使った必殺技がぶつかり合う。
その衝撃波に、十分に距離をとったと思っている兵士たちが巻き込まれる。
爆発の後、立っていたのは。
やはり、グリスだった。
グリス「前よりはましだったぜ。だが、今度こそ終わりだ」
変身を強制解除された万丈の息の根を今度こそ止めようと、金色の兵士はドライバーに手をかける。
「スクラップフィニッシュ!」
必殺のキックが万丈の身体すら残さず葬り去ろうとした瞬間。
スパルタクス「雄々々々々々々々!!」
間に走りこんだスパルタクスが全身でキックを受け止めたのだ。
激しく火花が散る。やがてグリスは推進力を失い、足をつかんだスパルタクスがその体を放り投げた。
キックを受け止め切ったスパルタクスは何事もなかったかのように微笑みを浮かべている。
グリス「なんてやろ…っ!」
つぶやく暇もなく、突然の直感がグリスの身体を前へと飛び込ませた。
「■■■ ■■■■■■■■!」
大きな叫び声とともに巨大な槍がさっきまでグリスの立っていた場所に落とされる。朱槍は地面に巨大な穴をあけていた。
クローズ「バーサーカー…ネロの言ってた呂布か!」
グリス「バーサーカーが2体もか。…これでいい。これでこそ俺が満たされる!」
ナイトローグ「待て」
興奮した様子を見せたグリス。しかし両者がぶつかる直前、そこへナイトローグが現れ、グリスに撤退を促した。
グリス「チッ…」
舌打ちをするも、特に反抗せずグリスはヘリコプターボトルをドライバーに挿して、その能力で逃走していった。
支えを失った連合国軍は流れるように瓦解していき、ひとまずの勝利を収めたのだった。
—————
セイバー「私は見た!私は来た!ならば次は勝つだけのこと!
『
セイバーの黄金剣が光に包まれ、いくつもの斬撃を生みブーディカを襲った。
黄の死————自動的に初撃が命中し、成功した幸運判定の数だけ相手に追加攻撃を与えることのできる強烈なセイバーの宝具。抜いたが最後、金色の斬撃が敵を死に追いやる。
ロマン「反応が弱くなってきている…それ以上は危険だ!」
なんとか耐えきったブーディカだが、思うように体を動かすことができない。
マシュ「っ…!はぁぁぁぁ!」
マシュの突進をゆうによけ、セイバーが再び宝具を発動させようと剣を構える。
マシュ「しまっ…」
セイバー「『
黄金剣がマシュの身体を引き裂こうと迫りくる、その時。
ブーディカ「『
二頭立ての戦車、ブーディカの宝具がマシュを猛撃から守った。
無数に現れたブリタニア守護の象徴は、マシュを庇うようにセイバーの前に立ちはだかる。
ブーディカ「はぁぁぁぁ!」
剣と剣がぶつかり合う。
ブーディカは瀕死の状態だ。しかし、その目は未だ炎を燃やしている。
セイバー「こうも食らいつくとはな。それほどまでにその少女を守る理由があるのか?」
ブーディカ「ある」
一切の言い淀みもなく、ブーディカは即答する。
ブーディカ「人理のため…それも理由の一つだけど。かつてのブリタニアの女王として、彼女を守る。それが私の役割、私の力の意味だから!」
セイバー「そうか……ならば私の剣の前に散るしかなかろう」
セイバーの黄金剣が再び光を放つ。
ブーディカはなお逃避の素振りすら見せず。
マシュ「ブーディカさん!待って…」
マシュが止めようとするが、彼女を取り囲むチャリオットが邪魔をする。
ブーディカ「忘れないで、マシュ。君の力は守る力。人理を、君のマスターを」
セイバー「『
ブーディカ「女神アンドラスタよ…加護を!」
マシュ「ブーディカさん!」
黄金剣は自動的にブーディカの方へ吸い寄せられる。
ブーディカは正面からそれを受け止めた。
ブーディカ「ぐ…ううううう!!!
『
ブーディカの剣に巨大な魔力が纏いつく。
セイバー「なに!?」
ブーディカ「ここまで近ければよけられる心配もない!はあぁぁぁ!!」
かの騎士王の聖剣と同じ、勝利の名を冠するブーディカ第二の宝具。
だがその勝利は約束されるわけではない、完全ならざる願いの剣。
しかし————だからこそ。
剣から発射された複数の魔力塊はセイバーを撃ち抜き、ブーディカの身体とともに消滅していった。
マシュ「そん、な…」
セイバー「ぐぅ…ここまでか」
多大なダメージを負ったセイバーの身体にも消滅が始まっていた。
セイバー「……女神の加護を受けたかつての女王よ。貴様の勇気そしてその強さ。実に…実に美しかったぞ。貴様もだ、そこのデミ・サーヴァント」
マシュ「…」
セイバー「私を討ち取った褒美だ。一つ教えてやろう。聖杯は我が連合帝国首都にて宮廷魔術師を務める男が所有している。名は……レフといったか」
ロマン「レフ・ライノールか!」
セイバー「さて、貴様らはその手に聖杯を勝ち取れるか。貴様らが皇帝は、あの御方を目にした時どんな顔をするのか。実に楽しみだ。……さあ進め。賽は投げられた」
不敵な笑みの後に、一瞬愁いを帯びた顔を浮かべると、セイバーの身体は完全に消滅した。
スターク「セイバーがやられたか。まあサーヴァント一体を削ったことでよしとしよう。……戦兎ォ! こいつはご褒美だ。使え」
スタークが6本のフルボトルを戦兎に投げつける。突如渡されたボトルに気を取られていると、スタークの姿はすでになかった。戦兎が変身を解く。
戦兎「確実に俺を倒せるチャンスだったのに…相変わらず何が目的なんだ…?」
————————
連合国ローマ首都、その城内。
赤い蝋燭の炎が、二人の顔を薄暗く照らす。
ナイトローグ「なぜあの場で撤退を促した」
レフ「決まっているだろう。奴にはまだ使い道がある。…最高のな」
不気味な笑みを浮かべたレフの目線の先に、全身を魔術で拘束されたカリギュラの姿があった。
————————
本来の目的である霊脈の確保を終え、ようやくの思いでネロの館までたどり着いた。
ネロ「そうか…ブーディカが…」
報告をすまし、夕食を終え休息をとっている時だった。
兵士が飛び込んできたのだ。
兵士「申し上げます!敵将カリギュラがこの首都ローマに接近中!敵影はひとつ!単騎と思われます!」
ネロ「なに!?たった一人だと!?」
荊軻「ともかく行くぞ。普通の兵士たちでは奴の相手はできん」
陽動の場合も考え、ネロ、戦兎、荊軻の3人のみでカリギュラを迎え撃つ。
治療を施したのかカリギュラの身体からは昼間の傷など見えなかった。
ネロ「ここで終わりだカリギュラよ!その首…余自らが討ち取ろう!」
ネロは気丈にふるまう。しかし、剣を握るその手は震えていた。
カリギュラ「ささ、げよ…」
鬼気迫るように叫ぶカリギュラ。もはやそこには、破壊と殺戮の意思以外何もない。
カリギュラ「捧げよその命、その魂…貴様の…全てをォ!!」
月光がカリギュラを不気味に照らす。
荊軻「!させるかっ…!」
カリギュラ「『
ロマン「宝具だ!下がって!」
月に吼える。
それに呼応するかのように、一層輝きを増した月の光が、カリギュラを止めようと飛び込んだ荊軻の身体を包み込んだ。
ネロ「荊軻!」
光の繭が解ける。荊軻は傷一つ負っていない。
ネロ「ぶ、無事だったか…」
荊軻「……」
ネロ「荊軻…?」
荊軻「がああああ!!!」
荊軻がナイフをネロに向け襲いかかった。
その目には、カリギュラと同じ、狂気の炎が灯っている。
ネロ「け、荊軻!どうしたというのだ!」
月の祝福——カリギュラの宝具は、荊軻の心を、霊基を、その狂気で黒く冒した。