「ここは?」
寝起きで頭が働かない。えーと、そうだ柱島だ。睦月と姉妹三人に話をしたあと、次の日にはホワイトアラートが発令されスクランブルも解除された。執務室での話で嫌な予感がしていたから部屋の荷物をまとめておいて正解だったな。まぁ、部屋移動でまとめた荷物を開けてなかっただけなんだが。今は如月だが、イ級と一緒に集めた資材(自分用)で俺と夕張と妖精さんで作った試作戦術強襲用コンテナに積んで元帥に言った警告通り横須賀鎮守府を出てきた。家出とか言うなよ。元の世界にあった特撮の話をベースに書けば出来るだろうがこれ以上仕事を増やしたくないんだ。。柱島泊地は俺が建造された場所だ。泊地に近い場所だが、隠れ家を作ってあって良かった。自然に出来た洞窟だが、妖精さんと一緒に泊地から電気や水道等のライフラインも地中、海底を通してあり快適な生活をおくれる。電子レンジ、IHコンロはもちろん水洗トイレやシャワーも完備の1LDKだ。隠れ家ってロマンだよな。横須賀の妖精さんと作った釣竿も持って来たからのんびり過ごそう。金もほとんどアルコールコレクションとタバコ代でしか使ってないからあるしな。今日はまず冷蔵庫と洗濯機、それと食料を買いに行こう。タバコとアルコールは妖精さんに頼めば手に入る。もちろんお金は置いてくるから銀蠅じゃないぞ。場所は遠出してばれないようにしないとな。
「元帥!やっぱりいません。それとこれが暁さんの部屋にありました」
秘書艦の吹雪です。緊急事態が起きました。暁さんがいなくなってしまったのです。部屋はもぬけの殻で備え付けの机に辞表と書かれた封筒と姉妹艦の三人宛の封筒がぽつんとおいてありました。昨夜スクランブル解除後、横須賀鎮守府の艦娘を全員集めて執務室で話したものを伝えた時に、暁さんから警告されたにも関わらず元帥が調子にのって大好きな特撮の話をしてしまい暁さんは出て行ったみたいです。横須賀鎮守府の艦娘で戦いたくないという娘がいなかったのが救いかもしれません。
「まさか本当に出て行くとは」
「だから前々から言ったじゃないですか、暁さん一人でやってた仕事はこれから全部元帥一人でやってくださいね」
「・・・・・・分かった。その前に六駆の三人を呼んでくれ、この封筒を渡そう」
珍しく落ち込んでますね。自業自得なのでしょうがないですからフォローしてあげません。私にとっても暁さんは、いろいろやらかしてましたが大事な妹であり相棒なんですから戻るまでは許しません。多分いる場所はあそこだと思いますがしばらくは休暇を楽しんでください。
「これは事実なのかい?」
執務室に来た六駆の三人は元帥から謝られ渡された封筒に入っていた手紙を読んでわなわな震えています。
「私は佐世保でこの鎮守府は良い所だと聞いていたが、元帥!この手紙の中身は事実なのかい?もしそうなら私達はこの事実を公表して姉さんと同じく出て行くよ。私達は来たばかりだけど他の艦娘達もこれを知ったら人間の味方をしようなんて艦娘はいなくなるさ」
涙目の響ちゃんが大きな声で怒ってますね。雷ちゃんも電ちゃんも涙目に怒りを灯してます。
「暁お姉ちゃんが可哀想なのです」
「これは酷いわ」
「本当にすまない。これは僕の失態だ、暁ならこなしてくれると任せ過ぎた」
そりゃそうなりますよね。第二次妖精さんの乱や弥生ちゃん、卯月ちゃんのいた基地等、艦娘に対しブラックなことをやっていた基地を潰した暁さんが横須賀鎮守府で一番働いてましたからね。いくら給料に手当てが付くとはいえ一人で抱えすぎてましたよ。手伝える事は手伝ってましたけどね。むしろ給料的に元帥よりもらってますしね。那珂ちゃんの曲の印税でもたくさんもらってるし、『艦隊新聞』に載った艦娘の長者ランキングでもトップですしね。
「私達の歓迎会に出れなかったのも仕事だった、すまないと私達に凄く謝ってくれたけど、これだけ働いてれば来れないに決まってるじゃないか。それなのにあんなに謝ってたのかい、私はなんてことを姉さんに言ってしまったんだ」
三人とも泣き出してしまいました。元帥のせいですがフォローはしておきましょう。
「三人とも落ち着いてください。暁さんは三人が危ないって分かったら艦隊編成中にも関わらず単艦で強制射出システムまで使って救出に向かいましたから、それに手紙を残したのも三人宛だけです。そんな暁さんが三人を嫌いになるなんてありえませんよ」
「本当に嫌いにならないかな」
「大丈夫です!暁さんは三人が大好きですから」
どうにか落ち着いてくれたみたいですね。これから艦娘全員集めて暁さんの穴をどうにか埋めないといけませんね。どうしましょうか・・・・・・
「大変です!」
執務室のドアを壊さんばかりの勢いで夕張さんが飛びこんて来ました。何かあったんでしょうか?
「装備保管庫の鍵が開いていたので中を確認したら無いんです」
不味いですね。誰か無断出撃したんでしょうか?
「何がなくなった?」
「暁さんと一緒に趣味で作った試作機なんですが、あれは不味いんですよ」
どうやら無断出撃ではないようですが何が不味いんでしょうか。もしかしてあれですか?あれがなくなったんですか。
「まさかあれですか?」
「そうです。吹雪さんはあれの試験に参加してたから分かると思いますが、暁さん以外の駆逐艦の娘が使ったら大惨事ですよ」
あれを誰が持ち出したんだろう。頭が痛くなってきました。
「吹雪、あれってなんだ?」
「『ヤタガラス』です。試験には私も参加しましたが轟沈しかけました」
「なんだって!」
「本当に不味いんですよ。吹雪さんが試験に参加した後も改造を続けてましたから」
「今積んでる武装はなんですか?」
「武装は積んでませんが、イ級ちゃんで試験したブースターの改良型を取り付けてあります」
「その装備って暁姉さん個人の物なの?」
「そうです。だからこんなに焦ってるんじゃないですか、ちゃんと戸締まりしたはずなのに」
「なら姉さんが持っていったんだね」
「はい?」
「元帥のせいで暁姉さんが辞表を出して出て行ったんだ」
「暁さんがいなくなったんですか?」
「暁姉さんは仕事がありすぎて嫌になったみたいだ。仕事内容を少し聞いただけでも嫌になるくらいあるよ。むしろ暁姉さんが司令官だったと聞いたら納得出来る仕事ばかりだよ」
響さんその通りです。実質横須賀鎮守府の司令官は暁さんです。元帥は大本営の仕事で手一杯ですしね。むしろ元一般人が良くやってると思いますよ。暁さんのブラック基地撲滅作戦『悪い子はいねぇが?なまはげが今から行くぞ作戦』で司令官を出来る人材が減ったから今の状況というのもありますし、若い司令官が増えてはきてますがもう少し時間がかかりそうですね。
「ということは、これから開発なんかは元帥を通さないといけないんですね」
夕張さんが肩を落としてます。今までは個人的にいろいろ自由にやってましたからそのせいでしょうか。
「これから全員集めて説明するよ。暁がこなしていた仕事を割り振り今後の対応を決める。吹雪、全員集めてくれ」
「分かりました。それでは食堂に全員集めます」
これで暁さんの負担が軽くなりますね。まぁ、元帥に反省してもらいましょう。