ようやく面倒事が金曜日に終わりましたので投稿です。
さて、今回は再び紫視点に戻りまして話を進めます。
前回の"思兼乃"シリーズはまたちょくちょく要所要所でこれからも挟もうかと思います。
「しんぶんしんぶん~」
時刻は朝の七時過ぎ。
いつもなら紫は朝食を作り始める時間だが、今朝は連日の研究明けの朝。いつも日の出と共に起きて研究に取り掛かる永琳も今朝ばっかりはお寝坊さんである。紫とて昨日は遅くまで永琳の横で研究のお手伝いをしていたが、紫にとっては研究で疲れた永琳が起きた時に自分の力不足で研究の深い所までの手伝いが出来なかったために、これまでの分も含めて甘やかす、もといお世話するつもりでいる。
紫と永琳の二人暮らしの八意家の本日の朝餉は研究明けの永琳に配慮したお腹に優しく、食べやすい
前回の研究明けの時に紫が振舞ったおじやを食べた永琳が気に入り、是非次からもということで言われたものだ。
水は適量で白だしの量はレシピよりも少し少なめ、鍋の中のご飯がぐつぐつしてきたら溶かし卵をくわえてかき混ぜれば出来上がり。上からお好みで刻みネギをかけていれば、おじやのいい匂いにつられて寝室から寝巻き姿の永琳が顔を出した。
「おはよう
「くぁ…おはようゆかり」
「ふふっ。朝ごはん、出来てるわよ。配膳しておくから先に顔を洗ってきてね」
「うん……」
いつもはキリッとして頼りになる永琳も研究明けの寝起きは弱い。勿論それは相手が紫だからこそ見せる隙なのだが永琳も紫もお互いにソレを自覚してはいない。
寝ぼけた大切な人のそんな一面を見て微笑み、さっそく紫は出来たてのおじやを鍋ごとテーブルまで持っていき、木製の鍋敷きの上に鍋を置く。
鍋の蓋を開ければ広がるのは黄金の世界。投入と同時にかき混ぜたことで固形化しなかった卵は米に金色のドレスを着せ、卵由来の優しい香りが白だしの香りと合わさることで食欲をそそる。
おじやの香りがリビングを包みこんだところで、顔を洗って幾分かスッキリとした永琳がリビングに入ってくる。
「あら、いい匂い」
「さぁ座って?朝ごはんにしましょう」
「えぇ」
手を合わせて食材に感謝して朝餉を食べ始める二人。
研究明けで今日一日は豊姫の勉強もなく暇な二人はゆっくりと朝食の時間を過ごしていく。
「前と少し味が違うわね?」
「研究明けだもの、味が薄い方が食べやすいと思って白だしの量を少し減らしてみたのだけど…どう?口にあったかしら」
「えぇ、食べやすくてありがたいわ。わざわざありがとう」
「そう!良かったわ。美味しくないって言われたらどうしようと思ってたの」
「そんな事は言わないわよ。貴女にはお世話になりっぱなしだわ…」
「良いのよ、今日は研究明けなんだし。も〜っと私に任せてくれていいのよ?」
「…あんまり貴女に頼り切り、と言うのも考えものね。あなただって私の研究の手伝いで疲れてるでしょう?
私も何か家事を手伝うわ」
「そう?じゃあお昼ご飯は一緒に作りましょうか。久しぶりに貴女と一緒にご飯が作れるわね♪」
「久しぶり…?(あれ、私最後に料理したのいつだったかしら。あれ…?)」
「どうかした永琳?」
「え、ああ。何でもないわ」
「あ、そう言えば永琳あてに便箋が届いてたのよ」
「便箋?誰から」
「え〜っと、月代だって」
「!」
「診療所の患者さんかしら、こんな名前の人いたかなぁ…」
「紫、ちょっとその手紙見せてくれるかしら」
「はいどうぞ」
永琳は不思議そうな顔をした紫から便箋を受け取ると中から手紙を見ていき、読み終えると一度大きく嘆息し、手紙を畳んだ。
「…紫、今日の予定って空いてるかしら」
「ええ。今日は洗濯物も溜まってないし、部屋の掃除をすれば午後は暇だとおもうわ」
「すまないのだけど、お昼から一緒にお出かけしない?」
「お出かけ?」
「えぇ、ちょっと中央街の方まで」
「別にいいけれど…なんだか顔がむずかしくなってるわよ永琳」
紫にお出かけの提案をした永琳の眉間には少しシワが寄っている。
それを紫から言われた永琳は指で眉間をほぐすと深くため息をついた後に紫に切り出した。
「貴女に会わせたい
<✤>
今日はお昼ご飯を永琳と一緒に作った。
永琳自身も久しぶりの料理だったみたいだけど包丁で指を切ってしまったりとかの困った事態は起きなかった。
まぁ、私が来る前から永琳は一人暮らしをながいあいだしていたようだし…長年の癖が数ヶ月で消える訳もないか。
そんなことを考えている私は隣でちょっと困った顔の永琳の手を握っている。
朝ごはんの時に渡した手紙の相手は永琳の知り合いだったらしく、永琳はお昼にお出かけしてその相手に私を紹介したいと言ってきた。
部屋の掃除が済めば今日やる事はもう無かったのでことわる理由もないしホイホイ付いてきてしまったのだが…。
現在、私達はエレベーターという閉所の中で黒服のガタイがいい人達に左右を挟まれています。
中央街に行く時は良かった。だけど永琳は中央街の奥にどんどん進んでいき、いつもなら行かないような場所を進んでいった。
そしていくつかの関所のようなものを抜けて辿りついたのは都のどこからでも見ることの出来る超高層ビル。
わたしはチビりそうになった(正直)
こんなところに住んでいる人と今から会うのが若干どころではなく不安だったし、極めつけにビルに入った後から私たちをエスコートしている黒服の人たちだ。完全にソッチの人にしか見えない。
私は典型的な内弁慶なのだ。永琳や豊姫の前でならある程度読経ある肝っ玉母ちゃんを演じることも出来るが、精神的には一般ピーポーなのである。
「ようこそお越しくださいました」「案内をお願いできる?」「勿論です」とこの黒服の人たちと普通に話せる永琳を改めて尊敬する。
私には絶対無理だ、現に今カタカタ生まれたての子鹿のように震えながら永琳の腕にすがりついている。
「えっと、紫?あんまり強く抱きつかれると苦しいというか…」
「ごめんなさい永琳、コレばっかりは譲れないの」
「………」
…なんだか黒服の人たちが申し訳なさそうにしている、気がする。
見た目とちがって中身はシャイで優男なのかもしれない。
と言うか、仮にも案内してくれている人たちに対してこの態度は失礼ではないだろうかと思い直す。
私は勇気を持って永琳から離れた。
「ふぅ、ごめんなさい永琳」
「いえ、まぁ私はいいけれど貴女の方は大丈夫なの?」
「えぇ。この程度ではこの紫、負けはしないわ」
「……ダメみたいね」
永琳は何を言っているのだろうか。
こんなに勇気を振り絞っている私がダメだろうか、いやダメではない(反語)
ガバガバ古文を考えているうちに目的の階に近づいているようだ。
エレベーターの速度が緩やかに小さくなっていくのをガラス張りになっている面を見ることで確認する。このエレベーターは扉から入って正面がガラス張りになっていて、おそらく都一の高層ビルディングある事もあって気色がとても綺麗だ。まぁ、そんな余裕はわたしにはなかったが。
やがてエレベーターが完全に停止し、雅な模様の扉が開いた。
…美しさで言葉を失った。
降りた階層は見える所全体が薄暗く、石畳の様なものがかろうじて見える奥の襖まで続いている。
石畳の左右には玉砂利が敷きつめられ、等間隔で石燈籠が並び、たよりなくもしっかりとした明かりを灯している。
室内のはずなのに虫の音と風に揺られる植物を魂が抜けたように眺め、肩を叩いた永琳の声にようやく一色を取り戻した。
「紫?」
「…ええ、ちょっとこの景色に魅入っちゃって…薄暗いけどとっても神秘的で美しくて、ここが建物の中だなんて思えないわ」
ようやく動き出した私は一足先にエレベーターの外に出ている永琳を追いかけ、石畳に踏み出した。
すると黒服の人たちはエレベーターに戻り、私たちに頭を下げると扉を閉めてこの階層から出ていってしまった。
「あら、あの黒服の人達はここまでは付いてこないの?」
「ええ、彼らはあくまで案内役。この空間に入る事までは許されていないもの」
そう言うと永琳は私に近づき手を握ってきた。
さっきは無意識に縋り付いていたから改めて手を握られるとなんだか照れてしまう。
「暗いから手を繋ぎましょう?足元に気をつけてね」
「……うん」
暗くてよく見えないが多分永琳も恥ずかしいのだと思う。
繋がった手がとってもあつい。それを自覚して、私もそうなんじゃないかと想うとバレてないかと恥ずかしくなってしまう。
「え、えっと、じゃあ行きましょうか」
「そ、そうね!」
伝わってくる永琳の体温と私の体温が混じりあってなんだか変な気分になってきた頃、随分遠くにあると思っていた襖の前に到着した。
「ついたわね」
「そ、そうね。一応ここからは土足厳禁だから此処で靴を脱いでくれる?」
私だけじゃなく永琳も変な気分になっていたのかちょっと声がぎくしゃくしてしまう。
手を離してちょっと寂しい気分になったのを頭を振って考えないようにすると永琳にこの先にいる人について尋ねる。
「ねぇ、永琳。この先にいる人って私なんかが会ってもいい人なのかしら」
「大丈夫よ。今回は彼女が貴女に会いたいから誘われたのだから」
「永琳じゃなくて、私?こんな場所に住んでる人がどうして私の事なんか…」
「まぁ、会えばわかるわ。わかっていると思うけれどこの先にいる方はこの都で力を持つ存在。お呼ばれの身として失礼のないように振舞って。分からなければ私の真似をすればいいから」
「わ、わかったわ…」
や、やっぱりエラい人とこれから会うことになるのか…でもその人からお呼ばれされるようなんて事は私には点で覚えが無い。
私がここに来てから知り合った人なんて永琳と豊姫とたまに診療所に来る人たち位なものだ。
やんごとなき人と接点を持つ事などないはず…
そんな事を考えていたが、靴を脱いで襖の前にたてば襖が自動で横に開いてしまった。考える暇もないようだと一度深呼吸し、覚悟を決めて先に入っていった永琳の背を追いかける。
部屋は日本の江戸時代の書院のような作りになっていた。部屋の外と同じく部屋自体が薄暗く、足元の畳が薄らと光っている。
石燈籠の代わりだろうか、和紙のような紙で造られた燈籠が部屋の隅に置かれている。良く見ればそれぞれの燈籠に違う絵が描かれている。
これから会う人は暗いところが好きなのかなぁと取り留めもなく考えてみても、会って話してもない人について考えても意味は無い。
永琳と奥の御簾の前にこれみよがしに置かれた二枚の座布団の所まで二人並んで歩く。
簾の前に到着し、座布団に座ると御簾の奥にも燈籠があったのだろうか、御簾の奥が明るくなる。
御簾の奥が明るくなると永琳が頭を下げ、それに習って私も頭を下げる。
しばらくして襖の開く音がした後にひたりひたりと人が入ってくる音がした。
「双方、面をあげよ」
厳かな、確かな存在感を持った声が部屋を満たす。
その言葉に永琳が静かに顔を上げ、私も自然と顔を上げる。
御簾には人影が写っている。この人が永琳が私に合わせたい人…?
「まずは八意よ、急な呼び掛けにも関わらずここまで足を運んでくれたこと、礼をしたい」
「身に余ることでございます。この身は都に住むもの、貴女様の呼び掛けに答えるのは当然のこと」
「そうか…そして、そなた」
言葉と共に私を見つめる視線を感じる。
「は、はい」
「紫と言ったか、そなたもご苦労であった。突然の呼びだし、困惑したことだろう。許して欲しい」
「そ、そんな滅相もございません」
自然と声がでてしまう。永琳が手紙を見てから誘ってきたのをもう少し考えればよかった。この方は手紙で映倫と私を呼び出したのだろう。
「此度ここに呼び出したのは、個人的にそなたに興味を持ったからだ」
「興味、ですか」
益々分からなくなってきた。あきらかに人ではないような雰囲気を放つ目の前の人方が私に興味?一体何故そんなことに…
「あぁ、そなたにすこし聞きたいことが「あれっ!紫お姉ちゃん!?」あ…ってな…」
?
…………?
……………………!?
い、今の声はもしかして
聞き覚えのあり過ぎりるその声を聞いて思わす顔を上げる。
目の前で御簾があちらからめくられるとその向こうからこちらを見てびっくりしたような義妹の姿が目に映った。
「と、豊姫!?何でここに…」
「なんではこっちのセリフだよ〜。お客さんが来るって言うからてっきり先生が一人で来ると思ってたのに…どうして紫お姉ちゃんがお家に居るの?」
「は?」
お家?おうち?house?ここが豊姫のhouseね?(混乱)
え〜っと、私は永琳に連れられてこの都で力を持つやんごとなき人に会いに来て…そしたらそこは豊姫のお家だった。
「う〜ん」
「なにっ!?」
「ちょっ、紫!」
「わぁ、お姉ちゃん!大丈夫!?しっかりして〜」
…紫 は 深刻なエラー を検知しました 再起動します…
<✤>
「うーん」
「なにっ!?」
「ちょっ、紫!」
「わぁ、お姉ちゃん!大丈夫!?しっかりして〜」
目の前で起きた自体にその場にいた紫を除いた全員が声を上げた。
後ろに倒れかけた紫を永琳が支え、紫の後頭部が畳とキスするのを防ぐ。
唐突な紫の気絶に月読見も思わず腰を上げ御簾から愛娘と共に出てきた。
そもそも今回のお呼び出しは単純に
「え、永琳様。紫殿は大丈夫なのでしょうか?」
「えぇ、ちょっと一気に知らなかったことを知っちゃって頭がパンクしちゃっただけみたいです」
「そ、そうでしたか…」
「どこか、お部屋を貸して頂けますか?この子を寝かしておきたいので…」
「あ、あぁそれなら廊下の突き当たりにある客室が空いていたはずです。そこへ運びましょう」
「私が案内するね!」
「ありがとう豊姫」
各々が言いたいことがあったが、とにかくこの場は倒れてしまった紫を客室で休ませることが先決だった。
「参りました……」
聞くものの心を揺さぶる声は先程と打って変わって弱り、口調まで変わった声が月夜見と永琳の二人きりの部屋に響く。
永琳と向かい合って座り、用意したお茶を啜るのは月夜見。長く、美しい銀髪が座っているために無造作に畳に広がっている光景は神秘的だ。
あのあと結局豊姫は月夜見に何故この場に紫がいるのかを問いただし、自分の義姉を自分に無断で呼出した理由を母から聞いた豊姫はへそを曲げてしまい、今は客室で寝てしまった紫の側にいる。
「月夜見様は親として御息女の事を心配しただけの事。何もおかしくはありませんよ」
「そう他人行儀になさらないで下さい。ここには私たちしか居りません。私は今はただの月夜命です」
「あら、そう?都の統治者ロールはもう飽きたのかしら?」
「う、いえその、貴方様の事を疑っていたわけではなくてですね…」
「分かっているわよ、都の統治者としてだけじゃなくて親として豊姫が話す相手がどんな人物なのか気になったから呼び出したんでしょう?」
「はい…全てお見通しでしたか」
「娘のことが心配なのは分かるし、あなた自体知らない人との会話だったから
「め、面目無いです…」
「そうやって謝るところ、あなた父親そっくりよ」
「あ、あんまり嬉しくないのですが…」
口調まで変わってしまった月夜見、いやさ月夜命は自らの恩師に対して頭が上がらない。
永琳とはそれこそ生まれた時からの付き合いであり、自らも豊姫と同じく彼女に教え導いて貰った為に永琳の事を深く信頼している。
故に月夜命は永琳の前では
「いや、本当に似てるわよ。
その眉を八の字にして背を丸めて謝罪する姿…父親に生き写しだわ。黄泉から帰ってきた時のことを思い出すもの」
その言葉に月夜命はその赤い目を細めて懐かしむように話し始めた
「思えば貴女様とはあの頃からの付き合いになるのですね。
最初にあった時、貴女様は伊邪那岐を、父を正座させていて…子供心に恐怖したものです。今思えば神の本能とも言うべきものが警鐘を鳴らしていたのでしょう」
「ちょっと失礼じゃない。あなた達姉弟はどうしてそういう風に私を見るのかしら。伊邪那岐は私の弟のようなものなんだから別に正座させるくらい変じゃないじゃない」
「えぇ、まぁその…」
その月夜命の態度に永琳は目を細める。
「…あら、何か言いたげね」
「いえ、そんなことは…」
「やっぱり…、あの子あなた達にも私の悪口とか言ったりしてたのね…」
永琳はその顔を悲しそうに伏せる。
「え?あの、永琳様?何か勘違いを…」
「分かってるの、あの子が私のことをよく思ってないことは。
だって、国生みの儀を安全にこなせるようにあの子達に教えたのは他でもないこの私。
過程はどうあれあの子は半身ともいえる彼女を失ったんだもの。嫌っていて当然よ」
「そ、そんな事はありません!
私たちが生まれてこの地に降りてくるより前に、父上はいつも貴女様の事を私たち姉弟に自慢していました!
確かに、あの人は怒ると怖いとか、高天原を裏で操る第六天魔王だとか言っていましたが、父上は誓ってあなたの事を憎んでなどおりません!」
「そう、そうかしら…あなたが言うならそうなのかもしれないわね」
「し、信じて頂けましたか…」
そうして顔を上げた永琳は満面の笑みで
「やっぱりあの子、裏で私の事第六天魔王何て子供に教えてたんだ」
「あ…」
月夜命はここにてようやく自分が目の前の神物の罠に嵌ったのを理解した。
「本当に困った弟分だこと…。
ふふ、フフフッ、アハハハハハ!」
「あ、あの先生」
「なぁに?ツクちゃん」
グリンと上を向いて笑っていた永琳が月夜命に顔を向ける。その目は完全に何人か殺してる目だ。瞳孔パックリである。
「ヒエッ、そ、そのですね。父上も悪気があった訳ではなくてその」
「分かってるわよ…あの子は当時幼かったあなた達に私の事をただ紹介したかっただけ…それは理解出来るわ」
「そ、それでは!」
「でもそれとこれとは話が別」
「ヒッ」
「大丈夫、別に酷いことをする気はないわよ」
「そ、そうですか」
「でも、悪いことをした子には罰を与えないとねぇ…」
「そ、そうですよね」
相づちを打ちながら月夜命は今は高天原にいる父に心の中で詫びた
「(申し訳ありません父上。ツクはもうこれ以上かばいたてする事は出来ません。不甲斐ない娘をどうか許してくださいまし…)」
…高天原の何処かでとんでもない悪寒をかんじた男神がいたとかなんとか
「…それで結局今日あの子をここに呼んだ理由は何?
まさか、ただの興味なんてわけじゃないでしょう?」
「…永琳様、あの方は壁の外で肉食トカゲに襲われていたのですね?」
「ええ。私が悲鳴を聴いて駆けつけた時には今まさに食われようとしていた所だった」
「その時に、何か彼女に違和感を感じたりはしませんでしたか?何かわざとらしかったり、死を恐れていなかったりなどです」
「…どういう意味かしら」
「そのまま取っていただいて構いません」
その言葉に永琳は眉をピクリと動かした
「まさか彼女がわざと私に見つかるように肉食トカゲに追いかけられたなんて疑っているの…?」
「永琳様は私が父上よりこの"夜の食国"を任された事は知っていますね?」
「ええ。
あの子は黄泉に近く、死の概念が近くにあるこの国を彼女と、伊邪那美と似た力を持つ貴女に任せた」
「そう、私の力は月と夜を司り穀物に大きく関係するもの。穀物だけでなく、夜と月を越えることで変わってゆくこの地に住むものの生命の流れを
「…聞きましょう」
「あの方は、紫殿は…
この都に終わりをもたらすかもしれない」
お疲れ様でした。
なんか最後不完全燃焼な感じが否めませんが、次回に持ち越します。
正直これからの分も今回に挟むと余裕で一万文字行きそうになったので此処で区切らせていただきました。ご理解の程宜しくお願いします。
さて、少しずつ紫を中心に事態が動き始めた第七話ですがほのぼのタグを守れるか今から心配でなりません←
ほのぼのしてぇなぁ〜俺もなぁ〜