前回から1週間経ってしまいましてはい、誠に申し訳ないです。
えぇタイトルにもある通り、今回は彼女が登場します。
一応ょぅι゛ょです。口調とかも幼くなるようにしていますが、もしかしたら違和感があるかも知れません。許してヒヤシンス
追記:黒のアリス様誤字報告ありがとうございました!
薄暗い部屋の中に嘲笑が響く。
「フハハハハ!
どうした、こんなものがお前の全力か?だとしたら飛んだ期待はずれよな」
「ぐぅ…」
そう言って嗤う怨敵をきっと見返す。
「こんなっ!こんなところで終われない!」
「クッ、威勢だけはいいようだがなぁ。もはや限界なのではないかね?んん?」
「くっ…」
いいえ。まだよ!
まだこいつは私の次手に気づいていないはず。
ならっ…!
「ここよっ!」
相手が油断している隙に切り札を打ち込むっ!
「………」
「どう?打ち返せないんじゃないかしら?」
相手の勢いが止まり黙り込む
そして…
「……フフッ。クククッ。クハハハハハ!」
「…何がおかしいのかしら」
「クハハハハハ!お前は実に愚かよなぁ、
…そして、私にとって致命的なまでの一撃が決まってしまった…。
「なっ!貴女それはっ!」
それは、鈍く輝く赤い札。
文字通りの切り札が切られて、
「たすけてえーりん!」
「や、やめてぇぇぇぇえええええ!!」
私の口から絹をさくような悲鳴があがり、同時に横から伸びてきた白魚のような手が白の盤面を瞬く間に黒へと変えていった…
「どうしてっ、どうしてなのエイリン!」
「…………」
「答えてよっ!」
「いや、あんた達たかがプリン1個にどんだけガチになってんのよ」
「「たかがってどういう事(よ)!!?」」
私と
私からプリンを奪った敵ではあるものの、そこだけは同意見だ。プリンは至高。異議は認める!
呆れたようなエイリンは雰囲気作りのために暗くした照明を手元のリモコンを操作して明るくしている。
「まぁいいや、紫お姉ちゃん。プリンは頂くね」
「あっ…」
そう言うと豊姫はさっきまでの魔王ロールプレイなど感じさせないようなのほほんとした口調で私の希望をかっさらっていった。
あぁ、私の…私のプリン……ガクッ。
「プリンなんていつでも食べられるでしょうに…」
隣でえーりんが何か言っているがそういう問題ではないのだ。
豊姫と
─翠屋はこの都1の菓子屋であり、その中でも特に人気なのが1日数量限定で生産されるプリンである。(都のすすめ五十二頁参照)─
いつも頼んでも買ってきてくれない翠屋の1日20個限定のプリンを今日たまたまエイリンが買ってきてくれたというのに。
あまりのショックにその場で膝から崩れ落ちる。
終わった…終わってしまったわ、私の
「…ねぇ、紫お姉ちゃん。欲しい?」
「くっ、敵の施しなんて受けないわっ!」
そうとも私はそんなものに負けないっ!
「そっか〜、ぁーんっ。んぅ〜♪」
「…………」
わ、私はこんなものに絶対……
「美味しいなぁ〜。流石翠屋の1日20個限定の生プリン!これなら飽きずに全部食べられちゃう〜。あ、でも夕飯近いしなぁ、あんまり食べられないなぁ〜(チラッ)」
「………」
絶対、に……
「半分残ってるしなぁ。もったいないなぁ(チラッ)誰かが今日の課題手伝ってくれたら譲るんだけどなぁ(チラチラッ)」
「任せなさい」
プリンには勝てなかったよ……。
<✤>
衝撃的な都デビューを果たし、常識をボドボドにしながらも命からがら(?)家に帰ってきた私はエイリンから明日からの予定について説明を受け、そこでエイリンからある1人の女の子のことを聞いた。
その娘の名前は《豊姫》
この都で重要な位置につく人物の娘であり、聞けばエイリンは彼女の教育係であるという。
「教育係?何でエイリンがそんなことやってるの…あっ」
それを聞いた私は言ってから失礼な言い方だったと口を手で押さえたが、エイリンは気にしないでと言いつつ
「あまり詳しい事は言えないけれど…。いえ、貴女も明日からは彼女と会うことも増えるでしょうし教えておくわ。」
エイリンはこの都でも飛び抜けた頭脳の持ち主であるらしく、豊姫の
そう言えば私が助かったのだってエイリンが薬草を取りに都の外に出てく来てくれたお陰だったのだという事を思い出した。
足りなくなった薬草を詰みにくる。つまりはエイリン自身に薬学の心得があるという事。
あれ、エイリンってめっちゃ頭いいのでは…?
どうにもエイリンのことについて知らなすぎるとちょっと考えた私はその子のことや、明日からのエイリンの手伝いについて詳しく聞くことにした。
予想通りというか、エイリンは所謂薬師と呼ばれるもので、都の中でも飛び抜けた腕を持つらしい。一時期人気すぎて都の反対側から家に隣接する診療所に来る人もいたと言えばその実力の高さが分かるというものだ。
ただ、エイリンはどうにも趣味でやっている節があるらしい。診察もすることにはするが普段は専ら新薬の開発をしているという。
やだ、私の同居人スペック高すぎ……?
ひとりで勝手に戦慄していると
「まぁ明日からは貴女も彼女の学友となる訳だから仲良くしてちょうだいね」
「えぇもちろ……え?」
今なんと言ったのだろうか。私がその子と学友?仲良くするとかでなく?
「どういう事よ」
「どうしても何も、貴女は記憶喪失でしょうが。
貴女に一般教養を教えるのと彼女に教えるのを2つ同時に行うなんて私の体をふたつにしないと出来ないわ。」
それはそうでしょうけど…
「なら、貴女と彼女の教育を一緒に行えばいい。
貴女は一般教養を学べて豊姫は貴女という友を得る。そして、私は時間を取ることが出来る。」
ね、誰も損しないし一石三鳥よ。というエイリンを見ながら思考する。
確かに私には今の所親しいと言える間柄の人はエイリン1人しかいない。なら、今回の案はまさに渡りに船ではないか。人に会うためにここまで苦労して死にかけながら(マジ)来たと言うのに、知り合いが家族(?)しかいないとかなんの冗談だろうか。
そこまで考えてから相手の少女のことが気になってエイリンに尋ねてみる。
「ねぇエイリン。その豊姫っていう子はどういう子なの?」
「そうねぇ…、当たり前だけど悪い子ではないわ。根が優しくて知らない事にもその好奇心の高さで持って積極的に関わろうとする。貴族特有のプライドの高さと言うのはまだないわね。私達平民の暮らしにも関心を持っている。
まぁ教える側としては教えやすくてよく出来た子って所かしら」
ほほぉ。
エイリンからのこの好感触。いいとこのお嬢さんだから高慢ちきな人物ではないだろうかという私の不安はこの時点で無くなった。よかった、豊姫とは仲良くなれそう。
そう思っていた時期が私にもありました。(即堕ち二コマ)
翌日、内心ワクワクしながら豊姫の到着を待っていた私が数秒後に見たのはエイリンのスカートに縋り付きながらこちらを涙目で伺っている金髪ょぅι゛ょの姿。対する私も速攻で怖がられて涙目。挟まれたエイリンは迷惑そうな顔。
迂闊だった…。
エイリンからの前情報を間に受けて初っ端から飛ばしすぎたようだ。
いくら好奇心旺盛と言ってもょぅι゛ょなのである、いきなり知らない人から名前を呼ばれながら笑顔で近づかれたら泣く。私だって泣く(確信)
それでも泣き出さず涙目で澄んでいるのはひとえに彼女の隣にいるエイリンのお陰であろう。エイリン
拾ってきた猫と飼い猫が初対面でコミュニケーション失敗して挟まれた飼い主のような心境であろうエイリンは溜息をつきながらも私たちに自己紹介をするように促した。
「…さぁ、豊姫。彼女に自己紹介しましょう?今日から貴女の新しいお友達になってくれる子よ?」
「…………」
豊姫は涙を浮かべていた目を小さな
「とよひめ、です。宜しくお願いします」
「っ、ええ。よろしくね豊姫」
いけない、明らかに精神年齢が年下の彼女から先に自己紹介させてしまった。泣いてる場合じゃない、私もはやく返さなきゃ。
「私の名前は…」
そこになってようやく。自分の名前がないことに気がついた。
「なまえ…は……」
そう言えば名前を考えていなかった。私がどもっているのを不審がったのか、豊姫がエイリンの方をむく。
「……ごめんなさいね豊姫。ちょっとこの子とお話してくるわ。」
そう言うとエイリンは私に着いてきてと言って部屋から出て行く。私もそれに続いて彼女にごめんね、と言いながら部屋を出た。
「……ごめんなさい。記憶喪失の貴女に対して配慮が足りなかったわ。」
「いいえ、エイリンのせいじゃないわ。私もさっきまですっかり忘れていたし、今日までほとんど一緒にいたからきづかなかったのも無理ないわよ」
廊下に出た私に彼女は頭を下げて謝った。慌てて彼女の顔を上げさせる。エイリンには一生掛けても返せないぐらいの恩があるのだからそんな態度を取られるとこちらがこまってしまう。
実際、出会った時から私はエイリンのそばから離れることも無かったし、私がエイリンを呼ぶことはあってもエイリンが私を呼ぶことは無かった。エイリンが忘れてしまうのも仕方がない事だろう。
「でも困ったわ。今決めようにも長話をしたら彼女に申し訳ないし…」
「………」
私がそうつぶやく横で彼女は口に手を当て考えるように少し瞑目すると。
「いい案を思いついたわ」
と言い、私に任せなさいと言って豊姫の待っている部屋に戻っていった。
数秒後、思いっきり襖が開けられて豊姫が私に駆け寄り両手を握った。事態を飲み込めず目を白黒させていると豊姫が口を開き、
「大変だったんですね…、でも大丈夫。永琳先生はとってもいい人です!私もできる限り協力しますから一緒に頑張りましょう!」
と私の顔を見ながら励ますように言ってきた。
どういう事だこれは。という言を視線にのせてエイリンを見ると彼女はやりきった顔をしながら親指を上げていた。
おい、何やりきった感を出しているんだ。全然やりきってないよ一体この子に何吹き込んだの?
そう考えるうちにも目の前のょぅι゛ょは勝手に話を進めていく。
「さぁ、まずは一緒に名前を考えましょう
「ファッ!?」
お、お姉ちゃん?オネエチャン!?
な、なんて可愛さ、いや破壊力だろうか。よく見れば金色で軽くウェーブがかかっている髪とか可愛いところ(自画自賛)とか、性格がいい所(自己申告)とか私にそっくりではないか。
豊姫は私の娘だった…?
勝手にトリップしている私を部屋の中に連れ込む
いやぁ、名前を考えて貰うっていうのはいいものね。2人がああでもないこうでもないと考えているのを見ているとなんだか胸がぽかぽかする。
そうして時間も遅くなり、豊姫は私たちに手を振りながら迎えの人と帰っていった。
「じゃあね〜
「じゃあねー豊姫。また明日〜。」
手を振り返し、微笑む。
名前が呼ばれるだけで嬉しい。何せエイリンと豊姫が一緒に考えてくれた大事な名前だ。
「…さぁ。そろそろ家に入りましょうか」
「えぇ、そうね」
先に扉を開けて家の中にエイリンが思い出したように振り返る
「おかえりなさい、紫」
「…えぇ。ただいまエイリン」
これからもよろしく。
<✤>
─ある少女の日記─
今日はお友達…お姉ちゃんが出来ました。
いつものようにエイリン先生のところにお勉強に行った私が出会ったのが紫お姉ちゃんです。
初めて紫お姉ちゃんを見た時、私は初めて見る人に固まってしまって思わず永琳先生の影に隠れてしまいました。
隠れてからハッとして彼女の顔を伺うと案の定というか彼女も泣きそうでした。
永琳先生に言われて自己紹介を私からしたけど、彼女は自己紹介の途中で黙り込んでしまいました。どうしたんでしょう?
気になって先生の方を見上げると先生もむつかしい顔をしていて、お姉ちゃんと一緒にお部屋から出ていきました。
廊下で何か話しているみたいだけど聞こえなくてもどかしい思いをしていると、先生だけが帰ってきて彼女の事を説明してくれました。
先生によると、彼女は記憶喪失で今は治療のために薬師でもある先生の家に寝泊まりしていること。当然自らの名前のことも忘れてしまっていることを私に話してくれました。
そんなこと私が聞いてもいいのだろうか、と思いましたが先生は
「だから彼女は名前はおろか、家族のことすら思い出せないの。どうか彼女に家族のように接してあげてくれないかしら。」
と言ってきました。
家族のことが思い出せないなんて、なんて悲しいんでしょう。
もしも私が母上の事を思い出せなくなったらとても耐えられません。
「そういう訳で今日は彼女の名前を決めるわ。豊姫もそれでいいかしら?」
「えぇ。大丈夫です先生!」
私はそう言うと廊下に出ていきなり出てきた私にびっくりしたような顔のお姉ちゃんにこう言ったのです。
「大変だったんですね…、でも大丈夫。永琳先生はとってもいい人です!私もできる限り協力しますから一緒に頑張りましょう!」って。
それから先生とお姉ちゃんの3人でお姉ちゃんの名前を悩みながら考えました。
そうして考えた結果決まったのは紫と書いてゆかりという名前。
私たちとお姉ちゃんが出会えた縁(ゆかり)に感謝する意味と彼女にぴったりの紫という色をかけた名前です。
それを決めてお姉ちゃんにどうかと聞くと、お姉ちゃんはポロポロと涙を流し始めてしまいました。
私と先生が何か不味かったかとおろおろしていると。紫お姉ちゃんは泣き笑いながらありがとうって言ってくれました!
なんだか私も嬉しくなって紫お姉ちゃんに抱きついてしまいました。
お姉ちゃんはちょっとびっくりしていたけど優しく微笑みながら抱き締め返してくれました。その時のお姉ちゃんの頭を撫でてくれた手がすっごく気持ちよくて、思わずそのまま眠っちゃいそうになってしまいました。
今日はお姉ちゃんと会えてとってもいい日でした。
はやく明日またお姉ちゃんと会いたいです。
お疲れ様でした。
毎回思いますが適切な文字量というのが分かりません←
( 木)<だ、誰か!視聴者の中に小説を書いている方はいらっしゃいませんか!?
割と毎回悩んでます(笑)
作中の翠屋はリリカルでマジカルな世界から出張してきてもらいました()
話は変わって今後の展開ですが、前回言った通りこのまま日常回が後最低でも4話ほど続きます。また、作中の「永琳」と(エイリン)の表記ですが、紫視点では永琳の漢字がわからないのでわざと漢字ではなくカタカナ表記としております。分かりづらくて申し訳ありません。
ご理解の程よろしくお願いします。