Fate/Grand Order in the Build 作:カイナイ
時刻は戦兎たちが眠っていたときに遡る。万丈がクーフーリンに促され、床についた頃だった。
スターク「よう」
スタークが、クーフーリンの前に姿を現したのだった。しかしロマンはその存在を観測できない。スタークはなんらかの手段を用いて、己にジャミングをかけているようだった。
クーフーリン「テメェ…」
スターク「おいおいそう身構えることはねえだろう。どちらにしろお前の張った結界とやらで俺はそう簡単にそっちには入れねえんだ。今回は話をしにきたんだよ。……お前、俺につかねえか?」
クーフーリン「ハッ、抜かしてんじゃねえぞ」
スタークの意外な提案を、クーフーリンは一蹴する。
スターク「キャスター、お前はサーヴァントだ。」
クーフーリン「あぁん?だからなんだってんだ。」
スターク「サーヴァントってのは自分の叶えたい欲のために、聖杯に呼ばれ己のマスターに従うんだろう?それが聖杯戦争ってモノらしいからな」
クーフーリン「………」
スターク「だが聖杯はセイバーが守っている上に、セイバーを倒したらお前は奴とともに消えてしまう。そこで、だ。俺がお前を助けてやるよ」
クーフーリン「そいつはどういう意味だ」
スターク「これだ」
すると、スタークの手の上から、黄金の光を放つ聖杯が顕現した。クーフーリンはその光景に戸惑いを隠せなかった。
クーフーリン「なっ…」
スターク「恐ろしいほどの魔力塊、万能の願望機。見ての通りコイツは聖杯だ。この冬木の聖杯のとは別物だけどな。」
クーフーリン「聖、杯…」
スターク「お前が俺についたらコイツはくれてやる。これで生前の未練でもなんでも叶えるがいい。そしてコイツはプレゼントだ」
スタークがボトルを3本、地面に置いた。
スターク「このロケットボトルとパンダボトルは普通のボトルだ。だが、この黒いボトルは一見浄化したように見える未浄化のボトル。コイツをドライバーに挿したらビルドは終わりだ。ロケットとパンダは普通に戦兎に渡せ。お前の渡すボトルへの信頼感を持たせるためだ。そしてこのボトルは戦兎がピンチになった時に渡すんだ。俺もその場に居合わせる。いかにも俺から今奪ったかのように見せかけろ。なに、簡単だろう?こんなことで聖杯が手に入るんだ。」
クーフーリン「……」
スターク「それじゃあな。期待してるぜ。チャオ!」
スタークが去った後、クーフーリンは無言でスタークの置いていったボトルを3本とも拾い上げた。
そして、そのクーフーリンの口角は、引きつり上がっているように見えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クーフーリン「よし、聖杯はこの洞窟の奥だ。ちぃと入り組んでるんで、はぐれないようにな」
ロマン「そうだキャスター、セイバーの真名は分かっているのかい?」
クーフーリン「当然だ。やつの宝具はあまりにも強力かつ有名なものだからな。王を選定する岩の剣、そのふた振り目。その名は…」
???「
クーフーリン「おいでなすったぜ。アーチャー、いや、信奉者の登場だ。まーだセイバーを護ってるらしい」
アーチャー「フン、信奉者になったつもりはないが、つまらん来客を追い返すくらいはするさ。それに、今回は私だけじゃない」
するとアーチャーの後ろから、2体のスマッシュが現れた。
クーフーリン「ほぅ…テメェ、あの訳の分からねえ連中と組んでいやがったのか」
アーチャー「敵の敵は味方、というわけではないがね。私は利用できるものは何でも利用するだけだ」
戦兎がラビットタンクフォームへ変身し、両者がぶつかる。ビルドはドリルクラッシャーでアーチャーと応戦するが、そのクラス名に似つかわしくない華麗な剣技と複製された剣の射出の多彩な戦術に苦しまされていた。
ビルド「くっ…よし、試してみるか!」
ビルドがボトルを2本とも入れ替える。代わりに差し込まれたのは、新たに手に入れた、パンダボトルとロケットボトルだ。
ドライバー「パンダ!ロケット!ベストマッチ!」「Are you ready?」
ビルド「ビルドアップ!」
ドライバー「ぶっ飛びモノトーン!ロケットパンダ!イェーイ!」
ビルドの赤かった装甲が白く、青かった装甲は水色へと変化した。右手には大きな鉤爪がついており、ビルドはその鉤爪で迫る剣を次々と砕いていった。
アーチャー「フン!」
アーチャーはさらに剣を複製し、射出する。しかし、ビルドは左手のロケットから炎を噴出し、高速で回避した。そしてそのままアーチャーに勢いよく突進する。
アーチャー「ぐっ!…ならば…」
アーチャーは後方へ大きく下がり、黒い弓と螺旋状の剣を投影した。そして、螺旋状の剣を弓に番える。すると、剣は圧縮され、1本の矢のようになった。
アーチャー「手っ取り早く決めさせてもらおう。…我が骨子は捻れ狂う!」
アーチャーが矢を放つ。矢は強大な魔力を帯びながら、流星のようにビルドに襲いかかってくる。ビルドは放たれた矢を見た瞬間、その恐ろしさを直感した。
ビルド「クーフーリン!マシュ!みんなを守ってくれ!」
距離的な問題でオルガマリー達を守れないと思ったビルドは、クーフーリンとマシュに大声で呼びかけた。ビルドの声を聞いた両者は、オルガマリー達をルーン魔術と盾で防御する。ビルドはロケットの噴出で出来るだけ矢の着弾点より離れようとしていた。
そして、
アーチャー「終わりだ」
アーチャーの放った一矢が大爆発を起こした。
マシュ「マスター!」
マシュ達は比較的爆発地点より離れており、また防御が厳重だったため軽傷だった。しかし逃げたとはいえ爆発地から近かったビルドは絶望的だった。
アーチャーはこれで完全にビルドを倒したと思い、マシュたちに弓を向けようとした。
しかしその瞬間、
「うおおおおおおおお!!」
「ボルテックフィニッシュ!イェーイ!」
アーチャー「何!?」
爆発によって発生した煙の中から、拳の一撃がアーチャーを貫く。アーチャーの強力な一撃を凌いだビルドの必殺技だった。
アーチャー「ぐっ…はぁ……ここまで、か…」
ビルドの姿は、先程と違って右腕の巨大なナックルが特徴的な、茶色と水色の別のフォームへと変化していた。その強力な一撃によって、アーチャーの体は消滅していった。
クーフーリン「あの爆発の中で死なないとしても無事に動けるとはな」
ビルド「輝きのデストロイヤー、ゴリラモンド。俺のベストマッチフォームだ。ダイヤモンドの力で俺の身を守った。とは言っても、やっぱり結構ボロボロだけどな」
ビルドはアーチャーの起こした爆発に巻き込まれ、倒されたそれぞれのスマッシュから成分を回収した。スマッシュ達はやはりというべきか、成分を回収した途端消滅する、シャドウサーヴァントを素体としたものだった。
その時、
スターク「おいおい、アーチャーも随分派手にやってくれたなあ。」
ビルド「…っ!ヘビ男とコウモリ男!」
ナイトローグ「フッ、ナイトローグだ…」
戦闘が終わったのを見計らったように、突如ブラッドスタークとナイトローグが現れた。2人が戦兎たちに襲いかかる。
ビルド(くっ…ただでさえアーチャーとの一戦でダメージも疲労も大きいってのに…)
マシュはローグと戦うビルドのサポートに入った。クーフーリンとスタークは一対一の状況になる。もみ合いながら、ビルド達に聞こえないようスタークが小声でクーフーリンに話しかけた。
スターク「さぁ、今だ。今渡せ!」
クーフーリン「………ボウズ!一旦下がれ!」
ビルドは言われた通り後方へ下がった。クーフーリンが横に並ぶ。そして手に持っていた未浄化の黒いボトルをビルドに見せた。
クーフーリン「…アイツが持ってたもんだ」
ビルド「ボトル!?よ、よし、一旦貸してくれ!」
スタークがマスクの下で嘲笑する。己の策が勝った…そう思った瞬間だった。
しかし、クーフーリンは持っていたボトルを落とし、それを踏み潰した。
ビルド「何して…これは!」
破壊された黒いボトルから未浄化だった成分が漏れ出す。それにクーフーリンや庭先で戦ったスマッシュから成分を回収していたボトルが反応したため、ビルドはそのボトルで漏れ出ていた成分を回収した。ボトルはいっぱいに成分が溜まっていた。
ビルド(偽物のボトルだったのか…だがこれでこのボトルが使える…)
クーフーリン「ボウズ、ここはおれに任せておけ」
ビルド「えっ…でも…」
クーフーリン「いいから行けってんだ。セイバーはこの奥にいる」
ビルド「クーフーリン……分かった。行くぞ!マシュ!みんな!」
マシュ達がビルドに続き、洞窟の奥へと向かった。ローグが後を追おうとするが、クーフーリンの放った炎がそれを阻んだ。
スターク「おいおい…やってくれたなぁキャスター。お前が聖杯を手にする唯一の機会をドブに捨てやがって」
クーフーリン「ハッ、騎士の忠義を甘く見るんじゃねえ。仮契約とはいえ、今の俺のマスターは桐生戦兎だ。それに生憎とな、俺には聖杯にかける願望なんてものはない。戦場を駆け抜け強いヤツと戦う。それだけで十分だ」
スターク「はぁ……英霊なんて連中はこんなのばっかりなのかねぇ…まぁいい。本来の目的は達成済みだ。とりあえずそこを退いてもらおうか!」
スターク、ローグがそれぞれトランスチームガンとスチームブレイドを携え、クーフーリンに襲い掛かる。
クーフーリン「決死の覚悟でこい。赤枝の騎士を舐めるなよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃、ビルド達は洞窟の奥へと到達していた。
オルガマリー「これが大聖杯…何よあれ、超抜級の魔力炉心じゃない!」
???「ほぅ…面白い宝具、そして面白いマスターを持っているな」
ビルド達が見上げると、そこには黒い甲冑に身を包み、冷徹な目でこちらを見る少女がいた。
ロマン「間違いない。何か変質しているようだけど、彼女がかのアーサー王だ。伝説とは性別が違うみたいだが、何か事情があってキャメロットでは男装していたんだろうね」
セイバー「構えろ、名も知らぬ少女とそのマスターよ。貴様の守りが真実かどうか、確かめてやろう!」
セイバーがマシュに襲い掛かる。ビルドもマシュの援護をしようとするが、アーチャーと戦った際の傷が完全には癒えておらず、思うように体が動かない。そしてマシュも、セイバーの猛撃に防戦一方の戦いを強いられていた。
セイバー「応えよう。その瞳、主を守らんとする、その胸懐に!」
セイバーが魔力を纏わせながら剣を高く頭上に掲げる。その膨大な魔力を目の当たりにし、マシュ、オルガマリー、ビルドの3人は宝具だと察した。サーヴァントに関しての知識が無い万丈や美空も、それが危険なものである、と直感していた。
セイバー「『
黒い魔力の閃光がマシュ達に迫る。
ビルド(この威力じゃダイヤモンドでも軽減すら不可能だ…!)
マシュ「あ、あぁ…」
マシュ(守らないと…使わないと、みんな消える…。偽物でもいい。今だけでもいい。私が…私がちゃんと使わないと、みんな無くなってしまう!)
マシュ「ああ、ああああああああああああ!!!!!」
オルガマリー「 宝具!?」
マシュが盾を構える。すると、マシュの想いに呼応するかのように、それまで発動できなかったマシュの宝具が大きな壁を顕現させた。壁はマシュ達を守り、セイバーの宝具を完全に凌いだ。
セイバー「守ったか…」
マシュ「マスター、やり、ました…」
しかし、マシュは宝具を発動させた反動からか、倒れてしまった。
ビルド「よく頑張ってくれたな、マシュ。後は…俺に任せろ!」
ビルドは単身でセイバーと戦う。しかし未だに傷は癒えず、やはり戦況は絶望的だった。
美空(誰か戦兎を…助けて…。お願い…このままじゃ、戦兎もあの子も死んじゃう…!)
美空が心の中で願う。
その時、突如美空がつけている腕輪が光り出した。そして戦兎に渡されていた未浄化だった一本のボトルが光り出し、金色の、完全なボトルへと一瞬で変化した。その反動で倒れかける美空を、オルガマリーが抱きとめた。
美空「オルガマリー、さん。これを…戦兎に…」
オルガマリー「これって…えぇ、任せなさい!…戦兎!」
オルガマリーが叫び、美空から託されたボトルをビルドに投げる。ビルドはそれを受け取った。
ビルド(これはキャスターたちに使ってさっきやっと満タンになった……よし!)
それを受け取ったビルドが、既に入っていたボトルを引き抜き、新たに渡された金色のボトルを装填した。
しかし、
ビルド(…!?反応しない!?何故だ?)
セイバー「もういいだろう…地に墜ちるがいい…」
セイバーが再び宝具を発動する構えに入る。
セイバー「『
万丈「うおおおおおお!!!」
その時、ドラゴンボトルを握りしめた万丈がセイバーの後ろから迫り拳を向けた。
セイバー「ぐっ…邪魔をするな!」
万丈に宝具をキャンセルさせられたセイバーの剣が万丈を襲う。それを阻止するかのように、戦兎が開発したクローズドラゴンがセイバーに炎で攻撃した。
万丈「っ…戦兎!!使え!」
万丈がその間に、ビルドに自分の持っていたドラゴンボトルを投げる。
ビルド「これはお前の…分かった。お前の想いも背負って、戦ってやる!」
セイバー「くっ…ええい、鬱陶しい!」
魔力放出でクローズドラゴンと万丈は吹き飛ばされる。
ビルドは、万丈から受け取ったドラゴンボトルと、再び金色のボトルを差し込んだ。
すると、
ドライバー「ドラゴン!セイバー!ベストマッチ!」
ビルド「起動した!……さぁ、実験を始めようか!」
ドライバー「Are you ready? セイバードラゴン・アルトリア!!」
ビルドの装甲が、青と黄金に変わる。複眼も竜と剣を模したようなものに変わった。
そして何よりも、その手には本来ビルドが持ち得ないサーヴァントの宝具が握られていた。
セイバー「何だと!?何だその能力は!?」
ロマン「せ、戦兎君にサーヴァント反応がある!今までの変身とは違う…これは一体!?」
ビルド「行くぞセイバー。勝利の法則は決まった!」
セイバーとビルド。二人の聖剣が交わる。
ビルドは一度も握ったことのないはずのその聖剣を見事に扱う。その剣技は相手のセイバーと全く同じものだった。ビルドの先程の戦闘が嘘かのように、両者の力の差は埋まりつつあった。
ビルド(すごい…どう動けばいいのか分かる。まるでビルドの装甲に身体が引っ張られているみたいだ…!)
セイバー「舐めるな!」
ビルド「ぐっ…はぁっ!」
セイバーが魔力放出の勢いを乗せてビルドに剣を叩きつける。
ビルドはそれを受け止め、同じように魔力でブーストをかけ押し返した。
セイバー「くっ…力のみとはいえ、己との対決とは……ならば…」
セイバーが再び剣を頭上に持ち上げた。
セイバー「これで終わるとしよう。…卑王鉄槌。極光は反転する…」
ビルド「…応えてやる!…束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流…」
ビルドも同じように剣を掲げる。ビルドの剣は、先ほどとは比べ物にならないほどの量の魔力が纏われていた。
セイバー「光を呑め!『
ビルド「…っ!『
2人の宝具がぶつかり合う。
黄金と漆黒。
聖光と光をも呑み込む闇。
本来同等であるその剣の放つ斬撃は、両者の間で拮抗していた。
ビルド「うおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
セイバー「はあああああああああああ!!!!!!」
ロマン「戦兎くん!」
万丈・オルガマリー「「戦兎!」」
美空「戦、兎…」
マシュ「先輩…頑張って…!」
ライダーシステム。
そのドライバーが持つ力は、使用者の感情の昂り、想いの強さに比例する。
戦兎は背負っているのだ。
カルデアで支えてくれている職員の、ロマンの、万丈の、オルガマリーの、美空の、マシュの、想いを。
この剣に乗せているのは戦兎ただ一人の想いだけではない。
故にーーーーーー
ビルド「くっ…うあああああああ!!」
その勝利は必然となる。
ビルドの放った光が、セイバーの宝具を打ち破り、セイバーを貫いた。吹き飛ばされたセイバーは、立ち上がるもダメージが大きく既に消滅が始まっていた。
セイバー「フッ…聖杯を守り通すつもりでいたが、最後の最後で気を緩めるとはな。己が執着に傾いた挙句負けてしまった。…結局どう運命が変わろうと、私一人では同じ末路を迎えるということか。」
ビルド「それは…どういう…」
セイバー「カルデアのマスターよ。グランドオーダー…聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだ。」
セイバーはそう言い残すと、完全に消滅した。戦兎もそれを見て変身を解く。
オルガマリー「
美空「はい…」
マシュ「はい、問題ありません。では聖杯を至急回収ーーな!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クーフーリンと対峙したスターク、ローグは若干の劣勢を敷かれていた。
クーフーリン「ハッ!二人掛かりでそれとは情けないねえ。…おっ!?」
しかしクーフーリンにも既に消滅が始まっていた。
クーフーリン「あいつら…セイバーのヤツを倒しやがった!ハハハハハ!」
ローグ「スターク、ここまでだ。」
クーフーリン「逃すかよ!」
クーフーリンが残った魔力で畳み掛ける。しかしスタークとローグは煙に紛れ逃げてしまった。
スターク「フン、じゃあな、キャスター。チャオ!」
キャスター「ハッ、ヘビが…。それにしても、期待してなかったわけじゃないがまさかセイバーを倒すとはね。まぁ俺を倒したぐらいだ。そのくらいはやってもらわねえとな。はぁ…次はランサーで喚ばれたいもんだ…」
そしてクーフーリンの体も完全に消滅した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
万丈「なんだ…あのおっさん…」
???「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。想像外にして許容外なことだ。48人目のマスター適性者でありライダーシステムの担い手。ただの科学者と侮り見逃していた私の失態だよ。」
マシュ「レフ教授!?」
オルガマリー「あぁ、レフ!生きていたのね!」
オルガマリーがレフへ駆け寄る。マシュはレフから得体の知れぬ何かを察し、それを制止しようとしたが間に合わなかった。
レフ「やあオルガ。元気そうでなによりだ。」
オルガマリー「え、ええ!い、色々大変だったけどあなたさえいればこれからどうにでも…!」
レフ「だがね、君との再会を喜んでいる余裕はない。君は既に死んだも同然なのだから。」
オルガマリー「え…?それってどういう…」
レフ「分からないかな?君の肉体は既に死んでいる。今の君はただの残留思念だ。つまり…君はカルデアに戻った時点でその意識も消滅する。」
オルガマリー「え…え?消滅って何よ…カルデアに…戻れない?」
レフ「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ。…そうだな。最後に君の宝物に触らせてあげよう。」
レフはそういうと聖杯を使ってカルデアスと空間を繋げた。
オルガマリー「カルデアスが…真っ赤に…な、か、体が引っ張られて…!や、止めてレフ!お願い!」
レフ「さようならオルガ。生きたまま無限の死を味わいたまえ。」
オルガマリー「い、いやいやいや!まだ誰にも褒められてない!まだ誰にも…認められていないのにーーーーーーー」
オルガマリーは、悲痛な叫びをあげながら沈んでいった。戦兎たちはレフに近づけば同じように殺される。その確信があったため助けに入ることは叶わなかった。
レフ「フン…さて、改めて自己紹介をしようか。私はレフ・ライノール・フラウロス。手短に教えてあげよう。お前たち人類の未来は焼却された。貴様たちの時代はもう存在しない。カルデアスの磁場でカルデアは守られているだろうが、外はこの冬木と同じ末路を迎えているだろう。」
ロマン「そうでしたか…外部と連絡が取れないのは、そもそも連絡を受け取る相手がいなかったのですね…」
美空「え…?それって…じゃあお父さんは…」
レフ「ほう…貴様がソウイチの娘か…。フン、いずれにしろじきにそのカルデアも宇宙から消滅する。この結末は誰にも変えられない。」
その時、地面が大きく揺れる。洞窟が崩れかけていた。
レフ「この特異点もそろそろ限界か。…スタークめ。本来の予定から外れ随分と遊んでくれたものだ。……では、さらばだロマ二、マシュ。そして仮面ライダービルドよ」
レフはその場から姿を消した。
なおも洞窟の崩壊は進んでゆく。
マシュ「ドクター!至急レイシフトを!」
ロマン「分かってる!もうやってるさ!でもそっちの崩壊が早いかもだ!最初のレイシフトより人数が多いみたいだし!」
マシュ「っ…先輩!手を…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
戦兎が目を覚ますと、そこはよく知る自分のマイルームだった。
フォウ「キュー!フォウフォーウ!」
戦兎「おわっと!」
フォウにズボンを引っ張られ、フォウの後をついていくことになった戦兎。廊下で、万丈と出会った。
万丈「おう。呼び出されたんで今から管制室ってとこに行くんだけどよ。ちょっと案内してくれねえか?」
戦兎「あぁ。どうやらフォウもそこに向かってるっぽいしな。」
戦兎と万丈がともに歩いていると、戦兎は自分のポケットからボトルを取り出した。
戦兎「返すよ万丈。お前のおかげで助かった。」
万丈「…おう」
管制室に到着し、自動ドアが開かれた。なかには談笑しているマシュと美空の姿があった。
マシュ「おはようございます先輩。無事でなによりです。」
美空「おはよう戦兎。」
戦兎「あぁ、二人とも無事でよかった。」
ロマン「やぁ、集まったね。まずは4人とも、生還おめでとう。君たちの誰が欠けてもこのミッションは達成できなかっただろう。…所長は残念だったけど…今は弔うだけの余裕がない。悼むことぐらいしかできない。」
美空「オルガマリーさん…」
ロマン「いいかい。僕たちは所長に代わって人類を守る。それが彼女への手向けになる。…人類のターニングポイント、特異点。君は7つの特異点へレイシフトし、歴史を正しいカタチに戻す。戦兎君の言っていたスマッシュという怪物が何故冬木に存在していたのか。ブラッドスタークとナイトローグ…彼らは何者なのか。何故美空ちゃんと万丈くんだけが生かされたのか。謎はまだ多いままだ。だが君が人類を救いたいのなら。君はこの7つの人類史と戦わなければならない。君に、カルデアの運命を背負う覚悟はあるか?」
戦兎「俺に…出来ることなら。」
ロマン「…ありがとう。その一言で僕たちの運命は決定した。これよりカルデアは前所長オルガマリー・アニムスフィアが予定した通り、人理継続の尊名を全うする。目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は各年代と聖杯・聖遺物。これはカルデア最後にして原初の使命。人理守護指定・グランドオーダー。魔術世界における最高位の使命を以って、我々は未来を取り戻す!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レフ「あまり自由に動かれても困る。貴様らは我らが目的のために生かされていることを忘れるな。」
ローグ「………」
スターク「フン…分かってるよ。だが…お前はその傲慢さで…足元をすくわれないようにな。」
レフ「……ほざけ。」
レフがその場から消える。
スターク「……フン、たかが悪魔風情が。それにしても…サーヴァントボトルか。面白くなりそうだなぁ、桐生戦兎…。」
新たに登場したサーヴァントボトルとかいう意味不明なやつ。次回あたりに解説は入ると思います。
それと、基本的には原作で死亡してしまった人間が生きている…ということは無いと思います。すみません…