ブルーモーメント   作:はじ

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艦娘の秘密?

「明石はまだか、ところで暁は何でそこに座ってるんだ?」

 

鎮守府内喫煙スポット執務室を満喫中の暁を注意したい元帥です。不相応な地位についてしまい元帥などと呼ばれてるけど、五年前の赤紙で提督になった元一般人です。一応、執務室は応接室もかねてるから喫煙可能ではあるけど執務机に座るのはどうかと・・・・・・まぁ、こちらに迷惑にならないように窓開けて吸ってるからいいのか?

 

「吹雪~、俺にも茶ぁくれ~」

 

「自由過ぎる。如月はあんなになっちゃダメだからな。睦月を手本にするんだぞ」

 

「うふふっ、暁さんが自由人なのは知っているわ」

 

やっぱり仮説通り如月は元イ級なんだろうな。これが立証されたら戦えなくなる艦娘が増えるだろう。どうしたもんか頭が痛い。暁ならいい案を出してくれると思うけど、海軍のトップとしてはどうなんだろう。暁は建造当初から今の暁だ。普通の暁じゃなくて苦労したなぁ。妖精さんの乱と呼ばれるストライキは当時の国会議員、官僚、経済連、軍上層部の悪業を全て妖精さん達に調べさせて、それを使って無理矢理法律を作らせるという力業で、周りは凄く大変そうだった。当時いたのは新設された柱島泊地で妖精さんの数も少なく艦娘も吹雪と暁だけだったから書類もそこまで多くなかったし、後から暁が主導したと妖精さんから聞いて理由を問い質したらタバコが吸いたかったからと言われ頭を抱えた記憶がある。この真実を知る者は少ないけど、暁のタバコに対する情熱は何なんだろうか?救いは周りがタバコに対し風紀を締め上げてるから伝播しないことかねぇ。

 

「元帥?お茶いれましたよ。どうしたんですか変な顔して?」

 

辛辣ぅ~吹雪ももうちょっと優しくしてほしいです。

 

「いや、昔を思い出してたんだ」

 

「気をつけろ如月。変な顔してる時はエロいことを考えてるからな」

 

暁ぃ~やめて!新人さんに変なこと言わないで、エロいことなんて考えてないからね。

 

「えっ、ふ~ん、如月はいつでも大丈夫ですわ」

 

やめて、吹雪の目が笑ってるのに笑ってないから!

 

「へー」

 

棒読みだ。怖いコワイコワイ・・・・・・

 

「エロいことなんて考えてないから、俺には吹雪しかいないからね」

 

「そんなこと言いながら人のパンツは被るけどな」

 

やめて暁!これ以上燃料投下しないで吹雪のゲージはもう満タンだから!超必殺技が発動しちゃうから!

 

「な~んちゃって!」

 

えっ、どういうこと?如月が暁とニヤニヤしてる。はめやがったな暁。

 

「そう言えば、妹達がストーカーみたくなってて、昨夜元帥がいろいろ言ったせいだという証言があったんだがどういうことだ?」

 

「確かに三人と話はした。暁が大本営に殴り込んだ時の話をしてほしいと三人に頼まれたからな。なんか不味かったか?」

 

「内容次第だろう、じゃなけりゃストーカーみたくはならない。そもそもその場にいた長門がいるのに何でお前が話した?」

 

実際、酔っててあんまり覚えてないんだよな。確か当時の最高戦力である大本営の第一艦隊の長門・陸奥・扶桑・山城・伊勢・日向を突破し、上層部を捕まえ妖精さんの乱で調べてあった悪事を大本営発信で国中にばらまき体制を崩壊させ、それと同時に官邸に圧力をかけて体制をすげ替えたって話をしたはずだが・・・・・・あっ!

 

「駆逐艦でありながら戦艦六隻無傷で仕留める鬼畜艦って言った気がする」

 

「誰が鬼畜艦か!だいたいやりあったのは武蔵だけであとは、妖精さんがやったんだぞ」

 

「いや、武蔵とやりあってるだけでもおかしいから、武蔵のプライドぼろぼろだよ」

 

「陸の上なんだから問題ないだろう。人間だって艦娘を襲うアホがいるんだから」

 

「出来るのはお前位だ。吹雪なんか可愛いもんだぞ」

 

「元帥?」

 

「あっ!いや、ち、違う。今の無しで、ごめんなさい」

 

失言だ。吹雪が怖い笑顔になってる。助けて暁!窓の方向いて新しいタバコに火をつけやがった。如月は?知らないふりしてお茶飲んでるぅ。明石ぃ!早く来て、元帥を助けて!

 

 

 

 

 

「とりあえず元帥が原因なのは分かった。妖精さんから話してもらうか」

 

もくもく中の暁だ。転生者として生きてる。元帥が吹雪に折檻されてるが無視だ。鬼畜艦ってなんだよ。物心ついた頃から武道やってればなんとか出来るに決まってるだろう。身体がちっちゃくなって力は元の身体以上だったから調整するのが大変だった。でも戦闘しなきゃいけない世界に放り込まれたらやるしかないだろう。元いた世界で『艦隊これくしょん』というものは知っていた。幼なじみが良く話してくれたからだ。だからと言って俺自身がやっていた訳じゃないので内容はほとんど聞きかじりだ。こんなことになるならやっておけば良かったと何度か後悔したこともある。今がそんな状況だ。元帥は仮説って言ってたけど、これはあれだ。にわとりが先か卵が先かってやつ。まぁ、深海棲艦が先なんだが。

 

「遅くなりました!って何で元帥がぼこぼこになってるんですか?」

 

「もとからです」

 

えぇ!吹雪、それでいいのか?

 

「えっ?」

 

「もとからです」

 

「はい」

 

あきらめたか、そうだよな吹雪怖いもんな。さすが国を代表する鬼嫁艦だ。

 

「元帥、起きて下さい。明石さんも来ましたよ」

 

「あれ、凄く顔が痛いんだけど何があったんだっけ?」

 

「気にしなくて大丈夫です。それじゃ仮説でしたっけ?お話をお願いします」

 

「そうだった、お前達は艦娘の起源を知ってるか?」

 

「かつての軍艦の船魂が擬人化したってことですか?」

 

「違うよ。最初の五人と呼ばれる、吹雪・叢雲・電・漣・五月雨の事だよ。彼女達はある日突然海の上にいたらしい」

 

「深海棲艦が現れてから一年たったくらいの話でしたっけ?」

 

「そう、最初の五人が艦娘の起源。それから姿を現した妖精さん達が建造ドックを作り、艦娘の建造・配備が始まった」

 

「最初の五人は、深海棲艦から艦娘になった個体ってことか?」

 

「研究者達の見解はそうだと言われている」

 

「ならそう言う事例がもっとあってもいいのでは?」

 

「だから仮説だと言っている。今までそう言う事例の報告はない。もしかするとあったのかもしれないが、前の大本営が握り潰していたのかもしれない。仮説通りなら艦娘達に自分達の同胞を撃てと命令することになるからね」

 

吹雪と明石が息をのむ、そりゃそうだ。かつての自分の仲間だったかもしれない相手を今まで撃ってきたと言われたのだから。艦娘は建造で顕現するときにかつての船の記憶を持って産まれる。当然仲間意識、姉妹艦の意識が強い。そんな艦娘がやってきたことがいくら自分達を撃ってくる相手とはいえ同士撃ちをしてきたと考えればその思いは想像に及ばない。俺には暁の艦としての記憶がない。多分暁という船魂の代わりに俺という魂が入り込んでしまったからだろう。もちろんこの世界に来てすぐに資料を漁って記憶した。それから誤魔化しながら生きてる。結構キツイが慣れた。自分の誓いの為にも簡単に死ぬわけにはいかないし、それはこれからも変わらない。

 

「僕はこの仮説を公表はしない。社会的に人間が敵に回ってしまうからね。でも戦いたくなくなったのなら言って欲しい。無理矢理戦場に君達を送りたくないからね」

 

元帥は俺達に真面目な顔で言いきった。でも吹雪と明石は考えているようで何も答えない。

 

「俺は公表した方が良いと思う。もちろん時期は考えるが」

 

その場にいた全員が俺の方を驚いた顔で見てる。まぁそうなるな。久しぶりにまともな元帥の意見に反対してるんだしな。聞きかじり程度の記憶しかないがなんとか話す事くらい出来るだろう。怖いのは一つの意見で今後が決まってしまうことだ。

 

「何故だい暁?」

 

「理由は後から話す。まず如月に聞きたい、イ級だった時の記憶はあるか?」

 

「少しくらいですね、でも何故あんなにも憎しみに囚われていたのか分からないんです、暁さん達との楽しい思い出は少しは覚えてる。そして睦月ちゃんが危ないって思ったら身体が勝手に動いてたのも覚えています」

 

「そうか、やっぱりな。元帥、今から言うことは俺の推測でしかないが反対する理由に繋がってると思って聞いてくれ」

 

「分かった。聞こう」

 

「まず深海棲艦と艦娘についてだが、これは元帥が話した仮説通りだと思う。そこには決定的な差があるんだ。これは深海棲艦が憎悪や絶望や破壊というマイナス、艦娘が愛好や希望や守護というプラス。同じ存在でも在り方が真逆だ。これが差なんだと思う。如月はイ級の時はマイナスだったんだろうが俺達と触れ合っていくなかで徐々にプラス方向へ向かって行った。最後に守護というプラスの領域に入った事で艦娘として顕現したんだと思う」

 

「そう聞くと納得出来るな」

 

みんな頷いてる。良かった間違えてはいないみたいだ。ここからが本番だから気をつけないと。

 

「公表した方が良い理由だが、今言ったことを考えれば分かると思う。深海棲艦がマイナスを持って産まれてくるのなら多分この戦争は終わらない」

 

「なんだと!」

 

いきなり大きな声を出すな元帥!ビックリするだろうが!

 

「考えれば分かるだろう!この地球という星でどれだけの憎悪や絶望が海に沈んでると思っているんだ?」

 

「なっ!」

 

「艦娘がプラスを持っているのは多分、かつての艦艇が沈んでいくなかでも希望や護りたいという思いがあったからだろう。だが今の状況のこれは人間の欲望が産み出したものがつもり積もって出てきたものなんだと思う」

 

「人間の・・・・・・欲望の成れの果ての産物が深海棲艦ということか?」

 

「そうだ、だから深海棲艦は人間達に牙を向く。そして人間を守護する艦娘にもだ。深海棲艦達が海洋生物を襲うなんて話は聞いたことないしな」

 

「だが、今の話では人間達は艦娘達を迫害することになるぞ」

 

「視点の問題だ。人間のせいで深海棲艦が産まれたという事実を浸透させれば、艦娘が同じ産まれであっても迫害はされない。何故ならそんなことをすれば艦娘が敵に回る。そして人間を守護するものはいなくなり結果人間は滅びる。そんなことがわかっていながら迫害するものはいないだろう?」

 

「一般人から理解させるようにしなくてはいけないということか?」

 

「そうだな、時間はかかるが一番上手く行くだろう。それと今の話の裏付けは、前の大本営の時に無理な進軍や捨て艦をやった海域や、過去の歴史で海戦が行われた海域は深海棲艦が多いと思うからデータを洗ってみると良い。そのデータがあれば各基地で提督の出世の為の無理な進軍等も減るだろうし、隠蔽してもある程度分かるようになる」

 

「暁の話は推測ではあるんだろうが正解なんだと思う。だが時間がかかりすぎる、その間うちの艦娘達にはなんて言うんだ?」

 

「負の感情に囚われている仲間を救う。艦娘として顕現すれば文句無しだが、これ以上手を汚させない。沈める事もまた救いのはずだ」

 

「綺麗事だね。三人はどう思う?」

 

「敵を増やすより味方が増える方が嬉しいと思います。どうせ戦争が続くなら、誰かがやらなきゃいけないなら私はやりますよ」

 

「私はもともと工作艦ですから艦娘の治療等の観点から深海棲艦と艦娘の関係性を研究してみようと思います。少しでも顕現しやすい情報があれば戦争に優位になるでしょうから」

 

「如月は仲間を護りたい。その為に戦う必要があるならやります」

 

「そうか・・・・・・ならばまず鎮守府内は艦娘限定で公表する。暁の言っていたデータの確認後、事実と分かったら世間に対し噂程度で深海棲艦は人間のせいで産まれたと流す」

 

なんか元帥がこっち見てニヤニヤしてる。嫌な予感がするな。

 

「長期でやる作戦だ。暁!言い出しっぺなんだからこの任務受けてもらうぞ」

 

「はぁ?」

 

「艦娘達のなかには戦いたくないという娘もいるだろう。そんな娘達がどれくらいいるか分からないがもしうちの鎮守府で出た場合、その娘にはテレビに出てもらう」

 

「何言ってるんだ?」

 

「特撮だよ。深海棲艦と戦う艦娘を特撮ヒーロー、いやヒロインか、暁の言った話をデフォルメして特撮を作るんだ。それなら一般人にも分かり安いし、子供に人気が出れば深海棲艦の話も浸透しやすいだろう。噂は本当かもしれないとね」

 

「それが俺の任務と何の関係がある?」

 

「特撮のシナリオをお前が書くんだ!」

 

「断る。無理に決まってるだろう。俺にはそんな時間がない、那珂のプロデュースでいっぱいいっぱいなんだぞ。そもそも今の話程度の推測なんて少し考えれば分かるだろう、それが分からないなんてどれだけ頭わるいんだ?やりたきゃ自分でやれ」

 

ふざけてる。これ以上仕事増やしてたまるか!断固たる決意を持って拒否だ。

 

「そうか、今はいいだろう」

 

「そろそろあいつらの入渠も終わる頃だから俺は行く。全員に話す前に言っても構わないんだろう?」

 

「構わないが、一応口止めはしておいてくれ」

 

「分かった」

 

「如月は待ってくれ、明石もだ。一応検査した方が良いだろう」

 

「元帥、先に言っておくがこれ以上俺の仕事増やしたら出てくから」

 

そう言い残して俺は部屋をでた。

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