ダンガンロンパ インフィニティ   作:アカツキ

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初めましての方は初めましてアカツキです。
この度ダンガンロンパの二次創作。所謂創作論破を書いていきたいと思います。
創作論破は初めてなので指摘などがありましたらよろしくお願いします。


Prolougue『希望の持つことのできない世界』
プロローグ ~前編~


Prologue『希望の持つことの出来ない世界』

 

 

 

ああ、どうして、オレはここに居るのだろう。

 

 

希望などありはしないこんな絶望の世界に。

 

 

ああ、何故、オレは足を踏み入れてしまったのだろう。

 

 

こんな世界に足を踏み入れなければよかったのに。

 

 

ああ、過去に戻れるならやり直したいものだ。

 

 

まだこの世界に希望を持つことが出来た時に。

 

 

誰かこの世界に希望を。

 

 

希望という名の光を。

 

 

オレが諦めてしまったこの世界に。

 

 

この世界に希望という名の光を…………

 

 

…………オレが本当の意味で希望を失ってしまう前に。オレが染まってしまう前に…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私立希望ヶ峰学園』

 

誰もが一度は憧れたことがあるであろう学園である。

あらゆる超一流の才能を持つ高校生達が通う完全スカウト制の政府公認の学校。

目的はもちろん各々の才能を育て上げることだろう。

 

『卒業すれば人生の成功が約束される』

 

ここまで言われている学園に入れた以上、入学した時点で人生勝ち組コースだ。

ただ、唯一懸念する点を挙げるとするなら……

 

「オレなんかが入ってもいいのか……?」

 

この学園に入るという重みだ。

毎年数十人程度しかこの学園には入れないらしい。高校生と言っても全国に同年代は100万人は軽く居るだろう。そんな中の数十人。

果たしてオレにその価値があるのだろうか?

 

「ただ、スカウトはされたのは事実だし受けたことも事実だな……」

 

そうだ。本当に嫌なら断ると言う選択肢があったのだ。それをしなかった以上ここでグズグズしていても仕方ない。それにここの入学案内パンフレットとかも貰ったんだ。よし、行くか。

そう決意を新たにし、一歩踏み出す。一歩、また一歩と歩いていき、そして門の元まで辿り着くと……

 

 

 

景色が歪み始める。

 

 

 

歪みはどんどん酷くなり、

 

 

 

どんどんどんどん酷くなり、

 

 

 

遂に真っ暗になってしまう。

 

 

 

そこでオレの意識は途絶えた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると真っ先に飛び込んできたのは白い天井。

 

「ここは……?」

 

オレは見覚えのない部屋の見覚えのないベットで横たわっていた。

オレはさっきまで確か……?あれ?希望ヶ峰学園の校門をくぐったのは覚えている。あれ?そこからどうしたんだ?もしかして、倒れたのか?

 

「なら、ここは学園の保健室か……?」

 

いや、それにしてはおかしい。この部屋の作りはどう考えても学校の保健室と言うよりはホテルとかの個室。こっちの方が近い。

それに保健室にしては……いや、ホテルとかどっかの個室にしたっておかしな点がこの部屋に最低でも二つある。

 

 

窓と思われる場所に打ち込まれている鉄板。

そして、部屋の天井の隅にある監視カメラ。

 

 

この二つが存在していることは不思議だ。この部屋を調べるか……もしかしたら、監禁されているかもしれないしな。

 

「ん……?」

 

ふと木製の机の上の紙に目が留まる。その紙には……

 

 

『めがさめたひとからたいいくかんにしゅうごう。

 たいいくかんはへやをでてまっすぐひだりにいってね』

 

 

……全部平仮名とか舐めてんのか。まぁ、多少汚い字で書かれているが恐らく……

 

 

『目が覚めた人から体育館に集合。

 体育館は部屋を出て真っ直ぐ左に行ってね』

 

 

こう書きたいのだろう。これぐらい漢字表記にしたって小学生以外なら読めるはずだぞ?

というか、体育館?ということはここはやっぱり希望ヶ峰学園なのか?

 

「……まぁいい。ここでじっとしていても時間を消費するだけだ」

 

そう思いオレは軽く身なりを整えて部屋を出る。……あれ?こんなブレザー着てたっけ?というか、うちの中学のヤツだぞコレ。

 

ガチャ

 

普通に開いた。あれ?カギしてなかったのか。

 

ガチャ

 

すると、右の方から扉が開く音がする。

よく見るとオレの隣の部屋だ。というか、同じような扉が向こうまで……あ、よく見たら反対側にも続いている。……ということは、やっぱりここはホテルなのか?

 

「あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

そしてオレを見るなり騒ぎだす中から出てきた不審者。

この不審者……服装は意外に普通だ。白っぽいTシャツの上に水色っぽいカーデガン。下は普通の長ズボン。どうやら、オレと似たような立場の人間のようだ。

 

「よ、良かったぁ……人がいた……」

 

そこかよ。というか、そこだけで驚いたのかよ。

 

「ねぇね、君名前は?」

「……天原恭也」

「天原くんって言うのか……よし覚えた。僕は鹿野和馬。よろしくね」

 

目の前の不審者改め鹿野はオレをキラキラという効果音が似合う音で見てくる。

 

「何か変か?」

「本当に人なんだなぁ……って」

「人だわ」

 

出会い頭に失礼な奴だ。

 

「ほらさっさと行くぞ鹿野」

「行くって……何処に?」

「なんだ。部屋に指示書(?)があっただろう。行くんだよ体育館に」

「そう言えばそうだった!行こうよ天原くん!もしかしたら、僕たちと同じように人がいるかもしれないよ!」

 

まぁ、少なくとも指示を出した奴が居るんだ。誰かは居るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが入り口みたいだね……」

「そうだな。開けるか……」

 

体育館の重々しい雰囲気の扉を開ける。開けた中には……

 

「これで16人。もうこれ以上待っても誰もこないだろうな」

 

上下運動部を思わせるようなジャージ男がそうつぶやく。

彼の言う通りこの場には16人のいずれも高校生と思われる人達がいた。

 

「えーっと、君たちは誰?」

 

隣の鹿野がつぶやく。そう。オレたちは初対面。相手の名前なんて知るわけがない。

 

「そうですね。(わたくし)も皆様を存じ上げません。ここは一つ自己紹介をしましょうか」

 

燕尾服を着た青年が提案する。妥当なところだ。

 

「じゃあ、誰から言ってく?」

 

こちらもまた運動部っぽいジャージを来た女子が言葉を発する。さっきの男の人のと色合いがちょっと違っているが。

 

「そうですね。私が提案したのです。私から言いましょう」

 

そう言ってコホンっと咳払いをする。

 

「私は和合伸太郎。超高校級の交渉人と言われております」

 

 

 

【超高校級の交渉人  ワゴウ シンタロウ】

 

 

 

交渉人……なるほど。いまいちピンとこない才能だ。というか、ここに集められた人は全員超高校級の生徒ってことか?

 

「交渉人ってことは交渉する才能ってこと?」

「はい。ですが私ごとき。まだまだ超高校級と呼ばれるだけの交渉をしているってわけではありませんが」

「そうなのか?」

「はい。例えば、生徒会に部費の値上げを交渉したりとか……」

 

うわっ。規模小さ。

 

「市の教育委員会に教育についての交渉をしたりとか……」

 

うわっ。規模が大きくなった。

 

「後はそうですね。海外での紛争地域に赴き紛争している両国と交渉して紛争を止めさせた……ぐらいですかね」

 

遂にグローバル。そりゃあ。超高校級の交渉人と言われても不思議じゃないわ。

 

「というわけで、全然未熟者の交渉人です。では次の方。お願いします」

 

謙遜する交渉人、和合。オレの予想だと紳士か執事だと思ったんだけどなぁ……。

 

「じゃあ、次は俺が言うか。俺は熊沢真裕。超高校級の司令塔だ」

 

 

 

【超高校級の司令塔  クマザワ マサヒロ】

 

 

 

「えぇっ!?熊沢くんって塔に変身出来るの!?」

 

……はぁ?何を言い出すんだ?

 

「アハハ、面白い冗談だ」

 

笑い飛ばす熊沢。いや、この反応は冗談とは思えないが……

 

「悪いが俺は塔には変身出来ねぇよ」

「そうなんだ……」

「では、熊沢様はどういった司令塔でございますか?」

 

質問する和合。様を付けて呼んでるあたり本当にこいつは執事じゃないのか?

 

「そうだなぁ……サッカーにバレー、バスケなどまぁ、チーム競技全般か?俺の場合特にサッカーか。まぁ、欲を言えば『超高校級のエースストライカー』とか『超高校級のゲームメイカー』の方がカッコイイんだけどな」

 

なるほど。熊沢はサッカーをやっていたのか。

 

「もしかして、熊沢くんも和合くんみたいなことをやったの?」

「ないない。俺は単純に弱小サッカー部とバスケ部を全国一に導いたぐらいだ。ありきたりだろ?」

 

……確かに漫画やアニメではありきたりだとは思うけどさぁ……。

 

「そんなことより次の人だ。次は……そうだな。さっき質問して来たお前。自己紹介を頼むよ」

 

そして、熊沢は鹿野に自己紹介するよう指示を出す。まぁ、才能が司令塔だし、彼が纏めていっても不思議では無い。というか、エースとかでは無いあたりこっち系の才能を買われたのだろう。

 

「僕は鹿野和馬。よろしくね」

「あれ?君、才能は?」

 

ふわっとした感じの、色も緑に近いようなワンピースを着た女の子が声を掛ける。

 

「僕の才能は……その…………カなんだ」

「え?なんて言ったの?」

「…………バカなんだ。超高校級の」

 

 

 

【超高校級のバカ  カノ カズマ】

 

 

 

……いたたまれない空気がこの場を支配した。ほぼ全員が鹿野の才能に驚き、哀愁と慈悲を込めた眼差しで彼を見る。

そして、そんな誰も口を開けなくなった空気をぶち壊した者が居た。

 

「つまり、鹿野の才能は私とは真逆の才能ってことだな」

 

黒基調のセーラー服(?)を着た女子だ。

 

「口を開いたついでに自己紹介も済ませるとしよう。私は神戸光沙。超高校級の勉強家だ」

 

 

 

【超高校級の勉強家  コウド マリサ】

 

 

 

勉強家とは……鹿野とは真逆の才能って言うのは間違ってないな。

 

「べ、勉強家……?」

 

鹿野が恐れるように神戸に聞く。確かに、鹿野のバカってのも神戸の勉強家ってのも超高校級なのだ。どれ程の奴か見当もつかない。

 

「なに、私は勉強が別に好きってわけじゃない。ただ、知らない言葉や気になったことを勉強し続けていったらこんな風に呼ばれるようになっただけだ」

「そ、そうなんだー」

 

恐らく超高校級と言われるほどだ。常人には彼女の勉強量は想像を絶するものとなっているだろう。

 

「おいおい鹿野。というか、お前はどれだけ勉強ができないんだ?超高校級のバカって呼ばれるほどなのだろう?」

「失敬な。僕だってこの肩書は不名誉だと思っているんだよ」

 

……それが普通だ。

 

「超高校級のバカか……おい鹿野。三つ質問するから答えてみろ」

「あ、うん」

「第一問。化学『H()O』は何か答えなさい」

「……ごめん神戸さん。僕英語は苦手なんだ」

 

……それは化学式だバカ野郎。

 

「第二問。数学三角形の面積の求め方は?」

「えーっと、(底辺)×(高さ)だね!」

 

……それは長方形の面積しか求まらないぞ?もしくは正方形。

 

「……第三問。明治時代に活躍した人物を三人挙げなさい」

「えーっと、卑弥呼と小野妹子と織田信長かな?」

 

全然違うわ。というか、三人とも生きた時代からして既にバラバラだしな。

 

「……よくそれで中学卒業できたな…………」

 

あまりの解答の酷さに神戸は頭を抱える。

そして再びいたたまれない空気がこの場を支配した。

 

「あはは……あ、自分が自己紹介していいッスか?マサっち?」

 

そう言って名乗りを挙げたのは先程のワンピースを着た女の子。

 

「……マサっちって俺のことか?」

「そうそう」

 

おかしなあだ名を付けられた熊沢。お疲れ様です。

 

「まぁいい。どうせ全員言ってもらうしな」

「ありがとね。自分超高校級のイラストレーターの清田紘子って言うッス。よろしくッス」

 

 

 

【超高校級のイラストレーター  キヨタ ヒロコ】

 

 

 

「よ、よろしくっす?」

「そうそう。自分の中で語尾に『ッス』を付けるのが流行りなんッス。分かったっスか?まろく?」

「ま、まろく……?」

 

どうやら鹿野のあだ名はまろくに決まったようだ。

どうも清田のあだ名の付け方はよく分かんない。まぁ、一発で分かるわけないか。

 

「イラストレーターの清田か……吾輩は聞いたことあるぞ」

 

そう言って現れた(正確には元からいたけど目立ってなかっただけだ)のはパーカーを着たちょっとぽっちゃり系の男。後眼鏡をかけている。もしや、超高校級のオタクか?

 

「おぉ~自分って有名になっていたんッスね?」

「ああ。今、あらゆるアニメや出版会社から引く手数多で、描かれたイラストは本物のようって噂だ」

「そんな大袈裟ッスよ。自分は絵描きたい物をただ、思うままに描いてるだけッス」

「それでも、素晴らしいことだと吾輩は思うがね」

「ありがとうッス」

 

へぇ~そんなに有名なんだ。

 

「そんなに有名なんだな。清田って」

「……え?天原くん逆に知らなかったの?」

 

……何だその心外そうな眼は。凄いムカつくのだが。

 

「じゃあ、次は君。よろしく」

 

そう言って指を指されたのは先程のぽっちゃりの子。

 

「吾輩の番ですか。吾輩は荒川良一。超高校級のパソコン部です」

 

 

 

【超高校級のパソコン部  アラカワ リョウイチ】

 

 

 

正直オタクだと思っていた。でもパソコン部……まぁ、そんな気もしなくはないか。

 

「パソコン部?超高校級の?」

「そうです鹿野殿」

「えーっと、具体的には……?」

「そうですね。タイピングの速さや正確さはもちろんのこと、パソコンで出来ることは大抵高いレベルで出来ます」

「凄いんだね!という事はパソコンを作れるの!?」

「その発想は無かった……。プログラムを作ることは可能だがパソコンそのものを作れるかとは……さすが鹿野殿。常人ではありえない発想ですな」

「いや~照れるなぁ。そんなに褒めなくても……」

 

いや、パソコン部=パソコンを作れるわけじゃないからな。

後、多分それ褒めてないから。常人ではそんなパソコンを作るなんてことパソコン部はしないって分かってるから。

 

「さて、そろそろウチも自己紹介しよかな?ウチは海部弥香。超高校級のダイバーです」

 

 

 

【超高校級のダイバー  カイベ ミカ】

 

 

 

そう言って自己紹介をしたのはジャージを着ている女子だ。

 

「ダイバー?それって百円ショップの……」

「それはダイソー」

「あ、もしかしてラ〇ライブが好きな……」

「それはライバー」

「じゃあ、プラスとマイナスの工具セットに入ってる……」

「それはドライバー」

「分かった。あの運転免許証を持っているのに運転しない……」

「それはペーパードライバー」

「……これも違うのか。なら鉛筆の芯からできるって言われる……」

「それはカーボンナノファイバー」

 

徐々に離れていってる。というか、どうしたらダイバーからカーボンナノファイバーになるんだ?というか、カーボンナノファイバーなんて良く知ってたな?バカの癖に。

 

「じゃあ、辛さが癖になる小学生に人気の料理……」

「それはカレー……ってもう伸ばし棒しか合ってないじゃない」

 

全くだ。というか今までダイバーの最後のイバーが合ってたことに驚きだ。

 

「いい?鹿野君。ダイバーっていうのはダイビングをする人のことだよ」

「え?ダビング?」

「それは違うからね?ダイビングってのは簡単に言えば海に潜ることだよ」

「へぇ~」

「潜水士っていえば分かる?」

「おーそれなら分かるよ」

 

何故ダイバーってものを説明するのにここまで労力を使うのだろうか?

 

「要するに海女さんみたいな人だね?」

「なんか違う……今度説明してあげるから今はそれでいいや」

 

諦められたぞおい。

 

「あはは……じゃあ、次は……」

「なら、ワシが行こう」

 

そう言って一歩前に出たのは学ランをきた男。

 

「ワシは柴典孝じゃ。こう見えて超高校級の文化委員じゃ。よろしく頼む」

 

 

 

【超高校級の文化委員  シバ ノリタカ】

 

 

 

口調がどうもおじいさんみたいな奴だ。てっきり役作りをしている役者か演劇部と思ったよ。

 

「超高校級の……文化委員?」

「そうじゃ」

「……ダメだ。今までのどの才能よりもイメージが湧かない」

 

そこは同感しよう。

……でも、お前の場合どの才能も正しいイメージが湧いてなかったよな?

 

「まぁ、普通の反応じゃのう。それにワシの場合中学の文化祭で学校の経営難を救ったくらいで特に何もしとらぬしなぁ」

 

……それでも十分凄いと思うのは気のせいか?

 

「へぇ~でも、文化委員って何やってたの?」

「そうじゃな。文化祭の統括とか……あ、後、文化財の保護もしたかのう」

 

……あれ?急に話のスケールがデカくなったぞ?

 

「あれ?それって、学校単位の話で済む話じゃないよね?」

「おっ、そこに気付くとは鹿野よ。意外と話は伝わってるのじゃな」

「失礼な。会話ぐらいできるよ」

「まぁ、半分嘘じゃ」

「あ、何ださっきの文化財の保護なんて話。半分嘘だっ――」

「本当は文化祭で総括じゃなくて企画運営を裏でやっておった」

「――――うん。そこどうでもいいよね?」

 

全くである。

 

「じゃあ、次の人……」

「あ、ぼくが」

 

ふむ。我先にと自己紹介をしようとしているな。丁度16人の内8人終わったし、きっと最後を締めくくりたくないのだろう。当然だ。まぁ、その点オレは自己紹介を……あれ?まだ済ませてなくない?

 

「ぼくは屋代秋乃って言います。超高校級の幸運で入りました。よろしくお願いします」

 

 

 

【超高校級の幸運  ヤシロ アキノ】

 

 

 

なるほど。このピンクっぽいカッターシャツを着た子が例の幸運枠か。

 

「超高校級の……幸運?」

 

どうやら鹿野は知らないらしい。

 

「僭越ながら私が答えましょう。『超高校級の幸運』本来、希望ヶ峰学園は完全スカウト制、学校側が認めたあらゆる分野での一流をスカウトし、この学園に通わわせています。しかし、1人だけ。そんな才能など関係なしに入れる人がいます。それが『超高校級の幸運』です」

「へぇ~でも、なんでそんな枠を?」

「そうですね。この希望ヶ峰学園が通っている生徒の才能について研究しているのはご存知ですか?」

「も、もちろん(知らない)さ」

「その研究の対象として、この何百万人に一人をランダムで選んでいるのです。意図を深くは存じ上げませんが、『幸運』というのもこの学園の研究対象なのでしょうね」

 

細かく説明を和合がしてくれたおかげでオレや他の一部の人も改めて彼女の才能について分かったみたいだ。

 

「ん?鹿野殿。頭から湯気が出ているぞ?」

「まさか、この程度の情報だけで脳みそがパンクしたのか?」

 

ただ一人。隣のバカを除いて。

 

「おい鹿野しっかりしろ。あまりの事に荒川と神戸が心配しているぞ?」

「えーっと研究対象が幸運でランダムに生贄を捧げ魔王を召喚して……」

 

ダメだこりゃ。おかしな方へと発想がいっている。

 

「あはは……でも、ぼくなんて全然だよ。皆と違って偶然入っただけだし……皆みたいに凄くないし……」

 

若干暗めの幸運こと屋代。

 

「大丈夫だよあっきー。まろくに比べたら全然オッケーだよ」

 

そして清田に勝手に比べられるまろく。比べられたまろくはと言うと、

 

「はっ!超高校級の幸運ってことは宝くじの一等当たり放題で億万長者も夢じゃない!……僕ってもしかして超高校級の天才?」

 

とてつもなくどうしようもなく救いようのない阿呆なことを言っていた。

 

「いや、宝くじは買ったことないからぼくには分からない……かな?」

「よし、今すぐ宝くじを買いにいこう!」

「待て待て鹿野。まだ全員自己紹介終わってないだろ。買いに行くなら自己紹介終わってからにしろ」

 

いいのか熊沢。買いに行かせたら碌なことにならないだろ?

 

「……分かったよ」

「よし。分かってくれて何よりだ。じゃあ、次はそこの君。お願いできる?」

「わ、ワタシですカ?ワタシは超高校級のボーカリスト、ノエル・フレイザー・ペイナーデス。お願いしマス」

 

 

 

【超高校級のボーカリスト ノエル・フレイザー・ペイナー】

 

 

 

 

自己紹介をしたのは、ブラウスにデニムって言う普通の私服でいる外国人と思われる子。

いや、名前からして外国人か。

 

「えーっと、ノエル・フレイザー・ペイナーさん。えージャパニーズオーケー?」

「ノエルで大丈夫ですカズマサン。日本語も問題ありまセン」

 

確かに、こちらの日本語も理解しているようだし、間に翻訳者はいらないか。

 

「ノエル・フレイザー・ペイナーか。まさか、あの有名なアメリカ人ボーカルに会えるとは……」

「あれ?荒川くん知ってるの?」

「ああ、噂でな」

 

荒川って見た目通りこういう事に精通してるんだなぁ。

 

「ところで、素朴な疑問なんだけどさ。歌手とボーカルに違いってあるの?」

 

ここにきて初めて鹿野がまともな質問を繰り出した。おぉー。

 

「私が答えよう」

 

ここで現れたのは神戸。まぁ、超高校級の勉強家なら知ってて当然だろうな。

 

「……と言ってもそうたいした差はない。歌手はそのまま歌を仕事とする人って意味や歌い手を意味する。ボーカルは歌を仕事とする人達の中でもバンドの中での歌う人って意味合いが強いな。まぁ、根本は同じ歌う人ってことだ」

 

なるほど。分かりやすい。

 

「はい。ですから、歌う事は得意デス」

「ふむふむ。そういうことなのか……まぁ、大きな差はないってことだね!ノエルさん」

「そうデス。カズマサン」

 

……それで済ませたけどいいのか?まぁいいのだろう。

 

「では、次はわたしが自己紹介をしましょう」

 

現れたのは、いかにもメイドですって感じの服を着た人。あれ?でも、メイド喫茶(?)とかよりも本格的なのが現れたぞ?

 

「わたしは久保山水月。超高校級の家政婦をさせていただいております」

 

 

 

【超高校級の家政婦  クボヤマ ミツキ】

 

 

 

なるほど。メイドでは無く家政婦だったか。

 

「家政婦……?あードラマとかに出てくるああいう家政婦のこと?」

「そうですね。鹿野さんに分かるように言い変えるのであればメイドと言った方がいいですか?」

「メイド……メイド……メイド喫茶か!」

 

ダメだ。こいつの頭の中にはメイド=メイド喫茶に出勤している人になっている。

 

「……あれ?何か違いますね……」

「あれ?違うの?」

「そうやったら、『お手伝いさん』って言い変えた方が分かりやすいのではないかのう?」

「そうですね。そっちの方が分かりやすいです」

「おぉー柴くん凄いんだね」

「そんなに褒めて何も出せないぞ?」

 

なるほど。そうやって伝えればいいのか。

 

「まぁ、わたしに関しては本当に説明することがないですね。何か聞きたいことはありますか?」

「じゃあ、聞くけど。何処に仕えていたの?」

「そうですね……この国のある程度豪華な家に何度か。皆さんが知っているとなると……十神財閥とかでしょうか」

「やっぱり、金持ちは違うんだねぇ~」

 

家政婦を雇う人なんてある程度裕福な家であろう。そりゃ、一般家庭の一庶民が家政婦を雇っていたらすぐに生活費は赤字になるだろうな。

 

「さて、熊沢さん。私は以上ですので、次の方を」

「そうだな……取りあえず、さっきから参加する意思の見られない四人の自己紹介を終わらせるか」

 

そう。今までの自己紹介を聞いていたか怪しい人達がこの場には四人も居る。まぁ、聞いてはいた……よね?

 

「むにゃ~それってゆめのこと~?」

 

そうやって声を出したのはピンクのパジャマに可愛らしいナイトキャップを被った女の子。

 

「そうだな。君も自己紹介をしてくれ」

「わかった~ゆめはね~ちょーこうこうきゅーのスリーパーの涼宮ゆめだよ~」

 

 

 

【超高校級のスリーパー  スズミヤ ユメ】

 

 

 

ちょ、超高校級のスリーパー?

 

「え、えーっと涼宮さん?超高校級のスリーパーって……何?」

「仕方ないな~教えてあげよ~う。ゆめのね~趣味はねること~特技もねること~気づいたら大抵ねてる~」

 

あーだからスリーパーね。

 

「???寝るのが好きな人のことをスリーパーって言うの?」

「そうじゃないと思いますカズマサン。ユメサンが言いたいのは、英語のsleeperつまり眠っている人のことデス」

「なるほどね。気付いたら寝ている。だから、超高校級のスリーパーということね」

 

分かってない鹿野のためにノエルと海部が説明する。やれやれだ。

 

「現にほら、もうこの子ねているよ?」

「むにゃ……」

 

海部の言う通り既に涼宮は夢の中。やれやれ。これ実は才能よりも病気に近いんじゃねぇのか?

 

「じゃあ、次は……白衣を着た君。お願いできるかな?」

「うむ。どうやら我の出番のようだな」

 

白衣を着てその上眼鏡。うん。こいつの才能は絶対学者とか研究者とかそういう系だ。主に理系の。

 

「我は、白数智也。超高校級の数学者である!」

 

 

 

【超高校級の数学者  シラス トモヤ】

 

 

 

なるほど。数学者だったか。

 

「へぇ~お前があの白数だったか」

 

そしてそれに反応したのは神戸である。

 

「え?神戸さん。白数くんと知り合いなの?」

「いや、私が一方的に奴を知っているだけだ」

「へぇ~どんな人なの?」

「そうだな。奴は幼くしてミレニアム問題の二つを解き、新たな定理の提唱もし、その才能っぷりから『オイラーの再来』と噂されるほどだ」

 

へぇ~でもさ神戸。オレは理解できたが……

 

「ミレニアム問題?お、おいらのさいらい?」

 

鹿野が理解出来るわけねぇだろ。

 

「ミレニアム問題は簡単に言えば数学において最高難易度を誇る問題で解ければ懸賞金がもらえる。まぁ、これを解くのは私でも無理だ」

「そんな……。じゃあ、僕が解くなんて絶望的じゃないか!」

 

それは最初からだろ?

 

「次にオイラーだが、フルネームで言うならレオンハルト・オイラー。まぁ、過去の超凄い数学者だったって解釈でいいだろう」

 

凄い大雑把で手抜き感しかしない!まぁ、そういった説明の方が……

 

「なるほど。オイラーさんは凄い数学者だったんだね!」

 

こいつの頭には入りやすいか。

 

「ふはは。我の事を知っている者がいたか。まぁよろしく頼むぞ」

 

何と言うか……頭のねじが飛んでそう。

 

「次はそこの着物を着た君」

「……俺に指図するな司令塔」

 

……やべぇ。遂に反抗的な奴が来てしまった。むしろ今までがすんなり行きすぎたと思うけどさ。

 

「しかし、貴方様の名前を知らないと何かと不便でしょう?せめて名前と才能だけでも教えてはくださいませんか?」

「フン。まぁいい。交渉人の言う通り才能と名前を言ってやろう」

 

うん。本当に反抗的な奴が来てしまった。

 

「俺の名は古屋敷賢人。才能は碁打ちだ」

 

 

 

【超高校級の碁打ち  フルヤシキ ケント】

 

 

 

棋士でなく碁打ちとはまた渋い。というか、何でここの人達は若干予想とずれた才能を有しているのだろう?

 

「ご、碁打ち?」

「簡単に言えば囲碁を打つ人のことだ」

 

誰からもフォローがなかったのでオレが答える。

 

「囲碁か……回り将棋しかできないなぁ……」

「いや、全然違うからな?囲碁と回り将棋って全然違うから」

「じゃあ、五目並べ?」

「碁石は使うけど!使うけどさ……!」

「えぇい!〇✕ゲームのことか!」

「一気に遠ざかった!凄まじい勢いで囲碁から遠ざかった!」

 

もうダメだ。こいつへのツッコミは疲れる。

 

「じゃあ、次はそこの君。お願いできる?」

 

そして残った黒のスーツに身を包んだ女子(?)に自己紹介を促す熊沢。

 

「……杉谷玲奈」

 

うん。名前からして女子だ。この名前は男子にはあまりつけないだろう。

 

「えーっと……才能は?」

「……スパイ。超高校級のスパイ」

 

 

 

【超高校級のスパイ  スギタニ レイナ】

 

 

 

わぁ。スパイなんて実在するんだね。

 

「超高校級のスパイ!?」

 

鹿野が驚くように大声を上げる。

 

「むにゃ、かのうるさい」

 

そして、その声によって起きた涼宮が覇気のない声で注意する。

 

「それって……それって……!」

 

鹿野が手を握り締める。まぁ、スパイって言うのは凄くはあるが、どっちかと言えば犯罪者に近いからな。鹿野が怒るのも無理ないか。

 

「それって…………凄くカッコイイじゃん!」

 

訂正。ただ単純に興奮しているだけだった。

 

「……ええと……ありが……とう?」

 

おい鹿野。あまりの事に杉谷が動揺してるぞ。

 

「スパイかぁ……カッコイイよね~ねぇね。もしかして、スパイ道具とかあるの!?」

「……あるにはある」

「おおっ!スパイカッコイイ~あ、握手してよ杉谷さん!」

「……いいけど……」

 

手を握って凄い勢いで振る鹿野。とまどう杉谷。

 

「……彼の反応が異常だと思うのボクだけ?」

 

安心しろ。オレもこいつの反応はおかしいと思う。さすがバカの極みだ。

 

「おぉっ!スパイってカッコイイよなぁ~」

 

……この男に付いていくのは大変そうだとしみじみ思う。

 

「さて、後自己紹介してない奴居るか?」

 

ふむ。後、自己紹介してないのは……あ、オレか。

 

「あーオレか。もしかして最後?」

「あーそうみたいだな。もしかしなくとも最後」

 

はぁ。まぁ、気楽に無難に終わらせますか。

 

「オレは天原恭也。よろしく」

「あれ?天原くん才能は?」

「あー才能な……悪いが覚えてないんだ」

 

 

 

【超高校級の???  アマハラ キョウヤ】

 

 

 

「本当に!?」

「ああっ。覚えてない」

「才能を隠しているんじゃないのか?アンノーン」

 

古屋敷からの疑いの眼差し。いや、古屋敷だけじゃねぇな。半分くらいの奴が怪しむように見ている。

 

「ああ。本当に覚えていない。というか、隠す必要ないだろ?この場にはスパイもバカも居る。隠す必要なんて微塵もない。むしろ隠すメリットが見当たらない。古屋敷もそう思わないかい?」

「……フンッ」

 

そう。本当に綺麗に才能を全く覚えていない。

というか、記憶も所々欠けているし……一体オレは何者なんだ?

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

その鐘は何の前触れも鳴り響いた。絶望の始まりを知らせる鐘の音が……

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