Fate/Grand Order in the Build   作:カイナイ

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今回もグダグダしております…。なるべく本編と矛盾しないよう気をつけてはいますが難しいですね…


特異点F 炎上汚染都市 冬木
現れるヒーロー


「フォウフォーウ!キュー!」

 

「んん…?何だ…?」

 

「あの、先輩、早く起きてください!」

 

何かに舐められた様な感覚と、少女の優しげな、それでいて少し切迫詰まったような声で戦兎は目を覚ました。寝ぼけた目で声の主の方を見上げる。

 

戦兎「あぁ…マシュとフォウか…って何だその格好!?」

 

ギョッとする戦兎。それもそのはずだ。さっきまで比較的おとなしめな服を着ていたマシュが妙に露出度の高い鎧を身にまとい、自身の体格よりも大きい盾の様なものを片手に構えていたのだから。盾の様なものは高貴な黒を基調としており、ある種の神聖ささえ感じられる。

 

マシュ「その説明は後にさせてください…!それよりも今は!」

 

戦兎「え?…なっ!?」

 

戦兎があたりを見回すと、数体の骸骨に囲まれていた。それも意志を持つようにこちらをにらみ、手には剣や槍といった武器を持っている。

 

戦兎「何だあれ…?骸…骨…?」

 

マシュ「魔力で自律行動するエネミーのようです…。切り抜けます!マスター、サポートをお願いします!」

 

戦兎「はぁ…目覚めた瞬間に…最悪だ…」

 

戦兎は自分の所持していたアタッシュケースを広げ、その中の赤い、掌に収まるほどのボトルに手をかけた。そしてボトルを片手で振り始める。カタカタカタッと、軽快な音を鳴らすボトル。マシュは一瞬戦兎に目をやるが、何をやっているのか理解できない。しかし、次の瞬間、

 

戦兎「ハッ!」

 

骸骨エネミー「Gaa!?」

 

戦兎は常人をゆうに超える速さで一気にエネミーとの距離を詰め、ボトルを握る手で拳を突き出し、エネミーを瞬時に散らせた。エネミーは断末魔を上げながら灰のようになって消えてしまった。

 

マシュ「マ、マスター!?今のは…!?」

 

戦兎「説明は後、だ。まずはこいつらを片付けよう」

 

マシュ「は、はい!」

 

マシュと戦兎はお互いの背中を預けあい、傷一つなく周囲を取り巻いていたエネミーを消滅させた。

 

戦兎(ふぅ…あれぐらいの相手ならボトル一本で倒せるか)

 

マシュ「先輩!先程のはどういう…」

 

ロマン「ああ!やっと繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室だ、聞こえるかい!?」

 

電子音とともにDr.ロマンの大きな声が流れる。

 

マシュ「こちらAチームメンバー、マシュ・キリエライトです。特異点Fにシフト完了しました。同伴者は桐生戦兎1名。心身ともに問題ありません」

 

ロマン「あぁ…やっぱり戦兎くんもレイシフトに巻き込まれていたか。でもまぁ二人とも無事そうで何よりだ。だ、だけどマシュ…君の身体能力、魔力回路、全てが向上している。そしてハレンチ過ぎるその格好…」

 

最後の部分はいらなかったんじゃないだろうか…と思ったが、マシュが気にしていないようなので、黙っておく。

 

マシュ「はい、カルデア六つ目の実験…デミ・サーヴァント、のようです。ですが私は自身が何の英霊と融合したのかも分かっていません…。彼は私にこの宝具と戦闘能力を託して消滅してしまいました…」

 

ロマン「やっぱりデミ・サーヴァントだったか。でもそれなら心強い!…ということは戦兎君がマスター、ということでいいのかな?」

 

戦兎「マスター…か」

 

戦兎の右手の甲には、赤い紋様が刻まれていた。サーヴァントと契約した際に刻まれるという、令呪に間違いない。

 

ロマン「戦兎くん、マスターやサーヴァントのこと、ある程度は…知っているよね?」

 

戦兎「はい、一応は。」

 

戦兎は魔術は行使できないが、カルデアに勤めだしてから、魔術について勉強を始めていた。その能力の高さ故か、学んだことはすぐに覚え、特に今回のレイシフト実験で必要だったサーヴァントとそのマスターに関しての知識はほぼ完全に理解出来ている。

 

ロマン「それは良かった。…っと、通信が切れそうだ。じゃあそこから少し先に霊脈があるから向かってくれ。そこなら通信も安定するだろう。それじゃあ健闘をいの」

 

マシュ「…切れましたね。それではドクターの指示通り霊脈へ向かいましょう、先輩」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

マシュ「この辺りのはずです。あ、先程は聞きそびれてしまいましたが先輩のあの動きは…」

 

「「キャアアアアアアアアアアア!!」」

 

戦兎「!?行くぞマシュ!」

 

マシュ「は、はい!」

 

叫び声を聞いた途端、戦兎は瓦礫の山を駆け抜け叫び声の主の元へと向かった。声が聞こえた場所には、女性が2人。1人はうずくまっており、もう1人はうずくまる女性を背で庇いながら魔術を行使して、迫るエネミーに必死で抵抗していた。

見覚えがある女性だった。割と嫌な方面で。

 

マシュ「しょ、所長!」

 

戦兎「げっ…」

 

オルガマリー「マシュ!?それはデミ・サーヴァントの…」

 

カルデアの現所長、オルガマリー・アニムスフィアだ。

戦兎の最後の記憶では彼女の演説中に眠りこけ、追い出されたところだった。

しかしオルガマリーはマシュに注目し、戦兎には一瞥もくれない。ただの一職員であるから覚えられていないのも無理はないし、覚えられていても困るのだが。

 

戦兎「話は後です!ハッ!」

 

マシュ「やぁっ!」

 

先の戦闘と同じように協力してエネミーを倒す戦兎とマシュ。

全ての敵を消滅させたことを確認すると、戦兎はうずくまっている女の子に駆け寄った。

 

戦兎「もう大丈夫だ。ケガはない?」

 

女の子「は、はい…大丈夫でーーーーーって戦兎!?」

 

戦兎「えっ…美空!?」

 

その少女は石動美空。戦兎の居候先のカフェのマスター、石動惣一の娘である。

カルデアについてからある程度連絡は取っていたが、こうやって直接会うのは久しぶりだ。

 

戦兎「何でお前がここに…」

 

美空「分かんないよ…目が覚めたらこんなとこにいて、しばらく歩いていたら変な骸骨みたいなやつに会って、この女の人が助けてくれて…」

 

戦兎「そうか…。でもまあ、無事ならいい」

 

こんなところで二人もの知りあい、それも片方は数週間も会っていなかった人に会えるとは。

戦兎はこの状況に奇妙な感覚をもった。

 

オルガマリー「ねえ」

 

マシュ「あの、お知り合いですか、先輩?」

 

美空「先輩…?戦兎アンタいつの間にこんな可愛い子を…というか何て格好させてるの!?」

 

オルガマリー「ちょっと」

 

戦兎「いやいやいや、俺がさせたんじゃないって!」

 

フォウ「キュー!キュー!フォーウ!」

 

オルガマリー「ちょっと!」

 

マシュ「先輩!その子はどういう…」

 

オルガマリー「私の話を聞きなさーーーーーいっ!!!」

 

「「「…………」」」

 

オルガマリーの一喝で、一気に沈黙が訪れた。

 

オルガマリー「まずは何故今になってデミ・サーヴァントが成功したかよ。いえ、それ以上に貴方!私の演説で眠りこくっていた貴方よ!何でただの科学者である貴方がマスターなんかになっているのよ!?そ、それにさっきの常人離れした動きは一体…!?」

 

しっかりと覚えられていた。

 

戦兎「い、いやそれは…」

 

マシュ「先輩にはマスター適性、レイシフト適性があったということです。経緯を説明させて頂きます」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

オルガマリーにこれまでの経緯を説明し、霊脈での召喚サークルを確立、ロマンとの通信を確認できた戦兎達。とりあえずの方針として、冬木という都市に何故悪霊や低級エネミーで蔓延っているのか、事態の原因を探ることとなった。

 

オルガマリー「冬木という都市、ということだけでも事態は聖杯の影響と考えて間違い無いと思うわ」

 

マシュ「聖杯…ですか?」

 

戦兎(聖杯…そうか。冬木市には聖杯戦争、というのがあるんだったな)

 

オルガマリー「えぇ、あの聖杯よ。冬木の魔術師たちはその聖杯を起動するために七騎の英霊を召喚した。7人のマスターがそれぞれの英霊をサーヴァントとして使役して競い合い、最後に残った1人が聖杯を手にする、それが冬木の聖杯戦争。そのデータを元にカルデアの召喚式は開発されたのよ」

 

マシュ「なら、聖杯を破壊、もしくは回収できればこの特異点は…」

 

オルガマリー「えぇ、修正できるでしょうね」

 

美空「何の話だか全然分かんないよ…」

 

話についていけない美空が嘆いていると、通信機器が叫びを上げた。

 

ロマン「適性反応だ!ものすごいスピードでこちらへ向かってきている!この反応は…サーヴァント!?」

 

???「!!!!」

 

ロマンが言い放った瞬間、一体のサーヴァントが放った炎が戦兎達を襲った。マシュはギリギリのところで攻撃を防ぎ、臨戦態勢へと切り替わる。

戦兎「サ、サーヴァント!?聖杯戦争の生き残りか…!?」

 

マシュ「逃げきれません!応戦します!先輩は所長達をおねがします!」

 

???「今のを防ぐとはな。なかなか出来た嬢ちゃんだ。」

 

戦兎達を襲った青い長髪のサーヴァントは、背丈ほどの杖を携えていた。

 

オルガマリー(ドルイドのような格好に先ほどの炎を飛ばす攻撃、このサーヴァントのクラスは…)

 

キャスター「サーヴァント、キャスター。悪いがお前らには消えてもらう」

 

オルガマリー(やっぱり…!)

 

キャスター。魔術師のサーヴァント。その名の通り、魔術を得意としており、なかには神秘の溢れていた時代や神代の魔術を行使するものもいるという。戦兎はおろか、オルガマリーも魔術では到底敵わない相手だ。

 

キャスター「ふん…行くぜ…」

 

キャスターが指で何かを刻むと、刻まれた文字が炎となってマシュに襲いかかった。しかしマシュの体に到達する直前に、炎は壁にぶつかるように散っていった。

マシュ——シールダーの持つ、魔術無効化のスキル、対魔力だ。

 

オルガマリー(今のはルーン魔術!?厄介ね…今のはなんとか対魔力だけで防げたけど、ただ刻むだけで魔術を発生させられるルーン魔術なら…こっちに攻撃の機会を与える間も無く攻撃できる!これ以上大きな魔術で攻撃され続けたら…!)

 

キャスター「へえ…対魔力スキルか。中々高いランクを持っているらしいな。だがこいつでどうだ!」

 

キャスターは多数のルーン文字を空中に刻み込んだ。その一つ一つが先程の攻撃よりも大きな炎となってマシュに飛んで行く。

 

マシュ「ぐっ…」

 

攻撃をする隙もなく、対魔力を貫通した炎がマシュを襲う。じわじわと追い込み、体力と魔力を奪っていく。

 

マシュ「くっ…ハァァァァァァァァァッ!!」

 

マシュの構えが解ける。そして次の瞬間、唯一の武器であり宝具でもあるその盾をキャスターに向かって投げつけた。

 

キャスター「なっ!?」

 

マシュの行動が予想外だったためか、思わずルーンを刻んでいた両手で防御の姿勢をとる。盾の勢いは思うより大きく、キャスターは一瞬押し込まれそうになるが、何とか堪えた。しかし今度はマシュがキャスターの受け止めた盾に向かって突進した。既に盾の投擲によって姿勢が崩れかけていたキャスターは、大きく後ろへ飛ばされた。

 

キャスター「ぐおっ!………ヘッ、中々思い切った戦い方するじゃねえか。だが…ぐっ!?」

 

キャスターの背中に、鋭い衝撃が走った。ボトルを手にした戦兎の死角からの攻撃である。戦兎は再びボトルを振り、キャスターからの反撃をくらう前にマシュの元へ瞬時に戻った。

 

キャスター(さっきまであの嬢ちゃんの後ろに隠れていたハズのあいつがいつの間に…!?それに俺を殴った時のあの衝撃…サーヴァントでもねえし魔力の流れも感じなかった…。ナニモンだあのボウズ…?)

 

戦兎「マシュ、下がっていてくれ。ここからは俺の出番だ」

 

対魔力スキルである程度軽減出来たとはいえ、マシュの体は炎に包まれていたのだ。決して無事ではない。

 

マシュ「は、はい。マスター…」

 

マシュは特異点に来てからの戦兎の常人離れした動きや、その自信溢れる雰囲気から、この男は普通ではない何かが、もっとすごい何かがある、と直感的に感じ取っていた。

 

キャスター「何だ?選手交代か?俺はまだまだいけるぜ」

 

傷を負いながらもおどけたように、少し挑発的に言うキャスターを横目に戦兎は持っていたケースの中から青いボトルと、大きな歯車が特徴的な黒いアイテムを取り出した。戦兎がそのアイテムを腰につけた途端、アイテムからベルトが飛び出し戦兎の腰へと固定される。

 

美空「戦兎…」

 

心配そうな美空に戦兎は目線で応えると、不敵な笑みを浮かべた。

 

戦兎「今からお前らに、「仮面ライダービルド」のサイッコーな変身を見せてやる!」

 

両手に一つずつ持った赤と青のボトルを振り、その蓋を正面に合わせた。

 

戦兎「さあ、実験を始めようか。」

 

 

 

 

 

 




今回も変身はせず…!でも次回からは戦兎くんが活躍しまくる予定です!冬木編はこれ含めて3回で終わらせる予定(予定)。
ちなみにオルガマリー所長の「私の話を聞きなさーい!」という発言は実際にFGO本編にあります。所長のセリフでも特に好きなものなので今回無理やり入れこんでみました
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